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2018年05月15日

100号


『モチベーション改革 稼ぐために働きたくない世代の解体書』

 著 者:尾原和啓

 発 行:幻冬舎、2017年

紹介者から
 子供のやる気スイッチをテーマにした親学講座で、幼稚園児の母親から「私のやる気スイッチを探して欲しい」との声があがりました。

 このような反応は、親学あるあるですが、最近は少し増えてきたような気もします。子育てに限らず、親世代のモチベーションに変化が起きているのでしょうか。

 本書は、モチベーションに焦点を当てて、30代前後(親世代)とその親世代(祖父母世代)の特徴を比較しています。「やる気」変化の背景を覗いてみましょう。

本書から
 時代の変化、右肩上がりの終焉
仕事を頑張った分だけ結果が出て、社会全体が成長していく時代は終わった。その理由には、人口減少による経済成長が見込めないことと、IT革命とグローバル化による変化スピードの加速がある。

社会経済の基軸は「決められたことをひたすらやる」時代から「消費者の潜在的な欲求を発見し提案する」方向に変化している。

「決められたことをひたすらやる」ことに価値を置いていた世代(祖父母世代)にとっては、何かを「達成」することはモチベーションに欠かせないものであった。何のために、何をやるかは社会や世間、会社が決めてくれたので、達成するものの大きさが大事であった。安定した経済、家計のために、具体的な目標はなくても全力で物理的な達成を追い求めることに幸福があった。

 一方で、その世代の子供たち(30代前後の子育て中の親世代)は、物心ついたときから、物質的に恵まれて育っているので、物質的な「達成」(マイホーム、高級車、海外旅行など)はモチベーションに直結しにくい。欲望に乾くことができない世代といえる。

 この「乾けない」世代(30代前後)は、やることの意味や、人間関係、没頭して取り組めることに価値を置く。世界や国や会社のような大きな目標のために自分を犠牲にして働く自分の親世代を見てきていることもあって、そこには価値を置かずに、「自分にとってやる意味を見いだせるものを、好きな仲間たちと一緒に、没頭して取り組む」ことに幸せを感じる。趣味のボランティアであれば延長を引き受けるが、サービス残業は一切しないように、自分の時間は犠牲にしたくない。

 このように「好きなことに夢中になれるか」、「好きな人と笑顔でいれるか」、「この作業をやる意味を見いだせるか」が見つからないと、とたんにやる気が起きなくなる。

 この世代が輝くためには、心理的な安全性を保障する必要がある。「人として見てくれているか」が、心理的安全性には欠かせない。人として認め合うことで自分の色を全部出し合って彩りある未来の絵を描いていくことができるようになる。
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posted by oyagaku at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 図書紹介
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