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海洋政策研究所ブログ

海洋の総合管理や海事産業の持続可能な発展のために、海洋関係事業及び海事関係事業において、相互に関連を深めながら国際性を高め、社会への貢献に資する政策等の実現を目指して各種事業を展開しています。


海のジグソーピース No.181 <新型コロナウイルス下における世界海事大学の状況について> [2020年06月10日(Wed)]

 世界海事大学(WMU)は、スウェーデンのマルメにある大学院大学です。笹川平和財団海洋政策研究所ではWMU笹川奨学金事業を実施しております。毎年5月にWMUの奨学生約30名を日本に招聘し、日本財団・国土交通省海事局をはじめとした日本国内の海事関連組織・企業にご協力をいただいて「日本研修」を行っております。残念ながら、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止措置として国際航空便の大幅な削減、出入国管理の厳格化、加えて国内の状況を鑑み、現在のところ10月への延期を予定しております。奨学生の来日を楽しみにされていた方々におかれましては、改めてご案内させていただきます。

 延期自体は笹川平和財団の判断で決定しましたが、延期に関してWMUの担当者とやりとりをしている中で、WMUがCOVID-19の影響下でおかれている環境や、WMUが行っている措置について触れることができましたので、紹介させていただきます。

 スウェーデンのマルメは、橋を渡った対岸がデンマークのコペンハーゲンです。ヨーロッパ移民問題の関係でデンマークからスウェーデンに向かう際にIDチェックがあり、日本人である私はパスポートの提示と訪問目的の説明を毎回しており、国境通過であることを再認識しておりましたが、スウェーデンからデンマークに向かう場合は特にチェックもなく、基本的には奨学生が休日にコペンハーゲンへ買い物に行くなどシェンゲン協定下で普段の往来は自由でした。また、WMUの教職員や学生等が航空便を利用する際も、小さなマルメ空港ではなく国際空港であるコペンハーゲン空港が利用されていました。

 COVID-19の影響により、デンマークはこの国境を封鎖しました。このため、買い物はおろか、コペンハーゲン空港を利用した出張等ができなくなりました。もちろん、欧州内も含め各国の渡航規制や航空便の大幅な削減が行われていることは言うまでもありません。

 WMUには、現在2019年に入学した修士課程の学生が在籍していますが、COVID-19の影響下において特別体制をとっております。WMUの校舎と学生寮(ほとんどの学生が滞在)は同じマルメ市内でも若干距離が離れていますが、講義等は基本的に学生寮から遠隔で受けられる仕組みを構築しています。学長や学生担当職員が定期的に学生寮を訪問してケアを行っていたり、WMU校舎内の食堂から昼食の配達も行ったりしているようです。1月から始まった第2学期は専門課程に分科され、専門課程毎にフィールドトリップ(現場研修)が行われていますが、残念ながら今年度は実施できていないようです。

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WMU学生寮(Henrik Smith Residence)
(学生のほとんどは修士コースの14ヶ月間をここで過ごします)
(筆者撮影)

 先日、奨学生選考委員会を経て選考された2020年入学の新奨学生について、6月半ばから約3ヶ月間開講される英語コース参加者(奨学生の一部)については自国からの遠隔参加が予定されていると聞いております。9月から始まる修士課程については、今後の状況を見てWMUが開講方法を判断するものと考えています。

 WMUにおいて実施予定だったイベントも延期されました。過去のWMU卒業生5,000人を招待するイベントは、現在のところ2021年への延期が決まっています。

 日本国内でも新型コロナウイルスが我々の生活に多大な影響を及ぼしていますが、この問題は全世界で発生しており、様々な分野で大きな影響を及ぼしています。海洋分野においても、今後コロナ前とは違う仕組みが構築されることと思います。このような荒波の中、専門性を高め今後海洋の様々な分野で貢献するためにWMUという海原へ漕ぎ出す新奨学生を、温かく見守っていただければ幸いです。

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マルメ市庁舎とFingerpost
(2019年入学の奨学生は2020年11月にWMUから各自の出身国へ旅立ちます)
(筆者撮影)

海洋教育チーム 水成 剛