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2018年09月18日

104号

『キャリアを超えて ワーキング心理学 -働くことへの心理学的アプローチ-』
 編 者:D.L. ブルスティン
 監訳者:渡辺三枝子
 発 行:白桃書房、2018年

紹介者から
 「仕事か家庭か」から「仕事と家庭」。そして、「働き方の二項モデル」へ。
 (From Work and Family to a Dual Model of Working.)

 仕事と家庭のバランス(ワーク・ライフバランス)は、親学の必要性のなかで取り上げられてきた話題です。「仕事か家庭か」の対立を超えて両者のバランスを目指す内容です。本書は、その先の視点を提供します。

 どこが新しいのかというと、「仕事と家庭」の枠組みを「マーケットワーク」と「ケアワーク」に置き換えているところです。 言葉の意味を詳しくみると、内容は次のようになっています。
 まず、「マーケットワーク」は報酬を得るためにする仕事と、教育機関での準備(学習)。

 次に、「ケアワーク」は他者への貢献を伴う社会的活動をさしています。ここでの「ケアワーク」は、主に「無償」のワークをさしていて、私生活のなかでケアするために無償で行っていることをいいます。報酬を伴うものは、マーケットワークに入るわけです。

そう考えると、親学のほとんどの活動は「無償」のケアワークに当たることがわかります(無償といっても、厳密には金銭以外の報酬はあると思いますが)。人々が生活するコミュニティの維持や環境などの再生産に関わるものとして、経済的生産とともに、健全で持続可能な社会には欠かせないものとなっているのです。

このようにケアワークは「経済生産性とは根本的に異なる目的をもった仕事である(p193)」として、人間の発達と人間社会には不可欠な位置を占めるようになりました。

 あらゆる人がケアの提供者であり、受け手と考えられるようになると、ケアワークはすべての人々に関わる問題になります。こうした背景から、各個人にはマーケットワークとケアワークの間で折り合いをつける能力を身につけて、適応する戦略を見出すことが求められるようになっています。

しかしながら、マーケットワークとケアワークの間で、一貫性を持たせながら環境に適応する戦略を作りあげていくのは、個人ひとりの力では難しいものです。今、親学に求められているのは、こうしたニーズに応答していくことではないでしょうか。
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posted by oyagaku at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 図書紹介
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