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海洋政策研究所ブログ

海洋の総合管理や海事産業の持続可能な発展のために、海洋関係事業及び海事関係事業において、相互に関連を深めながら国際性を高め、社会への貢献に資する政策等の実現を目指して各種事業を展開しています。


Ocean Newsletter No.587発行 [2025年01月20日(Mon)]
No.587が完成いたしました。

『Ocean Newsletter』は、海洋の重要性を広く認識していただくため、
海洋に関する総合的な議論の場を皆様に提供するものです。 
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●アジア・北極協力と日本の北極関与の次なる展開
アイスランド大学助教授◆Kristín INGVARSDÓTTIR

日本を含むアジア5カ国による北極評議会でのオブザーバー資格獲得(2013年)が、アジアと北極の協力の転機であった。
以来、地政学的変動を含む多くの変化があった。
本稿では、北欧北極圏へのアジアの関与の現状について、特に2025年から新たな段階に入ろうとしている日本の役割に焦点を当てて論じる。

●北極サークル総会における極域対話の発足とその潜在的影響
(公財)笹川平和財団海洋政策研究所研究員◆Santosh Kumar RAUNIYAR

2024年の北極サークル総会で「極域対話」が発足し、北極、南極、第三極(ヒンドゥークシュ・ヒマラヤ地域)をつなぐ協力の枠組みが構築された。
極域対話は雪氷圏に関連する課題に対する統一的行動への野心的な一歩である一方、その成功に向けては、重要な課題が残っている。

●北極環境変化が日本に極端気象をもたらす
新潟大学自然科学系教授◆本田明治

地球温暖化に伴って北極域では急速な環境変化が進んでいる。
海氷・積雪・氷床など雪氷の縮小は北極寒気の源である冷源が弱まることを意味し、日本など中緯度帯の冬は総じてマイルドになる一方、寒波や豪雪にもしばしば見舞われている。
偏西風が蛇行しやすくなり一時的に強い寒気が入りやすくなるからで、将来温暖化が進行した場合でも、経験のない寒波や豪雪に襲われる可能性は十分にある。

●事務局だより
公益財団法人笹川平和財団海洋政策研究所研究員◆幡谷咲子

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Ocean Newsletter No.586発行 [2025年01月06日(Mon)]
No.586が完成いたしました。

『Ocean Newsletter』は、海洋の重要性を広く認識していただくため、
海洋に関する総合的な議論の場を皆様に提供するものです。 
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●国連気候変動枠組条約制度における海洋コミュニティの役割
(公財)笹川平和財団海洋政策研究所主任◆藤井麻衣

国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の下で、海洋には十分な関心が払われてこなかったが、海洋コミュニティの活動により「海洋と気候変動対話」が設立され、議論を深める場となっている。
海洋パビリオンの設置など、海洋のプレゼンス向上に向けた試みもされている。
困難な状況の中、海をまもり、気候変動と立ち向かうためには、まずは日本を含む各国NDCsにおける野心向上、そして海洋関連の取り組み強化が肝要である。

●海面上昇による日本の浸水予測と適応策
茨城大学工学部都市システム工学科教授◆横木裕宗

日本沿岸域を対象として、海面上昇と潮汐による各都道府県の潜在的浸水による被害額を推計した。
さらに、温室効果ガス排出経路による結果を比較したところ、約218.0〜576.8兆円の幅で被害額が変わり、緩和策の重要性が示唆された。
海面上昇への適応策の検討では、少ない適応費用で多くの浸水影響を防護可能な浸水域が明らかとなったため、そこを限定して防護することが効果的であることが示された。

●ブルーカーボンとしての海藻養殖とバイオリソース
神戸大学内海域環境教育研究センター特命教授◆川井浩史

長い海岸線を持つ日本にとって、海藻養殖によるブルーカーボンは大きな可能性がある。
一方、新たな養殖施設を岸から近い沿岸に設置するには課題が多く、沖合の洋上風力発電施設の利用が有効だと考えるが、現地の生物多様性を攪乱しない配慮も必要である。
その際、これまでの水産目的とは異なる新たな海藻種の育成が想定され、多様な海藻類の系統株を収集・保存する系統株コレクションの活用を提案する。

●編集後記
(公財)笹川平和財団理事長◆角南 篤

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