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海洋政策研究所ブログ

海洋の総合管理や海事産業の持続可能な発展のために、海洋関係事業及び海事関係事業において、相互に関連を深めながら国際性を高め、社会への貢献に資する政策等の実現を目指して各種事業を展開しています。


Ocean Newsletter No.577発行 [2024年08月20日(Tue)]
No.577が完成いたしました。

『Ocean Newsletter』は、海洋の重要性を広く認識していただくため、
海洋に関する総合的な議論の場を皆様に提供するものです。 
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●ブルーカーボンによる社会変革
NPO法人海辺つくり研究会理事長◆古川恵太

さまざまな海洋・沿岸域の危機が迫る中、「ブルーカーボン」生態系の保全・再生は、地球温暖化の緩和・適応策として、またネイチャーポジティブを実現するための取り組みとしても注目されている。
2023年11月に、国際ワークショップが開催され、研究の最前線と、活動の現状、そして未来に向けたメッセージが共有された。

●海草・海藻藻場のCO₂貯留量算定に向けたガイドブックの公開
(国研)水産研究・教育機構 沿岸生態系暖流域グループ長◆堀 正和

ブルーカーボン生態系のうち、海草・海藻藻場は水産分野において重要な沿岸生態系として長年管理されてきた場所である。
日々の漁業者によるメンテナンスから、分布の維持・拡大に向けた漁協や自治体単位での組織的な取り組みまで、藻場を持続的に利用するための管理が実施されてきた。
このような水産分野での地域管理が、気候変動対策の枠組みでどのような価値を持つか、それらを可視化するCO2貯留量の算定手法が公開された。

●海と人、人と人をつなぎ、豊かな自然を守り伝える
(一社)ふくおかFUN代表理事◆大神弘太朗

福岡市の博多湾は物流や人流の中心地であり、豊かな漁場を有する。
しかし、海底環境の悪化や環境依存によるアマモ場への影響も大きい。
(一社)ふくおかFUNはダイバーを中心に活動し、アマモ場の保全と再生に取り組む。
さらに、多様な主体との連携を通じて海洋環境の持続可能性を追求している。

●海藻は人を海へ誘う
(公財)函館地域産業振興財団・副理事長、北海道立工業技術センター・センター長◆安井 肇

ガゴメは、函館の沿岸が主な生育域で、葉(長さ1.5〜3m、幅20〜50cm)の全面に複雑な凹凸模様があり強い粘りが多く出る、珍しいコンブの仲間である。
フコイダンなど水溶性粘性多糖類を多く含み、多様な食品、健康食品、美容製品の高機能素材として産業化に貢献できる魅力ある海藻資源になることを紹介する。

●事務局だより
公益財団法人笹川平和財団海洋政策研究所主任◆藤井麻衣

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Ocean Newsletter No.576発行 [2024年08月05日(Mon)]
No.576が完成いたしました。

『Ocean Newsletter』は、海洋の重要性を広く認識していただくため、
海洋に関する総合的な議論の場を皆様に提供するものです。 
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●海洋生物のミネラリゼーションと脱炭素
東京大学大学院農学生命科学研究科教授◆鈴木道生

石灰岩の主成分は、貝類やサンゴなどの海洋生物が「バイオミネラリゼーション」と呼ばれる生体反応によって作り出した炭酸カルシウムである。
このバイオミネラリゼーションのメカニズムを解明して、炭酸カルシウムを効率良く合成する技術を開発すれば、増えすぎた大気中の二酸化炭素の濃度を下げることに貢献できる。

●生態学の知見を取り入れたサンゴ礁保全再生のアプローチ
國立臺灣海洋大學海洋環境與生態研究所所長◆識名信也

サンゴ礁は多種多様な海洋生物の命を育む生態系である。私たちにも多くの恵みを与えてくれる。
近年、衰退していくサンゴ礁を再生するために、サンゴの増殖・植え付け事業が盛んに行われている。
本稿では現行のサンゴ礁保全再生事業の課題を整理すると同時に、既存の枠組みに生物・生態学の基礎知見を取り入れた新たな保全再生事業のアプローチを提案する。

●藻場、ウニノミクス、生態系回復への取り組み
ウニノミクス(株)◆武田ブライアン剛

ウニノミクス(株)は、磯焼けの原因となっている増え過ぎたウニを買い上げて、陸上で養殖し販売することをビジネスとしている。
本稿ではその事業の内容及びJブルークレジット取得が事業の強い裏付けとなったことや、今後のJブルークレジットへの期待について記する。

●インフォメーション
第17回海洋立国推進功労者表彰

●事務局だより
瀬戸内千代

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Ocean Newsletter No.575発行 [2024年07月24日(Wed)]
No.575が完成いたしました。

『Ocean Newsletter』は、海洋の重要性を広く認識していただくため、
海洋に関する総合的な議論の場を皆様に提供するものです。 
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●海洋掘削を通じた海のダイナミクスへのリテラシー促進
(国研)海洋研究開発機構高知コア研究所上席研究員、日本地球掘削科学コンソーシアム(J-DESC)理事◆諸野祐樹

「国連海洋科学の10年」で掲げられている海洋に関係するミッションの達成に貢献すべく、日本地球掘削科学コンソーシアム(J-DESC)は、国際深海科学掘削計画(IODP)の日本国内組織として海洋底下に隠されたさまざまな謎の解明を通じ、人類社会に貢献する科学に取り組んでおり、海洋科学と海洋掘削科学のリテラシー向上を目指している。

●測深技術の進歩と海洋底科学
東京大学大気海洋研究所教授◆沖野郷子

マルチビーム測深技術の発展により、海底地形の詳細な描像が可能になり、海洋底の科学は大きく進展した。
今後は、未測の海域に調査を広げていくことと同時に、地震・火山等の活動を地形の時間変化から追えるようにすること、また基礎的なデータを公開していく仕組みを整えることが必要である。

●「国連海洋科学の10年」における水中文化遺産プロジェクト
東京海洋大学大学院(ユネスコ水中考古学大学連携ネットワーク)教授◆岩淵聡文

2021年に始まった「国連海洋科学の10年」では2024年2月現在、公募された51のプログラムとそれらを実際に現場で動かしていく330のプロジェクトが進行している。
プログラムの一つに「海洋科学の10年遺産ネットワーク」が主催する「文化遺産枠組プログラム」があり、そのプロジェクトの一つが「現地住民、伝統的生態学的知識、気候変動:象徴的な水中文化遺産としての石干見」である。

●編集後記
(公財)笹川平和財団海洋政策研究所長◆阪口 秀

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Ocean Newsletter No.574発行 [2024年07月05日(Fri)]
No.574が完成いたしました。

『Ocean Newsletter』は、海洋の重要性を広く認識していただくため、
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●太平洋島嶼国による海洋環境への取り組み
〜パラオ共和国の事例から〜

東北大学大学院環境科学研究科博士後期課程院生/東北アジア研究センター◆成澤みく

2023年の国連気候変動会議(COP28)では、国連気候変動枠組条約の加盟国が海の役割や海洋気候変動についても議論した。
海水温上昇によって、海洋生態系や、太平洋島嶼国のような島国に暮らしている人々の文化や生活は甚大な被害を受けている。
日本を含む海に囲まれた島国では、海の恵みを捉え直し、この大切な「海」という存在との向き合い方を再定義する必要があるのではないか。

●カロリン諸島の伝統的航海術の現状と継承の課題
旅行ライター◆林和代

ミクロネシア、カロリン諸島に固有の伝統的な航海術が、2021年にユネスコの無形文化遺産の危機遺産として登録された。
この地球上で唯一生き残った、古来から連綿と続く航海術。
その現状と存続について、20年にわたって彼らと接して来た筆者の視点から考えてみたい。

●気候変動時代における海洋安全保障
〜教育・訓練の新たなパラダイムの必要性〜

前アカディア大学学長、地球・環境科学部門教授◆Peter RICKETTS

海洋安全保障は地域紛争の影響などにより一層複雑になっており、それらに加えて、気候変動がさまざまな形で海洋安全保障上のリスクを増大させていることから、新たな専門的知識が求められるようになった。
アカディア大学では、海洋安全保障専門家資格(PCMS)プログラムを開発、海洋安全保障領域が直面する複雑な問題や状況を理解し、管理できるように、海洋専門家を教育・訓練している。

●事務局だより
公益財団法人笹川平和財団海洋政策研究所研究員◆John A. Dolan

Ocean Newsletter No.573発行 [2024年06月20日(Thu)]
No.573が完成いたしました。

『Ocean Newsletter』は、海洋の重要性を広く認識していただくため、
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●水環境保全・水資源利活用技術の開発
長岡技術科学大学学長特別補佐(産学地域連携担当)、上席フェロー、第16回海洋立国推進功労者表彰受賞◆山口隆司

水を持続的に利活用していくためには、水利活用後に適切に水を浄化して自然に戻す環境保全や水資源再生の取り組みが必要である。
また、当該取り組みが社会実装を成していくためには、カーボンニュートラルなど次代のためのキーワードも包含したモノやサービスとして創成していくことも求められる。
本稿では、水資源再生の取り組みの社会形成での位置付け、当該技術の研究開発の事例および取り組みを通した人材育成について記した。

●魚類特有の抗体の役割
福井県立大学海洋生物資源学部先端増養殖科学科准教授◆瀧澤文雄

抗体は、細菌やウイルスなどの病原体に結合して我々の体の中から排除したり、侵入を防いでいるタンパク質である。
抗体の種類は動物ごとに異なり、魚類では脊椎動物全般に存在するIgM抗体が主に体の中の免疫応答に重要であるのに対して、魚類特有のIgT抗体が体表の粘膜免疫応答に関与することが分かってきた。
ヒトの感染症予防と同様に、養殖産業においても水産用ワクチンによる予防対策が行われており、今後、魚類の抗体の特徴を活かした効果的なワクチンや評価法の開発が期待される。
ここでは魚類の抗体の特徴と水産用ワクチンへの応用について紹介する。

●千葉県館山市沖ノ島・地域循環共生圏を見据えて
〜「アマモ場」「森」の再生活動とその広がり〜

NPO法人たてやま・海辺の鑑定団理事長◆竹内聖一

NPO法人たてやま・海辺の鑑定団は、主に千葉県館山市沖ノ島を中心に2004年にエコツーリズムの実現を目指し設立した。
海辺の環境変化(アマモの減少や森の衰退)が目に見えてきた2016年からアマモや森の再生などに取り組んでいる。
取り組みは決して成功とはいえない中、現在そのことをきっかけとしてさまざまな活動が広がりを見せている。

●事務局だより
瀬戸内千代

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Ocean Newsletter No.572発行 [2024年06月06日(Thu)]
No.572が完成いたしました。

『Ocean Newsletter』は、海洋の重要性を広く認識していただくため、
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●氷の島グリーンランドで何が起きているのか
〜気候変動が北極の自然環境と社会に与える影響〜

北海道大学低温科学研究所教授◆杉山 慎

北極グリーンランドで氷河氷床の融解が止まらない。
氷の融け水は海洋とその生態系に影響を与え、さらには厳しい自然に生きる人々の暮らしにもインパクトを生じている。
北極域で進行する急激な気候変動と自然環境の変化、さらにその社会影響を理解するために、現地との協働が求められている。

●ロシアによるウクライナ侵攻と北極国際協力
神⼾⼤学大学院国際協力研究科極域協力研究センター研究員◆稲垣 治

ロシアによるウクライナ侵攻をうけて、北極国際協力の中には北極評議会のように機能を一時停止してしまったものもあれば、中央北極海無規制公海漁業防止協定のように侵攻後も比較的順調に機能しているものもある。
順調に機能していないものでも、多くは協力の枠組み自体は存続しており、今後息を吹き返すことも十分考えられる。
全体としてみれば、ウクライナ侵攻が北極国際協力に大きな影響を与えているのは確かであるが、北極国際協力を崩壊させたわけではない。

●海を脱植民地化する?国際海洋法をめぐる先住民族の闘い
中央大学法科大学院教授◆小坂田裕子

先住民族は「先住民族の権利に関する国連宣言」を国際海洋法においても適用することを求めている。
「中央北極海無規制公海漁業防止協定」(CAOF協定)と「国家管轄権外区域の海洋生物多様性に関する協定」(BBNJ協定)において、先住民族の権利や利益に配慮する規定がどのように入り、その内実がいかなるものなのか、現状と課題について解説する。

●編集後記
(公財)笹川平和財団海洋政策研究所長◆阪口 秀

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Ocean Newsletter No.571発行 [2024年05月20日(Mon)]
No.571が完成いたしました。

『Ocean Newsletter』は、海洋の重要性を広く認識していただくため、
海洋に関する総合的な議論の場を皆様に提供するものです。 
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●海中ドローンによるブルーカーボン調査
長崎大学副学長、海洋未来イノベーション機構教授◆山本郁夫

海中ドローンにより海の可視化ができるようになり、海の環境保全や海中二酸化炭素の吸収に役立つとされる藻場の観測への期待が高まっている。
山本研究室では海中ドローンを開発しており、アマモ場を対象として、藻場の3Dオルソ画像収得と海中環境パラメータの把握を行った。
この取り組みは可視化による海の環境保全のみならず、ブルーカーボンクレジットの算出にもつながると期待されている。

●魚の空腹度に応じたAIドローンによる自動給餌
〜育てる漁業のための取り組み〜

長崎大学工学部教授◆小林透

海洋養殖では魚がいつもの時間に決まった量の給餌をしても食べ残してしまう問題があるため自動給餌はなかなかうまくいかなかった。
長崎大学では、水中カメラの映像をAIに解析させて魚たちの空腹度を判定させる技術の開発に成功、現場までの餌の運搬をドローンに行わせることができれば、給餌作業をまったく人的稼働が掛からないスマートな形にすることができる。

●水上ドローンがもたらす新たな大航海時代
エバーブルーテクノロジーズ(株)代表取締役、日本水上ドローン協会代表理事◆野間恒毅

水上ドローンは、海洋業務や水難救助の現場で少子高齢化や労働力不足などの課題解決手段として注目され、帆船型や電動モーター型などがあり無人で航行可能である。
認知向上、技術開発と同時に法整備の進展が求められており、業界団体による啓発活動も行われている。
水上ドローン技術で自然と共生する持続可能な社会を目指している。

●事務局だより
瀬戸内千代

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Ocean Newsletter No.570発行 [2024年05月07日(Tue)]
No.570が完成いたしました。

『Ocean Newsletter』は、海洋の重要性を広く認識していただくため、
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●能登半島地震で生じた海岸隆起は想定できたか
(国研)産業技術総合研究所地質調査総合センター国内連携グループ長◆宍倉正展

2024年元日に起きた能登半島地震では最大約4mもの海岸隆起が生じ、漁港が機能不全に陥った。
能登半島では、過去から地震のたびに隆起をくり返していることが海成段丘という地形からわかる。
今後の地震の想定においては海成段丘に基づく隆起の規模の評価と対策が重要である。

●能登半島を襲った2つの地震と来る地震への課題
金沢工業大学工学部准教授◆高原利幸

土木工学的な観点からすると、令和6年能登半島地震では震源断層付近では自然斜面の崩壊が多発しているものの、多くの道路盛土の崩壊が救援活動に大きな支障をきたしたほか、震源から120km離れた金沢市などでも宅地盛土や埋土の崩壊、液状化による被害が見られた。
この度の地震と2007年能登半島地震の比較からその要因を考え、これからも発生するであろう地震に対する土木工学的な備えについて考えたい。

●地震予知研究の最前線
東海大学客員教授、静岡県立大学客員教授、(一社)日本地震予知学会会長◆長尾年恭

これまで巨大地震に確実に先行する異常現象(いわゆる前兆現象)は存在しないと考えられていたが、東日本大震災をきっかけに、マグニチュード8クラスの地震発生直前に普遍的に発現していた変化が確認された。
それは電離圏電子密度の上昇という現象であった。

●編集後記
(公財)笹川平和財団海洋政策研究所長◆阪口 秀

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Ocean Newsletter No.569発行 [2024年04月22日(Mon)]
No.569が完成いたしました。

『Ocean Newsletter』は、海洋の重要性を広く認識していただくため、
海洋に関する総合的な議論の場を皆様に提供するものです。 
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●海洋における共同開発を巡る国際法制度と日本への示唆
崇城大学総合教育センター准教授◆竹内明里

本稿では、係争水域において、境界画定を棚上げして資源の共同開発を行う大陸棚の二国間共同開発合意について、紛争予防と資源開発という意義、共同開発水域の設定や資源管理方式の傾向や課題、実績などにつき日韓大陸棚南部協定を中心に紹介する。
また、日韓大陸棚南部協定は2028年に期限の到来を予定しているため、今後、日本政府が取り得る選択肢(合意の終了または継続)について検討を行う。

●地球温暖化による日本海の深層循環弱化とその影響
(国研)国立環境研究所地球システム領域室長◆荒巻能史

日本海には外洋の海洋大循環に似た独自の深層循環が存在し、これが豊富な水産資源の要因の一つとも言われている。
近年、この深層循環が地球温暖化の影響により停滞している可能性が指摘されている。
(国研)国立環境研究所と九州大学応用力学研究所の研究グループは、深層海水の循環速度を実測することによって、1990年代に比べて現在では30%以上も流速が遅くなっていることを突き止めた。

●潮流で豊かな海を創造
香川大学創造工学部学部長、第16回海洋立国推進功労者表彰受賞◆末永慶寛

わが国の沿岸域における各種開発によって、生物生産性が高いとされている藻場や干潟の減少に伴う生物生息環境の悪化や資源生産力の低下が懸念されている。
生物資源生産力向上のために、さまざまな技術が海域に提供されており、施策の中で中心となる構造物が人工魚礁である。
本稿では、自然エネルギーである潮流を制御することを可能とし、かつ稚魚の保護・育成および藻場造成機能を有する人工魚礁と効果の事例を紹介する。

●事務局だより
瀬戸内千代

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Ocean Newsletter No.568発行 [2024年04月05日(Fri)]
No.568が完成いたしました。

『Ocean Newsletter』は、海洋の重要性を広く認識していただくため、
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●信頼醸成と武力紛争抑止の柱としてのシーパワー
海上自衛隊幹部学校長◆江川 宏

アルフレッド・マハンによって提唱されたシーパワーの概念は海上交通路や国益上あるいは作戦上で必要な海域を排他的にコントロールすることが目標とされていたが、現在は、国際秩序が維持された安全な公共財としての「自由で開かれた海洋」を維持するためのもの、即ち信頼醸成や武力紛争抑止に資する外交ツールへと変化している。
海洋秩序が揺さぶられている現代においてシーパワーはどのような影響力を有し、どのような戦略的役割を期待されているのか。

●日中海洋運命共同体構築のための基礎と保障
中国海洋大学国際事務・公共管理学院教授◆金 永明

海洋問題は日中関係に影響を及ぼす重要な問題の一つである。日中両国は多くの合意文書と共通認識を形成したが、これらの着実な履行ができれば、海洋問題の論争をコントロール可能な状態に置き得る。
従って、紛争の平和的解決と協力原則の堅持が日中関係に影響を与えずに海洋問題を処理する大原則となる。
その上で、海洋の恩恵を持続可能な形で享受し、時代の要請に合致した建設的かつ安定的な日中関係を推進する海洋における日中運命共同体の構築が重要となる。

●紛争抑止・対処のためのシーパワー
富士通ディフェンス&ナショナルセキュリティ(株)安全保障研究所所長、水交会研究委員会顧問(元佐世保・呉地方総監)◆池田徳宏

シーパワーは中国との紛争回避のための抑止力である。
中国は国連海洋法条約の解釈の違いなどの海洋における問題を法的手段によらずに解決し一方的に現状変更しようとする。
海洋におけるさまざまな問題をUNCLOSに基づいて解決することを可能とするめにシーパワーを活用する必要がある。
日本は中国との紛争を回避するために海洋秩序とは何かを示して、これを常識として顕示・伝承することに平和のための力である海上自衛隊を使用している。

●編集後記
(公財)笹川平和財団海洋政策研究所長◆阪口 秀

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