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2021年02月15日

132号

論文紹介:「母親による子どもの父親イメージの構成に関する研究―家庭内の直接的コミュニケーションとの比較から―」
著者:萩臺美紀・若島弘文
収録:家族心理学研究 34(1), 40-54, 2020

紹介者から:
 
 父親からの子どもに対する関わりは、子どもの社会性や適応に対して重要な役割を果たすことがこれまでの研究からわかっています。

 しかしながら、平日に子どもとふれあう時間が2時間以上ある母親(67.6%)に比べると、父親は24.5%で、父と子のコミュニケーション時間が少ないことが報告されています(文部科学省,2017)

 そうなると、子どもと過ごす時間が比較的長い母親から伝えられる父親像が、子どもが抱く父親イメージに影響を及ぼすことになるわけですが、具体的にどのような伝え方が子どもの父親イメージに影響を与えるのかは、よく分かっていませんでした。

 この研究では、母親の言動がどのように子どもの父親イメージに影響を与えているのかを明らかにしています。

対象:大学生301名(男性150名、女性151名)、平均年齢19.49歳(SD=1.126)

結果1:まず、父親との「直接的なコミュニケーション」が、子どもの好意的な父親イメージに影響していることがわかりました。特に、父子の間で日常生活の出来事や友人関係のことを直接話すことが最も影響力を持っていました。したがって、家庭内において父親不在感を予防するには、普段から父親と子どもが直接、会話することが重要だといえます。

結果2:次いで、母親から伝えられる「父親の親和的情報」が影響を与えていました。「父親の親和的情報」とは、「母親は父親の能力や成果について褒める」「母親は父親の仕事が大変そうで、心配だと話す」「母親は父親の人間性について褒める」などでした。

このように、母親が父親のことを褒め、父親の気持ちを子どもに伝えることは、母親の「取り持ち」機能と呼ばれ、それによって青年が認識する両親の仲の良さを媒介して、父親に対する尊敬や親和性を促進することが確認されました。

このように、母親が父親に対する肯定的な情報を伝えると、子どもの好意的な父親イメージに影響があることが示されました。

結果3:一方で、母親が父親の情報を「呆れたような冷淡な口調」で伝えると、子どもの父親イメージのうち、能力的な部分が低下することがわかりました。「呆れたような冷淡な口調」とは「何もしてくれない」「子どもに何も言ってくれない」などでした。

 このように、母親が父親の情報を「呆れたような冷淡」な口調で伝えると、子どもの父親に対する能力的な父親イメージが低下することが示されました。

まとめ:この論文から次のことを読み取ることが出来ます。
1.好意的な父親イメージを育てるには、父と子が日常的に会話をする機会を持つこと。
2.母親が父親の能力や成果を褒めて伝えること。
3.能力的な父親イメージを育てるには、父親の能力的な面が分かるような機会に触れられるようにすること。
4.まとめ:母親から父親の家庭外の様子を聞くことに加えて、母親とコミュニケーションをとることで、家庭を気にかけている父親の姿を子どもが認識して能力のある父親イメージが子どもに形成される。

 参考:文部科学省(2017)「家庭教育の総合的推進に関する調査研究」
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posted by oyagaku at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 図書紹介
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