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東京音訳グループ連絡会

私たちは東京都内で活動する音訳ボランティア団体で構成しているネットワークです。図書館や社協の所属、上部団体あり、まったくの自主活動など、活動の形態はさまざまですが、より良い音訳活動を目指すという基本の姿勢は変わりません。


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最新コメント
NPO法人中野区視覚障害者福祉協会
講演会のお知らせ (09/12) 中野音声情報デジタル化推進連絡会・りんくる中野 事務局碓井
講演会のお知らせ (09/27) 中野音声情報デジタル化推進連絡会・りんくる中野 事務局碓井
講演会のお知らせ (08/15) 清瀬市・声のボランティア
講演会のお知らせ (10/26) 松田 信治
キルギスへの支援 (04/24)
東京音訳グループ連絡会です。
 連絡先 ( 場合により、1ケ月以上チェックできないことがあります )
〒162-0823 東京都新宿区神楽河岸1-1
セントラルプラザ10階
東京ボランティア・市民活動センター気付
メールボックスNO.2
コメント欄に記述いたたきますと、当方の承認後に掲載となりますので、連絡用にもお使いください。
2月の講習会 中止のお知らせ [2020年02月23日(Sun)]
会員の皆様

急なお知らせで誠に申し訳ございません。

今般の新型コロナウイルスの流行で、政府および東京都からの通達もあり、25日に予定しておりました講習会は、残念ながら急遽中止とさせて頂きます。

今後の予定につきましては、状況を見ながらお知らせさせて頂きます。

まずは取り急ぎお知らせまで。
                (文責:石岡)
2月の講習会のお知らせ [2019年12月17日(Tue)]
2019年12月10日
東京音訳グループ連絡会 会員の皆様へ
             東京音訳グループ連絡会
             運営委員長 上田 勇一
    講習会のご案内
 師走の候、皆様にはご清祥なる日々をお送りのこととお喜び申し上げます。
今年度は、4月、総会後の交流会。6月には現役のアナウンサーから「相手に伝わる読み方とは?」とのテーマで講習会。10月では、利用者の立場からの講演会を開催できました。
 さて、今回は、デイジー図書製作について、デイジー編集、機器、録音/音訳技術に関することから、テキストデイジーやマルチメディアデイジーまで様々なテーマで、皆様の日頃の疑問・お悩み等を募集し、それらをデイジー図書制作の第一線で活躍されている森田聡子先生にお答えいただこうと思います。
大きな事から小さな事まで何でも結構です。是非、ご質問をお寄せください。
受付方法:同封の返信用はがき、FAX、メールにて受け付けます。
宛先:上田FAX:03-6780-8200 
  E-mall:ueyu83546@yahoo.co.jp
締切:2020年1月25日(土)
講習会終了時に、質疑応答の時間を設けますので、時間の許す範囲で先生からお答えして頂く予定です。
       記
講習会テーマ:「デイジー図書制作についてQ&A」
講師:NPO法人 DAISY TOKYO理事長 
   森田(もりた)聡子(さとこ)先生
講師略歴:
平成 7年 東京都朗読専門者養成講習修了
平成10年 デジタル音声情報システム促進委員会の
 図書開発小委員となりDAISY の活動を始める
同年 DAISY TOKYO の設立に参加、代表を務める
平成12年 DAISY TOKYOが、NPO法人となり、
 理事長に就任
平成23年 録音図書制作の全国基準を作成するための
 検討委員会委員
平成25年度 東京都音訳奉仕員指導者養成講習会修了
現在まで多くの図書館でDAISY講習会等の講師を務めている
日時:2020年2月25日(火) 
   午後1時30分〜3時30分
会場:飯田橋セントラルプラザ10階A・B会議室
(新宿区神楽河岸1−1 JR飯田橋駅隣)
(1・2Fに講習会案内掲示板を掲示していませんので、ご承知おき下さい)
                                      
※参加は、会場の収容人数の関係から、各グループ2名以内とさせていただきます。返信用はがきに、63円切手を貼り、質問を記載しない(出欠のみの)場合は令和2年2月20日(木)迄に、質問を記載する場合は1月25日(土)までにご返送下さい。
                                      以上 
10月講演会の報告 [2019年12月17日(Tue)]
東京音訳グループ連絡会 講演会報告

   「視覚障害者の読書の現状と課題 
〜今後の音訳者に求められる知識と技能〜」
 
講師:松井 進氏  千葉県立西部図書館 読書推進課    
日時:令和元年10月15日(火)午後1:30 〜3:30
会場:飯田橋セントラルプラザ10階 A・B会議室
参加:39グループ 74人  

松井 進氏プロフィール
 1971年、千葉県生まれ。先天性緑内障を患い、統合教育を経て中学から盲学校へ。千葉県立千葉盲学校卒業後、米国オーバーブルック盲学校インターナショナルプログラムに参加。コンピュータプログラマーとしての訓練を受ける。1992年、点字による公務員採用試験を経て、千葉県庁職員に採用。
 現在は「千葉県立西部図書館」に勤務。
一方、盲導犬に関する著作も多く、録音版、点訳版、大活字版、電子書籍版などの多媒体出版を実現して読書のバリアフリー活動を牽引。また当事者の立場から買う読書、借りる読書の実現と充実を目指して研究開発や普及活動に取り組んでいる。

盲導犬、黒のラブラドールレトリバー「ジョバンニ君」と共に会場にお越しくださった松井さん。
冒頭、台風19号の影響でお勤め先の西部図書館の書庫が水漏れの被害にあったことに触れられ、「何かと大変な中、多くの方々にお集まりいただいたので、少しでもいい情報を持ち帰っていただけたらと思います。」と挨拶。利用者としての立場から、また障害者サービス実務者としての立場から、忌憚のないご意見と将来展望を幅広く語っていただきました。
(内容は以下の通りです。)

1.視覚障害者の3つの問題<読み・書き・移動>をどう克服しているか
右向き三角1一般に外界からの情報の80%以上は視覚を通して得ているといわれるため、視覚障害者は別名「情報障害者」ともいえる。
@ 読み…点訳(視覚障害者の約9%しか読めない)、録音図書、大活字、対面朗読、OCR(文字読取装置)、PC&スマホなどの利用。 
A 書き…PC、スマホ、代筆サービスなどの利用。
B 移動…白杖、ガイドヘルパー、盲導犬の利用。

*盲導犬メモ:日本の視覚障害者は約353,000人、盲導犬は約950頭(東京には約80頭、千葉には約30頭)一般のペットとの違いはハーネス(ハンドル)を付けていること。
ジョバンニ君は講演中もハーネスを付けてお仕事中。吠えない、噛まない、騒がない”の訓練通り、講師の足元に伏せて静かに存在を消している。
ジョバンニ君は薄いコートのような洋服を着用。それは、抜け毛予防のためであり、周辺への配慮。そして逆に、伏せることも多いので自分が汚れないためでもある。

C 情報障害…インターネットやEメール、TV・ラジオなどの活用。
・近年ではスマホなども積極的に利用されている。

2.図書館利用に障害のある人とは→2極化が進展している実態
右向き三角1図書館利用の具体的障害…@物理的な障害 A資料利用の障害 Bコミュニケーションの障害
・障害はかつての医療モデルから社会モデルへと変化している
「医療モデル」:医療的な欠損部分をどう補うか、障害者が努力して、リハビリテーションをして少しでも一般の人に近づく、という考え方
         ↓
「社会モデル」:社会的な障壁、不便さを社会がインフラを整備していくことで克服し、障害のあるなしに関わらず平等な社会を作っていこう、という考え方。ユニバーサルデザインに反映。 
・自己責任時代から共同の支え合いに意識の変革が必要
    
3.私が読書問題に取り組むようになったきっかけについて
右向き三角1幼児期からの自らの読書方法、その変化…弱視児から全盲へ
・読む方法の変化…一般文字→(小学校高学年から)拡大コピー&大活字→(中学生から)点字&
録音図書→(高校生から)PC→(数年前から)スマホなど
・補助具の変化…眼鏡→ルーペ&単眼鏡→拡大読書器→音声読書機器&PC
・書く方法の変化…鉛筆→濃い鉛筆→サインペン→太マジック→レーズライター→点字板→PC   
    
*私はかつて点字の触読に苦労した。盲学校に入った頃は幼稚園レベルの点字力と言われた。英語、数学の記号が読めず、試験で人生初めての0点を取ったことも。2年間くらいは低空飛行が続き、将来何ができるのかと悩んだ。
点字には基本的に漢字がない。先天性の視覚障害者で点字しか知らない人は漢字を知らなかった。私はPCを使うようになってやっと漢字仮名文の読み書きを復活させ、漢字文化に浸れると感じた。でも、PCを使う上での同音異義語、同音異字には泣かされた。 
・最近ではスマホを積極的に活用して情報収集・発信する人も多くいる。時代の変化を感じる。

4.音訳者の役割
・音訳とは、視覚障害者など通常の活字による読書が困難な人たちに対し、文字や写真・図表・グラフなどの視覚情報を文字に置き換えて耳での読書に繋げる仕事。
 読みの技法だけでなく、図や写真、表やグラフなどの視覚情報を言葉に代える技能の習得も重要。また、読み方の調査、図や写真などの説明文作成など、下準備が大切である。
・漢字や同音異義語など相手が誤解する恐れのある言葉には、適宜説明を加えていただきたい。
・本来は図書館の職員の仕事。公共図書館では些少ではあるが、謝金の支払い、または機材提供などでお礼をするよう努力している。

5.私と録音図書との出会い
 *点字習得に苦労していた頃、録音図書を使うようになった。録音図書を片っ端から聞きまくった。通学時間も利用して、年間テープ1000本くらいは聞いた。点字が読めなかったから録音図書で勉強もしていたのだ。そんな時、点字図書館に勤めていた経験のある晴眼者の図書館司書の方が産休補助で盲学校の図書室に来ておられ、「目が悪くても図書館に勤めて、目の見えない人向けに情報提供している人達がいるんだよ」と教えてもらった。これこそが、復活のきっかけ。私の人生を変えた。

右向き三角1どのような録音図書は聞きやすいのか?聞き辛いのか? 様々な録音図書を聞いてみる
@ 良い音訳
表紙の説明 講師著「Q&A盲導犬 ともに暮らし、ともに歩き、広がる社会」より
 表紙カバー/地の色、3枚の写真の内容、タイトルとのレイアウト、タイトル・副題文字の色、吹き出し・帯状のデザイン、著者名、出版社名など。
 裏カバー、背、表カバー折り返し・裏カバー折り返し・本体表紙、遊び紙・扉/内容と写真説明
*表紙がイメージできる。さっと捲ってしまう表紙にこれだけの情報量のあることを我々視覚障害者は知るすべがない。だから、表紙の説明も大切。目で一瞬に捉えられる情報が耳からの情報に置き換えるとこんなにも大変だということ。  
A 合成音声  
今日の新聞社会面、書籍「図書館利用に障害のある人々へのサービス」他
*少々違和感はあるが、最近では結構きれいに聞けるようになってきた。   
“早い・安い・まずい”のが合成音声。内容を理解するだけなら利用価値あり。
でも聞き心地は良くない。利用者の好みは分かれる。
B 悪い音訳 
合成音声みたいな機械的な読み、独特のリズム・節、語尾が伸びる、声が暗い、声が震える、などのサンプル
*聞くに堪えない音訳、これなら合成音声のほうがいいと思える音訳もある。音訳は尊い行為、感謝もしているが、聞くのがボランティアになってしまうことも現実にはある。
右向き三角1iPadでキンドルの電子書籍を聞く
*ダウンロードして勝手に読ませるだけ。合成音声、はっきり言ってかなり使えます。
右向き三角1サピエ図書館から
「新着図書情報」や「人気のある本」の検索、「シネマデイジー」と「テレビデイジー」(NHK
「ひよっこ」タイトルロールの場面)を聞く。人気のサービス。
右向き三角1マルチメディアデイジー図書を聞く
音声とその部分のテキストや画像等を同時に再生できる。文字の大きさ、色、行間、読み上げ速度の変更も可。伊藤忠記念財団が製作し、特別支援学校などに寄贈。学習障害者、知的障害者ら視覚障害以外の人たちが利用できると大変期待されている。

6.録音図書利用の実態→利用者の置かれた環境や立場によりニーズは様々
右向き三角1PCやスマホを使い自力で情報を入手できる人と支援機器が使えずに困っている人が2極化している。
*スマホの音声アシスタント機能を使って対話型のやり取りを実演。「ここはどこ?」「今日の天気は?」「1ドルはいくら?」「この近くの飲食店を教えて」etc.
・中途視覚障害者が増加傾向にあり、高齢者も多い…点字の習得やPC操作ができない人は圧倒的に多いので、録音図書が大変活用されている。
・学生向けのサービス…勉強する時に録音図書が必要だが、時間がかかりすぎて待てない。
→本を預かって裁断し、PDFファイルにして利用者に送る。ただ合成音声による誤読が多い。
→OCRソフトでテキスト化、聞きやすいデータにして提供することも。圧倒的に学生さんが多い。
・娯楽性も重要…歴史小説、成人向けの図書(自分で検索、ダウンロードして読めることが大事。
女性音訳者は読み辛いと思うが、もっと音訳してあげて欲しい。)
・災害支援情報、地域生活情報の必要性がさらに増している…広報の音訳は行政の仕事、税金で行うべきことなので、対価をもらうべき。  
・速報性の重要性
*DAISY雑誌を聞いてみる。「週刊朝日」10/18号、「週刊現代」10/12・19合併号など
速報性を確保するため大勢の音訳者で読む。人海戦術。ほぼ1週間遅れのデータアップ。

7.音訳者に求められる技能
@ 朗読技法の習得
A 図や写真、表やグラフなどの視覚情報を言葉に代える技法の習得
B 読み方の調査方法の習得
C 録音操作の習得(PCまたは専用の録音機器)
*音割れや、ヒスノイズのある録音を聞く。
→ボリュームコントロールの方法を覚えたり、ヒスノイズを削るソフトを使用するなどして防止して欲しい。
D 技能を高め継続して音訳をおこなうためには、初級講座終了後も定期的にスキルアップを目指すための講座を開催するのが望ましい。また、各地で音訳技法習得のための様々な講座が開催されているので、技術を磨いて欲しい。
E 活動の舞台も自分たちのボランティアグループ内だけでなく、点字図書館や公共図書館のほか、別の活動をしているグループに目を向けたり、音訳だけでなくガイドヘルパーをするなど幅を広げていただくのもいいと思う。

8.情報の伝え手としての音訳者の役割
@ 利用者のニーズに寄り添ったサービスを
A 利用者との接点の必要性…「視覚障害者を知らずして音訳は知らず」利用者を知らないと音訳だけを知っていてもダメ。利用者がどういうことに困っているのかを知らないと、言葉の説明ポイントも具体的にイメージできない。そのためには、たまにでもいいから視覚障害者と接して欲しい。一緒に食事をするとか、勉強会・交流会の機会を設けるとか。
B 社会的意義が非常に高い…サピエ図書館より全国に配信。またマラケシュ条約の発効により国際的な配信も可能になるので、世界中の読書障害者に役立つ可能性も。
C 自己実現と自身の生きがいを見いだせる…音訳は頭を使い、声を使う活動なので健康寿命も延びる。人にも自分にも役に立つ。

9.著作権法の改正について
・平成22年の著作権法改正により、利用対象者が従来からの視覚障害者だけでなく、「視覚著作物の利用が困難な人たち」にも拡大され、本のページをめくることが難しい身体障害者や読字障害者(知的障害者、発達障害者、学習障害者、ディスレクシアなど)の他、本年の著作権法一部改正により、視力や視野に問題がなくても、目の焦点を合わせるのが難しいなど眼球の使用に不全があり読書が困難だと認められる方や、上肢障害、ALS(筋萎縮性側索硬化症)などの読書困難者にも録音図書などが提供できるようになった。皆さんが作ってくださった録音図書は副次的に他の障害者の方も、寝たきりの高齢者や闘病中の方も使えるようになった。素晴らしいことだと思う。
・ただし、著作権法の絡みもあるので、届けるのは図書館に任せましょう。皆さんは供給に努めてください。また利用者と接点を持つことに専念してニーズを把握していただき、より良い録音図書を作っていただきたい。
・令和元年6月21日には「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(通称「読書バリアフリー法」)が施行された。このおかげで公共図書館でも障害者サービスをやらなくてはいけなくなった。もし地域の図書館が障害者サービスを提供していなかったら、ぜひ指摘してください。
   
10.お願い
 ぜひ今後も読書障害者の応援団を継続していただきたい。そして、ボランティアを楽しんで、スキルアップしながら長期間の活動継続をお願いしたい。
・読書支援には今後も多くの支援者の協力が必要。情報は人間が生きるために必要不可欠。
正しい情報を伝え、学習し、豊かな生活が送れるようにするための支援をぜひお願いしたい。
図書館は誰もが利用でき、図書にアクセスできる場所。皆さんが作る音訳図書によって、社会復帰できる人がいるという可能性もあり、凄いことです。
・製作した図書は後世に伝えられ、今後読書障害になる人たちの支援に繋がる。
マラケシュ条約の発効により録音図書の国際間でのやり取りが可能になった。世界の読書障害者に役立つ可能性も秘めている。皆さんが作った録音図書が世界に羽ばたくことも知っておいてくだされば嬉しい。

質疑応答
1. Q 外国語を勉強したいという音訳ニーズはありますか?
A つい最近もイタリア語の勉強をしている学生さんから、テキスト化でイタリア語の資料を作って もらえないかと依頼があったが、イタリア語が解る音訳者を探せなくて作れなかった。それ以前にはドイツ語、フランス語の本の音訳依頼があり製作できた事例もある。ですから、そういう技能のある方は登録していただいて、うちの図書館でも読んでくださったら嬉しいです。特に学生さんから、テキスト化のニーズがあり実際にやっているが、外国語の符号とかはできないこともあるので断ってスキャナーにかけている。多言語を登録したユニコードがあり、OCRでかなりきれいにできるようになってきた。iPhoneに合成音声を読ませる外国語のエンジンがはいっているので、テキスト化したものを合成音声で読ませている。先ほどのドイツ語やフランス語の利用者さんは、そういうものと併用しながら学習されている。

2. Q 今後、合成音声がどんどん進歩していくと思うんですが、音訳者との住み分けはどうなっていくのでしょう? 心配です。
A 普通に読めるものは機械で読めるようになっていくと思う。まして読書バリアフリー法もできたので、キンドルなどで新たにアクセシビリティを確保できる電子書籍を作っていく可能性はある。
じゃ、音訳者の仕事はなくなるか?いや、そうではなくて、音訳者の仕事はより高度化する。
図や表やグラフ、写真など視覚情報の説明は機械ではまだできない。読み飛ばしです。皆さんに
は一目瞭然でも、視覚障害者には説明が必要。これを言葉に置き換える作業は高等技術で、
いくらAIが発達しても機械にはそう簡単にはできない。
 ですから、私は住み分けだと思う。速報性でさっと読めるものは機械に読ませればいい。でも、ちゃんと学習するために細かい部分まで読みたいと思ったら、合成音声で読める資料は少ない。
そして、学習することを考えたら専門書がまだまだ少ないんです。そして特に少ないのが、YA
(ヤングアダルト)の分野で児童書やラノベ(ライトノベル)の音訳がほとんどない。利用者は大好きなんですけどね。うちの図書館ではラノベのリクエストがあったら点字データから合成音声に換えて渡している。
 どうして皆さん、YAを音訳しないのかなぁ?マンガ本も少ないです。今日は葛飾の音訳グループもいらしてるが、「こち亀」(「こちら葛飾区亀有公園前派出所」)の音訳はすごく喜ばれていますよ。マンガ本も難しいから少ないですね。
 だから、確かに普通の本なら機械の方が上かもしれないけど、そうじゃない分野がより重要に
なってくると考えてください。そして人間だからこそできるんだとプライドを持ってください。
 よろしくお願いします。

3. Q 私たちのグループは、サピエ図書館に書誌情報の登録と、国会図書館の方にデータアップをして いるが、サピエ図書館で検索できるのなら、国会図書館へのデータアップだけでサピエ図書館への書誌情報登録はしなくても利用者の方々にご不便はないのでしょうか?
A これはシステムの非常に残念なところです。うちの図書館はサピエと国会両方に登録します。
サピエからログオンした場合はサピエの図書と国会図書館の図書両方が検索でき、ダウンロード
できる。しかし、国会図書館からログオンするとサピエの情報は入ってこない。両方に登録する
意味は、重複製作を防ぐためサピエにログオンできない立場の人達も検索ができないといけない
からです。この場合、サピエサーチと国会サーチ両方に情報を入れておかないといけない状況で
す。今はまだ二重作業、早く一本化して欲しいものです。


悪い録音図書の紹介に関しては、松井さんは最後まで申し訳なさそうにしていらっしゃいました。
しかし、音訳者には一般的には試聴できない音源であり、悪い例を自分に照らし合わせながら聞ける貴重な機会であったと思います。さらに、グローバルな将来展望や生きがいとしての音訳活動の示唆など、若手音訳者の方々にもぜひ伝えたい講演会となりました。 
                                      
(以上)
6月講習会の報告 [2019年10月15日(Tue)]
東京音訳グループ連絡会 講習会報告

「相手に伝わる読み方とは?」

講師:松井治伸 氏(NHK放送研修センター日本語センター エグゼクティブアナウンサー)
富山県出身。昭和60年(1985年)、NHKにアナウンサーとして入局。朝の生活情報番組「生活ほっとモーニング」のキャスターなどをつとめる。現在、NHK放送研修センター・日本語センターで、朗読講座の事務局と講師を担当。また、今年4月から「ラジオ深夜便」(1・3週月曜)のアンカーとしても活躍中。

日時:令和元年6月11日(火)午後1:30 〜 3:30
会場:飯田橋セントラルプラザ10階 A・B会議室
参加:39グループ 79人

令和初の講習会では、音訳の基本である「読み」について、「読み」のプロであるアナウンサーに教えていただきました。講師の松井氏は、数多くの課題文を用意してくださり、自らマイクを持って会場を移動、ほぼ全員の読み方に応えてくださり、実践的で分かりやすい講習会となりました。
                                     (以上)
6月の講習会のご案内 [2019年10月15日(Tue)]
                 令和元年5月14日
東京音訳グループ連絡会 会員の皆様へ
             東京音訳グループ連絡会
             運営委員長 上田 勇一
講習会のご案内
 風薫る5月、皆様にはご清祥なる日々をお送りのこととお喜び申し上げます。
去る4月、総会後の交流会では、皆様の活発なご意見を伺え、皆様と交流が図られました事、深く感謝申し上げます。
 さて、今年度2回目は、講習会のご案内です。
日々の音訳活動で最も大事な、「相手に伝わる読み方とは?」とのテーマで、「自然なイントネーション」で読むには、「棒読み」でなく「話すように読む」ためには、意味のまとまりで読むには、相手に届く発音発声とは、適切な「高さ」「間」「速さ」は、と言った具体的な例を通し、現役のアナウンサーに講習をして頂きます。
 また、プロジェクターを使い、課題文が用意され、説明文や評論、文学作品などを何人かの方に実際に読んでいただき、適切なアドバイスを頂ける内容となっています。
皆様にとって、今後のより良い音訳活動に大変参考になるお話になると思います。
皆様の参加をお待ちしています。
 講演会終了時に、質疑応答の時間を設けますので、事前に「こんな話を聞きたい」と言うようなご質問がありましたら、返信はがきにご記入下さい。
      記
講習会テーマ:「相手に伝わる読み方とは?」
講師:松井 治伸(はるのぶ)氏
   NHK放送研修センター日本語センター、エグゼクティブ・アナウンサー
講師略歴:昭和60年(1985年)、NHKにアナウンサーとして入局。朝の生活情報番組「生活ほっとモーニング」キャスターなどをつとめる。現在、NHK放送研修センター日本語センターで、朗読講座の事務局と講師を担当。今年4月から「ラジオ深夜便」のアンカーを担当。
日時:令和元年6月11日(火) 午後1時30分〜3時30分
会場:飯田橋セントラルプラザ10階A・B会議室
  (新宿区神楽河岸1−1 JR飯田橋駅隣)
(1・2Fに講習会案内掲示板を掲示していませんので、ご承知おき下さい)
                                      
※参加は、会場の収容人数の関係から、各グループ2名以内とさせていただきます。
問合せ先:上田 E-mall:ueyu83546@yahoo.co.jp
平成31年度総会・交流会報告 [2019年10月15日(Tue)]
                 令和元年5月14日
東京音訳グループ連絡会 会員の皆様へ
             東京音訳グループ連絡会
             運営委員長 上田勇一

 新緑の候、会員の皆様には益々お忙しくボランティア活動にお取り組みのことと存じます。皆様には日頃から、東京音訳グループ連絡会の運営に多大なるご支援とご協力をいただき、心より御礼申し上げます。
 去る4月16日(火)飯田橋セントラルプラザにて、平成31(令和元)年度総会・交流会が開催されました。下記の通りご報告いたします。
        
平成31(令和元)年度 総会・交流会 報告
日時 平成31年 4月16日(火)午後1時半〜3時半
会場 飯田橋セントラルプラザ10階A・B会議室
会員総数47グループ :
 出席 41グループ(出席者総数 69名)
 欠席  6 グループ(委任状4グループ)

総 会 13:30〜13:50
決議事項  
1.平成30年度 活動報告
2.平成30年度 会計報告
3.平成30年度 監査報告
4.平成31年度 運営委員・会計監査紹介
5.平成31年度 活動計画案
6.平成31年度 予算案
7.質疑応答

各項目とも全会一致で承認されました。

交流会 14:00〜15:30
参加者を7テーブルに分け、活動状況や悩み・課題などを話し合いました。
それぞれのテーブルで取り上げられた話題を要約してご報告いたします。

@ 新人獲得の難しさ   
 *募集について
・社会福祉協議会が主催していた養成講座が開かれなくなり、今は自分たちのグループが主催し、募集をかけている。かかりきりで忙しく、自分たちのスキルアップ講習会までは手が回らない。
・社協での募集は図書館での募集より応募者が少ない。
・講習の初回に説明会を、筆記試験・アンケート・面接をして選考。
・定年後から活動を始める人もいる。定年後の男性にも参加してもらいたいので、年齢制限は70歳未満。PC操作ができる人は高齢でも活動できる。

 *定着について
・すぐに簡単に辞めてしまう。講習終了後、入会ゼロの年も。入会後1年間で半減したケースなど多数。
・社協主催で講習会を夜に開催。働く人たちへの配慮も。
・市報で「中級音訳講習会」参加者募集の告知。会員と一緒に初心者も受講。音訳概要、会の雰囲気を知ったうえで入会、辞めずに残って戦力に。
・利用者との普段の交流も大切。リクエストした音訳図書によって読書の楽しさを実感しているという感想を聞くとやりがいに。音訳の勉強は大変だが、利用者との気持ちの繫がりが嬉しくて続けていける。

 *養成について
・ミニコミ誌、ミニコラムなどを読んでもらい、実践を通して勉強を。
・スパルタ式。1冊丸ごと音訳をしてもらい、読み・処理・PC等各担当の
ベテランが教える。すぐ辞める人もいるが、読み通した人は残る。
・音訳だけでなく、高齢者施設の訪問も。発声や相手に話す練習にもなる。

A スキルアップについて
・グループ内の音訳指導者養成講習会修了者が新人を指導する勉強会と、
外部講師による講習会とを開催。
・図書館が講習会開催。グループには研修係という役目があり、図書館と
一緒に講師選定も。講師代は図書館の予算で。
・市に呼び掛けても協力してもらえない。予算がないので共催でどうか?と。
視覚障碍者のためのスキルアップという意味を理解していない。

 *講師探しに苦労している。そこで、お名前が上がった先生方。
高橋久美子先生・武田玲子先生・磯部誠子先生・中島久子先生・山内 薫先生・遠藤美枝子先生・高野淑子先生・中山玲子先生・平井任子先生。

B グループの継続(高齢化)とこれから
・会員の高齢化に新人養成が追いつかない。世代交代が上手くいかない。
・高齢化は進んでいるが、それぞれ自分のできることを担当。
・テープ録音からデイジーへの転換期にPCが使えない多くの高齢会員が
退会したように、今後のテキストデイジー・マルチメディアデイジー製作への移行でどう組織が変わるのか不安も。 
・区の助成金でマルチメディアデイジーのソフトを揃えた段階、図書館から副読本のマルチメディアデイジー化を勧められ制作中、という会も。  
・利用者が視覚障碍者だけでなく、対象者が広がることへの期待感。

C その他
 *プライベートリクエストのみを製作するグループの話
「断らない」を原則に活動。「間違いがあってもいいからすぐ読みたい」「引用箇所、グラフなどは飛ばしていいから、何が書いてあるか知りたい」という要望に応えている。利用者の口コミが主。多少手を加えれば一般の音訳図書としての体裁が整うが、それより次を待っている利用者の要望に応えたい。

 *データ通信、やり取りの方法について
・「宅ふぁいる便」というソフトが問題を起こし、目下使用不能。→ 代替ソフトの「ギガファイル便」「ファイルポスト」などの無料転送サービスを紹介。
・「ワンドライブ(マイクロソフトのオンラインストレージサービス)」を利用している。
・USBを郵袋でやり取りしている。
・区のほぼ中央に図書館があるので、そこにスペースを借りてポストを用意し、USBのやり取りをしている。

 *HPの利用
・利用者が減っている。HPを立ち上げたら、それを見て連絡をしてきた人もいる。利用者拡大に繫がるか?
・HPに音訳依頼の連絡があり、「(事情があって)本は返さなくていい。できた音源はクラウドにアップしてメールで完成の旨伝えてくれれば、自分でダウンロードする。」とのこと。どこの人かはわからずじまいだったが、ネットのこんな利用法もあるのかと驚かされた。と同時に、新しいネットの可能性やボランティアのあり方が広がる可能性も感じた。
                    以上
10月講演会のご案内 [2019年10月14日(Mon)]
             令和元年8月6日
東京音訳グループ連絡会 会員の皆様へ
             東京音訳グループ連絡会
             運営委員長 上田 勇一
講演会のご案内
 今年度2回目の東京音訳グループ講演会のご案内です。
 本年4月、総会終了後に行われた、交流会では「新人獲得の難しさ」「スキルアップについて」「グループの継続(高齢化)とこれから」等の議題を中心に行われました。その中で『「間違いがあってもいいからすぐ読みたい」「引用箇所、グラフなどは飛ばしていいから、何が書いてあるかしりたい」という利用者の要望に応えている』という実体験の意見がありました。今回はそうした、利用者の立場からの講演を企画しました。多くの皆様のご参加をお待ちしています。
 講演会終了時に、質疑応答の時間を設けますので、質問の有る方は、返信はがきにご記入下さい。
        記
タイトル:「視覚障害者の読書の現状と課題――今後の音訳者に求められる知識と技能」
講師:松井 進 氏
プロフィール: 統合教育を経て中学から盲学校へ。読書の手段を一般文字から点字や録音図書に切り替える。アメリカ留学後点字による公務員採用試験を経て千葉県庁職員に採用。現在は「千葉県立西部図書館」に勤務。
日時:令和元年10月15日(火) 午後1時30分〜3時30分
会場:飯田橋セントラルプラザ10階A・B会議室
  (新宿区神楽河岸1−1 JR飯田橋駅隣)
(1・2Fに講演会の案内掲示板が貼っていませんので、ご承知おき下さい)
※参加は、各グループ2名以内とさせていただきます。
※同じ内容を、ブログ「東京音訳グループ連絡会」にも掲載しています。
問合せ先:上田 E-mail:ueyu83546@yahoo.co.jp
                     以上
平成31年度第28回総会のご案内 [2019年04月13日(Sat)]
東京音訳グループ連絡会 会員の皆様へ 
    平成31年2月28日  
東京音訳グループ連絡会    
運営委員長 上田 勇一
 
  平成31年度第28回総会のご案内
 春の暖かい日差しが気持ちのいい季節になりました。日頃から、東京音訳グループ連絡会の運営にご理解ご協力いただき、誠にありがとうございます。
 平成31年度、第28回総会を下記の日程で開催いたします。
 総会後、今年度のスタートに当たり、1月の研修会の折、皆様からアンケートを頂いた題材を元に、交流会を開催いたします。より良い活動を目指すために、皆様の活発なご意見を賜りたいと存じます。
 ご多忙中とは存じますが、ぜひご参加いただきますようご案内申し上げます。

       記
日 時:平成31年4月16日(火) 
    午後1時30分〜3時30分
会 場:飯田橋セントラルプラザ10階 
    A・B会議室(JR飯田橋駅隣接)
 1)議題 
   @ 平成30年度 活動報告
   A 平成30年度 会計報告
   B 平成30年度 監査報告
   C 平成31年度 運営委員紹介
   D 平成31年度 活動計画案
   E 平成31年度 予算案
 2)交流会 皆様の意見交換を行います。
 ご出席の確認、及び委任状の取りまとめがありますので、お手数ですが同封のはがきに、必要事項をご記入のうえ、62円切手を貼り、4月10日(水)までにご返送ください。できる限り代表者のご出席をお願いいたします。
*代表者の変更がございましたら、同封のはがきにご記入ください。
*当日、年会費2,000円を集金させていただきますので、よろしくお願いいたします。

問い合わせ先 上田 勇一 090-5761-9498  
             03-6780-8200
1月研修会「音訳サービスの今昔と聞きよい音訳の基本」 [2019年04月13日(Sat)]
東京音訳グループ連絡会  研修会報告
「音訳サービスの今昔と聞きよい音訳の基本」
      
講師:高橋 久美子先生(音訳指導者)
 1970年、都立日比谷図書館にて公共図書館初の対面朗読、録音図書製作に携わり、都立中央図書館へのサービス移行と同時に同館での音訳を継続。
これまで約50年にわたる音訳サービスと音訳者の育成、指導に携わる。  
日時:平成31年1月29日(火)午後1:30 〜4:00
会場:飯田橋セントラルプラザ10階 A・B会議室
参加:41グループ 77人  

研修会開始前から高橋先生の周りには多くの「生徒さん」が集まり、まるで同窓会のよう。
長い指導歴と親しみやすいお人柄が感じられる中、研修会はご自身の音訳活動の第一歩から
始まりました。 
(内容は以下の通りです)

1.公共図書館における音訳サービスの歴史
                       
 ■ 1970年(昭和45年)4月、都立日比谷図書館で視覚障害者への音訳(当時は朗読)サービス開始。
 ・その準備期間であった前年、朗読が趣味だった私は、友人の紹介で初めて音訳という世界を知った。まず音訳サービス開始にあたり、利用者の要望を都に提出するため、資料を読んだり、書類を書いたり、点字を活字にしたり、毎週土日、7〜8ヵ月間、目の見えない方々と作業をした。ガイドをするためのマニュアルも、勿論音訳のマニュアルも何もない時代ですべてが現場主義だった。
 ・こうして偶然知った「本が読めない人がいる」「図書館を使えない人がいる」という現実や、「もっと勉強したいのに読める本がない」という切実な悩みがそばにいるだけで突き刺さるように分かってきた。そして自然に視覚障害者の音訳という世界を意義深く受け入れることができた。この準備期間に利用者と交流したことが私のエネルギーになり、今も活動の根底にある。
 ・いよいよ、点字図書館ではなく公共図書館という教育行政でのサービスが始まった。当時の点字図書館の蔵書は約80%がエッセイ、小説などの読み物だったので、そこには少なかった専門書を優先。オープンリール式の7インチテープによる録音だった。
 ・初めての音訳図書は、忘れもしないバーネットの医学書(翻訳本)。どれほど苦労したか!初年度は蔵書ではなく個人へのサービスだったから救われたものの、利用者からの要望は図表をはじめ、句読点以外は全部抜かずに入れることだった。専門書だから正確さが第一。そして当時、利用者は点字でメモをする方法しかなかったので点字化することを大前提に、記号に拘って音訳をしていた。だから、私はカッコの種類とか読み方はものすごく上手よ!(笑い)ただただ忠実に書かれたままを、という約束で読んでいた。それが最初の出発だったから、音訳とはすべてを読み込むものだと思い込んでいた。でも、決して聞きやすい音訳ではなかったはず。すべてを読み込むことについてはその後吹っ切れてきたが、長らく囚われていた。
 ・国会図書館もS50年から音訳サービス(学術書・専門書)を開始したが、当時の記号読みはひどかった。利用者から音訳技術を上げて聞きやすくしてほしいと国会議員に要望したこともあったほど。

✽今はしっかりした音訳マニュアルのある時代。ある程度の基盤があって始められた皆さんは、
私が遅々とした亀の歩みで10年かかって身に着けたことを短期間で、すでに身に着けていらっしゃると思う。ただ幸いにも私はマニュアルのない時代に試行錯誤した経験が役に立った。統一マニュアルはベースには必要だが、全ての本に絶対ではない。決してマニュアルに呪縛されず、原本忠実でしかも聞きやすい音訳のためにレベルアップしていただきたい。

 ■ 1970年秋、対面朗読の開始
 ・音訳のニーズが多く、供給が間に合わない状況の中、利用者から図書館に行くのでそこで読んで欲しい、という要望に応え「対面朗読」が始まる。部屋がないので事務室の隅についたてを立て実施。   
 ・初めての利用者は盲学校の先生。まず出版年鑑から国語関係のタイトルだけを読んで、何冊か書き留めた後、職員にそれらの本を探してもらう。日比谷図書館の場合、90数%ほとんどの本を出せた。今度はその本の目次だけを読む、その中からヒットしたページを読み出し、2、3行読んで違ったら、また目次を読んで…と繰り返す。最終的に2、3冊選んで貸し出しを受け、それを音訳する。
面白いほど本から本へと伝播していく。これこそ好きな本を選んで読める、公共図書館でなくてはできない仕事だと大いに意義を感じた。
 
 ■あれから半世紀、 公共図書館の理念は
 ・公共図書館には、膨大な蔵書から専門書も娯楽図書も何でも自分の読みたい本を選べるという最大のメリットがある。近年では機器の発達やPC利用で様々な情報を音声化して聞けるので、ここまで図書館の利用に頼らなくてもいい時代だが、昔も今も公共図書館の理念は変わらない。
「いつでも、どこでも、だれでも」当たり前に公共図書館が利用できること。音訳サービスの導入は、その理念を実現する入口として、画期的な出来事だったと思う。
 ・さらに利用者からの要望で、音訳者にわずかだが報酬を支給することになった。図書館職員の仕事をボランティアが肩代わりしているのだから、当然公費で賄うべきという考え方は理念に沿ったものと思う。
 ・私が係わった音訳サービス初期の頃の熱気は、視覚障害者の読書・情報収集に対する渇望であり、切なる願いを実現しようとする情熱であった。当時、行政に働きかけた利用者の思いを忘れず、私達も図書館職員も取り組んでいかなくてはいけないと思う。

2.聞きよい「音訳図書」」を作るために

 音訳の基本的なテーマ:
   1. 「原本忠実」をいつもベースに 
   2.「活字(目で見る)」と「音声(耳で聞く)」という媒体の違いを考慮する
   3.「文意を伝える」息の使い方 
   4.「癖をとる」(文アクセント、読み下し)
   5.「聞き手に渡す」意識  
        ⇒ ワンポイントレッスンを通して詳しく解説(教材は最後に掲載)

■「うとてとこ」 谷川俊太郎 作 
 <ポイント:単語アクセントと文アクセント(意味のかたまり)>
✽正しいアクセントが正しい意味を伝える
  日本語のアクセントは高低アクセント。高い低いは相対音。アクセントは言葉を作るうえでも文意をまとめていくうえでも大切だが、単語単語で読むのではないので、単語のアクセントを生かしながら、意味のかたまりとしての文アクセントを意識する。

 ・単語アクセント
  ウ   テ
    ト   トコ
 
 ・文アクセント(意味のかたまり)                  
  ウ
    トテ
       トコ

 ・意味のかたまりは、<うとてとこ> <うとうとうとう うがよんわ> <うとうと うとうと いねむりだ> <てとてとてとて てがよんほん> <てとてと てとてと らっぱふく> <ことことことこ こがよにん> <ことこと ことこと とをたたく> 

■「子供の地図」 池内 紀著「世間をわたる姿勢」より  <ポイント:情景が見えてくるように>
 
 ・もっと聞き手に渡す。→ 相手に渡そうと思うと言葉が生きて、情景が見えてくる。
 ・読み上げ調子がある。→ 9行目「……しおれて捨ててある。」語尾の「る」の息を抜かず、腹筋で支えて語尾を落とす。その後一瞬腹筋と肩の力を緩めると自然に息が入る。
その新しい息で立て直して「勉強部屋に……」とすると、引きずらない。 
 ・フレーズが切れがち。→ 11行目 「となりは白壁で、塀の上に猫がうずくまっていた。」は一息で。
自分の息で切らず意味のかたまりで読む。肩が動くのは胸呼吸しているから。腹式呼吸を鍛えましょう!
 ・語尾を伸ばすクセがある。→ 直すには@意味のかたまりで読む。Aアクセントの下がる所はきちんと落とす。語尾は大切、中途半端だと相手に渡って来ない。
 
✽短い文で読みやすいが、フレーズごとに切ると伝わらない。意味のかたまりと間を大切に。そのかたまりを作るために、句点の後、音の一定の高さだけで立て直そうとすると聞きづらい。意味で立て直すように。

■ 評論:湯川豊著「大岡昇平論」文藝より
 <ポイント:カッコ類の表記をどう考えるか>

 ・3行目「ヤマガタ(カッコ)」とか「ニジュウヤマガタ」と記号は読まず、音声表現で。ただ出だしは丹念に、6行目「手をつけていない」の後は間と高さで息の立て直しをちゃんとして転調する。
 ・7行目「1953(昭和28)年」→ 原本忠実で「1953 ショウワ28ネン」でよい。ただし、「昭和元(1926)年」→「ショウワガン 1926 ネン 」はダメ。違和感のある読みはしない。
 ・18行目「中原中也伝―序章 揺籃」は一つのかたまりとしてプロミネンスをつけ、その後ピッチを落として「文藝」。その音声表現が難しければ「カッコ 文藝 トジ」と読んでもいい。ただし、「カッコ」と「トジ」は印としてピッチを落して読まなければいけない。
 ・19行目「二詩人」は「漢数字のニ」と説明しなくても、すぐに「京都における二人の詩人」とあるので意味は分かる。カッコ内はピッチを落とすが、「京都における二人の詩人」は相手にもう一度渡し直す気持ち(間)で立てる。

✽「原本忠実」と「聞きやすさ」
 あくまでも「原本忠実」をベースに。カッコなどの記号は活字と音声の媒体の違いを考えて、文意を伝える上で読む必要があるかどうかを判断する。活字にはアクセントがない、イントネーションもない。目で読み理解するには、記号がないと意味のかたまりが分かりづらく読みにくい。音声
(言葉)にはアクセントがあり音声化したとたんに意味のかたまりができるので記号は入れない方が聞きやすい。また音声化した場合にそうならなくてはいけない。
「聞きやすさ」を初めからベースにすると大変な事になる。全く違った図書になってしまう。

質疑応答
  
(1)Q 「経済」「平成」「衛生」をどう読むか?発音のルールがあったら知りたい。
A 「kei zai」「hei sei」「ei sei」→「ケーザイ」「ヘーセー」「エーセー」
日本語の音の約束事として、同じ音節内の二重母音は長音化する。
ex. 「サトー」は同じ音節   
  「サトオヤ」は違う音節
  体育館「tai iku kan」も違う音節だから
  「タイイクカン」が正しいが、
  「タイクカン」も許される範囲か?

  ✽「ケイザイ」「ヘイセイ」も間違いではないが硬い感じがする。ご年配の方に多い。
 CMなど強調する場合などで長音化しないこともあるが、日常的な言葉としては長音化が自然。

(2)Q 文末に感嘆符「!」、疑問符「?」、感嘆疑問符「!?」の付いた読み方は?
A その文章内容が音声表現だけで理解できるものはできるだけ記号は読まない。しかし決定的な確信を持って書いてはいないが言葉遣いが確信的でその語尾に「?」が付いているような場合やギャグを狙った場合などでは音声表現が難しいので記号を読むこともある。しかし、ほとんどの場合は音声表現でなんとかなる。 

(3)Q 小説のセリフはどの程度感情を入れたらいいか?
A セリフは相手とのキャッチボールができれば必ず伝わる。感情を入れようとか声色を使おうなんて思わないで。AとBとの会話なら、Aが言う時、音訳者がちゃんとBに目を向けて言う。会話こそ生きた言葉だから、相手にちゃんと渡せばそれで成り立つ。セリフらしく読もうとする必要はないし、あまり地の文とかけ離れない方がいい。セリフだけ舞台に立っちゃったみたいにならないように。(笑い)
  
 
予定をオーバーして2時間半、丁寧に語ってくださいました。
微妙な音の高低差や文アクセントなど簡単にはいかない音声表現ですが、高橋先生が実際にお手本を示してくださるので分りやすく、その的確なアドバイスを会場全体で共有できたように思います。教材を読んでくださった方々にも心からお礼申し上げます。


以下に当日使用した教材を掲載します。

  研修教材

うとてとこ

うとうとうとう
うがよんわ
うとうとうとうと
いねむりだ

てとてとてとて
てがよんほん
てとてとてとてと
らっぱふく

ことことことこ
こがよにん
ことことことこと
とをたたく


                  1

《中原中也という人間は、結局僕には噛み切れないというものである。生きている間、逃げ廻っていたのが無念やる方なく、伝記を書き出したのだが、少年時代を五十枚書いただけで、肝心の部分には手をつけていない。》
 これは、一九五三(昭和二十八)年、「新潮」八月号〜十二月号に掲載された「わが師わが友」の一節である。大岡昇平はこの年十月にロックフェラー財団の第一回特別給費生として渡米し、翌年ヨーロッパを歴遊するなどして一年間日本を留守にした。そのために「わが師わが友」は、大急ぎで書かれた証文みたいな感じのする回想記になっている。率直で飾り気がない。
「中原中也という人間は、結局僕には噛み切れないというものである」という発言は、伝記を書こうとして、目処が立たない苛立ちと困惑を反映しているかのようでもある。そうだとしても、ここからが大岡昇平らしい、一種のすさまじい執念が発動されるのである。
「少年時代を五十枚書いた」というのは、一九四九年発表された「中原中也伝――序章 揺籃」(「文藝」)を指しているかと思われるが、その後、五六年には「二詩人」(のちに「京都における二人の詩人」と章名変更)が発表され、主として同年に各誌に分載された七章とともに、『朝の歌』が一冊の本にまとめられた。なお「京都における二人の詩人」は、早く四八年に雑誌に掲載された文章が元になっている。


 子供の地図

 すぐとなりに少し傾いた納屋があって、壁にハチが巣をつくっていた。つづいて垣根がわりに梅の木が何本か植わっていた。雨の日はカタツムリが銀色のあとをのこして這いのぼっていく。かどの家に老人夫婦が住んでいた。なぜかいつも玄関に大きな提燈がぶら下げてあった。ミツボシとよばれる家紋が入っている。その日、風にあおられて玄関の提燈が左右にゆれていた。奇妙な獣がしきりに首を動かしているように見えた。
 かどを曲がった最初の一軒が遊び仲間の家だった。縁側にズック靴がぬぎ捨ててあった。前日、いっしょに学校裏で折りとった彼岸花が、しおれて捨ててある。勉強部屋に声をかけたが返事がない。だれも出てこない。だれもいない。
 となりは白壁で、塀の上に猫がうずくまっていた。両眼をかたくとじて動かない。足元に黒い影が落ちていた。影の塀にも影の猫がいる。雲が走って陽ざしがさえぎられ、とたんに足元の塀と猫とが、かき消えた。
 つぎのかどまできて足をとめた。三叉路になっていて、一つは学校への道、一つは墓地への道、一つは神社への道。どの道にも、だれもいなかった。姿がない。声もしない。                                         (以上)
                                     
1月 研修会のご案内 [2018年12月17日(Mon)]
平成30年12月4日
東京音訳グループ連絡会 会員の皆様へ
東京音訳グループ連絡会 運営委員長 上田 勇一

    研修会のご案内
 今年度4回目の東京音訳グループ研修会のご案内です。
 去る10月の講習会では「テキストデイジーについて」を学び、沢山の声を頂きました。アンケートでは大勢の方が理解できた事が分かり、大変安堵いたしました。今回は永年にわたり音訳活動をされてきた観点から、ワンポイントレッスンを通しながら、正しい音訳について研修会を行って参ります。多くの皆様のご参加をお待ちしています。
 研修会の最後に、質疑応答の時間を設けます。ご質問の有る方は、返信はがきに、ご記入下さい。尚、レジュメの配布で枚数が多い場合は、当日、資料代を御負担いただくことがあります。どうぞご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
    記
タイトル:『音訳サービスの今昔(チョット歴史を)。聞きよい音訳の基本(ワンポイントレッスン)』
講  師:高橋 久美子先生
プロフィール:1970年、都立日比谷図書館にて、同館の視覚障害者サービス開始と同時に音訳者として対面朗読・録音朗読に携わる。
都立中央図書館にサービス移行と同時に、中央図書館で音訳を継続。(約35年余)。現在は主に、公共図書館、図書館に関わるボランティアグループ、「NPO法人・一歩の会」等で音訳者の育成に携わる。

日  時:平成31年1月29日(火) 午後1時30分〜3時30分
会  場:飯田橋セントラルプラザ 10階 A・B会議室
(新宿区神楽河岸1−1 JR飯田橋駅隣)
(1・2Fに講習会案内掲示板が貼っていませんので、ご承知おき下さい)
※参加は、各グループ2名以内とさせていただきます。返信用はがきに、62円切手を貼り、1月25日迄にご返送ください。
問合せ先:上田 03-6780-8200 090-5761-9498
以上   
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