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海洋政策研究所ブログ

海洋の総合管理や海事産業の持続可能な発展のために、海洋関係事業及び海事関係事業において、相互に関連を深めながら国際性を高め、社会への貢献に資する政策等の実現を目指して各種事業を展開しています。


Ocean Newsletter No.585発行 [2024年12月23日(Mon)]
No.585が完成いたしました。

『Ocean Newsletter』は、海洋の重要性を広く認識していただくため、
海洋に関する総合的な議論の場を皆様に提供するものです。 
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●海で分解されるプラ素材:海洋プラスチック汚染問題の解決に向けた研究
大阪大学大学院工学研究科教授◆宇山 浩

私たちの日常生活に欠かせないプラスチックは丈夫で腐らないという特徴から幅広い分野で利用されているが、自然環境中で分解されにくいために流出したプラスチックごみが海洋汚染を引き起こしている。
その解決に向けて、私たちはデンプンを配合した海洋生分解性プラスチックの開発に取り組んできた。
デンプンによりプラスチックの分解性を向上させる設計に基づき、企業と連携してカトラリー等を試作した。

●北極海における海洋プラスチック循環の解明を目指して
(国研)海洋研究開発機構海洋生物環境影響研究センター副主任研究員◆池上隆仁

北極海の浮遊マイクロプラスチック(MPs)観測により、海水中の粒径0.3mm以上のMPs量が明らかになってきた。
しかし、粒形0.3mm未満も含めたMPsの海水、海氷、海底堆積物中の貯蔵量とそれらの間の移動量、大気、河川、海流を通じた北極海と外部の間の移動量は分かっていない。
これらを研究者間で共通化した手法で定量することが海洋プラスチック循環解明のために不可欠である。

●プラスチック汚染に関するデータ整備と利活用の促進
〜「Atlas of Ocean Microplastic(AOMI)」の公表〜

前 環境省水大気局海洋環境課海洋プラスチック汚染対策室主査◆藤岡勝之

海洋等の環境中に流出したプラスチックごみは世界的な課題となっており、地球規模でプラスチックごみを削減していくためには、分布状況などの科学的な知見を世界各国で共有することが必要である。
本稿では、より効果的なプラスチック汚染対策の推進に向けたデータの利活用を促進するために環境省が構築した海洋表層に漂流するマイクロプラスチックに関する国際的なデータベース「Atlas of Ocean Microplastic(通称:AOMI)」について紹介する。

●市街地の水路と海ごみ問題
元日本福祉大学教授、元放送大学客員教授◆磯部 作

海ごみの約80%は陸域から海に流出している。
河川流域全体でごみの流出防止対策が必要だが、とりわけ、人口が多く、ごみの発生が多い市街地を流れる河川や用水路などの水路のごみについては、水路の管理者の責任が問われる。
SDGsのうち海ごみなど海洋汚染の大幅削減に特化したターゲットは2025年目標であり、早急に取り組まなければならない。

●事務局だより
公益財団法人笹川平和財団海洋政策研究所主任◆藤井麻衣

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Ocean Newsletter No.584発行 [2024年12月05日(Thu)]
No.584が完成いたしました。

『Ocean Newsletter』は、海洋の重要性を広く認識していただくため、
海洋に関する総合的な議論の場を皆様に提供するものです。 
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●フェロー諸島:その特徴と国際関係、日本との絆
フェロー諸島自治政府副首相兼外務・産業・貿易相◆Høgni HOYDAL

フェロー諸島は北大西洋にある群島で、起伏に富んだ景観と豊かな海洋資源、ヴァイキングの遺産で知られ、特に安全保障と気候変動の観点から、北大西洋において戦略的位置を占めている。
フェロー諸島は日本とは持続可能な資源管理における結びつきをもっている。
小さな島国だが、豊かな海洋資源をもつフェロー諸島は、気候変動や安全保障、経済発展という課題を切り抜けるためにも国際協力に貢献していく考えだ。

●地域あっての地域捕鯨
〜フェロー諸島のキリスト教化と相互扶助〜

一橋大学大学院社会学研究科教授◆赤嶺淳

北大西洋のフェロー諸島では、捕鯨専業者が存在せず、住民が自主的に参加する「地域捕鯨」(コミュナル捕鯨)が行われている。
ヒレナガゴンドウを対象とする、この捕鯨は9世紀にノース人が導入したものと考えられている。
300年以上にわたり、詳細な記録をたどれる、世界でも希な捕鯨である。
鯨肉は無償で島民に分配され、孤島に暮らすフェロー諸島人の食生活の重要な一部となっている。
この捕鯨は、地域社会全体を覆う相互扶助の精神に根ざしており、キリスト教とともに人びとのアイデンティティと結びついている。

●崖の島・フェロー諸島
元 北極域研究共同推進拠点(J-ARK Net)研究協力者◆岡田なづな

北大西洋に浮かぶフェロー諸島は、ダイナミックな自然が作り上げた唯一無二の景観で訪れる人々を魅了し続けている。
その美しい景観以上に筆者をひきつけたのは、人々の自然との向き合い方である。
ごく一部ではあるが、滞在中に垣間見たフェロー諸島の人々の日常を紹介したい。

●事務局だより
公益財団法人笹川平和財団海洋政策研究所主任研究員◆高翔

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