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神奈川県川崎市宮前区で宮前親子学級を企画・運営しているグループ、宮前おやこの会「おひさま」のブログです晴れ
ひとりめの育児は「これでいいのかな?」と不安や悩みがつきもの。ブログでは育児&育自のエッセンスと私たちの活動内容を紹介していまするんるん
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25年度 第4回親子学級「アリサから見た子どもの発達」[2025年09月30日(Tue)]
今回は、帝京大学 名誉教授の杉本眞理子先生にお話を伺いました。


映画「アリサ」からの考察■

アリサとその仲間たちは、自分で決めて、自分で行動することによって

・集中力
・好奇心
・探求心
・意欲
・友達を助ける力
・子どもらしい知恵
・仲間との協力

を自然と身につけていた。


■知らない = できない?■

現代の子どもたちは「知っている」とそれ以上の探求をしなくなってしまっている。

「わからない」「できない」と、自信がないことに挑戦しない。

「面白そうだからやってみたい!」「もっと深く知りたい!」ではなく、自信がないことを避けようとする傾向にある。


■乳幼児期に大切なこと■

乳幼児期は「小学校の準備教育」ではなく、直接体験や遊びを通して学ぶことが重要。
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直接体験から得られる力とは・・・

・知的好奇心、探求心
・挑戦する心
・粘り強さ、レジリエンス
・協調性、コミュニケーション能力


大人の「危ない!」「きたない!」「やめなさい!」といった言葉は、こうした力を育てる子どもの意欲を削いでしまうこともある。


■「自由な自己決定」と「十分な時間」■

『子どもの自由な体験と生涯発達 子どもキャンプとその後・50年の記録』杉本眞理子他著

生涯的縦断研究として行った子どもキャンプでは、食事と宿舎だけが用意されていてプログラムがなく、子ども達は「やりたい時にやりたいことをやる」「やらなくてもよい」という

・自分が決定できる自由
・十分な時間

が保障されていたが、それには大人の在り方・大人たちの姿勢が大切。「早く」「上手に」と効率重視していては上記を保障できない。

・子どもにとって本当に重要なこと?
・私の思い込みでは?
・勝手な期待をしているだけでは?

と、大人が自分で考えなければいけないが、一人でやるのは難しいので子育て仲間を作ることが大切。


■エリクソンの発達段階説■

発達心理学者エリクソンは、子どもの成長を4つの段階に分けた。

@乳児期:基本的信頼 対 不信

摂食時のくつろぎ、睡眠の深さ、便通の良さといった種々の快の経験を通して、心の最も深いところで自己を肯定し、自分を取り巻く世界を肯定することが基本的信頼感

基本的信頼感を得ると、この世に対する望み、希望を持つことができる

【アタッチメントと安心の輪】安心できる存在によって、基本的信頼感は育つ

アタッチメント:安心できる誰かにくっつくことにより、情緒の安定を得る

安心できる存在に触れて「安全基地」から探索に出かける。

外の世界で危機に出会うと安全な場所に戻ってきて、くっつくことにより情緒的混乱をおさめる。

また、出かけていく。

この「安心感の輪」が少しずつ大きくなって子どもは成長していく。


A幼児前期(1〜3歳):自律性 対 恥・疑惑

いずれ自分の足で立つための励まし=しつけ・・・外からコントロールを内面化していく=自律
不安や恐怖による過度なしつけは強い自己防衛・自己疑惑を生む


B児童期/幼児後期(3〜5歳):自主性 対 罪悪感

自主性=自分からしたいことを自発的に動こうとすること、失敗してもひるまないこと

何を学ぶにしても何をするにしても、この感覚が必要
=遊びの中でもっともよく発揮される

この時期に知識を詰め込み過ぎると自主性が育まれない。

この時期に育んでおきたいのは非認知能力で、

1.「自己」に関わる心の性質(基盤としての自己信頼)
2.「社会性」に関わる心の性質(基盤としての他者信頼)
3. 両側面に関わる「感情の制御・調節」

といった目に見えにくい人の心や社会性に関係する力を幼児期に身につけられるかどうかで、その後の人生に大きな影響を与える。


C学童期(小学生):勤勉性 対 劣等感

@からBまでのプロセスを積み上げてから、この時期にようやく知識を入れる。

学童期に得られるべき力は「優越感=人と比べてできる」ではなく「有能感=自分が自分なりに何かしらのことができる」という感覚。

「人に比べてできる」ではなく、一人ひとりにとっての「できる!」という感覚が育まれないと自分の人生を肯定できず、とても生き辛くなってしまう。

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乳幼児期に@〜Bの基本的信頼感・自律性・自主性を育てたうえで、学童期にCの勤勉性に向かうことが大切。

乳幼児期の知識の詰め込みは有能感につながらない。知識の詰め込みではなく、自然の中で十分に遊びこんで直接体験すること。

土・水・太陽の光・風・植物などの自然の中で感覚を駆使して「感じる」ことが大切。

宮前区には、自然の中で自由に遊べる冒険遊び場があるので行ってみましょう!

ひらめき宮前区冒険遊び場


■絵本を読む意味■

子どもにとって、ママ・パパなどの声を通して色んな世界を体験し、ワクワクドキドキ肌で感じられる絵本は直接体験。

大人にとっても眠っている “子どもの心” を呼び起こしてくれて、心豊かに生きるためには大切にした方がよいもの。

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『 でんしゃくるかな? 』
きくちちき 作

電車が「くるかな?」・・・「きたー!」とワクワクする感覚が直接体験。

毎回毎回同じことが繰り返される

次に何が起こるのか予想することができる

世界が安定し安心して過ごすことができる
大人にとって同じことの繰り返しは退屈だけど、子どもにとって繰り返しは大切なこと。

『 もこもこもこ 』
谷川俊太郎 作 / 元永定正 絵

元永さんの色鮮やかな不思議な生き物(?)と谷川さんのオノマトペ。読んでいると、小さな子どもも体が動き出してしまう大人気の絵本です。

『 どんなかんじかなあ 』
中山 千夏 文/和田誠 絵

障がいに限らず、隣の人のことも自分の子どもにも「どんなかんじかなあ」と想像することが大切。

『 だいじょうぶだいじょうぶ 』
いとうひろし 文・絵

短い文章に、子どもが育つ真実が込められていることを発見します。


本おすすめ絵本

『 わたしとあそんで 』
マリー・ホール・エッツ 文・絵 / よだ じゅんいち 訳

『 もりのなか 』
マリー・ホール・エッツ 文・絵 / まさき るりこ 訳

『 またもりへ 』
マリー・ホール・エッツ 文・絵 / まさき るりこ 訳

『 はなをくんくん 』
ルース・クラウス 文 / マーク・シーモント 絵 / きじま はじめ 訳

『 14ひきのシリーズ 』
いわむらかずお 作

『 みんなうんち 』
五味 太郎 作

『 ぼくはおこった 』
ハーウィン・オラム 作/きたむら さとし 絵・訳

『 かいじゅうたちのいるところ 』
モーリス・センダック作 じんぐうてるお訳

『 とべバッタ 』
田島征三 作


子どもたちよ
子ども時代を しっかりと 楽しんでください。
おとなになってから 老人になってから
あなたを支えてくれるのは
子ども時代の「あなた」です。
石井桃子のことば』2014年新潮社より


杉本先生からのメッセージ

『皆様、どうぞお子様と過ごす時間を大切に楽しんでください。かけがえのない今を。子どもたちはすぐに大きくなってしまいます。』


次回は『近所の公園へ行ってみよう』というテーマで、冒険あそび場ネットワークの山岡洋子さんと、宮前区保育・子育て総合支援センター看護師の田村薫さんからお話を伺います。
この記事のURL
https://blog.canpan.info/oyako-gakkyu/archive/780
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