ICMパワーアップ研修会(第2日目) [2013年11月29日(Fri)]
2013年11月26日(火)。
沿岸域総合管理パワーアップ研修会の2日目は、実践を始めた各サイトからの参加者が、サイトでの進捗状況報告と現時点で乗り越えたいと思っている課題について、チュア・ティア・エン博士や海洋政策研究財団の寺島紘士常務理事、アドバイザーとして参加された沿岸域総合管理モデル実施委員会委員長の來生新教授、日本海洋政策学会学術委員会委員長の坂元茂樹教授らと意見交換を行いました。 最初の発表は、志摩市農林水産部里海推進室の橋本勝弘政策係長。志摩市が沿岸域総合管理の手法を用いて「新しい里海創生によるまちづくり」事業を立ち上げるに至った経緯、志摩市里海創生基本計画http://www.city.shima.mie.jp/kurashi/cat147/post_215/の策定内容、さまざまな関係団体の代表がひとつのテーブルを囲み、昨年度から定期的に開催されている「里海創生推進協議会」での討議内容等が紹介されました。(参照:新しい里海のまち・志摩ホームページ http://www.satoumi-shima.jp/) 取組を進める上での課題としては、@市民や関係団体の理解の増進、A自治体職員・関係者の能力向上、B財源の確保の3点が挙げられました。 二番目の発表は、小浜市産業部次長兼農林水産課の河野研課長。小浜市沿岸域の自然・社会の基本的状況を知るために、昨年度、小浜市沿岸域総合管理研究会の開催と併行して実施した「海の健康診断」の結果を踏まえ、本年度の研究会では、来年度の協議会の設立を目標に、研究会からの提言をまとめつつあり、「自然環境の保全」「自然の恵みの産業、教育等への利用」「関係者間の連携強化」「望ましい沿岸域の姿の実現」等、その概要が紹介されました。また、研究会運営にあたってのこれまでの反省点と共に、すでに限界まで削減されている予算と人員の中で、どのように沿岸域総合管理を推進していくか、という今後の行政上の懸念が述べられました。 三番目は、「岡山県備前市日生町における沿岸域管理に向けた取組について」という題で岡山県農林水産部水産課の後藤真樹主任の発表。漁協を中心としたアマモ場再生活動と岡山県の海洋牧場の整備、備前市沿岸域総合管理研究会での検討内容やその広がりについての紹介のあと、備前市まちづくり部産業振興課の橋本誠二水産係主査から今年度に策定された備前市総合計画で沿岸域総合管理について記述されたことが発表され、備前市における沿岸域総合管理の進展に対する期待が高まりました。 宿毛市産業振興課の酒谷幸夫課長補佐からは、「宿毛湾の取り組みと今後の展開について」というタイトルで発表がありました。宿毛湾は、珊瑚礁など多種多様な海洋生物に恵まれ、養殖も含めて高知県の漁獲高に大きく貢献している豊かな湾です。現在、沿岸域総合管理研究会の中で、海の状況把握を行って沿岸域の現状の確認する一方で、海域の漁業と陸域の農林業が連係して環境・資源保全および観光など産業の振興に向けて話合えるような、継続的な沿岸域総合管理をめざして協議会の発足に向けて検討していることが述べられました アドバイザー、オブザーバーの皆さんも交え、沿岸域総合管理をすすめるためのスタッフの能力構築やファシリテーター機能の育成など具体的な共通課題について、忌憚のない意見の交換がなされ、パワーアップセミナーの名に負けない充実したワークショップとなりました。 |