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2020年06月15日

124号

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『ライフデザイン・カウンセリングの入門から実践へ−社会構成主義時代のキャリア・カウンセリング』
監 修:日本キャリア開発研究センター
編 者:水野修次郎、平木典子、小澤康司、国重浩一
発 行:遠見書房、2020年

<紹介者より>
 今般の新型コロナ対策で進んだ働き方の変化は、私たちの生活を変化させつつあります。さらに、2019年4月から段階的に施行されている「働き方改革法案」と相まって、雇用状況はますます流動化していくことが予想されます。

 環境の変化は、私たちの生きる意味や価値観などアイデンティティにも影響を与えます。こうしたなかで対人援助の領域では、企業や組織に安定を求めるのではなく、ひとり一人のアイデンティティに安定を築くことに焦点を当てた支援が注目されています。

 本書は、このアプローチを5年にわたって日本で展開してきた取組の記録といえます。アイデンティティ変化に対応するキャリア支援の最前線を紹介することで、コロナ禍による社会の変化に対応する親学の支援と援助のあり方を考えるきっかけになることを期待しています。

<本書より>
 おすすめポイントの1つ目は、キャリア・カウンセリングの歴史の流れ、日米の職業観の違いを概観できることです。これまで日本のキャリア・カウンセリングは、個人の職業特性(勤勉、発想が豊かなど)と職業特性(経理や営業など)を適合(マッチング)させることを重視し、「傾聴」の技法を使って展開してきました。しかし、これでは流動化する雇用市場に影響を受けるクライエントに対応しきれなくなっているのです。

2つ目は、執筆者陣による対談です。社会構成主義の必要性から始まり、初学者がこのアプローチを習得する上での課題と注意点が扱われます。「人の人生に関わるって一体どういうことなんだろうか」と、「たえず考え続けなくちゃならない」。このアプローチは、「誰でも取り組めることだけど、求められていることはとても大きい」という意識を持ち続けてほしいというメッセージが印象に残りました。

3つ目は、ライフデザイン・カウンセリングの実例を読めることです。ベテランカウンセラーとクライエントとのやり取りが掲載されています。これは貴重な資料です。クライエントとの会話のなかで援助者は何を考え、どう対応しているかをみることができます。さらに、面談後のクライエントの感想がついていますので、このアプローチを体験するとその人に何が起きるのかがわかります。

 このように、キャリア・カウンセリングの歴史、このアプローチに臨む基本的な態度、具体例が掲載されたことによって、このアプローチの日本における展開が単なる理論紹介に止まることなく、地に足をつけて動き出していることがわかります。
 
 読みどころ満載でおなかがいっぱいになりますが、本書を読んで一緒にこの流れに乗りませんか。お薦めできる一冊です。
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posted by oyagaku at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 図書紹介
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