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宿毛湾漁業者と黒潮についてミニ勉強会 [2017年03月06日(Mon)]
2017年2月24日(金)
高知県の西南に位置する宿毛湾。宿毛湾に面している宿毛市と大月町が海洋政策研究所と協働で、美しく健全な沿岸域の環境保全と活性化に向け、沿岸域総合管理の実践モデルサイト活動を開始していますが、その一環として、国立研究開発法人の海洋研究開発機構(JAMSTEC)の科学者と地元の宿毛湾漁協の漁業者が共に開発した宿毛湾と豊後水道の海の天気予報、海況予測システムについて、研究経過の発表会を行いました。
海洋政策研究所からは、大塚万紗子特別研究員、上里里奈研究員、藤重香弥子研究員が、JAMSTECからは、ヴァーラモフ・セルゲイ主任研究員、美山透主任研究員、そして宿毛市出身の森岡優志研究員が参加しました。
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冒頭、海洋政策研究所が制作した沿岸域総合管理についてのDVDを視聴、その後、海洋政策研究所の大塚特別研究員より、「宿毛湾における海をいかしたまちづくり(宿毛湾沿岸域総合管理)の進捗状況」について話しました。引き続き、JAMSTECの森岡研究員、美山主任研究員、から、宿毛湾漁協の漁業者の協力のもと、データの収集を行ったこと、黒潮の予測について毎週発表を行っていること、最近、新しく豊後水道モデルを開始したこと、また、今年からは漁業者にとってより役に立つ情報とするために宿毛湾予測モデルの精度を分解能3kmから200mにしたこと、養殖に役立つよう塩分濃度の予測や海面の高さの計算も提供していることなどが発表されました。
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その後、宿毛湾で漁業に従事されている出席者の方々と質疑応答と意見交換が行われ、ノット表記の方がわかりやすい、漁業者にとって潮流と水温は重要なので、ホームページでも選択もしくは両方を掲載してくれると有難い、データ収集については協力してもよい、という声が上がりました。JAMSTECとしては、漁業者のみなさんの役に立ちたいので、どんどんリクエストしてほしい、とのことでした。「宿毛湾の海を活かしたまちづくりレポートhttp://www.jamstec.go.jp/aplinfo/kowatch/?p=4548」に詳細が掲載されています。また、黒潮ウォッチについては、http://www.jamstec.go.jp/aplinfo/kowatch/をご覧ください。3月30日から6月1日までの予測がとてもわかりやすく掲載されています。
宿毛市・大月町訪問 [2016年10月17日(Mon)]
2016年10月5日(水)
2016年沿岸域総合管理ネットワーク会議での前向きな議論の熱気が残る中、チュア・ティア・エン博士、海洋政策研究所寺島紘士所長、大塚万紗子特別研究員、上里里奈研究員は高知龍馬空港へ向けて出発。翌朝の宿毛市・大月町訪問への移動に便利な土佐山田駅近くのホテルで身体を休めました。

翌朝は、8時すぎの特急とローカル鉄道を乗り継ぎ、土佐山田駅から約2時間半で宿毛駅に到着。丁度、大月町柏島にある黒潮実感センターの神田優センター長がボートを宿毛市の港から柏島の港に回航するとのことでしたので、同乗させて戴きました。
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海から見る宿毛市、大月町は入りくんだ海岸線の各入り江に集落があり、神田さんの「ここは養殖が盛ん、ここの紫芋は独特なもので特別」などと解説を聞きながらの移動は、大変勉強になりました。
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上陸後、大月町役場産業振興課蔦江太一水産振興係長が、養殖事業を行われている現場を訪問する機会を作ってくださり、屋内の養殖場と海上の養殖場を見せていただきました。ここでは、タイ、シマアジなどを養殖していますが、親魚からデータをしっかりと管理しており、品質の良い魚を生み出す努力をしているとのこと。親魚の腹を割かず、親魚の命も生かすといった自然の摂理を大切にした養殖の考え方を伺うこともできました。
宿毛市長を表敬訪問、覚書を交換 [2016年07月30日(Sat)]
2016年7月25日(月)

笹川平和財団海洋政策研究所の「海を活かしたまちづくり」モデルサイトのひとつである宿毛湾(宿毛市+大月町)の宿毛市の市長が新しく着任されたのを受けて、海洋政策研究所の寺島紘士所長が中平富宏新市長を訪ね、沿岸域総合管理の手法を用いた地方創生の推進について意見交換を行いました。高知大学からはサイト立ち上げから支援して戴いている深見公雄教授が、また、海洋政策研究所からは、大塚万紗子特別研究員、上里理奈研究員が同行、宿毛市からは、産業振興課の上村秀生課長、谷本和哉課長補佐、武山秀和水産振興係が同席されました。

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中平富宏新市長は、昨年の12月に市長に就任されたばかりなので、最初に、沿岸域総合管理の概要をご理解いただくために、昨年度末に完成した事業紹介ビデオ「地方創生『海を活かしたまちづくり』2015〜沿岸域総合管理の取組み〜」の17分版を見て戴きました。https://www.spf.org/videos/ 

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寺島所長からは、過疎化・高齢化・少子化に直面している地方沿岸域で、環境保全と経済発展の両面に心を配りながら地方再生に積極的に取り組む地方自治体と協力してこの事業を進めていること、国土交通省・環境省・農林水産省など国の各省も沿岸域総合管理に関心を持ち、積極的に支援する方針を持ち始めていること、また、宿毛湾や大村湾のように閉鎖性の高い海域は、国際法上は内水であり、市町村がそこの環境や産業などを管理して持続可能な開発に取り組めるよう財源を含めた制度改正を検討していることなどを伝えました。中平市長は、宿毛湾では、台風のあとなど流木が陸域から流れてきて、漁業に迷惑をかけることもあるが、森林組合、農業協同組合、漁業組合が連携して、地域に貢献することも行っていることから、総合的な管理計画を立てることの重要性などについて話され、沿岸域総合管理「海を活かしたまちづくり」について、理解を深めて戴いていることを感じました。今後の展開が楽しみです。
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その後、共同研究実施の覚書を取り交わし、多忙なスケジュールを調整して1時間以上も時間を割いてくださった市長への表敬訪問を終えました。
そして、宿毛新港での消波堤の工事現場などを見せて戴いたあと、宿毛湾モデルサイトのもうひとつの自治体である大月町からも産業振興課の蔦江太一水産振興係長が駆けつけてくださり、宿毛市産業課のみなさんとともに、今後の進め方や離島の課題などについてざっくばらんな意見交換をし、19時過ぎの列車で宿毛をあとにし、高知に向かいました。
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今年度から、モデルサイトは7カ所(三重県志摩市、福井県小浜市、岡山県備前市、高知県宿毛湾、岩手県宮古市、長崎県大村湾、沖縄県竹富町)となった中で、宿毛湾モデルサイトは、羽田を8時発のフライトで飛び立っても、宿毛駅に着くのは14時と、東京からの時間距離が最も長いところですが、単線であるJR土讃線と土佐黒潮鉄道の両サイドの風景が山あり、川あり、里あり、海あり、と変化に富んでいて、それらが、それぞれに素晴らしく、美しく、却って元気をもらって帰ってきました。

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大月町黒潮実感センター神田氏が国際シンポで発表 [2016年07月26日(Tue)]
2016年7月19 日(水)ー20日(木)

東京港区のザ・キャピトル東急で、日本財団、総合海洋政策本部、国土交通省、The Nature Conservacyが主催した「海の人材育成に関する国際シンポジウム」が、「海の日行事 ”海と日本プロジェクト”」の一環として開催されました。
オープニングでは、笹川陽平日本財団会長、江島潔国土交通大臣政務官、松本文明内閣府副大臣が挨拶し、基調講演では、HSH Albert IIモナコ大公からのビデオメッセージのあと、HE Tommy Remengesau Jr. パラオ大統領、HE Anote Tongキリバス元大統領らがスピーチを行いました。
初日のプログラムでは「世界海洋人材育成の実践:海洋管理」というテーマで、海洋生物資源管理、海洋環境の保全、政策決定へとつなげるための科学、気候変動への対応について話し合われ、2日目には、「世界海洋人材育成の実践:教育と連携」というテーマで、若年層向けの海洋教育プログラム、分野横断的な教育・トレーニング、多様な利害関係者によるグローバルな取り組み、次世代を見据えた海洋教育のあり方、総括セッションと続きました。

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日本の事例を代表して発表したのは、「海を活かしたまちづくり」の実践モデルサイトである高知県大月町の神田優黒潮実感センター長で、漁師とダイバーとの関係を修復するために両者が協働してアオリイカの産卵場所を増やす取組みをはじめたところ、地元の森林組合の支援、地元の小学生たちの参加を得て、アオリイカを順調に増やすことができ、今では重要な海洋教育の場、里山・里海の連携の場として定着したという報告でした。
パラオ、トルコ、フィリピン、カナダ、マダガスカル、ハワイ、アメリカ、バングラディシュ、ペルー、セイシェル、グレナダ、パプアニューギニア、日本、インドネシア、ケニア、ガンビア、バハマ、メキシコなどの沿岸域で実際にプロジェクトの現場を持って活動している方々からの発表も多く、日本の沿岸域総合管理「海を活かしたまちづくり」に取り組んでいる皆さんが聴かれて、意見交換されたら、非常に参考になるような内容でした。また、何らかの方法で、お伝えしたいと思いました。
宿毛まるごと産業祭! [2016年04月24日(Sun)]
2016年4月29日(金祝)

高知県宿毛市で、第4回宿毛まるごと産業祭が開催されます。

場所:宿毛市総合運動公園

時間:9時〜15時

 
春の旬が大集合ということで、キビナゴづくし即売会、小夏のつめ放題、木工教室、ブリ・タイのお寿司早食い競争、魚のつかみ取りほか、特産品争奪〇Xクイズ大会など、魅力的なイベントの数々が実施されます。

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宿毛市長・大月町長へ宿毛湾沿岸域総合管理研究会から報告 [2016年03月04日(Fri)]
2016年2月8日(月)
2012年11月に第1回宿毛湾沿岸域総合管理研究会が開催されてから研究会・コア研究会・「海の健康診断」の作業部会等を経て、2014年3月にまとめた「宿毛湾沿岸域総合管理研究会報告書」を、研究会を代表して高知大学深見公雄副学長から宿毛市中平富宏市長と大月町岡田順一町長に手渡しました。
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報告書の冒頭には、沿岸域総合管理は諸外国でも広く導入されている国際標準的な手法であり、日本の海洋基本法においても12の基本政策のひとつとして取り上げられていることが述べられています。そして、宿毛湾において、海洋政策研究所が開発した方法を用いて「海の健康診断」を行った結果、赤潮や貝毒の発生、磯焼け、藻場の減少などの問題が発生していることが明らかになり、沿岸域総合管理の手法を活用して、陸域から海域までのさまざまな関係者が協力しあって海洋環境の変化や漁獲量減少の問題に対応することが必要であることが報告されています。
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この後、2015年度第1回となる宿毛湾沿岸域総合管理研究会が開催され、1)@報告書の市長・町長への提出について A10月に行われた沿岸域総合管理ネットワーク会議への参加についての報告 2)今後の研究会のありかたについて 3)黒潮と宿毛湾の環境について JAMSTEC(海洋研究開発機構)による黒潮の動向調査事業、などについて話し合われました。
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このうち、2)の現在の研究会をどのような協議会に発展させていきたいか、については、以前から沿岸域総合管理についてご理解を戴いていた大月町長からは早急に協議会を立ち上げてはどうか、と前向きなご意見を戴きましたので、引き続き、市・町で調整することになりました。

また、3)について、JAMSTECでは、海洋シミュレーションであるJCOPEを使った海況予報システム「海の天気予報」の手法を独自に開発してきましたが、この手法を活用して「宿毛湾の海を活かしたまちづくりに貢献したい」という思いのもと、2014年12月から宿毛湾沿岸域総合管理研究会にワーキングチームで参加しています。JFすくも湾漁協や宿毛漁業指導所と協力して、実際に漁師のみなさんに役立つ「海の天気予報」をめざして「黒潮親潮ウォッチ・宿毛モデル」の研究開発を行っており、その中間発表を行いました。

この日も、JAMSTECから美山透主任研究員、Sergey Varlamov主任技術研究員(ロシア出身)、Pascal Oettli特任研究員(フランス出身)、堀内一敏事務主幹、森岡優志研究員(宿毛市出身)が参加。「黒潮と漁獲量の関係」など、最新科学研究の知見を漁業に活かすというユニークで興味深い研究成果を発表されました。この「宿毛モデル」について、http://www.jamstec.go.jp/aplinfo/kowatch/?p=2010にわかりやすく掲載されていますので、是非、ご覧ください。

今後の宿毛湾での「海を活かしたまちづくり(沿岸域総合管理)」の展開が楽しみです。
宿毛市・大月町による宿毛湾沿岸域総合管理の取組 [2015年05月13日(Wed)]
四国の南西端に位置する宿毛市と大月町。宿毛湾を囲む2つの自治体が連携して取組む沿岸域総合管理への期待について、関係者にインタビューしました。
(写真をクリックすると映像がご覧戴けます)

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宿毛湾沿岸域総合管理について宿毛市長と意見交換 [2014年12月30日(Tue)]
2014年12月19日。
午前中に行われた第5回宿毛湾沿岸域総合管理研究会のあと、海洋政策研究財団の寺島紘士常務理事、古川恵太主任研究員、大塚万紗子特任研究員、上里理奈研究員が、高知大学の深見公雄副学長と共に宿毛市の沖本年男市長を訪問、宿毛湾の沿岸域総合管理の進捗状況を報告、今後について意見交換を行いました。沖本市長とは、2012年に研究会を始めるにあたって表敬訪問した折に、沿岸域総合管理について市長の熱い思いを伺ったことがありました(https://blog.canpan.info/oprficm/archive/80)。
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今回は、寺島紘士海洋政策研究財団常務理事より沿岸域総合管理の手法を使ったまちづくりに地方自治体の果たす役割について、また、宿毛湾では宿毛市と大月町が連携して取り組む事のメリットをあらためて説明しました。
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沖本市長は、森川海のつながりを大切にしたいということ、水産と林業、農業が連携し、環境を護りながら産業を活性化するような地方創生の計画を策定したい、と話されました。
第5回宿毛湾沿岸域総合管理研究会 開催 [2014年12月29日(Mon)]
2014年12月19日(金)。
宿毛市役所にて、「第5回宿毛湾沿岸域総合管理研究会」を開催しました。
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宿毛市産業振興課、大月町産業振興課、海洋政策研究財団、高知県水産振興部宿毛漁業指導所、高知大学、黒潮生物研究所といった、これまでの参加者に加え、環境省土佐清水自然保護官事務所、海洋研究開発機構(JAMSTEC)から、新しいメンバーが参加しました。
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次年度に現在の研究会から次のステージに移行することを考え、今年度末までに、これまでの2年に亘る議論を報告書にまとめることになっていますが、その内容について、事務局が準備した案をもとに議論を行いました。沿岸域総合管理の手法を用いた「海を活かしたまちづくり」ということで、水産業のみならず農林・観光等広く分野横断的に連携を深めて経済を活性化できるような体制を提案することで合意しました。
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引き続き、JAMSTECが「宿毛湾 海の天気予報をめざして」というプレゼンテーションを行い、日本沿海予測可能性実験(JCOPE)による海の天気予報の成果、特に黒潮の動向や急潮の予報を宿毛湾の漁業に活用する可能性について提案を行ったところ、研究会のメンバーからも強い関心が寄せられ、引き続き情報交換を行うことになりました。
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大月町長とすくも湾漁協組合長と意見交換 [2014年12月28日(Sun)]
2014年12月18日。
宿毛湾沿岸域総合管理研究会に先立ち、大月町の岡田順一町長とすくも湾漁協の浦尻和伸組合長と意見交換を行いました。羽田から高知龍馬空港へ行く途中の富士山の美しく冠雪した姿にうっとりしましたが、高知から宿毛へ向かう列車から見る雪景色には驚かされました。
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宿毛市役所で翌日の研究会の打ち合わせをした後、岡田町長(左下写真の右)と浦尻組合長(左下写真の左)と、田浦漁港にあるすくも湾漁協でお会いしました。
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二人とも大変積極的な方々で、「第一次産業を中心に、海を活かしてまちが活性化することを願っている。海洋政策研究財団と共にお互いに知恵を出し合い、ふるさとの創生計画をつくるなど、是非とも一緒にすすめていきたい。」と、沿岸域総合管理の手法を活用した「海を活かしたまちづくり」について期待を寄せられ、かなり前向きな意見交換ができたのは、非常に大きな収穫でした。
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