2014 年7月4日(金)
沿岸域総合管理シンポジウムに引き続き、海洋政策研究財団と沿岸域総合管理の実践に取り組んでいるモデルサイト関係者、取組を希望している地方自治体関係者が一堂に会する、沿岸域総合管理ネットワーク会議が開かれました。

最初に、各サイトからそれぞれの取組の進捗状況や、その中で見えてきた課題などが報告されました。

志摩市では、既に市の総合計画に位置づけられ、「里海推進室」という担当部署もでき、協議会が立ち上がっています。現在は、市民ひとりひとりにビジョンを共有してもらうこと、地域のブランド化の推進、利害関係者との調整能力のレベルアップなどが課題として認識されています。

小浜市は、昨年度、沿岸域総合管理研究会の成果として、沿岸域総合管理のあり方について、協議会の設立などを含む提言書を作成し、市長に提出しました。市長はこれを受け止め、市民にメッセージを送るとともに、市として今年度からの協議会立ち上げに向けて検討を進めています。

備前市は、岡山県、日生町漁協と連携し、アマモ場の再生、海洋牧場のルール作りなどを進めるとともに、市の総合計画への「沿岸域の総合管理」の記載、「里海づくり」政策監の任命といった対応を進めてきました。現在は、備前市における沿岸域総合管理の進め方、活動の内容について検討を進めています。

宿毛湾では、当財団と宿毛市、大月町が連携し開催してきた沿岸域総合管理研究会と海の健康診断評価委員会での検討内容について、報告書として共有し、沿岸域総合管理の次にステップに入るための検討を進めています。具体の活動として、市民が行える持続的な環境・生物調査なども模索しています。

宮古市は、復興が最優先ですが、市の総合計画を策定中で、沿岸域総合管理の手法・考え方をどのように盛り込むかを検討しています。また、合併して市域となった山間部の地域の人々によって海辺で津波による被災を受けた人々が助けられたということもあり、森・里・海辺に住む人々の連携が模索されています。参加していた志摩市長から「復興の里海」という考え方もあるのではないか、という提案もなされました。

閉鎖性海域の大村湾一帯を沿岸域総合管理の適用候補地とする長崎県は、県・市・ステークホルダーの連携により、第3期の大村湾環境保全・活性化行動計画を策定しました。こうした計画を効果的に実施に移していくため、沿岸域総合管理の手法の適用を検討しています。
2010年に沿岸域総合管理モデルプロジェクトを始めてから5年目。各地域の発表は、一段と具体性を帯び、お互いにさまざまな質問や提案を忌憚なく交換できる間柄に育ってきたようです。