
17年度 第11回親子学級[2017年11月16日(Thu)]
2017年度 第11回親子学級
『 子ども達を支えていくということー自己肯定感を考える 』
今回はスクールソーシャルワーカーの入海英里子さんにお越しいただきました。
■スクールソーシャルワーカーとは
・スクールカウンセラー=子どもの内面に焦点を置いて対応する仕事
・スクールソーシャルワーカー=子どもとその子を取り巻く環境を調整する仕事
不登校・自傷行為・学級崩壊やいじめの加害者・被害者など、問題を抱えている子ども
↓
「悲しい」「つらい」「苦しい」「痛い」「愛してほしい」「大切にしてほしい」「認めてほしい」「信じてほしい」という気持ちを表現する方法が非行。
子ども達は心にケガをしているので、スクールソーシャルワーカーは子どもを取り巻く環境を調整しながら、心のケガを手当てしている。
例えば子どもが誰かをいじめた時には
『 その子は何が苦しくてそういう行動をしちゃっているのだろう 』と考える。
家庭・学校・地域など、誰か1人でもその子を認めて愛してくれてくれている大人がいるかを確認し、いないようならそういう存在の人を作るように、子どもの環境を調整していく。
地域の人から子どもに愛を届けていける仕組みを作り、子どもの周りにハートが沢山繋がるように活動しているため、依頼があった子ども1人に対して、関係する人15人には会っている。
■「 在る 」 と 「 する 」
心の土台となる「在る」がきちんと幼児期に作られていることが大事。土台の「在る」をしっかり保障した上で「する」が乗っかってくる。
養育の基本は「在る」を保障すること。家庭は「在る」を保障するスペシャルな場所。
「する」を褒めるのではなく「在る」を保障する=社会に貢献していなくても「生まれてきてくれてありがとう」「大好きだよ」「あなたがとっても大事」と毎日伝えてあげるだけでいい。
■地域に住む私たちが子どもにできること
親に育ててもらえなかった二人の子が一緒に自分の身体を傷つけるということがあった。
他人の優しさに触れることなく育った子は、自分の身体を躊躇なく傷つけた。
一方、地域のおばちゃんなど他人の優しさに触れて育った子は、傷つけることをためらった。
今では二人とも大人になり同じ仕事をしているが、優しさに触れて育った子は部下を持つような立場になった。優しくされた経験・愛された経験が、他人を愛することのできる人間に育ててくれたのではないかと思う。
自分の子には厳しくしてしまうことでも、他の子には優しくできるもの。地域に住む人間として、周りの子ども達がたくさんの人達に認めてもらえる環境になるようにして欲しい。
■「良い子」をやらせない
家庭で子どもに「良い子」であることばかり求める
↓
自己効力感(出来たら褒められる→嬉しい)だけに偏る
↓
・大人の前では「良い子」を取り繕い、親と信頼関係が築けなくなる
・外で「悪い子」をしてしまう(親は気付かないので外で悪い子だと指摘されると「なぜうちの子が?!」と驚く)
家庭では・・・
・ご飯を食べて
・歯を磨いて
・お風呂に入って(たまにサボったってOK?!)
・よく寝る
・大好きだよと伝える
・・・それだけで充分!!
学校や周りからどのように思われようが、子どもが失敗しても親の評価は気にせず、子ども自身の自立への道を妨げないことが大事
■3つの「大」
「大」好き
「大」事
「大」丈夫
これをいっぱい子どもに伝えていれば大丈夫!
■迷惑をかける=学ぶ機会
子どもが周りに迷惑をかけないように親が先回りして動いていると、子どもの学ぶチャンスが失われる。近所のおうちの窓を割って怒られるなど、地域の人に注意をしてもらいながら子どもは人と繋がっていく。迷惑を掛け合い、子ども自ら「ありがとう」「ごめんなさい」を学ぶ機会を作ってあげよう。
■遊びの中で子どもは育つ
幼少期の遊びを保障すれば良い子に育つ。
五感を使った遊びから国語・算数・理化・社会を自然と学んでいく。1人遊びから2人遊び、3人遊びと増えていく中で葛藤が増えて、人との関わりも遊びの中で学んでいく。
何かを教える必要はなく、整えられていない環境の方が子どもの学ぶチャンスが転がっている。
■AKUを保障する
子どもはA「あぶない」K「きたない」U「うるさい」
プレイリーダー天野秀昭さんの言葉のとおり、子どもは危ない、汚い、うるさいもの。
子どもの頃に習い事漬けで勉強ばかりするのではなく、きちんと「AKU」を発揮することによって、世の中を楽しめる人間になれる。子ども=AKUを保障してあげよう。
■「在る」と「遊び」を保障する
教育熱心ではなく養育熱心になって欲しい
自分に対する信頼感がしっかりあると、人に対する信頼感がきちんと持てるようになる
■子どもに必要だと思うこと
「人」として肯定されること
温かい関わり
対等な関わり
信頼をされること
信頼を寄せること
愛されている(無条件で愛される)という実感
大切にされているという実感
人とつながっているという実感
■思春期について
反抗してくる=「反抗できるまで安心できる関係になれている」ということ
見捨てられることはないと子どもが分かっていて「在る」が保障されているということなので、ムカつく態度をされるくらいがちょうどいい。
思春期は苦しいものなので、悩んでいる子には悩ませてあげて欲しい。けれど、あまりにも悩んでしまっていたら「話を聞こうか?」と声をかけ共感してあげながら、本人に解決させることが大事。そして原点に戻って『生まれてきてくれてありがとう』『大好き』『大丈夫』を子どもに伝える。
■子どもが幸せに生きるために
子どもが幸せに生きるためには、その子どもの周りにいる大人自身が幸せであることが必要
・理想のお母さん像に翻弄されずに自分の「ダメ」を保障する=子どもの「ダメ」も保障する
・私は私を生きて行く
・私を大事にする
・私を後回しにしない
・「ま、いっか!」を身につける
・自分を他のママと比べない=子どものことも他人と比べない
■私が私らしく、私の力を発揮して生きるには
・我がまま(我儘ではなく、ありのままの自分)で生きる
・一つ一つ、満足して生きる→不満足だと子どもに色んなプレッシャーを与えてしまう
・自分の快・不快を置き去りにしない→お母さんも人間。快・不快に敏感に生きる
・自立していく→快・不快も含めて自立して生きる
・自分に正直に、無理はしない
■子どもからのメッセージ
川崎市子ども権利条約子ども委員〜おとなへのメッセージ(2001年3月)より
まず、おとなが幸せにいてください
おとなが幸せじゃないのに子どもだけ幸せにはなれません。おとなが幸せでないと、子どもに虐待とか体罰とかが起きます。
条例に“子どもは愛情と理解をもって育まれる”とありますが、まず、家庭や学校、地域の中で、おとなが幸せでいてほしいのです。
子どもはそういう中で、安心して生きることができます。
学級第11回の保育室だより(子ども達の名前はすべて仮名です)
『 子ども達を支えていくということー自己肯定感を考える 』
今回はスクールソーシャルワーカーの入海英里子さんにお越しいただきました。
■スクールソーシャルワーカーとは
・スクールカウンセラー=子どもの内面に焦点を置いて対応する仕事
・スクールソーシャルワーカー=子どもとその子を取り巻く環境を調整する仕事
不登校・自傷行為・学級崩壊やいじめの加害者・被害者など、問題を抱えている子ども
↓
「悲しい」「つらい」「苦しい」「痛い」「愛してほしい」「大切にしてほしい」「認めてほしい」「信じてほしい」という気持ちを表現する方法が非行。
子ども達は心にケガをしているので、スクールソーシャルワーカーは子どもを取り巻く環境を調整しながら、心のケガを手当てしている。
例えば子どもが誰かをいじめた時には
『 その子は何が苦しくてそういう行動をしちゃっているのだろう 』と考える。
家庭・学校・地域など、誰か1人でもその子を認めて愛してくれてくれている大人がいるかを確認し、いないようならそういう存在の人を作るように、子どもの環境を調整していく。
地域の人から子どもに愛を届けていける仕組みを作り、子どもの周りにハートが沢山繋がるように活動しているため、依頼があった子ども1人に対して、関係する人15人には会っている。
■「 在る 」 と 「 する 」
「 在る 」を認める | 「 する 」を認める |
↓ | ↓ |
生まれてきてくれてありがとう、 存在そのもの命そのものが大切、 と思われること | 自分から進んで挨拶「する」、 勉強が「できる」などの、 行動を褒めること |
↓ | ↓ |
自己肯定感 | 自己効力感、自己有用感 |
心の土台となる「在る」がきちんと幼児期に作られていることが大事。土台の「在る」をしっかり保障した上で「する」が乗っかってくる。
養育の基本は「在る」を保障すること。家庭は「在る」を保障するスペシャルな場所。
「する」を褒めるのではなく「在る」を保障する=社会に貢献していなくても「生まれてきてくれてありがとう」「大好きだよ」「あなたがとっても大事」と毎日伝えてあげるだけでいい。
■地域に住む私たちが子どもにできること
親に育ててもらえなかった二人の子が一緒に自分の身体を傷つけるということがあった。
他人の優しさに触れることなく育った子は、自分の身体を躊躇なく傷つけた。
一方、地域のおばちゃんなど他人の優しさに触れて育った子は、傷つけることをためらった。
今では二人とも大人になり同じ仕事をしているが、優しさに触れて育った子は部下を持つような立場になった。優しくされた経験・愛された経験が、他人を愛することのできる人間に育ててくれたのではないかと思う。
自分の子には厳しくしてしまうことでも、他の子には優しくできるもの。地域に住む人間として、周りの子ども達がたくさんの人達に認めてもらえる環境になるようにして欲しい。
■「良い子」をやらせない
家庭で子どもに「良い子」であることばかり求める
↓
自己効力感(出来たら褒められる→嬉しい)だけに偏る
↓
・大人の前では「良い子」を取り繕い、親と信頼関係が築けなくなる
・外で「悪い子」をしてしまう(親は気付かないので外で悪い子だと指摘されると「なぜうちの子が?!」と驚く)
家庭では・・・
・ご飯を食べて
・歯を磨いて
・お風呂に入って(たまにサボったってOK?!)
・よく寝る
・大好きだよと伝える
・・・それだけで充分!!
学校や周りからどのように思われようが、子どもが失敗しても親の評価は気にせず、子ども自身の自立への道を妨げないことが大事
■3つの「大」
「大」好き
「大」事
「大」丈夫
これをいっぱい子どもに伝えていれば大丈夫!
■迷惑をかける=学ぶ機会
子どもが周りに迷惑をかけないように親が先回りして動いていると、子どもの学ぶチャンスが失われる。近所のおうちの窓を割って怒られるなど、地域の人に注意をしてもらいながら子どもは人と繋がっていく。迷惑を掛け合い、子ども自ら「ありがとう」「ごめんなさい」を学ぶ機会を作ってあげよう。
■遊びの中で子どもは育つ
幼少期の遊びを保障すれば良い子に育つ。
五感を使った遊びから国語・算数・理化・社会を自然と学んでいく。1人遊びから2人遊び、3人遊びと増えていく中で葛藤が増えて、人との関わりも遊びの中で学んでいく。
何かを教える必要はなく、整えられていない環境の方が子どもの学ぶチャンスが転がっている。
■AKUを保障する
子どもはA「あぶない」K「きたない」U「うるさい」
プレイリーダー天野秀昭さんの言葉のとおり、子どもは危ない、汚い、うるさいもの。
子どもの頃に習い事漬けで勉強ばかりするのではなく、きちんと「AKU」を発揮することによって、世の中を楽しめる人間になれる。子ども=AKUを保障してあげよう。
■「在る」と「遊び」を保障する
子どもの「在る」と「遊び」を保障する =養育の土台がしっかりしている | ⇒ | 自己肯定感が根付く |
↓ | ↓ | |
養育の上に教育が乗っかってくる | ⇒ | 自己効力感が生まれる |
教育熱心ではなく養育熱心になって欲しい
自分に対する信頼感がしっかりあると、人に対する信頼感がきちんと持てるようになる
■子どもに必要だと思うこと
「人」として肯定されること
温かい関わり
対等な関わり
信頼をされること
信頼を寄せること
愛されている(無条件で愛される)という実感
大切にされているという実感
人とつながっているという実感
■思春期について
反抗してくる=「反抗できるまで安心できる関係になれている」ということ
見捨てられることはないと子どもが分かっていて「在る」が保障されているということなので、ムカつく態度をされるくらいがちょうどいい。
思春期は苦しいものなので、悩んでいる子には悩ませてあげて欲しい。けれど、あまりにも悩んでしまっていたら「話を聞こうか?」と声をかけ共感してあげながら、本人に解決させることが大事。そして原点に戻って『生まれてきてくれてありがとう』『大好き』『大丈夫』を子どもに伝える。
■子どもが幸せに生きるために
子どもが幸せに生きるためには、その子どもの周りにいる大人自身が幸せであることが必要
・理想のお母さん像に翻弄されずに自分の「ダメ」を保障する=子どもの「ダメ」も保障する
・私は私を生きて行く
・私を大事にする
・私を後回しにしない
・「ま、いっか!」を身につける
・自分を他のママと比べない=子どものことも他人と比べない
■私が私らしく、私の力を発揮して生きるには
・我がまま(我儘ではなく、ありのままの自分)で生きる
・一つ一つ、満足して生きる→不満足だと子どもに色んなプレッシャーを与えてしまう
・自分の快・不快を置き去りにしない→お母さんも人間。快・不快に敏感に生きる
・自立していく→快・不快も含めて自立して生きる
・自分に正直に、無理はしない
■子どもからのメッセージ
川崎市子ども権利条約子ども委員〜おとなへのメッセージ(2001年3月)より
まず、おとなが幸せにいてください
おとなが幸せじゃないのに子どもだけ幸せにはなれません。おとなが幸せでないと、子どもに虐待とか体罰とかが起きます。
条例に“子どもは愛情と理解をもって育まれる”とありますが、まず、家庭や学校、地域の中で、おとなが幸せでいてほしいのです。
子どもはそういう中で、安心して生きることができます。

キーワード:思春期