18年度 第12回親子学級[2018年11月22日(Thu)]
2018年度 第12回親子学級『子どもたちを支えていくということ』
今回はスクールソーシャルワーカーの入海英里子さんにお話をしていただきました。
■入海さんの紹介■
大学を卒業してすぐに憩いの家に住む。
・憩いの家=『 自立援助ホーム 』という、親のいない または親の役割を果たしてもらっていない家庭の子が養護施設を出たあとに住む場所のこと。
・養護施設=児童福祉法により中学生までは入ることができるが、高校に行けない子や行かない子は出なければならない。
高校に行かずに社会に出されても、社会性がないためうまくいかず働き場所がなくなる
↓
お金がなくなって犯罪に手を出してしまい少年院に行く
↓
少年院を出たあとに帰る場所がない・・そういう子ども達を受け入れるのが、憩いの家
子ども達が社会に出て生活できるようになる手助けをすることが、憩いの家での入海さんの仕事だった。
親から虐待を受けたり育児放棄された子ども
↓
自己肯定感が低く社会性も低い
↓
自分自身が大切にされてきていないし自分を大事にできない
↓
人を大事にすることが理解できない
↓
子ども達が幸せになるために、愛情を注ぎ大切にする(怒るところはしっかり怒る)
今ではその経験を活かし、もう少し早い段階で何かできることはないかという想いからスクールソーシャルワーカーという仕事をしている。
■スクールソーシャルワーカーとは■
問題を抱えた子どもの環境を調整するために、地域や学校・家庭と協力しながら活動する仕事。子どもだけを良い子にするのは非常に難しい。スクールソーシャルワーカーが出会う子ども達は、不登校、非行、自傷、他害をする子が多いため、子ども達が愛されて育つ環境を創ることが大切。
・家庭:地域サポートの情報を届ける
・学校:先生の指導方法・考え方を変えることや子どもの立場に立って考えてくれる(愛してくれる)存在を探す&作る
・地域:子どもが孤立しないよう受け入れてもらえるように近所の方々と連携する
■カウンセラーとソーシャルワーカーのちがい■
・カウンセラー:心の状態の整理をする仕事
・ソーシャルワーカー:カウンセラーと同じことをすることもあるけれど、子どもを受け入れる環境づくり、周りの整理をする仕事
■自己肯定・自尊感情■
自己肯定と自尊感情は両方同じ意味で、自分を認めてあげたり否定しないこと。非行に走ってしまうような子達だけが自尊感情が低いわけではない。
日本では自分のことを大丈夫と思えている子が少ない=周りと比べられていて自己肯定感が低くなってしまう。
大人も同じで、今ある自分を認めず常に上を目指そうとしてしまう
↓
等身大の自分を受け入れてあげることが大切!!
■「在る」と「する」のちがい■
「在る(ある)」
自己肯定感。自分は大丈夫。生まれてきてくれてありがとう。存在そのもの、命そのものが大切。在るは、養育を保障し、基礎的自尊感情を保障する。これらが土台となり、保障された上で「する」になる。
「する」
自己効力感。自己有用感。例えば自分から進んで挨拶「する」、勉強ができる、時間を守れる、など学校で行われていること。するは、教育を保障し、社会的自尊感情を保障する。
土台の「在る」がきちんと作られて保障されている上で「する」が乗っかってくる。
家庭とは・・・
「在る」を保障するスペシャルな場所。「生まれてきてくれてありがとう!」と言える場。存在そのものを認めてあげられる場。
褒めて育てることは・・
「する」を保障している。褒めるだけで育つと社会的自尊感情だけが肥大して「在る」の土台がなくグラグラしてしまうこともある。
↓
「在る」の言葉で伝えてあげて欲しい。
出しおしみせずに『好き』を伝えてあげることが大切。触れ合うことも大事。
地域の人として、周りの子ども達がたくさんの人たちに認めてもらえる環境になるようにしていってあげて欲しい。
■理想の子ども像■
親は何でもできる子を求めてしまっているし学校でも求められてしまう。
家では『ぼけ〜』『ぼやぁ〜』『言われたこともやらない』くらいのダメダメ〜を保障してあげよう!!
・ダメダメ〜な子は家庭・地域だからこそ保障してあげられる。
・子どもは「理想の子ども」の真逆でいい!
・子どもは言ったようには育たず、やったように育つ
挨拶しない、お礼を言わないなど気になるかもしれないが、自分がやっている姿を見せていれば、いつかやるようになる。
・おうちで自己効力感(出来たら褒められる→嬉しい)をしてしまっていると、学校で悪い子をしてしまう。
おうちで良い子をさせている親は、学校で悪い子をしているのに気付かず、言われると「なぜうちの子が?!」と驚いてしまう。
・おうちで良い子をさせると、大人の前では良い子になってしまう。
真逆に、親の前では良い子をしすぎて大人との信頼関係が築けなくなってしまう子もいる。
おうちでは・・・
・ご飯を食べて
・歯を磨いて
・お風呂に入って(たまにサボってもOK?!)
・よく寝る
をやらせていればいい!そして「大好きだよ」とハグをたくさんしてあげればいい。
学校や周りからどう思われようが、子どもが失敗しても親の評価は気にせずに子ども自身の自立への道を妨げないこと。
■3つの「大」■
「大」好き=だいすき
「大」事 =だいじ
「大」丈夫=だいじょうぶ
これをいっぱい伝えていれば大丈夫!
■子どもの幸せ■
子どもの幸せの形を決めつけないこと。
大人が信じていれば、子どもはその子らしく、その子の力を発揮して活き活き生きる。
・学歴など大人の考え・価値観を押し付けない
・親の夢を子どもに押し付けない
・英会話等、小さい頃から聞かせていないといけない・・など無い!!
■子どもはAKU■
A:あぶない
K:きたない
U:うるさい
子どもは危ない、きたない、うるさいものである。
大人はキレイにしよう・危なくない所を通らせよう・うるさくしないようにしようしてしまう。
けれど、小さい頃にきっちりAKUを発揮出来たら自然と発散できる人間になるので、世の中を楽しめる人間になれる。小さい頃から習い事漬けで勉強ばかりしていたら、世の中楽しくない。世の中が楽しいと信じる力が身に付かない。
子ども=AKUを保障してあげよう!
■幼少期のあそび■
とにかく遊びを保障すれば、良い子に育つ!
遊びから、国語・算数・理科・社会を自然と学ぶので教える必要はない。
1人遊びから2人遊び、3人と増えていくと葛藤が増えて、人との関わりを遊びの中で学んでいく。整えられていない環境の方が学ぶチャンスが転がっている。五感を使って遊ぶと、様々な能力が芽生え、命がキラキラする。
■友達は100人も要らない■
「お友達とうまくいっていますか?」と面談で聞く親が多いが、その親の必死さが「友達を作ってうまくやらなきゃ」というプレッシャーを子どもに与えてしまう。
ひとりでも大丈夫。自然と何かをきっかけに仲良くなるから無理やり友達を作らなくて大丈夫。
親は「あなたは大丈夫。あなたは大事な存在だよ」ととにかく言い続けることが大切。
ママも子どものために無理して親同士で付き合う必要は無い。
■思春期について■
子どもが反抗をして来たら・・
反抗できるまで安心な親子関係になれているということ。
反抗しても見捨てられないと子どもがわかっているから反抗する=「在る」が保障されている証。頑張って子育てしているなと自分を褒めて欲しい。
子どもが悩んでいたら・・
思春期は苦しいものだから、悩んでいる子には悩ませてあげて欲しい。
病的に悩んでしまっていたら「話を聞こうか?」と声をかけてあげたり、共感してあげる。ただし、本人に解決させることが大事。そして『大好き』も伝える。『生まれてきてくれてありがとう』『大丈夫』が伝わればいい。
■親の「在る」が保障されていない■
◎「お母さん」になったら「自分」がいなくなった
→「私」を大切にできている人の子どもは幸せ!
◎理想のお母さん像(いつも何かの評価にさらされる)
→正しい親なんてしなくていい、ちょっとくらいずっこけてていい「ダメ」を保障しよう。ダメなところを見せて「ま、いっか」力が大切!
◎自分のことを人や理想のお母さん像と比べて自己否定
→子どもを「比べない」ことと同じように、自分自身も周りと比べないこと!私は私以上でも以下でもない「大切な私」
子どもがその子らしくその子の力を発揮して生きる為に、私が私らしく私の力を発揮して生きることが大切
その為に『大丈夫』の種をまきましょう!
子どもにも、自分にも!
学級第12回の保育室だより(子ども達の名前はすべて仮名です)
今回はスクールソーシャルワーカーの入海英里子さんにお話をしていただきました。
■入海さんの紹介■
大学を卒業してすぐに憩いの家に住む。
・憩いの家=『 自立援助ホーム 』という、親のいない または親の役割を果たしてもらっていない家庭の子が養護施設を出たあとに住む場所のこと。
・養護施設=児童福祉法により中学生までは入ることができるが、高校に行けない子や行かない子は出なければならない。
高校に行かずに社会に出されても、社会性がないためうまくいかず働き場所がなくなる
↓
お金がなくなって犯罪に手を出してしまい少年院に行く
↓
少年院を出たあとに帰る場所がない・・そういう子ども達を受け入れるのが、憩いの家
子ども達が社会に出て生活できるようになる手助けをすることが、憩いの家での入海さんの仕事だった。
親から虐待を受けたり育児放棄された子ども
↓
自己肯定感が低く社会性も低い
↓
自分自身が大切にされてきていないし自分を大事にできない
↓
人を大事にすることが理解できない
↓
子ども達が幸せになるために、愛情を注ぎ大切にする(怒るところはしっかり怒る)
今ではその経験を活かし、もう少し早い段階で何かできることはないかという想いからスクールソーシャルワーカーという仕事をしている。
■スクールソーシャルワーカーとは■
問題を抱えた子どもの環境を調整するために、地域や学校・家庭と協力しながら活動する仕事。子どもだけを良い子にするのは非常に難しい。スクールソーシャルワーカーが出会う子ども達は、不登校、非行、自傷、他害をする子が多いため、子ども達が愛されて育つ環境を創ることが大切。
・家庭:地域サポートの情報を届ける
・学校:先生の指導方法・考え方を変えることや子どもの立場に立って考えてくれる(愛してくれる)存在を探す&作る
・地域:子どもが孤立しないよう受け入れてもらえるように近所の方々と連携する
■カウンセラーとソーシャルワーカーのちがい■
・カウンセラー:心の状態の整理をする仕事
・ソーシャルワーカー:カウンセラーと同じことをすることもあるけれど、子どもを受け入れる環境づくり、周りの整理をする仕事
■自己肯定・自尊感情■
自己肯定と自尊感情は両方同じ意味で、自分を認めてあげたり否定しないこと。非行に走ってしまうような子達だけが自尊感情が低いわけではない。
日本では自分のことを大丈夫と思えている子が少ない=周りと比べられていて自己肯定感が低くなってしまう。
大人も同じで、今ある自分を認めず常に上を目指そうとしてしまう
↓
等身大の自分を受け入れてあげることが大切!!
■「在る」と「する」のちがい■
「在る(ある)」
自己肯定感。自分は大丈夫。生まれてきてくれてありがとう。存在そのもの、命そのものが大切。在るは、養育を保障し、基礎的自尊感情を保障する。これらが土台となり、保障された上で「する」になる。
「する」
自己効力感。自己有用感。例えば自分から進んで挨拶「する」、勉強ができる、時間を守れる、など学校で行われていること。するは、教育を保障し、社会的自尊感情を保障する。
土台の「在る」がきちんと作られて保障されている上で「する」が乗っかってくる。
家庭とは・・・
「在る」を保障するスペシャルな場所。「生まれてきてくれてありがとう!」と言える場。存在そのものを認めてあげられる場。
褒めて育てることは・・
「する」を保障している。褒めるだけで育つと社会的自尊感情だけが肥大して「在る」の土台がなくグラグラしてしまうこともある。
↓
「在る」の言葉で伝えてあげて欲しい。
出しおしみせずに『好き』を伝えてあげることが大切。触れ合うことも大事。
地域の人として、周りの子ども達がたくさんの人たちに認めてもらえる環境になるようにしていってあげて欲しい。
■理想の子ども像■
親は何でもできる子を求めてしまっているし学校でも求められてしまう。
家では『ぼけ〜』『ぼやぁ〜』『言われたこともやらない』くらいのダメダメ〜を保障してあげよう!!
・ダメダメ〜な子は家庭・地域だからこそ保障してあげられる。
・子どもは「理想の子ども」の真逆でいい!
・子どもは言ったようには育たず、やったように育つ
挨拶しない、お礼を言わないなど気になるかもしれないが、自分がやっている姿を見せていれば、いつかやるようになる。
・おうちで自己効力感(出来たら褒められる→嬉しい)をしてしまっていると、学校で悪い子をしてしまう。
おうちで良い子をさせている親は、学校で悪い子をしているのに気付かず、言われると「なぜうちの子が?!」と驚いてしまう。
・おうちで良い子をさせると、大人の前では良い子になってしまう。
真逆に、親の前では良い子をしすぎて大人との信頼関係が築けなくなってしまう子もいる。
おうちでは・・・
・ご飯を食べて
・歯を磨いて
・お風呂に入って(たまにサボってもOK?!)
・よく寝る
をやらせていればいい!そして「大好きだよ」とハグをたくさんしてあげればいい。
学校や周りからどう思われようが、子どもが失敗しても親の評価は気にせずに子ども自身の自立への道を妨げないこと。
■3つの「大」■
「大」好き=だいすき
「大」事 =だいじ
「大」丈夫=だいじょうぶ
これをいっぱい伝えていれば大丈夫!
■子どもの幸せ■
子どもの幸せの形を決めつけないこと。
大人が信じていれば、子どもはその子らしく、その子の力を発揮して活き活き生きる。
・学歴など大人の考え・価値観を押し付けない
・親の夢を子どもに押し付けない
・英会話等、小さい頃から聞かせていないといけない・・など無い!!
■子どもはAKU■
A:あぶない
K:きたない
U:うるさい
子どもは危ない、きたない、うるさいものである。
大人はキレイにしよう・危なくない所を通らせよう・うるさくしないようにしようしてしまう。
けれど、小さい頃にきっちりAKUを発揮出来たら自然と発散できる人間になるので、世の中を楽しめる人間になれる。小さい頃から習い事漬けで勉強ばかりしていたら、世の中楽しくない。世の中が楽しいと信じる力が身に付かない。
子ども=AKUを保障してあげよう!
■幼少期のあそび■
とにかく遊びを保障すれば、良い子に育つ!
遊びから、国語・算数・理科・社会を自然と学ぶので教える必要はない。
1人遊びから2人遊び、3人と増えていくと葛藤が増えて、人との関わりを遊びの中で学んでいく。整えられていない環境の方が学ぶチャンスが転がっている。五感を使って遊ぶと、様々な能力が芽生え、命がキラキラする。
■友達は100人も要らない■
「お友達とうまくいっていますか?」と面談で聞く親が多いが、その親の必死さが「友達を作ってうまくやらなきゃ」というプレッシャーを子どもに与えてしまう。
ひとりでも大丈夫。自然と何かをきっかけに仲良くなるから無理やり友達を作らなくて大丈夫。
親は「あなたは大丈夫。あなたは大事な存在だよ」ととにかく言い続けることが大切。
ママも子どものために無理して親同士で付き合う必要は無い。
■思春期について■
子どもが反抗をして来たら・・
反抗できるまで安心な親子関係になれているということ。
反抗しても見捨てられないと子どもがわかっているから反抗する=「在る」が保障されている証。頑張って子育てしているなと自分を褒めて欲しい。
子どもが悩んでいたら・・
思春期は苦しいものだから、悩んでいる子には悩ませてあげて欲しい。
病的に悩んでしまっていたら「話を聞こうか?」と声をかけてあげたり、共感してあげる。ただし、本人に解決させることが大事。そして『大好き』も伝える。『生まれてきてくれてありがとう』『大丈夫』が伝わればいい。
■親の「在る」が保障されていない■
◎「お母さん」になったら「自分」がいなくなった
→「私」を大切にできている人の子どもは幸せ!
◎理想のお母さん像(いつも何かの評価にさらされる)
→正しい親なんてしなくていい、ちょっとくらいずっこけてていい「ダメ」を保障しよう。ダメなところを見せて「ま、いっか」力が大切!
◎自分のことを人や理想のお母さん像と比べて自己否定
→子どもを「比べない」ことと同じように、自分自身も周りと比べないこと!私は私以上でも以下でもない「大切な私」
子どもがその子らしくその子の力を発揮して生きる為に、私が私らしく私の力を発揮して生きることが大切
その為に『大丈夫』の種をまきましょう!
子どもにも、自分にも!
学級第12回の保育室だより(子ども達の名前はすべて仮名です)