6月30日、日本共産党会派を代表して25分間一問一答の質疑に初めて登壇しました
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【
(最終)2017年6月議会予算特別総括質疑.pdf】
最後の質問でさらに
「私は、村井知事にも橋元知事のように政治家として毅然とした言動が今こそ求められていると考えてます。『公害を発生させる企業は企業ではない』と明言して下さい」求めたところ、知事から「その通りだと思います」と前向き答弁もありましたー
「省エネ+分散型・地産地消で地域貢献する再エネ」こそ宮城県の「ベースロード電源」へ
原発も石炭火力発電所もいらない
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日本共産党宮城県疑団の大内真理です。
【再エネ水素活用設備整備費2億円】について質問します。
【1】
この事業は、原子力発電施設が立地する自治体等が実施する「エネルギー構造の多様化(高度化)やエネルギー転換」の「理解を促進する」ため、経産省が創設した国費100%補助メニューの一つです。
今回宮城県が、水素利活用のためとして補助申請を行ったメニューは、太陽光発電で生み出した電気を使って水を分解し、水素と温水を利活用する一連の工程や機器を、コボパーク宮城に設置される電光掲示板やコミュニティFMを用いて「水素エネルギーの有効性」を県民の皆さんにアピールする事業だと理解しています。この理解でよろしいですか?
【2】
この補助事業は平成28年度に創設されました。今回平成29年度メニューに初めて宮城県が手を挙げています。応募資格は、@原子力発電施設がその区域内に立地する道県 A原子力発電施設がその区域内に立地する市町村 B原子力発電施設を取り巻く環境変化の影響を受ける自治体(すなわちUPZ30Km圏内)。このいずれかに該当することが要件です。
原子力発電所が廃炉となった時、原発立地自治体に交付されている電源立地地域対策交付金が廃止されます。原発廃炉をいずれ選択していかざるを得ない自治体が、原発廃炉後もしっかり自立できるよう、今からエネルギー構造を転換していけるよう、この補助メニューが創設されたと理解しています。この受け止めでよろしいでしょうか?
【3】
この『エネルギー構造高度化・転換』補助事業には、平成29年度は13道府県17市町が採用されています。54ある事業名を見ると、新潟県柏崎市は、新庁舎に地中熱設備を導入する可能性調査、茨城県東海村ではバイオマス利活用研究事業など、それぞれの地域条件に合った一次エネルギーについて活用や研究をするのに補助金を活用しています。
その中にあって、宮城県があえて「水素エネルギーの製造と普及」というメニューを選択する理由は、水素社会に大きな期待を抱いてのことだと考えますが、間違いないですか?
【4】
「水素社会」をめざすといいつつ、県がやっていることは、水素自動車一辺倒の施策です。
知事は、「水素自動車」には総額5億7千万円もの公費をすでに投入してきました。将来の見通しはあるのでしょうか?自然界に単体では存在できない水素は、「二次エネルギー」と言われ、水の電気分解やガス・石油などからの高温水蒸気抽出による製造が必要です。
すなわち、今私たちが日常使っている電気と同様、どの資源を用いて、どのように生み出し、どのように貯蔵・運搬し、またどの資源を用いてエネルギー変換するのか。その際のエネルギーロスはどの程度なのか。という『二次エネルギー』ゆえの宿命を持ちます。
水素自動車を大量生産・流通させるためには、化石燃料から二酸化炭素を大量に発生させながらの水素製造が不可欠です。決してクリーンとは言えません。
電気分解による水素製造の場合、今の技術では3割以下のエネルギーしか活用できないと言われています。
太陽光などの再生可能エネルギーで製造した水素が、水素自動車などの大量生産・流通を支えるエネルギー量になる見通しはありません。水素自動車を普及させようとすればするほど、長期間、化石燃料から二酸化炭素を大量に発生させながら製造する水素を使わざるをえません。間違いないですか?
【5】
6月15日に開催された「みやぎ水素エネルギーシンポジウム」に参加しました。
県が配布した「水素社会の推進に向けた県の取り組み」を紹介するA3両面の資料を見て驚きました。基本方針には「東日本大震災を経験し、災害対応能力の強化など」が謳われているのに、『宮城水素エネルギー利活用推進ビジョン』は、「水素自動車や水素バスの普及」のオンパレードです。
「東北発の水素自動車導入!」「東北発!水素スマートステーション導入!」や「東北発!商用水素ステーションの開所!」「東北発!水素バス初披露!」と、水素利活用のほとんどは、水素自動車普及に充てられています。
一台720万円〜760万円もする水素自動車には、国の補助202万円プラス県単独補助101万円。併せて303万円も補助する制度を作りました。1億6千800万円かけて作ったスマートステーションの水素も、3億8千万円かけてつくった商用ステーションの水素も、水素自動車にしか活用することができません。
水素を使う燃料電池自動車と水素ステーションの普及は、安倍政権がアベノミクスの中核として旗を振ってきました。日本以外の世界では、次世代自動車の本命は、電気自動車へと舵が切られたと聞きます。水素自動車に、本当に未来があると考えているんですか?
【6】
結局、水素自動車推進施策の「真の目的」は、安倍政権がアベノミクスの中核として水素社会の推進を掲げ、トヨタの次世代戦略として掲げている水素自動車の普及を、安倍政権と一体になって、宮城県が県民の税金を使って利益誘導しているという事です。
県民の利益をおざなりに、「創造的復興」だと言って、公金を使ってやる最優先課題とはとても言えません。
関連して宮城県のエネルギー政策について伺います。県内全てのエネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの割合目標は、6.7%です。この度宮城県は、国が示す電源構成比率にならい、再エネ導入目標を引き上げる作業が開始されたと聞いています。どの程度まで引き上げる検討がされていますか?
【7】
5月26 日、県庁で行われた再エネ・省エネ促進審議会の席では『福島県は2040年頃をめどに、再エネ供給量を需要量に対して、2009年度実績で20%だったものを、100%に引き上げる目標を掲げた』ことが紹介され、そのことを引き合いに審議委員から『宮城も単に目標の数合わせをしてはいけない。力強いスローガンを示す必要がある』と意見が出されたと報じられています。
この際、宮城県がやるべき方向は、全エネルギー需要に占める再生可能エネルギーの導入割合を福島県のように100%を目指し、計画的・抜本的に引きあげ実践する事だと考えますがいかがですか?
【8】
宮城県内それぞれの地域条件にあった再生可能エネルギーの開発・利用を計画的・抜本的に拡大させる事を、地元の中小企業の仕事や雇用に結びつけ追求する事を提案します。事業の成果や副産物を地元に還元させ、雇用や技術、資金の流れを地元に生み出すように再生可能エネルギーを導入する事が出来れば、そこから得られる電気やガスを販売する事で、地域に新たな収入を生む事もできます。
九州電力管内では、今年5月4日午後一時に、太陽光と風力だけで電力の66%を賄いました。日中の太陽光発電の電力を使って揚水ダムに水をポンプで揚げ、早朝と夕方に水を落として発電する調整も行ったところ、5月全体でも再生可能エネルギーが供給電力量の20%を超える結果になったそうです。このように、すでにある揚水発電設備と組み合わせれば再生可能エネルギーも「予測可能な変動電源」として、ベースロード電源に据える事は十分可能です。
県の事業で私が注目している『ダメだっちゃ!地球温暖化宮城県民会議』や『うちエコ診断士』のような、家庭や団体など草の根から実践している
省エネルギー事業と組み合わせ、地産地消で環境や住民合意に配慮する事はもちろん、地域住民の手で設置・管理・運営されるような再生可能エネルギー事業を宮城県下隅々にまで本腰を入れて取り組むべきと考えます。いかがですか?
【9】
低炭素・持続可能な社会を謳い文句にして化石燃料や原発依存を脱却しようとしている本県にとって、石炭火力発電所のさらなる3基造設計画は由々しき事態と考えます。安倍政権は石炭火力発電所増設を国策として位置付けており、今ここで毅然とした立場をとらなければ、さらなる石炭火力発電所増設が押しつけられる可能性は高いと考えます。
低炭素・持続可能な社会を目指す宮城県は、石炭火力発電所も原発もきっぱり反対を表明すべきだと考えます。知事の決断・明言を求めます。
【10】
原発でいえば、廃炉を決定した町に交付が廃止される『電源立地地域対策交付金』にかわって、国が今回の補助メニューとセットで『原子力発電施設等立地基盤整備支援事業交付金』が創設されています。原発の是非は国の施策だと言って逃げていないで、宮城県として決定すべきだと考えます。
一般質問で中嶋県議が紹介した1969年当時、橋進太郎元知事の『公害を発生させる企業は企業ではない』『社会的責任を負うて初めて存在が許される』の言葉を村井知事は素晴らしい態度だとおっしゃいました。相沢県議、坂下県議も求められたように、議会の総意として石炭火力発電所計画や事業の撤退も含めた厳しい態度でのぞむ必要が明言されました。
私は、村井知事にも橋元知事のように政治家として毅然とした言動が求めれていると考えます。『公害を発生させる企業は企業ではない』明言を求めます。
最後に改めて、県民の利益をおざなりに、自動車産業の利益誘導オンパレードの水素利活用を「創造的復興」だと特別な枠を設ける事は、公金を使ってやる最優先課題とはとても言えません。そのことを強く指摘して、質問を終わります。