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H25〜29年度の「海洋基本計画」より「沿岸域の総合的管理」−3 [2013年04月28日(Sun)]
2013年4月26日に閣議決定された「新海洋基本計画」より、その3。
9 沿岸域の総合的管理
(3)閉鎖性海域での沿岸域管理の推進
○汚濁負荷の再生産防止対策等を推進するため、下水道の高度処理を推進するとともに、関係機関連携の下、生活排水、工場等事業場排水、畜産排水等の点源負荷対策に加え、市街地、農地等の面源負荷対策、海域のヘドロ除去及び覆砂を実施する。

○海水交換の悪い閉鎖性海域における富栄養化防止のため、窒素及びリンについて排水規制を実施するとともに、陸域からのCOD、窒素及びリンの負荷量の把握や水質等の調査を実施する。

○「豊かな海」の創造に向け、関係者間の連携による推進体制の強化、環境モニタリング、情報共有システムの活用等の包括的な取組と、汚泥浚渫、浚渫土砂等を有効に活用した干潟や藻場等の保全・再生・創出、覆砂、深掘跡の埋め戻し、生物共生型港湾構造物の普及等の個別の取組を総合的に推進する。また、海洋における炭素固定(ブルーカーボン)の研究を推進する。
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(写真は、備前市日生の海)
○広域的な閉鎖性水域である東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海における水質総量削減を進め、第7次水質総量削減(平成26年度)及び次期総量削減目標量達成に向けた取組を実施する。

○瀬戸内海の更なる環境保全・再生のため、中央環境審議会答申「瀬戸内海における今後の目指すべき将来像と環境保全・再生の在り方について」の環境保全・再生の基本的考え方を踏まえ、瀬戸内海環境保全特別措置法に基づく基本計画を変更する。

○有明海及び八代海等の再生の観点から、有明海及び八代海等に関わる環境悪化の原因・要因究明、再生像及び再生手順を検討するために必要なデータの収集等の体制を整備するとともに、有明海及び八代海等を再生するための特別措置法に基づく審議の促進を図る。

○東京湾、大阪湾、伊勢湾、広島湾においては、全国海の再生プロジェクトとして、国及び関係地方公共団体が連携して海の再生のための行動計画を策定し、多様な主体との連携・協働の下、計画的、総合的に取組を推進する。

(4)沿岸域における利用調整
○沿岸域における地域の実態も考慮した海面の利用調整ルールづくりを推進する。また、地域の利用調整ルール等の情報へのアクセスを改善するとともに、海洋レジャー関係者を始めとする沿岸域利用者に対する周知・啓発を進める。

○小型船舶の安全・環境対策として、小型船舶の海難等による死亡・行方不明者の減少及び環境問題の解消・低減並びに健全な利用振興及び関連産業の活性化を図る。また、小型船舶の利用適正化に向けた利用環境の整備を進めるため、「海の駅」の設置等を推進する。さらに、プレジャーボートの適正な管理を実現させるため、係留・保管能力の向上と規制措置を両輪とした放置艇対策を推進する。

(沿岸域の総合的管理については、ここまでですが、全文に関しては http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kaiyou/kihonkeikaku/index.html をご参照ください)
H25〜29年度の「海洋基本計画」より「沿岸域の総合的管理」−2 [2013年04月27日(Sat)]
2013年4月26日に閣議決定された「新海洋基本計画」より、その2。

9 沿岸域の総合的管理
(2)陸域と一体的に行う沿岸域管理 (続き)

エ 漂流・漂着ごみ対策の推進
○「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律(海岸漂着物処理推進法)」(平成21年法律第82号)については、同法の附則に基づき、法律の規定について検討を加え、平成25年度中に必要な措置を講ずる。
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(写真は、小浜市アマモマーメイドクラブの海岸ゴミ清掃より)

○海岸漂着物処理推進法を基に作成された地域計画に基づき実施されている海岸漂着物の回収・処理、発生抑制策等の取組に対して、支援を実施する。

○漂着ごみの実態把握及び対策の検討を進めるため、漂着ごみの全国的な分布状況や経年変化等を把握するためのモニタリング、代表的な地域における主要漂着ごみの発生実態や流出状況等を追跡した原因究明調査、我が国から流出するごみの状況把握調査等に引き続き取り組む。また、海岸漂着物処理推進法の附帯決議に基づき、漂流・海底ごみの状況把握、原因究明、対策手法等の検討を進める。

○河川を通じて海域に流入するごみ等を削減するため、いわゆるポイ捨てを含む不法投棄の防止や河川美化等について、関係機関が連携して、国民への実態の周知や意識の向上等の普及啓発、監視、取締り等の取組を強化する。

○地方公共団体による海岸漂着物の処理や、海岸漂着物を含めた廃棄物の処理に必要な廃棄物処理施設の整備を支援するとともに、海岸管理者による緊急的な流木等の処理を支援する。

○国外起因の廃ポリタンク等の海岸漂着物の実態を把握し、国内関係地方公共団体への注意喚起を行うとともに、必要に応じて発生国への申入れを行う。

○日本海及び黄海における海洋環境の保全を目的としたNOWPAPへ参画するとともに、東・東南アジアの海域において海洋開発と海洋環境の保全と調和を目指すPEMSEAへの支援を実施することにより、国際的な連携・協力体制の強化を図る。

○海洋環境の保全を図るため、海面に浮遊するごみ、油の回収を実施する。

オ 自然に優しく利用しやすい海岸づくり
○優れた自然の風景地について、自然公園として適切に保全を図る。

○災害からの海岸の防護に加え、海辺へのアクセスの確保等利用者の利便性、優れた海岸景観や生物の生息・生育環境等の保全に十分配慮した上で、海岸保全施設等の整備に取り組む。

○海辺の空間を有効活用した公園、緑地等の整備を推進する。
H25〜29年度の「海洋基本計画」より「沿岸域の総合的管理」−1 [2013年04月26日(Fri)]
2013年4月26日。
政府は、今後5年間の海洋政策の指針となる「海洋基本計画」を閣議決定しました。その第2部では、海洋基本法に規定する12の基本的施策ごとに、今後おおむね5年間に、集中的に実施すべき施策、関係機関の緊密な連携の下で実施すべき施策等、総合的・計画的推進が必要な海洋施策を具体的に定められています。その中から「沿岸域の総合的管理」についての記述を数回に分けてお伝えします。

9 沿岸域の総合的管理
(1)沿岸域の総合的管理の推進
○沿岸域の安全の確保、多面的な利用、良好な環境の形成及び魅力ある自立的な地域の形成を図るため、関係者の共通認識の醸成を図りつつ、各地域の自主性の下、多様な主体の参画と連携、協働により、各地域の特性に応じて陸域と海域を一体的かつ総合的に管理する取組を推進することとし、地域の計画の構築に取り組む地方を支援する。(写真は沿岸域の総合的管理に取り組んでいる志摩市)
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(2)陸域と一体的に行う沿岸域管理
ア 総合的な土砂管理の取組の推進
○陸域から海域への土砂供給の減少や沿岸構造物による沿岸漂砂の流れの変化等による国土の減少、自然環境への影響の軽減を図るため、砂防設備による流出土砂の調節、ダムにおける堆砂対策やダム下流への土砂還元を進めるとともに、侵食海岸におけるサンドバイパスや離岸堤の整備等に取り組む。 また、山地から海岸まで一貫した総合的な土砂管理の取組を推進するため、関係機関が連携し、土砂移 動の実態把握や予測手法の向上を図るため、調査研究を進める。

○沖縄等における赤土等の流出を防止するため、沈砂池の整備による農地等の発生源対策の強化、流 出防止技術の研究開発等を推進する。

イ 栄養塩類及び汚濁負荷の適正管理と循環の回復・促進
○陸域から流入する汚濁負荷を削減するため、未普及地区での下水道等汚水処理施設の整備や合流式下水道の改善を進めるとともに、農業用排水施設や河川における水質浄化を推進する。

○生物多様性に富み豊かで健全な海域を構築する観点から、陸域と海域を含めた流域全体の栄養塩の循環状況を把握し、それぞれの海域の状況に応じた栄養塩類の円滑な循環を達成するための効率的か つ効果的な管理方策(海域ヘルシープラン)の策定に向けた検討を行う。

○栄養塩類が過剰な海域においては、水質を改善するため、下水道等汚水処理施設の整備や高度処理の導入を進めるとともに、関係機関連携の下、陸域と海域が一体となった栄養塩類の循環システムの検討、構築を進める。また、栄養塩濃度が環境基準を達成している海域においては、環境基準値の範囲内 で栄養塩濃度レベルを管理する新たな手法を開発しつつ、負荷量管理の事例を積み重ねる。

ウ 生物及び生物の生息・生育の場の保全と生態系サービスの享受への取組
○水質の浄化や生物多様性の確保の観点から、漁業者や地域住民等による高度経済成長期以降大幅 に減少した藻場、干潟、サンゴ礁等に対する維持管理等の取組を支援する。

○里海ネットや里海づくりの手引書等を通じて、里海づくりに関する情報発信を行う。また、東日本大震災により甚大な被害等を受けた海域においては、地域の意向も踏まえ、海域再生へ向けた里海づくりを進める。