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2019年08月20日

114号

『ユマニチュードと看護』
編 集:本田美和子、伊東美緒
発 行:医学書院、2019年

紹介者から:ケアと親学−やさしい気持ちを感じてもらえるように届ける方法−

 近い将来、日本には400万人を超える認知症の患者さんが病院に押し寄せるといわれています。ユマニチュードは、認知症の患者さんたちをケアする技法として開発されました。現在では認知症ケアの領域に留まらず、医療看護の幅広い領域で取り入れられています。

ユマニチュードは、「ケアに求められる理想を現実に変える技術」として注目されていますが、内容は至ってシンプル。「見る」「話す」「触れる」「立つ」の要素を同時に複数組み合わせるコミュニケーションの技法です。触れるという身体性に特徴があります。

この技法は、生後3ヶ月くらいの子どもに親がすることを観察し、研究するところから生まれました。「見つめ」、「話しかけ」、「撫でて(触れて)」関わるうちに、子どもは二本足で「立つ」ことができるようになります。人間関係の基礎的な関わりといえるでしょう。

 この本には、「自由・平等・博愛」の哲学をケアの場面で実践するためにユマニチュードを開発したイヴ氏と日本の医療機関で実践している専門家たちの座談会、日本での実践録、有効性を明らかにする研究・エビデンスが掲載されています。
 
認知症や看護の専門的な領域から出てきたものではありますが、一つ一つの技法は非常にシンプルで具体的ですぐに実践できるものばかりです。
 
本書から:
 ユマニチュードの特徴には、「ケアをする人とは何者なんだろうか」と問うことから始めること、誰でも学べて、再現性のある技術として体系化されていることがあります。

 ユマニチュードには思想哲学があります。それは「あなたは人間ですよ」とケアする人が相手に伝え続けること。言い換えると、絆(人間関係)を中核に置いた思想哲学だということです。その点で、患者さん自身を中心に置くケアとは発想が異なっています。

例えば、やさしさを伝える「見る」技術は4つあります。
一、垂直ではなく水平に。
二、斜めではなく正面から。
三、一瞬ではなくある程度の時間をかけて視野に入る。
四、遠くからではなく近くから。
 
 このような技法を実践するなかで、ケアする人が念頭に置いているのは、よいことを「してさしあげる」というよりも、害になることを「しない」という意識です。そこからケア内容を選択する余地が生まれて、結果としてよいことをすることになるのです。
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posted by oyagaku at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 図書紹介
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