かつて、志摩市の的矢湾は、鳥羽水族館のジュゴンの餌となるアマモを毎日供給できるほど、見事なアマモ場を有していました。しかし、最近は水質および底質の悪化によりアマモ場が激減し、現在ジュゴンは韓国から空輸されるアマモを食しているとのこと。的矢湾の水質・底質の悪化は、的矢湾のこの海域での漁業にも影響を与え、以前は御殿が建ったといわれるほど採れたあおさのり(ヒトエグサ)の生産額が急激に減少しました。

2018年6月9日(土)梅雨入り後の晴天に恵まれ、志摩市鳥羽磯部漁業協同組合の三ヶ所支所で、アマモの種採りが行われました。同漁協の漁師さんたちが船て的矢湾のアマモ場でアマモを刈り採り、陸に揚げ、志摩市里海推進室の公募に応じられたボランティアのみなさんと一緒に、種で増えるアマモと根で増えるアマモを仕分けしました。種で増えるアマモはネット袋に入れ、しばらく海に吊るして種を熟成、茎や葉を腐らせた後、種を取り出して海に蒔きます。一方、根で増えるアマモの平たい葉は、梅雨の雨に打たせて塩抜きをした後、畑の肥料にします。甘くて美味しい野菜が育つとのことです。

的矢湾では、毎年、アマモの種まきをしてきましたが、底質が悪化しているため、なかなか定着しませんでした。昨年、大きなマットを敷き、その上に小さなマットに泥と種を塗り籠んだものをいくつも敷くという方法を試したところ、アマモが見事に成長したとのことで、漁協さんも的矢湾のアマモ場再生に自信を深めたということです。昨年秋には「全国アマモサミット」が志摩市で開催され、市民のアマモに対する興味も増したようです。

今日、仕分けされた「種をとるアマモ」は大きな袋に15袋となりました。海に吊るして追熟した種は、7月末ごろ種を取り出され、夏の暑い時期を冷蔵庫で保管、水温が下がる12月頃に海に蒔かれます。来年のアマモの成長が今から楽しみです!