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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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ムスリム同胞団とエジプト政治 [2011年01月28日(Fri)]
米ブルッキングス研究所のウェブサイト1月28日付で、同研究所のBruce Riedelが、エジプト情勢への対処に当たって、モスレム同胞団の台頭を恐れて、米国が間違った選択をしないよう警告しています。

すなわち、今エジプトが揺れており、これはモスレム同胞団の政権参加という問題を提起するが、米国はこれについてはエジプト人が決めることだ、との姿勢をとるべきで、エジプトの支配者を選ぼうとしてはならない。南ベトナムでも、アフガニスタンでも、米国はそういうことをして後悔してきた、

1928年に設立されたモスレム同胞団は、イスラム原理主義を標榜、ナセルとは一時協力したものの、その後は反対派として弾圧されたり、反共勢力として容認されたりしてきたが、そうした中で、福祉、教育、医療活動を行い、唯一の野党勢力として存在してきた。また、エジプトの同胞団は、何年も前に暴力放棄を宣言、その穏健路線はアルカイダのオサマなどからは強く非難されてきたが、多くの学者は、同胞団は政治的イスラムの最も理性的な顔だと評価している、

ただ同胞団は反イスラエルであり、これが米国と同胞団の間の最大の問題だ。同胞団の指導者は、イスラエルとの平和条約がエジプト外交の基礎であり、米国の対エジプト軍事援助の基だと理解はしているが、イスラエルとの協力には反対するだろう、

しかし、オバマ大統領やクリントン国務長官はモスレム同胞団を恐れるべきではない。彼らとの共存は容易ではないが、彼らを敵と決めつける必要はなく、彼らの役割はエジプト人自身が決めていくだろう、と言っています。


この論説には基本的に賛成できます。エジプトのモスレム同胞団はイスラム原理主義者ではあっても、過激派ではありません。サウジの王室もイスラム原理主義ですが、国際的には米国と協力してきました。イスラム原理主義者とイスラム過激派は時折混同されますが、これは両者の違いを認識しないことから生じる混同です。モスレム同胞団を恐れて民主化にブレーキをかけるような対応は、不適切であるし、好ましい結果にもつながらないでしょう。

それよりも、エジプト政治を判断していく上で大きいのはエジプト軍の存在です。エジプトはナセル以来、今日まで軍主導の政権で来ましたが、今後の統治体制においても軍が大きな役割を果たすことは間違いがないと思われます。他方、同胞団は公正な選挙が行われても、議会では過半数に届かない勢力にとどまるように思われます。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:51 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
エジプトの政変 [2011年01月28日(Fri)]
米フォーリン・ポリシー誌のウェブサイト1月28日付で、米Center for a New American SecurityのRobert D. Kaplanが、エジプトの政変は中東政治構造の転換点になると言っています。

今回アラブ世界で起きているデモは、パレスチナに関するものでも、反米・反西洋でもなく、失業や圧政などへの反発であることが特徴であり、後でイスラム主義者によってハイジャックされたが、1978年のイランのデモも当初はそうだった。ただ、今のアラブ諸国にはホメイニのようなカリスマを持つ指導者がいなく、1978年当時のイランと今のエジプトの間には類似性よりも違いの方が大きい、

従って、エジプトの新しい指導部は、イスラエルとの対決や西側の不正義よりも、国内問題に取り組むことになり、政治は過激化するよりも、正常化する可能性の方が高い。ただ、エジプト等での動きがヨルダン、サウジ、イエメンにまで波及すれば、大きな影響が出てくる、

今回のアラブの反乱は1989年の東欧諸国の反乱に似ているが、中東は東欧以上に各国の事情が違うので、米国は各国の政治や歴史の違いをよく踏まえた政策を採るべきだ。また、中東に限らず米国は市民社会・非暴力・人権の原則のために立ち上がるべきであり、独裁者が退陣するのであれば、それを容易にすべきだ。そして今後は、独裁者とだけ付き合うのではなく、反対派とも付き合うべきだ、と言っています。


エジプトのデモは反イスラエル・反米ではなく、新政権は国内問題を重視して内向きになるだろうと予測し、1978年のイランと今のアラブのデモは違うと指摘、米は各国の歴史や事情を踏まえ、民主化を支援すべしという主張です。

しかし反米をスローガンとはしていませんが、米国はムバラク支持だという認識が広がれば、デモは一挙に反米色を強めるでしょう。他方、米国がムバラクを簡単に見捨てれば、米国とエジプト、特に軍との関係が大きく傷つき、長年にわたって構築されてきた米=エジプト関係が損なわれかねません。

そうした中で、米国は難しいバランスを取らざるを得なく、クリントン国務長官が「これはエジプト人が決める問題だ」という言い方をしているのは適切です。こうした時には、原則を掲げるのではなく、選択肢の幅を大きくしながら、事態の進展に応じて機敏に対応する以外に良い手はありません。

またエジプトが民主化すれば、イスラエルとの関係は悪化するでしょう。イスラエル批判は政府レベルよりも民衆レベルでずっと強く、これは防ぎようがありません。

なお米国は1979年のイラン革命がトラウマになっていますが、それに捉われてエジプト情勢を色眼鏡を通して見ると誤りにつながる可能性があり、その意味で、イランとエジプトは違うというカプランの指摘は傾聴すべきでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:38 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
日本国債の信用格下げ [2011年01月28日(Fri)]
9年ぶりとなる今回のS&Pによる日本国債の格下げ(AAからAA-へ)について、ファイナンシャル・タイムズ1月27日付でアナリストのピーター・タスカが、またウォールストリート・ジャーナル1月28日付社説が論評しています。

WSJは、格付け会社が弱いもの叩きで出す宣告など、何ほどのものではないし、日本が先進国中最も高い法人税を課しているにも関わらず、ここまで財政を悪化させたことを考えれば、格付け会社が言う増税という処方箋は誤っている。それに、日本はネットでは債権国であり、国内投資家が当面喜んで国債を買う限り、欧州スタイルのパニックを誘発する引き金はない、
 
そうなると、今回の格下げから汲み取るべきは、経済大国でさえも破綻した財政を永遠に持続させることはできない、という長期的教訓ということになり、これは、むしろワシントンが心して聞くべきことだ、と言っています。

他方、タスカも、日本が巨大な政府債務を抱えつつ何年も事なきを得ていくことを挙げ、さらに、政府がろくに機能しないということも合わせて、日本の状況はベルギーに似ている、と指摘しています。そして、ポレオン戦争を戦った英国の先例に倣って日本も「永久国債」を発行することを奨めています。

すなわち、@日本の債務は完全に自家で賄えている。国家は赤字でも、民間はキャッシュ・リッチで資本を海外に輸出し、おかげで海外に大きな貯えがある、Aこれは、この20年、対GDP比率で100%超の政府債務を重ねながら、ほぼ毎年経常黒字を出しているベルギーに似ている、B日本の場合、政府債務は、政府の使い過ぎによるのではなく、税収の落ち込み――デフレの中、所得税、法人税、固定資産税が揃って下落――のためだが、長期金利は上がるどころか、昨年など0.8%に落ちており、これは、もっと国債を出そうという誘因になる、Cこの際、賢いやり方は、ナポレオン戦争の時に英国がやったように、永久国債を発行することだ。消費税を引き上げたりすると、消費が減り、税収の下落と債務拡大を招きかねない、Dそれでは日本の政治的不安定はというと、これまたベルギーと同様、特段の損害はない、E現実問題として、高齢化が進んで貯蓄性向の高い日本やベルギーなどの国にはどうしても低リスクの金融資産が必要なのだ。負債は大きくても資産も大きいから、均衡している、Fこの均衡を、貯蓄超過国がさらに消費を減らすことで揺るがしたりすると、貯蓄・消費に生じたグローバル不均衡を一層悪化させてしまう、と言っています。

タスカの言っていることは、実現性はともかく、面白い発想と言えます。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:26 | 日本 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
インド=インドネシア連携強化 [2011年01月25日(Tue)]
ウォールストリート・ジャーナル1月25日付で、英キングス・カレッジのHarsh V. Pant教授が、インドの国家的祭日に招待された、ユドヨノ・インドネシア大統領がその祭典に出席することを取り上げ、これは二大民主主義国家が中国の脅威を前にして関係を深めていることを意味する、と論じています。

すなわち、かつてスカルノがネルーに会った時は、冷戦時代の非同盟中立のためだったが、今回の会合は、インドの新たな東方政策の表れであり、中国の増大する脅威に対する二大民主主義国の接近を意味する、

最近インドとインドネシアの経済関係は緊密になりつつあり、2005年には戦略的パートナーシップに合意、その後両国間で戦略的対話が行われている。共同海軍演習や共同パトロールも日常化している、

中国の力の増大は猜疑と警戒の目で見られているが、インドの場合は、民主的政体の下での透明性があり、協力する際の障碍は無い。そこで、地域諸国はインドを中国に対するバランサーとして期待している。インドがこの期待に応えるかどうかはまだわからないが、インドネシアの誘いについては、インドは真剣に考えているらしい、と言っています。


インドが本気で南、東南アジアのシーレーンの安全に協力してくれれば、地域情勢の安定に貢献することとなり、それは日本も歓迎すべきことです。

振り返れば、1980年代初頭、ロシア海軍がカムランの基地にまで進出した当時、日本からペルシャ湾までの全石油ルートを独りでパトロールしていた米第七艦隊の内部では、日本海上自衛隊のパトロール参加を渇望する声がありましたが、当時の日本としては、そうした要望に応えるべくもありませんでした。また、1988年、中国の南沙群島進出に際して、タイのチャチャイ首相が南シナ海における日タイ共同演習を呼びかけた時も、日本は何ら反応を示しませんでした。当時ならば、増大するソ連の脅威の下にあった中国も、諸手を挙げて賛成した時期です。

日本が、集団的自衛権を行使できないために、過去半世紀どれだけのチャンスを逸して来たか空恐ろしいほどです。そして現在インドとインドネシアがようやくその空白を埋めようとしています。日本としては、出来ればそれに積極参加、それができなくても、その背後からの支援を考えるべきでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:26 | その他 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
中東和平交渉文書流出問題 [2011年01月24日(Mon)]
アルジャジーラ・テレビ局に漏洩されたパレスチナ自治政府の内部文書について、ファイナンシャル・タイムズ1月24日付社説が、漏洩は中東和平プロセスに酷い打撃を与えたが、米国は中東紛争解決の方式を作り、それを安保理に提出すべきだ、と論じています。

すなわち、アルジャジーラは1月23日からこの漏洩文書の公表を始めたが、今までに、パレスチナ側が東エルサレムの入植地のイスラエル編入を認める姿勢を示したこと、難民の帰還について10万人程度でやむを得ないとしたことが明らかにされた、

アルジャジーラは約1600件の文書を入手したとしており、今後も公開を続けると言っている。漏洩者はアッバスとパレスチナ自治政府に打撃を与えようとしたものと思われ、特に、交渉による解決を主張してきたファタハにとっては致命的な打撃になるだろう、と言っています。


社説が言うように、米国は自ら解決策を作成して安保理に提出し、安保理決議の形で2国家解決策をイスラエル、パレスチナ双方に押し付けるしか手はないように思われます。勿論、イスラエルの抵抗が予想されるので、それで一件落着とはならないでしょうが、米国が国内政治状況への考慮からそこまで踏み込まなければ、暴力が再燃し、中東におけるイラン、シリヤ、ヒズボラ、ハマスの主導を許すことになります。

なお文書の信憑性については、真実はわかりませんが、アルジャジーラが報道したような提案をパレスチナ側が非公式にしたことは十分ありえます。また、東エルサレムの入植地のイスラエル保有を認める見返りとしてパレスチナ側が代替地を求めたことも確実なので、アルジャジーラは、全体像を示さずにパレスチナ側が譲歩した部分だけを報じており、その意味では、アルジャジーラの報道は全体としては虚偽に近いとも言えます。

いずれにせよ、中東和平のような複雑な問題では、妥結のために秘密交渉は必要です。その内容は交渉がまとまった段階で当然公表されるものですが、そこに至る過程が公開されてしまっては、交渉は妥結しません。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:21 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
過去の日米摩擦と今の中国 [2011年01月24日(Mon)]
インターナショナル・ヘラルド・トリビューン1月24日付で、NYT記者のSteve Lohrが、米国は中国から経済・技術面で挑戦を受けているが、1980年代の日本の挑戦を振り返ることで、今日の中国の挑戦を展望できるかもしれない、と言っています。

すなわち、80年代に日本がコンピューターチップや大型コンピューターなどで米国の脅威になったが、そうなった大きな理由の一つは技術移転であり、例えば、IBMやテキサス・インスツルメンツは、日本市場で売るためには日本と技術を共有しなければならなかった。それに対し、当時のレーガン政権は、いくつかの重要産業について産業政策的な措置を取っている。例えば自動車については日本に輸出自主規制を求め、半導体については、独占禁止法の適用をゆるめて米企業に技術革新をする機会を与えた。またIBMがIntelに投資し、Intelのマイクロプロセッサー開発を助けている、

今日中国も、技術の共有と合弁での製造工場の設置を中国市場への参入の条件にしている。その上に、中国の米企業は、知的財産権で厳しい競争にさらされている。それに、中国では日本の場合よりはるかに多くの西側企業が技術を共有する事業に参画している。さらに、日本が対内直接投資を厳しく制限したのに対し、中国はこれを歓迎している。つまり、「中国は直接投資を誘致したうえで、米国企業を人質にしている」、

こうした中国の挑戦に対する答えは、1980年代の日本との競争と同様、政府の巧みな政策、賢い民間部門の戦略、長期的な革新のための研究開発への公的投資、教育制度の改善に求められなければならない。これらは米国がいずれにしてもしなければならないことだが、中国の台頭に象徴される経済的スプートニクによってその必要が緊急に迫られている、と言っています。


米国に対する今の中国の経済的挑戦と1980年代の日本の挑戦は、種々の面から比較できますが、大きな違いは危機感です。1980年代の米国は日本の経済的挑戦に対して非常な危機感を持ち、80年代末期の米国のある世論調査では、日本の経済的脅威の方がソ連の軍事的脅威より大きいという結果が出たほどです。ところが、米国は今の中国経済に対してそれほどの危機感は持っていないように思われます。

中国の挑戦に対して米国の取るべき対応は、官民の適切な政策と戦略、技術革新につながる研究開発、そして教育だと言っているのは、正論中の正論であり、反論する者はいないでしょう。ただ、記事が言っているように、カギは技術移転であるとすれば、こうした総論的対応のほかに、もっと強く知的財産権の尊重を迫るなど、より具体的な政策も強調される必要があるでしょう。

また、記事は触れていませんが、米国が1980年代の日本の経済的挑戦を克服できた最大の要因は、日本のバブル崩壊だったと思われます。中国はこの間の事情をよく研究していて、米国の人民元切り上げ要求に容易に応じないのは、日本の二の舞を演じたくないと思っているからだとの説もあります。1980年代の日本の米国に対する挑戦から教訓を得ようとしているのは、米国だけではないのかもしれません。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:20 | その他 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
中国の新ステルス機 [2011年01月23日(Sun)]
1月23日付のAP通信が、中国が新たに開発しているステルス機は、1999年3月にセルビアで撃墜された米ステルス爆撃機F-117 Nighthawkの破片から学んだ技術に基づいている可能性が高いとする記事を載せています。

それによると、ペンタゴンは、ソ連製のSA-3がNighthawk を撃墜出来たのは、巧みな戦術もあったが、ほとんどは幸運のお陰だったと見ている。そして、当時のクロアチア参謀総長が、中国の工作員が飛び散った機体の破片を地元の農民から買い集めていたと言っている。また、ミロセヴィッチは、入手した西側の機器は常に中国かロシアに見せていたと言われ、ロシアのスホイT-50ステルス戦闘機も、Nighthawksから技術を盗んだ可能性があると言われている、と言っています。


これで、F-22のコピーにしては中国の新ステルス機はサイズが大き過ぎるという疑念も解明されることになります。実は、セルビアでNighthawkが撃墜された当時、バラバラになった機体を現地の人々が引きずり回している映像を見て、一部関係者の間では、『あの技術が中国やロシアの手に渡るのも時間の問題だろう』という会話が交わされていたことが思い出されます。今さらながら、「やはり」という感を禁じえません。

また、今回の胡訪米に合わせて、GEが中国航空工業集団公司(AVIC)といくつか取引を成立させていますが、AVICの傘下にはゲイツ国防長官訪中に新ステルス機の試験飛行をぶつけてきた企業も含まれます。これなども、軍民共用技術流出を防ごうとしてきたこれまでの努力は何だったのかと、首を傾げざるを得ない事案でしょう。

ただ、優先度の高い情報の一つと思われる、高い電波吸収性を持つ機体表面材料は、現在では飛行機だけでなく、高層ビルの壁面などにも広く利用されており(市街地での電波の反射による干渉を軽減するため)、Nighthawk の破片から得た情報が決定的だったと断言はできないと言われています。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:32 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
現実認識に立った米中関係の再構築 [2011年01月22日(Sat)]
ウォールストリート・ジャーナル1月22日付で、同紙コラムニストで米AEIの日本研究部長、Michael Auslinが、今回の米中首脳会談を機に、米国は、中国をはっきりと競争相手と認めて、米中関係を再構築すべきだ、さもないと、来年、習近平が衰退する米国にとって強力なる相手として登場することになるだろう、と警告しています。

すなわち、米国は過去20年間、中国が力を増し、自由を擁護する米国の利益を害することを許して来た。天安門事件の虐殺から最近のサイバー攻撃に至るまで、中国の行動を見過ごし、代わりに中国をゼーリックが言うようなステークホルダーと仮定して関与しようとして来た。ところが中国は、それで自信を得てしまい、ゲーツ訪中の際にステルス機のテスト飛行を行なう等、軍備増強を進め、尖閣問題など領海問題でもますます挑発的になってきている、

これに対して米国は、経済面、軍事面、外交面で対抗すべきだ。具体的には、@TPPを推進、対米貿易や投資などで中小国とも関係を築き、積極的に自由貿易協定を追求する、A防衛予算の削減はやめて(予算削減の対象は種々の社会保障給付金に求めるべきだ)、米国の軍事力を強化、インド太平洋地域の安全保障バランスを米国に有利にする、Bリベラルで建設的な世界のリーダーとなる中国を出現させることに失敗したことを認め、そうした現実認識に立って同盟国や友好国の利益を守り、それらの国との約束を果たすべきだ、

中国はいずれ米国との競争に勝ち抜けると思っているが、そうでないことを米国は示さなければならない、と言っています。


新しい事実関係や分析があるわけでも、新しい対抗策があるわけでもなく、考え得るすべての対抗策を並べただけですが、言わんとする所は、今までのように、中国に対する関与政策とか、ステークホルダーなどという甘い政策は捨てて、中国を対抗勢力と認め、そうした中国に対抗し、封じ込めるための具体的な政策を推進すべきだ、ということです。

1年前には、米国の論壇にこういう意見が出ることは考えられませんでしたが、おそらくこれは一時的傾向ではないでしょう。

中国脅威論はもともと冷戦終了以来存在していたのですが、9.11以降の対テロ戦争重視で陰に追いやられてしまい、それが再び表面に出てきたということです。また、中国の軍事力急増により、近年そうした脅威論に実体的な裏付けも出て来ました。今後、再びそれに対する反動もあるでしょうし、今回の胡錦涛訪中のように中国側がそれを抑えようと努力することもあるでしょうが、中国脅威論は米国の外交安全保障思潮の主流の一つとして存在し続けるのではないかと思われます。



Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:30 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
中国の台頭は日本の再軍備を招くか [2011年01月21日(Fri)]
東京に本拠をおく英文インターネット・メディア「The Diplomat」1月21日付で、英Royal United Services Institute(ロンドンの政府系シンクタンク)のJohn Hemmingsが、中国のパワー増大と米国のパワーの相対的低下、その結果としての日本の再軍備というここ10年のアジアのトレンドは危険だ、と警告を発しています。

すなわち、1985年から外洋海軍力を築いてきた(最近まで「平和的台頭」の言葉でカモフラージュ)中国は、2010年から海軍の活動を活発化、対外姿勢も強硬化させた。そのため、日本は防衛努力を強化、一時の東アジア共同体構想に代わって米国との同盟強化の方向に転じている、

国外への攻撃能力を強化する一方、それを短期的な目的実現のために使っている中国の思考法と行動ぶりは21世紀にふさわしくない、19世紀帝国主義的なものだ。それがどのような結果をもたらしたかは既に明らかで、中国の軍事化は日本のさらなる軍事化を招いており、そうやって危険な循環が始まる、

しかし、日本と米国は、中国を、パートナーになり得る、重要な国と見ており、従ってこうした前向きな見方に基づいて行動しなくてはならない。ただ、問題は、米国は戦後独占してきたアジアにおける役割の一端を中国に譲るつもりなのか、また、中国はどこまで米国とのそうした役割の分担を許すのかだろう、と言っています。


最近の中国に関する論調について思うのは、米国経済の退潮という、おそらくは一時的な現象が今後も恒常的に続くことを安易に前提にしていること、また、米国経済退潮が決定的になれば、中国の成長も大きく阻害されるので、中国は簡単には number oneにはならないことを見落としていることです。

つまり、先進国経済がこける時は、中国もこける時であって、中国の経済状況は儚いということです。ところが、中国人の多くは「どちらが強大か」という19世紀帝国主義的競争意識の下に表面的な経済的成功に酔い(発言を見るかぎり、胡錦涛、温家宝、戴秉国の現状認識は浮ついていない)、中国軍部がこれに乗って予算と勢力の拡大を図っているように思われます。

「日米は中国がパートナーになり得る国だと見て、これに前向きに対処していくべきだ」という、意見には賛成ですが、他方、対中抑止力を整備し、「日米に逆らうと儲からない」という状況があってこそ、中国はおとなしくしていることが基本であることは忘れてはならないでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:32 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
米国とは異なる中国外交 [2011年01月19日(Wed)]
ファイナンシャル・タイムズ1月19日付でコラムニストのDavid Pillingが、最近の中国は南シナ海を「核心的利益」と呼ぶなど、力を誇示する傾向があるが、自信をつけてきた中国の外交はこれからどうなるのか、その大まかな輪郭を描くことは可能だとして、米国等との対比で論じています。

すなわち、先ず、米国との大きな違いは、米国が宣教師的な大国であり、憲法や自由民主主義、自由市場を魅力的なモデルとして推進しようとしてきたのに対し、中国にはその種のイデオロギー的衝動がないことだ。中国が目指しているのは、豊かで強い国になること、そして尊敬と地位の承認を得ることだ、

また、中国は、他国の国内政治には干渉しない不干渉主義をとっている。ただ、中国の利害関係が世界中に広がる中で、現地の華僑弾圧や中国企業の国有化等で中国の利益が損害を受ける場合はどうなるか判らない、

中国は不拡張主義も標榜してきた。チベット、新疆、台湾を含めた中華という概念を受け入れるのであれば、これも空虚な主張とは言えない。

そうした中国は、歴史的には周辺の小国と朝貢関係を作ってきた。例えば、琉球は朝貢をしつつ、中国には併合されなかった。ここには「主権平等」の考えはなく、中国中心の階層秩序の考えがある、と指摘、

結局、中国は自分の領分と見なす海域から米軍を追い出し、朝貢システムを復活させ、近隣小国に権威を及ぼすことを志向するだろう。つまり、周辺国に対して、イデオロギー的に中国を見習うよう仕向けるのではなく、必要に応じて譲歩をさせ、中国を尊敬させることを目指すだろう、と言っています。


このピリングの観察はいくつかの点で的を射ているように思われます。中国が革命を輸出したり、毛沢東主義を広めようとした時代は完全に過ぎ去り、今の中国には普遍性のあるイデオロギーはなく、宣教師的志向もありません。

台湾問題や、尖閣、南シナ海の島、インドとの陸の領土問題を除いて拡張主義になる可能性もあまりありません。不干渉政策も、中国企業国有化などに際しての利益擁護は次元が異なるものとして整理できる面があるので、おそらく続くように思われます。他方、朝貢関係のようなものの再構築を目指すこともあり得るように思われます。

従って、このピリングの説は大筋で正しいように思われますが、それは同時に、中国は、これまで米欧が築いてきた国際秩序に整合する国、つまり国際的に責任ある利害関係国となって国際秩序維持に尽力する国にはならないかもしれないことを示唆します。

また、朝貢関係の再構築については、日本、ロシア、ベトナムなど、それを受け入れない国も多いと思われます。




Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:49 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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