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海洋政策研究所ブログ

海洋の総合管理や海事産業の持続可能な発展のために、海洋関係事業及び海事関係事業において、相互に関連を深めながら国際性を高め、社会への貢献に資する政策等の実現を目指して各種事業を展開しています。


海洋教育に関する全国アンケート調査結果について [2012年12月20日(Thu)]
これまで、我が国の義務教育における海洋に関連する学習の実施状況は、学習指導要領や教科書の中の海洋関連記述の調査、あるいは特定の実践校の事例調査などの報告例はありましたが、全国レベルでの実施状況は全く把握されていませんでした。

今後の海洋教育推進のあり方を検討するには、学校教育の現場で海洋に関する教育が、全国でどのくらい実施され、どのような題材を取り上げ、どの教科の時間枠で、どのような方法で実施されているのか、また海洋教育に対する教員の認識、関心事項、ニーズはどのようなものか、臨海学校など体験学習の実態はどうなのか、これらをまず明らかにする必要があります。

そこで当財団では日本財団とともに、東京大学海洋教育促進研究センターの協力を得て、「小中学校における海洋教育の実施状況に関するアンケート」 を今年3月に実施いたしました。アンケートは全国の小中学校32,010校に対し実施したところ、6,706校から回答を得ました(回答率 20.9%)。

今般、一次集計結果をとりまとめた報告書を作成しましたので、ここに公開いたします。なお、アンケート中の自由記述回答については 各学校の個別情報が含まれていることから、本報告書には掲載しておりませんが、今後精査したうえであらためて公開を予定しております。海洋教育に 関する基礎資料としてご活用いただければ幸いです。

海洋教育全国アンケート調査報告書.pdf
Posted by 海洋政策研究所 藤川 at 17:00 | 事業の紹介:海洋教育 | この記事のURL | コメント(0)
海水は何故しょっぱいか? [2006年10月17日(Tue)]
海水には、塩素、ナトリウム、硫黄、マグネシウム、カルシウム、カリウム、炭素、臭素などが溶けています。このうち塩素とナトリウムだけで85%にもなります。塩素とナトリウムが化合すると塩化ナトリウム、つまり塩で、これがしょっぱい原因です。先に挙げた8つを合わせると全体の99%を占めることになります。

それでは、何故しょっぱい海水ができたかと言えば、地球の歴史を遡ることになります。
地球ができたのは今から46億年ほど前のことです。
そのころの地球は、表面はマグマで、空は水蒸気や塩素ガスで被われていたのですが、地球の温度が下がるに従って、空にあった水蒸気は雨となって塩素を溶かしながら地球に降り注ぎ、それらが窪地に溜まるようになりました。これが海の始まりで、43億年ほど前の話です。

最初の海は、塩酸が含まれた酸性の海水だったのですが、徐々に岩石に含まれるナトリウムと反応して中和され、現在のような海ができました。つまり塩素を含んだ水にナトリウムが溶け、塩化ナトリウム(つまり塩)の水ができたのです。この時から海水はしょっぱかったはずです。

そして、太古につくられた海が今でも同じようにしょっぱい理由は、溶かす側の水と溶かされる側の塩が、それぞれ入る量と出る量で釣り合っているからです。

まず溶かす側の水ですが、そもそも水は、個体(氷)、液体(水)、気体(水蒸気)のいずれかの形で、空、陸、海の間を行ったり来たりしています。気体から液体になるのは1年間で約500兆トン、一方で、同じ量の水が液体から気体に変化しています。

海を中心にみてみると、海から蒸発する水は425兆トン、一方、海に供給される水は、雨から385兆トンで、川から約40兆トンです。つまり、差し引きゼロで釣り合っているので海の水は一定に保たれています。但し、詳しく見れば、時代ごとに海水量の増減はあります。最近では、地球温暖化にともなって南極や北極の氷が溶け、海水が増えて、海水面が上昇することが心配されています。

次は溶かされる側の塩ですが、塩の素は現在でも供給されています。主な供給源は陸上の岩石で、河川水が溶かし、そのまま海に運び込んでいます。河川水以外では、空からも運び込まれています。最近話題の黄砂は、タクラマカン砂漠やゴビ砂漠の砂や塵が風によって運ばれ、日本・韓国・中国に降ってくる現象です。当然、周辺の海にも降っています。他には海底火山の爆発やマグマの噴出によって、様々な元素が溶かし込まれています。

このように供給される塩ですが、同じように海水から除去されているので、海が年々塩辛くなるようなことはありません。塩は海の中を循環しながら、生物に取り込まれたり、化学変化を起こしたりして、最後は堆積物となって海の底に積もります。しかし、元素によっては、すぐに海から除去されるものもあれば、いつまでも海の中をさまよっているものもあります。これを滞留時間と言いますが、長いのは塩素(1億年)、ナトリウム(2億6000年)、短いのはカルシウム(100万年)などがあります。いずれにしても、海に入ってくる量、とどまる時間、そして出ていく量がうまく釣り合っているので、やはり一定の塩の量なのです。
(海洋政策研究財団研究員 福島 朋彦)





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海に咲く花! 海でお花見! [2006年08月09日(Wed)]
花と言えば日本人なら桜でしょうか。あるいは、花壇に咲くチューリップや野原を賑わす菜の花とかヒマワリなどを思い浮かべますね。
海でもそんな花を見ることはできるのでしょうか?・・・・・と問われれば、私なら「うーん、イエス」と答えます。ためらいながらも「イエス」と答える理由は、花を咲かせる植物が本当にあるからです。

一般に海の植物といえば、コンブ、ワカメ、ヒジキ、ノリなどの、“海藻(かいそう)”の類がおなじみですが、残念ながら、これらは花を咲かせません。
一方、味噌汁の具にもならない、ややマイナーな存在ですが、しっかりと花を咲かせてタネを放つ植物があります。それがアマモスガモウミヒルモなどといった、“海草(かいそう)”の仲間です。

そもそも花というのは、種子植物が有性生殖するときに関与する器官のことを指します。つまり、おしべにある花粉がめしべにたどり着くことで受粉し、やがてタネになるのですが、そのようなことに関与する部分をひっくるめて“花”と呼ぶのです。
海草と海藻は、種をつくる・つくらないによって(花を咲かせる・咲かせない)によって区別されています。

アマモの仲間は、日本全国の浅い海に分布しています。東京湾でも、神奈川県側なら野島崎、観音崎、走水、久里浜、千葉県側なら盤州干潟、富津干潟などで観察することができます。

話しを戻しますが、それなら何故、“ためらいがち”に「イエス」なのかと言えば、これらの花はとても奥ゆかしい、控えめ・・・と言うか、はっきり言ってとても地味なのです。どうみても、アマモの花を観賞しながら、飲めや!歌えや!のテンションにはなりません。そう言った意味で“花はあるけど華がない”といった感じです。 しかしながら、この地味な植物は小魚のゆりかごになったり、イカの産卵場になったり、生態系のなかではとても重要な役割を果たしています。

南の海にジュゴンと呼ばれるおっとりとした大きな哺乳類が住んでいます。日本でも沖縄に生息しているとてもユニークな動物ですが、今は絶滅が心配されています。
ジュゴンの減少には、その暢気さが災いして食用として捕獲されたり(東南アジアの話)、ボートのスクリューに接触して致命傷を負ったりも指摘されていますが、もっとも深刻に受け止められているのが、主食であるアマモが生育する場所が減少していることです。なにしろ、この動物は1日20〜30kgのアマモを食べないと生きていけないのです。

砂浜や干潟など、アマモの生育する浅い海は、埋め立ての対象になりやすく、世界的にアマモの生育場所の減少が問題視されています。 こうしたなか、アマモを植える活動をしている小学生たちがいます。横浜市立西柴小学校のアマモ隊のみなさんです。アマモ隊は、指導されている坂田邦江先生とともに、野島崎をアマモが茂る豊かに海にしようと、日夜努力されています。ホームページも公開されているので、ご覧下さい。ついでながら、もう少し説明しますと、西柴小学校のアマモ隊は、天皇皇后両陛下もご出席された第25回全国豊かな海つくり大会(2005年11月)に参加し、作文コンクールでは大会会長賞を受賞されました。

やや脱線しましたが、最初の問題に戻りますと、海に咲く花には、お花見するような派手さはありませんが、海の生き物を支えていますし、子どもたちの心を豊かにする植物だと思います。まあ、葉桜見物といったお花見の方法もあるのですから、海に行ったら、アマモの葉がゆらゆらするのをみて、癒されてください。
(海洋政策研究財団研究員 福島 朋彦)


*海洋政策研究財団では、2005年3月に、学校の授業で海のことを取り上げやすくするネタ本「海のトリビア」を制作しました。


*今年度は「続・海のトリビア」の制作を予定しています。

コオリウオの不思議 [2006年07月10日(Mon)]
●コオリウオの血液の不思議

コオリウオ科の魚には、ヘモグロビンがありません。そもそもヘモグロビンは、血の中にあって体全体に酸素を運搬する役割を担っています。したがってヘモグロビンが無くなれば、体に酸素を運ぶことができませんから、普通の生き物ならば死んでしまいます。

余談ですが、血が赤いのは、ヘモグロビンには鉄を含むヘムという成分があり、それに酸素がくっ付くからなのです(鉄が酸素とくっ付くと錆びて赤くなるのと同じ理屈です)。

ところがコオリウオの場合は、ヘモグロビンではなく、血漿という成分に酸素を溶かして運搬しています。そのためにヘモグロビンなしでも生きていけるのです。

しかし血漿の場合、ヘモグロビンと比べて酸素運搬の効率が悪いので、量で勝負しなければなりません。つまり、たくさんの量の血液を循環させることで、運搬効率の悪さを補う必要があるのです。

そのためにコオリウオの心臓は他の魚より大きめにできていますし、血液もたくさんあります。さらに良く循環できるように血液の粘度が低くなっています(ドロドロの血液よりも、サラサラの血液が良いのは、ヒトだけではありません!)。


●コオリウオが寒さ(マイナス温度)に耐えられる仕組みは?

コオリウオですが、スズキ目コオリウオ科に含まれる魚の総称です。その名前が示しますとおり、水も凍る南極海に分布する魚たちです。今、水も凍ると言いましたが、コオリウオは凍りません。なぜなら血液を凍らせないような特殊なたんぱく質(不凍たんぱく質)が含まれているからなのです。寒冷地では自動車のワイパー液に不凍液を入れていますね。

●コオリウオを見る機会はあるのでしょうか?

コオリウオ科の魚を日本の沿岸でみることはありませんが、意外にも食卓の上でみることが可能です。コオリウオ科の一種であるコオリカマスという魚は輸入されていますし、フライや唐揚げにすると美味とのことです。

食卓の上やスーパーで切り身を見ただけではつまらない方は、東京海洋大学(品川キャンパス)にある水産資料館へ足を運ばれると良いと思います。コオリウオ科の魚類としては、スイショウウオ、クロスイショウウオなどの標本を見ることができます。

(海洋政策研究財団研究員 福島 朋彦)



*海洋政策研究財団では、2005年3月に、学校の授業で海のことを取り上げやすくするネタ本「海のトリビア」を制作しました。

*今年度は「続・海のトリビア」の制作を予定しています。
魚の泳ぐ速さについて [2006年06月28日(Wed)]
一口に魚の泳ぐ速さといっても、正確な測定は困難です。
なぜなら、人間のように**メートル走をさせる訳にはいかないので、測定したときの速さが“全力疾走”だったのか、それとも“お散歩中”だったのか、必ずしもはっきりしないからです。魚の種類にも拠りますが、“全力疾走”と“お散歩”では、大きな違いがあります。

例えば、ずんぐりむっくりの池のコイをみていると“きっと速く泳げないだろう”と想像したくなりますが、意外にも、危険が迫ると驚くほどの速さで泳ぎ去ります。他にも、いつもは目玉だけを動かしているようなカレイやヒラメだって、餌をみつけた時は“ビュン”と飛びつきます。つまり、正確な遊泳速度は魚に聞かなければ分からないのです。

そうは言っても、全くお手上げという訳でもありません。例えば、アブラハヤなどのように同じ場所にとどまる性質をもつ魚については、水槽の中に人工的な流れをつくり、どのくらいの速さまでなら同じ場所にとどまれるかを調べたり、周囲の景色がくるくる回る仕組みの円形水槽の中に入れ、どれだけの速さで逆向きに泳ぐかを調べたりすることで、おおよその“全力疾走の速度”を推定することができます。もちろん、これらの場合は水槽で飼育できるサイズの魚に限りますが・・・。

このような実験を繰り返し、魚の泳ぎについて、いろいろなことを知ることができました。まず、泳ぎ方についてです。魚の泳ぎ方は大きく分けて、ウナギ型、アジ型、ハコフグ型があります。

ウナギ型は、説明の必要がないかも知れませんが、細長い体をくねくねしながら前進する方法です。ウナギの他にも、アナゴ、ハモ、ウツボなど岩の隙間や砂のなかに穴を掘って棲むような狭いところが好きな魚たちがこれにあたります。

一方アジ型は、尾ひれと体の後半部だけを使って前進するタイプです。マグロやカツオなど最も泳ぎの速いタイプです。

これに対して、最も遅いとされるのがハコフグ型で、体はほとんど使わず、尾ひれだけを動かして泳ぐタイプです。タツノオトシゴなどもこれに相当します。もちろん、これらの中間型も多数存在します。

泳ぎ方が同じでも、魚の大きさが違えば、速さが違うのは言うまでもありません(メダカもマグロも泳ぎの分類で言えばアジ型になります)。したがって、泳ぎの速さを比較する時、実際の速さそのもの(つまり時速○○km)を比較する場合と、1秒あたりに全長の何倍泳げるかを比較することもあります(ヘビー級のボクサーとフライ級のボクサーを同じリングで戦わせる訳にはいきませんね)。

前置きが長くなりましたが以下がそれぞれの魚の速さです。カッコ内は、1秒あたりに全長の何倍泳げるかを示したものです。
コイ: 時速6km(5.6)、 サバ: 時速11km(6.1)、 カツオ: 時速60km(18.6)、クロマグロ: 時速80km(7.4)、メカジキ: 時速96km(6.7)

実際のスピードだけを比べるなら、メカジキがチャンピオンですが、体の大きさの割合を考慮するとカツオが最もすばやいと言えると思います。

以上雑駁ですが、魚の泳ぎに速さに関する説明です。
(海洋政策研究財団研究員 福島 朋彦)



*海洋政策研究財団では、2005年3月に、学校の授業で海のことを取り上げやすくするネタ本「海のトリビア」を制作しました。


*海洋政策研究財団では、1996年8月に、魚類等水棲生物の生物学的動作、運動メカニズム等を造船技術等に応用するために基礎資料として、「抵抗と推進の流体力学−水棲動物の高速遊泳能力に学ぶ−」を発行しました。