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一般財団法人 親学推進協会の公式メールマガジンに投稿した
「図書紹介」を画像付きで掲載します。

2020年11月15日

129号

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『社会正義のキャリア支援‐個人の支援から個を取り巻く社会に広がる支援へ‐』
著 者:下村英雄
発 行:図書文化社、2020年


 本書は、キャリア支援から社会正義の実現を扱っています。著者の下村は社会正義の実現には次の3つの実践が必要だといいます。1.存在を承認する深い意味でのカウンセリング、2.自己決定の手段を増やすエンパワメント、3.環境に働きかけるアドボカシー、です。

今回は、2.自己決定の手段を増やすエンパワメントを取り上げます。

1.エンパワメントとは何か
 エンパワメントという言葉は「力をつけること」を意味します。生き方や働き方を支援するキャリア支援の視点からすると、「自己決定する力」をつけること、特に社会的に不利な立場にある人や周辺的な立場の人に自己決定の手段により多くアクセスできる力が得られるように支援することです。

2.エンパワメントと自己責任
 一方で、エンパワメントは「自己責任」を過度に求めすぎているのではないか、という批判があります。たしかに、自分の人生を自己責任で切り開きたいという気持ちを支援することは、エンパワメントになります。しかし、他人に向かって自己責任で自分の人生を切り開けと要求することや、そうしない人をバッシングすることは、そうではありません。

 自己責任論を盾にしてバッシングするのではなくて、その人の外側にある環境に働きかけることが社会的正義の実現には求められています。自分の人生を切り開けるように支援するのと同時に、その頑張りが報われるように環境を少しでも整えていくことが求められるようになっているのです。
【図書紹介の最新記事】
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2020年10月15日

128号

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SNSカウンセリング・ケースブック 事例で学ぶ支援の方法
監 修:杉原保史
発 行:誠信書房、2020 

 いまSNS相談(ここではSocial Networking Serviceを使った心理相談を指します)は急速に社会に広がっています。子育て相談、いじめ相談、女性相談など、対面や電話で行われてきた相談の多くがSNSでも行われるようになっているのです。

SNS相談は、手軽にアクセスできるので、多くの人が利用しやすい相談サービスです。その一方で、大量に寄せられる相談に応えるための相談員育成は間に合っていません。

というのも、SNS相談には対面や電話相談とは違う独自の相談技術を必要とするからです。

1.独自の相談技術とは
SNS相談には次のような技術が必要です。

(1)はっきりと文字にして伝える
・積極的に関心を示して質問していく。
・表情や声など非言語的に表現される内容を言葉で伝える。

(2)応答に独自の工夫が必要
・必要に応じて、相づちを文字にして相談者をサポートする。

(3)幅広い年齢層、特に若年層に対応する
・幅広く、多様なニーズがあることを理解して尊重する。

このような技術を身につけたとしても次のような失敗をしがちなことがわかっています。

2.ありがちな失敗
 こうすれば心の問題が解消する、ということは難しいものですが、よかれと思って対応したことが思わぬ失敗につながることがあります。

(1)問題を引き受けない相談員
 SNS相談中に、その場で問題を引き受けずに他の相談場所に行くことを進めてしまうと、相談者はその相談員に信頼をもてなくなる。

(2)自分の話を始めてしまう
 相談の場で相談員の経験が有効に働くのは、相談者の話をしっかりと聞いて信頼関係が築けてからのこと。関係構築の段階で自分の経験を話しても相談者はついていけなくなる。

(3)導きすぎる
 相談者よりも相談員の言葉が多くなってきたら要注意。相談員主導でプロセスが進むのであれば、それはカウンセリングとはいえない。相談者が少し先を行き、相談員はそこに添うように付いて行くイメージでちょうどいい。

(4)相手に委ねる
 相談者の気持ちを受容的に返すだけでは、相談者の心の扉は開かれたまま放置されることになる。心の扉を開くように促すのであれば扉を閉じるまで責任を持って対応しなければならない。

おわりに
 このように対面ができず、電話口で相手の声さえも聞こえない状態で相談を受けるには、独自の工夫と訓練が求められます。

本書は、実際のケースが逐語録で掲載されています。いまSNS相談の現場で何が起こっているかを知りたい方はご一読ください。
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2020年09月15日

127号

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『SNSカウンセリング・ハンドブック』
編 著:杉原保史、宮田智基
発 行:誠信書房、2019

SNS相談力を親学アドバイザーの必須能力に

【ニュース】
 全国SNSカウンセリング協議会は2020年8月、SNS誹謗中傷等の心のケアLINE相談に14日間で164件の相談があったことを報告しました。

これは、SNS相談が机上の空論ではなく、実践レベルで地に足をつけて稼働をはじめたことを意味します。SNS対策は、私たちにとって切実な問題になってきています。

【背景】
 ご案内のとおり、インターネット上の誹謗中傷による人権侵害に関する事件は年々増加しています(平成22年度から令和元年度までに約4倍増)。

全国SNSカウンセリング協議会が2018年に自殺予防相談のLINEアカウントを設置したところ、登録者は一ヶ月で6万人を超え、心理相談に関心がある人たちのネットワークがLINE上に誕生しました。登録者の多くは、10代です。

【課題】
10代を中心とする万単位の人たちに対して、LINEを使って容易に情報発信ができる状況は心理支援の歴史上、初めての画期的なことです。

一方で、課題は山積しています。

まずSNSカウンセラーが圧倒的に足りません。これまでの訓練に加えて、SNS対策技法を習得する必要があります。SNSカウンセラー養成は急ピッチです。

【まとめ】
本書には、SNSカウンセラーが身につけておくべき内容がコンパクトにまとまっています。

いつ、わたしたちのLINEに10代相談者から「死にたい」と連絡が来るかわから
ない状況です。SNS相談に関心がある方は、この本で準備しておかれることを
お勧めします。必携の一冊です。

<本書より>SNSカウンセラーに求められる能力(概要)
1.SNSカウンセリングの社会的意義および役割の理解
2.SNSカウンセリングを行うための基本知識の理解
3.SNSカウンセリングを行うための基本スキル(特に重要)
 1)具体的な応答技術(対話をリードする質問、動機づけ)
 2)LINEの特性に対応した工夫(テンポ、文章量、タイムラグ、絵文字やスタンプ)
4.現代の社会的文化的問題とその他の関連領域に関する理解

「おわりに」より:いじめ被害に遭った人の数は、潜在的にはかなりの数に及ぶと思われます。それにもかかわらず、多くの人が助けを求める声をあげることができないでいるのです。長野県ではじまったLINE相談では、LINEだから相談できたという声も多数聞かれました。気軽に相談できるSNSだからこそ、届けてもらえる声があるのです。

参考:全国SNSカウンセリング協議会 :https://note.com/smca/n/nb7f47afd25f5#ve8Rr

アマゾン:https://amzn.to/2RpiJ9t
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2020年08月17日

126号

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『13歳からのアート思考』
著 者:末永 幸歩
発 行:ダイヤモンド社、2020年

<紹介者より>
 流動性の激しい「いま」を生きるのに大切なことは、流されないことだと思います。鍵は、「自分なり」の見方ができるかどうかです。

 この本には「アート」の名前が冠してありますが、芸術鑑賞の方法を提供しているわけではありません。一枚の絵を自分なりに見立てて、自分なりの答えを見つけるトレーニングです。

 科学(事実)とアート(創作)のかけ合わせがこれからの未来設計の基礎になるでしょう。この本がそのきっかけになることを期待しています。

<本書より>
 アート思考のプロセス
1.自分だけのものの見方で世界を見つめる。
2.自分なりの答えを生み出す。
3.そこから、新しい問いを生み出す。

 アート思考の構成要素(タンポポの喩え:花・種・根)
1.表現の花:絵画などの芸術作品のこと。目に見える。(作品)
2.興味の種:興味・好奇心・疑問が詰まっている。目に見えない。(動機)
3.探求の根:広く深く根をはり、地中では一つにつながっている。(プロセス)

 時間的にも空間的にも、「探求の根」が大部分を占めるのがアートです。作品として目に見えるところよりも、目に見えない部分を探求する過程にアートの本質があります。

 興味・好奇心・疑問から始まる探求の過程は、脈絡なく広く深くなっていき、あるタイミングで一つになります。このタイミングで表現の花が咲き、目に見える作品となって世に出るのです。

したがって、真のアーティストは、花を咲かせることよりも、あちこちに伸びる根に夢中になります。

その過程を楽しむことができるのは、他人が決めたゴールに向かって手を動かしているのではなくて、自分なりの答えを見つけて、そこから次の新しい問いを生み出しているからです。

本書の詳細はこちらから(amazon)
noteはじめました。
ブログもあります。
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2020年07月16日

125号

『うまくやるための強化の原理』
著 者:カレン・プライア
訳 者:河嶋 孝、杉山尚子
発 行:二瓶社、1998年

<紹介者より>
 ほめ方・叱り方の基本を行動分析学から紹介します。子育てだけではなく、職場での人間関係や親との関係、さらには介護にまで応用できます。今回は「やめてほしい行動をやめさせる」方法を取り上げます。
 
<本書より>
 自分にとって迷惑でやめてほしい行動は、どうすればやめさせることができるのでしょうか。方法は7つあります。そのうちの「消去法」と「他行動法」について、一例を挙げて説明します。

 私の母は病弱になって何年も前から老人ホームに入っていた。その母からの電話が私にとっては厄介の種だった。話題はたいてい痛いとか、寂しいとか、お金がないということで、私にはどうすることもできない問題ばかりだった。

愚痴を言っているうちに、母は決まって泣き出し、そのうち涙は私への非難に変わった。非難されると私は腹が立ってくるし、不愉快になるので、母との電話は避けるようになった。

 あるとき、母からの電話を避けるだけではなく、もっとよい方法があるのではないかと思って、「消去法」を使ってみることにした。

母の愚痴と涙が始まったら「ああ」とか「へぇ」と相づちをうって、意図的に「消去」しようとしてみたのだ。電話を切るわけでも、反論するわけでもなく、同じ相づちを繰り返すだけにした。

そして、不平以外のすべての話題、例えば老人ホーム内の出来事や天候、友人の話題などにはすべて熱心に応答した。(他行動法)

 すると、自分でも驚いたことに二十年来の悩みがたった2ヶ月ほどで解決したのである。毎週の電話口での愚痴と涙が楽しいおしゃべりと笑いに変わった。母は若い頃のような魅力的でウィットに富んだ女性に戻ったのである。以後、母が亡くなるまで会話を楽しむことができた。

 これは、やって欲しくない行動以外のすべてを強化した例である。

https://amzn.to/3iAk8pk
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2020年06月15日

124号

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『ライフデザイン・カウンセリングの入門から実践へ−社会構成主義時代のキャリア・カウンセリング』
監 修:日本キャリア開発研究センター
編 者:水野修次郎、平木典子、小澤康司、国重浩一
発 行:遠見書房、2020年

<紹介者より>
 今般の新型コロナ対策で進んだ働き方の変化は、私たちの生活を変化させつつあります。さらに、2019年4月から段階的に施行されている「働き方改革法案」と相まって、雇用状況はますます流動化していくことが予想されます。

 環境の変化は、私たちの生きる意味や価値観などアイデンティティにも影響を与えます。こうしたなかで対人援助の領域では、企業や組織に安定を求めるのではなく、ひとり一人のアイデンティティに安定を築くことに焦点を当てた支援が注目されています。

 本書は、このアプローチを5年にわたって日本で展開してきた取組の記録といえます。アイデンティティ変化に対応するキャリア支援の最前線を紹介することで、コロナ禍による社会の変化に対応する親学の支援と援助のあり方を考えるきっかけになることを期待しています。

<本書より>
 おすすめポイントの1つ目は、キャリア・カウンセリングの歴史の流れ、日米の職業観の違いを概観できることです。これまで日本のキャリア・カウンセリングは、個人の職業特性(勤勉、発想が豊かなど)と職業特性(経理や営業など)を適合(マッチング)させることを重視し、「傾聴」の技法を使って展開してきました。しかし、これでは流動化する雇用市場に影響を受けるクライエントに対応しきれなくなっているのです。

2つ目は、執筆者陣による対談です。社会構成主義の必要性から始まり、初学者がこのアプローチを習得する上での課題と注意点が扱われます。「人の人生に関わるって一体どういうことなんだろうか」と、「たえず考え続けなくちゃならない」。このアプローチは、「誰でも取り組めることだけど、求められていることはとても大きい」という意識を持ち続けてほしいというメッセージが印象に残りました。

3つ目は、ライフデザイン・カウンセリングの実例を読めることです。ベテランカウンセラーとクライエントとのやり取りが掲載されています。これは貴重な資料です。クライエントとの会話のなかで援助者は何を考え、どう対応しているかをみることができます。さらに、面談後のクライエントの感想がついていますので、このアプローチを体験するとその人に何が起きるのかがわかります。

 このように、キャリア・カウンセリングの歴史、このアプローチに臨む基本的な態度、具体例が掲載されたことによって、このアプローチの日本における展開が単なる理論紹介に止まることなく、地に足をつけて動き出していることがわかります。
 
 読みどころ満載でおなかがいっぱいになりますが、本書を読んで一緒にこの流れに乗りませんか。お薦めできる一冊です。
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2020年05月15日

123号

『SNSカウンセリング入門 LINEによるいじめ・自殺予防相談の実際』
著 者:杉原保史、宮田智基
発 行:北大路書房、2018年

紹介者から:
 人との接触を出来るだけ減らして生活していると、日ごろの周囲の人たちとの他愛ない会話がいかに大切だったかを実感します。

困ったときや、苦しいとき、淋しいときの迷いや不安は、人の時間を拘束する電話やメールよりも敷居が低いSNSでの文字やスタンプのやり取りで表現されることが多くなりました。

 この敷居の低さは、利用しやすいメリットがある一方で、冷やかしや相談が深まらないことなどのデメリットも報告されています。
 
 人との接触が制限されている今だからこそ、SNSを活用した相談の基本的な考え方と技法を身につけておきましょう。

 本書より(一部、加筆しました)
1.LINE相談のメリット
・アクセスが簡単で相談しやすい。
・匿名性が高く、自己開示しやすい。
・文字で残るので、読み返して考えることができる。
・支援者から、積極的に情報を発信できる。
 
2.LINE相談のデメリット
・アクセスが簡単なので、動機付けが低い相談者が多くなりやすい。
・匿名性が高いので、作り話や冷やかしがされやすい。
・文字は残るが、非言語の情報が得られない。
・言語能力が低いと相談が深まりにくい。

3.LINE相談にくる人の特徴
 LINEは、敷居が低いので相談しやすいのですが、変化に向けた動機付けが十分に固まっていない状態で相談にくる人が多い傾向があります。

 電話やメール、対面での相談に比べると、LINE相談に来る人には、自分の行動を変えようとする意志を全くもっていない人や、自分の問題に気づいていない人の比率が高いことが推察されます。

4.LINE相談を受ける心構え
 では、このような相談者に対して、どのように接すればよいのでしょうか。

まず、変化の意志がなく、自分の問題に気づいていない時期の相談者に対して、具体的なアドバイスを前面に押し出すのは不適切です。そのように対応すると、相談から離脱してしまいますから、むしろ悩みをよく聴くことを中心に据えます。

また、この時期の相談者は、はっきりとは認めたがらないものの、潜在的には失敗感や無力感を感じていることが多く、自尊心が傷ついていることがあります。

したがって、傷の手当てを優先します。まず、相談に来ることが解決にむけた最初の取組であることを伝え、それを始めたことを承認します。

 次に、この時期の相談者は、自分に起こった変化の否定面を過大評価して、肯定面を過小評価していることが普通です。さりげなく建設的な別の見方をほのめかして変化への期待を引き出し、高めることも有用です。

とにかく、一回のLINE相談でなんらかの具体的な結果を出そうと焦らないこと。そして、相談員が相談者に対して、変化に向けた過大な期待を抱かないことが大切です。
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2020年04月13日

122号

資料紹介:新型コロナウイルス(COVID-19)に関する情報
 緊急事態につき、紹介者が所属する科学者コミュニティからの情報をお伝えします。ご活用ください。(2020/04/13現在)

(1)新型コロナウイルスを知るための資料
 1)動画:新型コロナウイルス感染症対策講座「感染症の時代を生きる」(YouTube)
*紹介者コメント:科学者コミュニティでわかりやすいと評判の動画です。まずは、こちらからご覧ください。

 2)「新しい感染症との向き合い方 わかんないよね 新型コロナ」日本科学未来館
*紹介者コメント:図解でわかりやすい資料です。
・ポスター掲示ができるようにイラスト入りで分かりやすく図解されています。
・日本科学未来館のHPでは、信頼できる情報を対象別に掲載しています。

 3)「新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう!」(日本赤十字社)
*紹介者コメント:「病気・差別・不安」に絞って図解でメッセージを発信しています。

 4)「COVID-19への対策の概念」(新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する厚生労働省対策推進本部クラスター対策班 東北大学大学院医学系研究科・押谷仁)
*紹介者コメント:科学者コミュニティで評価されている資料です。ほぼ全てが図解されていて視覚的に分かりやすいです。特にSARSとの違いがよく分かります。

 5)多言語版(6言語)の感染予防ハンドブック(東北医科薬科大学病院)
*紹介者コメント:英語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語・ベトナム語・モンゴル語に対応しています。YouTubeでみることもできます。

(2)新型コロナウイルスについて子どもと話すための資料
1)「お子さんとコロナウイルスについて話しましょう」(日本心理学会)
*紹介者コメント:イギリス心理学会(c) 2020 British Psychological Society BRE26a / 16.03.2020 の翻訳です。
2)「新型コロナウイルス(COVID-19)について子どもに話す」(日本学校心理士会)
短縮版http://www.gakkoushinrishi.jp/syorui/files/corona_2.pdf
*紹介者コメント:日本学校心理士会では、アメリカ学校心理士会の資料を翻訳しています。

 (3)新型コロナウイルスの影響で在宅勤務する人への資料
新たにテレワーク(在宅勤務)をする人へ,心理学者からのアドバイス」(日本心理学会)
*紹介者コメント:在宅勤務でも上司と部下の双方がより効果的に仕事できるように、産業・組織心理学者からのアドバイスが掲載されています。Greenbaum, Z. (2020). Psychologists’ advice for newly remote workers. の翻訳です。

 (4)新型コロナウイルスで広がる偏見や差別を止めるための資料
新型コロナウイルス(COVID-19)に関わる偏見や差別に立ち向かう」(日本心理学会)
*紹介者コメント:American Psychological Association (n.d.). Combating bias and stigma related to COVID-19. の翻訳です。

 (5)それでもストレスがたまったときの資料・アプリ・コミュニティ
1)東京大学下山研究室のWEBサービス・アプリ

2)アプリ「My感謝日記」(google)

3)コミュニティ:「不安を語れるオープンスペース」(ナラティヴ実践協働研究センター)
*紹介者コメント:1)2)はWEBを使って個人で使用するものです。3)は新型コロナウイルス感染拡大で不安を募らせている人のためのオンラインコミュニティです。

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2020年03月16日

121号

『家族主体ソーシャルワーク論−家族レジリエンス概念を手がかりに』
著 者:得津 愼子
発 行:ナカニシヤ出版、2018年

紹介者から:専門的実践家向けの一冊です。
 本書は、専門書ですので、すべてのメルマガ読者にお薦めすることはできません。しかしながら、家族を支援することについてソーシャルワークの視点から学びたい方は、ぜひご一読ください。

 この本を読むと、家族のニーズを把握することから支援をはじめることで、支援施策が一方通行にならないことを理解することができます。

具体的には、次のことが学べます。
一、複雑な家族を複雑なまま理解し、支援するための理論と方法を学ぶことができます。
二、家族の回復力が発揮されるプロセスを当事者本人の言葉で読むことができます。
三、最新の学問パラダイムの潮流を概観することができます。(ホーリズム、システム論、コミュニケーション理論、家族療法、ポストモダン、社会構成主義、ナラティブアプローチ、質的研究、M-GTA、複数経路・等至性アプローチ:TEA)

高橋会長のホリスティックな視点が家族支援でどのように展開しているかを知りたい方にお勧めいたします。注意深く慎重に家族に接近している様子がわかります。

 本書より:
「家族」主体のソーシャルワークでは、家族を「生きているシステム(living system)」と多元的に捉えて、そのシステムが円滑に機能しうるように支援します。

このようにシステム論からみることで、「困難な家族が多いから関わることができない」。この家族は「問題」だと諦めずに、可能性の器とみることができるようになります。

 現代において、家族を語ることは時代遅れの感がありますが、それでもなお多くの人びとにとっては意味があり、ある種の宿命的な存在でも在り続けています。

確かに、現代社会制度における基本単位は「個人」ではありますが、その個人を支えるのが家族なのですから、家族を支えるための施策は必要だといえます。

また、家族は社会的のみならず心理的にも基本単位として機能しているため、多くの人びとが家族のような心理・文化・社会的集団への帰属(安心)を求めていることも事実です。

そうした家族を支援するにあたって「家族」をどのようにとらえるかについて、多くの立場があります。しかしながら、どの立場にあっても実際の家族問題の支援に際しては「日々の現実としての家族生活(Richmond,1917)」には関心を払わざるをえません。

ここに家族のニーズを調査してからサポートすることの必要性が生まれてきます。そうでないと一方通行の家族強化の政策であれば、家族支援は一人歩きしてしまうでしょう。

そこで本書では、支援対象の「家族」のレジリエンス(回復力)に焦点を当てて、日本のファミリーソーシャルワークの今後の展開について考究しました。
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2020年02月15日

120号

『教師のための子どものもめごと解決テクニック』
著 者:益子洋人
発 行:金子書房、2018年

紹介者から:
 親・教師の立場から、子どものもめごとを解決に導くスキルを学びたい方にピッタリの本があります。

 そもそも、もめごとの解決にはタイプがあって、自分の欲求を満たそうとすると「支配」的になり、他人の欲求を満たそうとすると「服従」的になる、という考え方があります。本書では、自他共に欲求を満たす方法を探す立場をとっていて、「統合」と位置づけています。

この「統合」的な解決を目指して親や教師は、@当事者が互いの言い分を聞き合う。A当事者が聞き合うなかで互いに「理解された」、「尊重された」と感じることができるようにする。B当事者同士で統合的な解決策を考える、というプロセス全体を管理していきます。

このプロセスを本書では事例を交えながら解説しているのですが、特に注目したいのは、もめごとの解決には二種類のスキルがあることです。

一つは、仲介者(親や教師)が間に入って当事者(子ども)のもめごとを解決するためのスキルで、どのようにしてもめごとを解決に導くかを扱います。

もう一つは、当事者(子ども)が解決スキルを身につけて、自分達で解決できるようにするためのスキルです。

このように、仲介者と当事者の両方のスキルを網羅しているところに、本書の特徴があって、最初のうちは大人が仲介するけれども、次第に子ども達同士で解決できるように導こうとしているところが、お薦めする理由です。

その他にも、「子どものもめごとを巡るQ & A こんなとき、どうする?」では、「もめごと解決テクニックの欠点は何ですか」とあり、「時間とエネルギーが掛かること」と答えています。

支配と服従や、妥協、先延ばしにする、などの解決方法を選ぶよりも、「統合」を目指す関わりでは対話が必要になるために時間とエネルギーがかかります。

その意味で、「いつでもベストな解決方法ではない」ので、緊急性が高いときや当事者が急いでいる時には向きません。しかしながら、じっくりともめごとに向き合いたいときや、火種を消したいときには、有効な方法です。
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