さて、昨年11月頃からかなり本を読んでいます。結構なペースで読んでいます。
そんな山田に、本の神様が降りてきました・・・。
と、いうような本を見つけました。
2008年始まってそうそうですが、福祉系2008年No.1の本かもしれません。
先日の自閉症ペアレントメンター養成講座の際に、自閉症協会の方からいただいた本です。
地域生活のススメ
西駒郷の地域生活移行にかかわって
福岡寿/山田優著
Sプランニング・出版
長野県にある、県立の大型コロニー西駒郷。定員500名の知的障害者の入所施設から地域生活移行を進めてきた福岡さん、山田さんのお二人の講演記録を加筆修正したものをまとめた本です。
日本財団の助成事業として、西駒郷の地域生活移行の検証プロジェクトを2006、2007年度と継続して支援を行っており、その関係で西駒郷の取り組みは知っていましたが、あらためてその思いを知ることができました。
第1部は、障害のある方の地域生活を支えるためのコーディネーター事業の先駆者の福岡寿さんの「地域支援はバームクーヘンづくり −豊かな地域生活を目指して」です。
前半部分は、ご自身の経歴を交えつつ、どのような形で障害者福祉に携わってきたのか、そして地域生活支援に必要なコーディネーター事業の黎明期がよくよくわかります。
福岡さんといえばコーディネーター、というくらい有名ですが、最初からスーパーコーディネイターだったわけではないんですよね〜。
そして、後半部分では、地域生活を支えるための地域づくりの実践がよくわかります。これを読んでようやくケア会議の必要性や重要性など、深く理解できました。
障害のある人の思い→それを実現したいと思うお母さんの思い→それを支える支援者の思い→様々な福祉サービスの活用、あるいは創設
この循環が障害のある人の地域生活を実現する仕組みなんですね。
障害者自立支援法が施行され、自立支援協議会の設置が推進されていますが、そのヒントがこの本には満載です。福祉関係者の方にはもちろんのこと、保護者の方にもぜひ読んでいただきたいです。
第2部は、西駒郷の地域生活移行の推進役の山田優さんの「地域生活のススメ −地域生活移行は利用者主体」です。
西駒郷の地域移行も、今の結果だけを見ると、西駒郷だから出来たこと、長野だから出来たことと、思われてしまいますが、この本を読むと、細やかな取り組みやいくつもの苦労の積み重ねで現在のように地域生活移行が進んでいるということがよくよく分かります。
また、山田優さんの思いが熱い!
助成事業のご担当者のお一人ということで、何度かお会いしたり、実際に西駒郷や地域生活の現場を案内していただいたこともありますが、さらにこの本でただただ純粋に勉強させていただきました。
福岡さんの話も、山田さんの話しも共通しますが、普通今現在の話しが中心になってしまいますが、歴史や経緯的な部分も細やかに説明されていて3年前に福祉の担当になったものとしては非常に参考になります。
ちょっと話しを戻しますが、山田さんの話しの内容は簡単にまとめることができないくらい、深く濃い話なので、その辺はぜひ本を読んでいただきたいと思いますが、障害のある人の思いをどのように理解して、どのように実現するか、その実践と考え、思いが満載です。
一番勉強になったことを一つだけまとめてみると、
「ノーマライゼーションの実現や障害者自立支援法などを理由に地域生活を進めるのではなく、その人の思いの結果として地域生活を進めることが重要。そうでなければ、かつて障害のある人だから入所施設に行く、地域生活が最近の流行だから地域生活をさせるというのと同じになってしまう」。
ぜひ、お薦めの1冊です。
福祉系の図書の購入といったら、やはりスペース96ですね。
あと、西駒郷の取り組みについては、こちらのブログもお薦めです。
☆地域移行を検証するBlog☆
Book人にやさしく 山田泰久
【山田の本棚の最新記事】
本当に参考になる本だと思いますので、多くの人に知っていただけるといいですよね!
あと、これからも「山田の本棚」、ご愛読下さいませ。
山田泰久
山田さんの文章の中で、「地域生活移行の根拠は本人の思い。ノーマライゼーションだからとか施策だからではない。」の言葉に、背筋を伸ばしていただけた感じです。
良い本を紹介していただき、ありがとうございました!
本、本当に面白く、参考になりました。
本当に講演を聞いているようでかなり読みやすかったです。ぜひ多くの方に読んでいただいて、地域生活の参考にしてほしいと思います。
山田も福祉系のセミナーでスペース96が出店していると、必ず見てしまいます。
いろいろと興味深い本や面白そうな本がありますよね。