16年度 第5回親子学級[2016年10月06日(Thu)]
2016年度 第5回親子学級
『手がかかるのはうちの子だけ?』
先週に引き続き、帝京大学 教育学部で発達心理学や幼児教育を専門にされている杉本真理子教授にお越しいただきました。今回は三冊の絵本の読み聞かせとともに、お話を伺いました。
『 どんなかんじかなあ 』 中山千夏 著
大学に耳の聞こえない実習生がいた。保育士になるためには実習を3回受けなければならず、文字変換の機械を買ったが違う解釈に変換されてばかりで役に立たなかった。
音が聞こえないとはどういうことなのかを体験するワークショップを大学で行った。ヘッドフォンをつけて無音状態を体感したり、口の動きを読んだりしたが、周りが笑っているのに会話の内容がわからないというのは辛いものだった。
『 世界がもし100人の村だったら 』 池田香代子 著
前述の『どんなかんじかなあ』に通ずるところがある。
ハリウッドで有名な俳優も字が読めない。学習障害があっても、文章の行間をあけたり、色を使ったり、その人に合った工夫をすれば見やすくなる。少しの配慮で生きやすくなる。子どもを育てにくいと思っている人がいるかもしれないが、悩まず何カ所かまわって複数の専門家に相談してみると、その子が生きやすくなるために適した方法が見つかるかもしれない。
『 たっちゃんはぼくがきらいなの-たっちゃんはじへいしょう(自閉症) 』 さとうとしなお 著
自閉症の子がいた時に、いきなり叩いてきたら、子どもになんて説明すればいいか。叩いてきた子がどんな気持ちか考えてみる事が大事。
ある日、駅で突然「駅員さんを殴っていいですか?」と声をかけられたので、「殴りたいほど嫌な事があったんだね」とこたえた。すると「殴ったらお母さん悲しみますか?」と聞いてくるので「悲しむと思うよ」と答えると、「分かりました」と去っていった。
お話の後で「どんな感じかなぁ」を体感するワークを3つ行いました。
@全員で立ち上がり、なぞなぞの答えが分かった人から順番に座る
「りんごにあってぶどうににない。バナナにあってメロンにない。いちごにあってキウイにない。マンゴーにあってスイカにない。ライチにあって桃にない。きゅうりにあってトマトにない。ごぼうにあってほうれん草にない。しいたけにあってエリンギにないものは何か?」
↓
どんな感じかなぁ?
↓
周りの人がどんどん答えに気づいて座っていくと、ストレスを感じる。障碍のある子は、周りの人がなぜ笑っているのかわからないので、その気持ちを体感できる。
(なぞなぞの答えは・・・数字)
A4つのグループに分かれ、一人だけが軍手をはめて1分半で一番上手に折り紙で鶴を折るという競争。周りの人は「もう時間よ!」「もっと綺麗に折って!」「あと20秒よ!」と急かす。
↓
どんな感じかなぁ?
↓
できないのに急かされたり「周りの人は出来るのに」って言われるとどう思うか・・・できない時でも優しい言葉をかけられたり、応援されると嬉しいということが体感できる。
B半分に切った2リットルペットボトルの広い方から狭い方を覗いて周りを見てみる。
↓
どんな感じかなぁ?
↓
子どもの視野の狭さを体感できる。一つのことにしか注力できない子が学校に一日いたら、どんなに疲れるか。視野が狭いからキョロキョロするのは仕方ないが周りからは変な子と見られてしまう。
そして、講義終了後も先生にたくさんの質問が寄せられました。
Q:外で危ない所に行ったり動き回るのが不安であまり外出できない。周りの目が気になって、つい大きな声で叱ってしまうこともある。
A:守らせたいマナーを子どもに言うのは良いけれど「叱る」のではなく「伝える」ことが大切。叱り続けると子どもを押さえつけることになってしまう。
Q:集中すると無視しているのか、聞こえていないのか、声をかけても反応がなくなる。
A:音は響いてるけど自分がどうして良いか分かってない(感じられない)ことがある。その時は、目の前に行って声をかける。まさにペットボトルの広い口から狭い口を覗いた時の世界。集中出来る一点でしか子どもは見えてないし、聞こえていない。本当に伝える時は子どもの横や後ろからではなく、目の前で話すこと。
Q:他の子ども達が集団で遊んでいても自分の子どもは集団の中に入れない。
A:2歳くらいの子どもが集団行動を出来るわけがない。集団行動しているように見える子どもは、ただ集まってるだけで一緒に遊んでいない。集団行動が出来るのは4歳頃からが平均。
集団行動が出来ないことを不安に感じる時は、幼稚園選びは子ども一人一人を大切に見てくれる園を選ぶと良い。欠けていると思う所を補おうとして園を選ぶと、子どもは出来ないことを否定されてると感じて、自分がダメな子と思ってしまう。親が子どもに「出来ない、出来ない」と感じることは子どもに悪影響を与えてしまう。
Q:買い物カートを押したがる。急いでいて付き合えない時もあるので困る。
A:言っても分からないかもしれないけど「ママは早く買い物がしたいからここに乗ってね。」「今日はカートに乗って下さいね」と子どもにきちんと伝える。子どもが協力してくれたら『ありがとう!』は忘れずに言う。子どもに対して×じゃなく、〇を与える!!親の工夫で〇を付けてあげるようにして欲しい。
Q:怒り出すと自分の頭を叩いたり、壁にぶつける等の行動に出る。
A:言葉が出るようになると落ち着く場合がある。今は「何か嫌なことがあったんだね」と言葉にして言ってあげて欲しい。
学級第5回の保育室だより(子ども達の名前はすべて仮名です)
ブログ担当 忍子のつぶやき
元受講生からの希望で、自身の子育て体験から発達障碍について講義で取り上げて、正しい知識と理解をもって欲しいとの提案があり、毎年講義をお願いしている先生に何度も相談に乗っていただきながら今回の講義内容が決まりました。
先生も、受講生のお子さんの環境や背景によって受け取り方が違うから難しいテーマだとおっしゃられ、どのような内容にしたらよいか企画委員もたくさん悩みました。
結果、障碍のあるなしにかかわらず、子どもの立場に立って子どもの気持ちを考えることが大切だと体感できる、とても有意義な講義となりました
と同時に、まだ不器用な子どもに、なんて酷なことをいつも言ってしまっているんだ、と反省しました
『手がかかるのはうちの子だけ?』
先週に引き続き、帝京大学 教育学部で発達心理学や幼児教育を専門にされている杉本真理子教授にお越しいただきました。今回は三冊の絵本の読み聞かせとともに、お話を伺いました。
『 どんなかんじかなあ 』 中山千夏 著
大学に耳の聞こえない実習生がいた。保育士になるためには実習を3回受けなければならず、文字変換の機械を買ったが違う解釈に変換されてばかりで役に立たなかった。
音が聞こえないとはどういうことなのかを体験するワークショップを大学で行った。ヘッドフォンをつけて無音状態を体感したり、口の動きを読んだりしたが、周りが笑っているのに会話の内容がわからないというのは辛いものだった。
『 世界がもし100人の村だったら 』 池田香代子 著
前述の『どんなかんじかなあ』に通ずるところがある。
ハリウッドで有名な俳優も字が読めない。学習障害があっても、文章の行間をあけたり、色を使ったり、その人に合った工夫をすれば見やすくなる。少しの配慮で生きやすくなる。子どもを育てにくいと思っている人がいるかもしれないが、悩まず何カ所かまわって複数の専門家に相談してみると、その子が生きやすくなるために適した方法が見つかるかもしれない。
『 たっちゃんはぼくがきらいなの-たっちゃんはじへいしょう(自閉症) 』 さとうとしなお 著
自閉症の子がいた時に、いきなり叩いてきたら、子どもになんて説明すればいいか。叩いてきた子がどんな気持ちか考えてみる事が大事。
ある日、駅で突然「駅員さんを殴っていいですか?」と声をかけられたので、「殴りたいほど嫌な事があったんだね」とこたえた。すると「殴ったらお母さん悲しみますか?」と聞いてくるので「悲しむと思うよ」と答えると、「分かりました」と去っていった。
お話の後で「どんな感じかなぁ」を体感するワークを3つ行いました。
@全員で立ち上がり、なぞなぞの答えが分かった人から順番に座る
「りんごにあってぶどうににない。バナナにあってメロンにない。いちごにあってキウイにない。マンゴーにあってスイカにない。ライチにあって桃にない。きゅうりにあってトマトにない。ごぼうにあってほうれん草にない。しいたけにあってエリンギにないものは何か?」
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どんな感じかなぁ?
↓
周りの人がどんどん答えに気づいて座っていくと、ストレスを感じる。障碍のある子は、周りの人がなぜ笑っているのかわからないので、その気持ちを体感できる。
(なぞなぞの答えは・・・数字)
A4つのグループに分かれ、一人だけが軍手をはめて1分半で一番上手に折り紙で鶴を折るという競争。周りの人は「もう時間よ!」「もっと綺麗に折って!」「あと20秒よ!」と急かす。
↓
どんな感じかなぁ?
↓
できないのに急かされたり「周りの人は出来るのに」って言われるとどう思うか・・・できない時でも優しい言葉をかけられたり、応援されると嬉しいということが体感できる。
B半分に切った2リットルペットボトルの広い方から狭い方を覗いて周りを見てみる。
↓
どんな感じかなぁ?
↓
子どもの視野の狭さを体感できる。一つのことにしか注力できない子が学校に一日いたら、どんなに疲れるか。視野が狭いからキョロキョロするのは仕方ないが周りからは変な子と見られてしまう。
そして、講義終了後も先生にたくさんの質問が寄せられました。
Q:外で危ない所に行ったり動き回るのが不安であまり外出できない。周りの目が気になって、つい大きな声で叱ってしまうこともある。
A:守らせたいマナーを子どもに言うのは良いけれど「叱る」のではなく「伝える」ことが大切。叱り続けると子どもを押さえつけることになってしまう。
Q:集中すると無視しているのか、聞こえていないのか、声をかけても反応がなくなる。
A:音は響いてるけど自分がどうして良いか分かってない(感じられない)ことがある。その時は、目の前に行って声をかける。まさにペットボトルの広い口から狭い口を覗いた時の世界。集中出来る一点でしか子どもは見えてないし、聞こえていない。本当に伝える時は子どもの横や後ろからではなく、目の前で話すこと。
Q:他の子ども達が集団で遊んでいても自分の子どもは集団の中に入れない。
A:2歳くらいの子どもが集団行動を出来るわけがない。集団行動しているように見える子どもは、ただ集まってるだけで一緒に遊んでいない。集団行動が出来るのは4歳頃からが平均。
集団行動が出来ないことを不安に感じる時は、幼稚園選びは子ども一人一人を大切に見てくれる園を選ぶと良い。欠けていると思う所を補おうとして園を選ぶと、子どもは出来ないことを否定されてると感じて、自分がダメな子と思ってしまう。親が子どもに「出来ない、出来ない」と感じることは子どもに悪影響を与えてしまう。
Q:買い物カートを押したがる。急いでいて付き合えない時もあるので困る。
A:言っても分からないかもしれないけど「ママは早く買い物がしたいからここに乗ってね。」「今日はカートに乗って下さいね」と子どもにきちんと伝える。子どもが協力してくれたら『ありがとう!』は忘れずに言う。子どもに対して×じゃなく、〇を与える!!親の工夫で〇を付けてあげるようにして欲しい。
Q:怒り出すと自分の頭を叩いたり、壁にぶつける等の行動に出る。
A:言葉が出るようになると落ち着く場合がある。今は「何か嫌なことがあったんだね」と言葉にして言ってあげて欲しい。
学級第5回の保育室だより(子ども達の名前はすべて仮名です)
ブログ担当 忍子のつぶやき
元受講生からの希望で、自身の子育て体験から発達障碍について講義で取り上げて、正しい知識と理解をもって欲しいとの提案があり、毎年講義をお願いしている先生に何度も相談に乗っていただきながら今回の講義内容が決まりました。
先生も、受講生のお子さんの環境や背景によって受け取り方が違うから難しいテーマだとおっしゃられ、どのような内容にしたらよいか企画委員もたくさん悩みました。
結果、障碍のあるなしにかかわらず、子どもの立場に立って子どもの気持ちを考えることが大切だと体感できる、とても有意義な講義となりました
と同時に、まだ不器用な子どもに、なんて酷なことをいつも言ってしまっているんだ、と反省しました
キーワード:怒りすぎ