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ホームヘルパー国賠訴訟提起 [2020年02月01日(Sat)]
ホームヘルパー3人が令和元年11月1日、訪問介護現場での労働基準法が遵守されていないとして、国家賠償訴訟請求を東京地裁に提起しました。
労働基準法が遵守されないのは、事業所に責任があるのではなく、給付金・直接契約方式をとる現行の介護保険制度のもとでは、労働基準法による介護労働者の保護は不可能であり、介護保険制度自体に問題があると考え、国を相手取り、損害賠償請求をしています。
訪問介護の現場は常に人材不足です。高齢者宅への生活支援は毎月の労働時間も変動しやすいため、安定した収入が見込めません。不安定な収入環境にあれば、若者は介護の仕事をしようと思っても長続きはしないし、働こうとも思いません。よってヘルパーさんの高齢化が進んでいるのが現状です。
政府は全世代対象型社会保障に舵をきっていますが、在宅生活を支えるヘルパーさんの現場をもう少し見るべきです。このままだと訪問介護のヘルパーさんはいなくなるでしょう。
「生活支援は地域住民がやるべき」というのも間違いでしょう。正解になるには、まず介護の社会化が目的である公的介護保険制度の土台をしっかり維持し、人材や労働環境を確保し、その上で地域住民が担う生活支援(総合事業)を整えるべきでしょう。毎年介護保険の収支は黒字です。介護離職は減らない、介護現場で働く介護報酬は上がらない、介護の働き手がいない、よって地域住民に生活支援をしてもらう、その構図に問題があると思います。
介護労働者としての尊厳を守るために、裁判を起こした3人の勇敢なヘルパーさんを応援し、経過を見守りたいと思います。第1回裁判は1月20日に行われ、3人の意見陳述が行われました。
来年は介護保険制度の改正もありますので、3人の思いが国に届くことを願っています。
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