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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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南スーダンの独立と今後の課題 [2011年07月10日(Sun)]
ワシントン・ポスト7月10日付で、Hillary Clinton米国務長官が、米国はスーダンと南スーダン双方にとってパートナーであり続ける、と論じています。

すなわち、南スーダンは独立したが、スーダンと南スーダンには3つの大きな課題がある。先ず、両国は交渉によって、財政、石油、市民権の懸案を解決し、包括的平和合意を結ぶ必要があり、次に、南スーダンは貧困、教育、保健、武装グループ等の諸問題を解決するために、人権、透明性、説明責任を尊重する民主的で効果的な政府を作る必要がある。さらに、スーダンは国際的融資、投資、債務救済を得るために、国際的孤立から脱却する必要がある、

また、他にも、両国国境地域での敵対関係を終了させること、ダルフール地域の人道・治安危機を解決することが重要であり、米国は国際的パートナーとともに諸問題の解決に向け努力を続けていく、と言っています。


南スーダンの独立がようやく実現しました。旧スーダンは南北で人種、宗教、文化が大きく異なる上、イスラム教徒が多い北部が一貫して政治的経済的支配を続けたため、昔からキリスト教徒が多い南部住民は非常な不満を抱いてきました。

今回の独立は、2002年の南北和平交渉を経て、2005年の南北包括和平合意による南部の自治、2011年1月の住民投票などの末にようやく実現したものであり、昔のスーダンを知る者にとっては正に隔世の感があります。

こうした一連の動きについて、米国は欧州諸国とともに大きな役割を果たしてきたと言われています。今回のクリントン国務長官のこの論説も、南スーダン独立を含む、アフリカ問題に対する米国政府の強い関心を象徴するものと言えるでしょう。

問題は、クリントンが指摘したスーダン、南スーダンをめぐる諸問題の根の深さです。これらの問題の原因・背景は過去数十年間ほとんど変わっておらず、クリントンが言うように、南スーダンの独立によってこれらが解決に向かう可能性はまずないどころか、クリントンが求めるような「人権を尊重する民主国家」などが出来れば、逆に南スーダンでは混乱が拡大し、近い将来、隣国ソマリアと同じような国際テロの温床たる「破綻国家」になる可能性すらあるでしょう。

米国の南スーダンへの関心は、こうしたグローバルな政治的視点から出ていますが、それに対し、中国のスーダンや南スーダンに対する関心は主としてエネルギーなど経済の視点に限られています。スーダンと南スーダンをめぐり「米中がせめぎ合い」を激化させているといったメディアの論評は一見尤もらしく見えますが、両国の関心の本質が異なることから、焦点がずれていると言えます。












Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:59 | アフリカ | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
米豪安全保障協力 [2011年07月08日(Fri)]
豪州ローウィ研究所 のウェブサイト7月8日付で、Toshi Yoshihara米海軍大学准教授が、在日米軍基地は今後重要となる戦域から遠すぎるうえ、中国のミサイルの射程内にあって非常に危険だと断じ、米海軍力の少なくとも一部を豪州に移管する必要を強く説いています。
 
すなわち、冷戦が終わって大西洋の比重が激減し、インド、中国両国が海軍大国として台頭する中で、大国間の相克や覇権争いはユーラシア大陸の東と南の周縁部で生じることになるだろう。つまり、米国はその海軍力を東アジアと南アジアの双方で行使しなくてはならない。ということは、米海軍は今後、実質上、インド・太平洋海軍となることを意味し、それに適合する基地の配置を考えなければならない。

しかも、インド、中国という2強国の海軍力がぶつかるとすると、それはインド洋と太平洋の交錯する地帯、典型的にはマラッカ海峡となる。要するに、海軍力の角逐は、もはや北東アジアに限定はされない、

となると、@日本は東ないし北にあり過ぎて、南シナ海からインド洋方面へ出て行くには遠すぎる上に、途中に通行の難所がいくつもある、A在日基地はすべて中国短中距離ミサイルの射程内に入り、嘉手納など「数時間で無力化されかねない」、

それに対し、例えば、シンガポールは地理的に好ましく、米空母専用の停泊所まで設けて便宜を図ってきたが、中国をおもんばかるところが強く、米海軍の恒常的基地にはなれない、

しかし、豪州は、@太平洋・インド洋の双方に近く、かつ途中に通行の難所もない、A中国も豪州は大陸間弾道弾を用いなければ攻撃できない、Bローウィ研究所の世論調査によれば、豪州では、国民の「55%が豪州に米軍が来ることを支持、うち20パーセントが強固に支持」しており、これらのことから、今後は豪州を米海軍の基地として検討すべきだ、と言っています。


これは、日米同盟それ自体が、第一に地理的有用性を失い、第二に戦略的耐久性を減じつつある、と読み替えることができ、それも第一級の専門家の言だけに、この先ありうる変化について非常に予言的です。

ヨシハラは目下、米海軍大学を代表する論客の1人で、中国海軍力の増強によって米海軍の優位が危うくなることに強い危機意識を抱いて書いた共著、”Red Star over the Pacific: China's Rise and the Challenge to U.S. Maritime Strategy”は、ブッシュ政権時代のある日本担当の米国防総省高官に、「日本人の多くに読ませたい」と言わしめています。

現状認識の深刻さと地政学的把握の遠大さに比べ、実施可能な具体策となると小ぶりとなる印象はありますが、ヨシハラは、横須賀や佐世保が現在のまま続くとは思っていないでしょう。少なくとも、在日米軍基地が今後、規模拡大、能力拡充に向かう可能性は、ほとんど彼の考慮の外と見てよさそうです。

中国のミサイル戦力は、それほどまでに在日米軍基地の価値について再考を強いつつあります。米軍が今の規模でいつまでもいてくれることを無前提に信じ、これに反対したり、騒音発生源扱いしてきた日本は、いきなり冷水を浴びせられることになりはしないか、とつくづく考えさせられる論文です。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:24 | 豪州 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
中国のサイバー戦力 [2011年07月07日(Thu)]
サイバー戦争の権威Richard A. Clarkeハーバード大学教授らが、著書"Cyber War"の中で、中国は米国に対する軍事的劣勢をカバーするため、サイバー戦力の強化に真剣に取り組んでいる、と言っています。

すなわち、中国人民解放軍の将軍たちに、米国に対する非対称的な技術能力の必要性を確信させたのは、湾岸戦争だったかもしれない。この面で自分たちが数十年遅れていることを認識させられた中国は、戦力で米国を圧倒する戦略からの転換を論じ始め,、1990年代の終わりには、米国と比較した軍事力の質的欠陥を補うためにサイバー戦争は使える、という見解に達した、

中国軍高官が書き、1999年に出版された"Unrestricted Warfare"は、いかにして相対的に弱い国が、非伝統的な武器や戦術を使って、現状維持国に勝てるかの青写真を示しており、サイバー戦争を極めて重視している、

中国の最近の軍備増強、特に海軍力の増強は著しいが、米情報機関は中国がベトナムのような中型の敵ですら、圧勝するだけの近代的な戦闘能力を集積するにはあと10年はかかるとみている。ただし、米空母などにサイバー戦争をしかければ劣勢は解消できる、

つまり、中国の兵器の近代化は著しいとは言え、米国の軍事力のレベルに達するには未だ何十年もかかる。しかし、中国がサイバー戦争のような非対称の戦術を使うことが出来れば、中国のサイバー攻撃によって米軍は麻痺し、中国軍でも十分対抗できるようになるだろう、と言っています。


クラークはレーガン、パパブッシュ、クリントン、ブッシュの四代の大統領に仕えた安全保障問題の専門家で、特に最近はサイバー戦争問題に深く関わり、米国がサイバー戦線で遅れを取っていると警告を発しています。"Cyber War"は長年の経験を基に、サイバー戦争の諸局面を分析、中国が米国に対する軍事的劣勢を一挙にはねかえすものとしてサイバー能力に注目し、真剣に取り組んでいる事情を述べています。ここには、米中の軍事バランスを考える場合、従来のように、通常兵器と核兵器だけを比較し、米国の優位は当分揺るがないとばかり言えなくなっているかもしれない、という重大な問題が提起されています。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:21 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
タクシン帰国反対 [2011年07月05日(Tue)]
ファイナンシャル・タイムズ7月5日付で、米外交問題評議会のJoshua Kurlantzickが、 インラックがタクシンを恩赦して帰国させると、保守派との対立が再燃し、軍が介入する口実を与えてしまうので、タクシンは帰国させるべきでない、と論じています。

すなわち、総選挙で勝利し、政権の座についたインラックは、連立と和解を呼びかけており、これはタイの民主主義を救うチャンスであるかもしれない。しかし、他方、タクシンの恩赦は選挙公約であり、タクシンがもし帰国すれば、反対のデモと騒擾を誘発し、軍に介入の正当性を与えることになるだろう、

各勢力は妥協を受け容れるべきだ。下層階級は、個人財産と法の尊重を受け容れ、タクシンの帰国を諦めるべきであり、都市中流階級は投票者の多数の意思を尊重すべきだ。そして最も困難なことかもしれないが、タクシンは引退すべきだ、と言っています。

  
タイの政情が今後どうなるか、今のところはっきりした見通しは立ちません。ただ、この論説がいみじくも指摘しているように、当面の最大の問題は、インラック政権が軍の介入の口実、あるいは大義名分を与えるような措置をとるかどうかにかかっていると言えるでしょう。

インラック政権の側からすれば、過去に、民主的な選挙の結果を、軍の介入や司法の介入によってねじ曲げられてきたことへの宿怨はありますが、敢えてそれを我慢して、保守派を刺激しない政策をとれるかどうかがカギだ、ということです。

幸い、タイ経済は好調なので、革新的な政策を実行しなくても、国民が失望することはないと思われます。できれば、この際、和を重んずるタイ文明の特質が再び発揮されることが望まれます。しかし、タクシンが階級意識を掘り起こしてしまった後のタイは、もう昔のタイとは違っているかもしれず、どうなるかはわかりません。

ただ、今後もし事態が混乱しても、外国との関係、特に日本企業の活動にとっては、従来通り何の支障も生じないだろうと考えることは、まだまだ許されるでしょう。逆に、もし万が一、日本企業の活動に支障が生じるような事態となるのなら、タイはもうわれわれの知っているタイでなくなった、ということでしょう。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:15 | 東南アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
米国防費削減反対論 [2011年07月05日(Tue)]
ウォールストリート・ジャーナル7月5日付で、米AEIのDan Blumenthalと Michael Mazzaが、アジアにおける中国の脅威に対抗するため、米国は今こそ国防費を削減ではなく、増額すべきだと論じています。

すなわち、アジアで中国が軍事的に台頭してきたのに、米国は国防費を削減しようとしている。米国の軍事力がこれ以上侵食されれば、アジアでは、@中国が周辺諸国を制圧して覇権国になるか、あるいは、A各国がそれぞれ完全武装し、絶え間なく変化する不安定な権力の集合体を形成し、第一次大戦前の欧州列強が核武装したような混乱が生まれるだろう。いずれにしても米国の国益は大きく害されることになる。現時点で太平洋に配備する米軍に資金を投入してそうした事態になるのを阻止する方が、将来そうした事態が出現してそれに対峙するよりも、コストは少なくて済む、と言っています。


現在の中国人民解放軍の予算増大のレベルと、米国の国防費削減に向けた動きを対比すれば、いわゆる保守派・嫌中派でなくとも、西太平洋における米国の国益の将来を懸念するのは当然でしょう。中国を「関与」させるべく最大限努力はするが、「関与」に失敗すれば、「ヘッジ」もしくは「抑止」するという戦略自体は悪くなく、違和感はありません。

また、ほんの4-5年前まで、ワシントンではこの種の論調は孤高の少数派でしたが、最近中国が自己主張を強めていることもあり、昔ほど「強硬」にも聞こえません。

問題は、万一「抑止」にも失敗すれば、実際に中国と「戦わなければならなくなる」かもしれないという恐ろしい現実に直面することへの認識が十分あるかどうかです。この点では、同じ米国人でも軍人の方がより現実的で慎重です。少なくとも、一度中国と戦いを始めたら、「止められなくなる」恐れがあります。そうした危険をも含めて、現在の米国には、より慎重かつ賢明な「米国防費削減反対論」が必要だと思われますが、この論説に欠けているのは、正にこの点です。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:14 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
中国封じ込め論への反対 [2011年07月04日(Mon)]
Project Syndicate7月4日付で、Joseph S. Nye, Jr.ハーバード大学教授が、中国封じ込め論に反対しています。

すなわち、最近米国では、中国の台頭は平和的なものではあり得ず、従って中国は封じ込めるべきだ、とする論調があり、中国の方も「封じ込め」が今の米国の対中政策だと思っている。しかし、これは双方とも誤っており、米国の政策は1990年代半ばから”integrate but hedge”できている、

なぜなら、@かつて封じ込めの対象だったソ連とは経済を含めて交流が希薄だったが、中国とはそうではない、A中国を敵視すれば中国は必ず敵になる、B中国がひどく攻撃的にならない限り、他の諸国は中国封じ込めに加わらないだろう、からだ。それに、アジアは興隆しつつあり、世界は今、アジアが世界の人口とGDP の半分を占めていた19世紀当初に戻りつつあるかのようだが、アジアには日本、インド、ベトナム等があって、中国とバランスしてくれるので、中国の一人勝ちを恐れる必要はない、

他方、世界金融恐慌から速やかに回復した中国は、日本、インド、韓国、ベトナム等との関係を悪化させ、「中国を封じ込めることができるのは中国だけだ」という、われわれのかねてのからの見解を裏書きしている、

しかし、中国とは、金融の安定、気候変動、サイバー・テロ、世界的伝染病など、グローバルな問題の解決において協力ができることはたくさんある、と述べ、

国際関係におけるパワーが、自分の望む結果を手に入れることができる能力だとするなら、他国を封じ込めるよりも、他国と協力した方が、時としてより大きなパワーを獲得することができる、と締めくくっています。


ナイ教授の対中戦略の基本は、極端に走らずバランスを取ろうとする、”integrate but hedge”です。そのナイが対中封じ込め論をあえて戒める必要があるほど、米国の一部で対中警戒心が高まっているのかもしれません。

しかし、中国の対米姿勢の基本にあるのは、対米協力が得になるかどうかであり、金融恐慌後の米国経済回復が思わしくない現状では、米国がいくら手を差し出してもその効果には限界があるでしょう。

ただ、年間約40 兆円もの富(対米輸出額)を米国から移転してもらう状況が続く限り、中国が対米関係の大枠を崩すことはないと思われます。

もっとも、米国経済の回復が遅れたり、中国国内における製造原価が上昇し過ぎたり、西側企業が中国からベトナム、インドネシア、ブラジル等に直接投資先を振り替える動きが強まった場合、中国は後戻り不可能な地点にまで開放化された社会を、どうやってまた締め付けるか、難しい局面に立たされるかもしれません。

日本としては、対中関係の維持・強化に努めるべきであるのはもちろんですが、他方、ベトナム等ASEAN 諸国に自衛隊艦船を定期的に親善訪問させたり、米国に台湾へのコミットメント強化をアドバイスする等、hedge面も怠りなく進めていくべきでしょう。



Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:12 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)