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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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中国の対外政策の強硬化 [2010年09月29日(Wed)]
ウォール・ストリート・ジャーナル9月29日付で、同紙コラムニストで米AEI日本研究主任のMichael Auslinが、中国が周辺各地について領土権を主張するのは新しいことではないが、近隣諸国が中国に対して立ち上がるようになったのは新しい現象であり、中国がその結果生じる紛争にどう対応するかで、東アジア全体が今後10年、どの程度平和的に発展するかが決まるかもしれない、と論じています。

すなわち、中国の外交政策は、外交関係者よりもむしろ軍が動かしているようであり、そうだとすると、中国の将来に対する恐れは一層高まることになる。実際、今や対中関与策が中国の行動を変えると考える国はほとんどなくなり、米国も、既に、関与と並んでヘッジするという並行戦略を進めている。中国が高圧的態度を取り続ければ、他国は結束して中国に対抗しようとするだろう、

次に尖閣諸島事件のような事件が起きた場合、中国は、退くか、正面衝突を覚悟するかの選択を迫られ、退けば、国内で民族主義的憤激が引き起こされることになろう。こうした事態が起きるのを避けることが、中国軍民指導者の最大の関心事であるべきだ、と言っています。


領土問題をめぐる中国の高圧的態度がバックラッシュを生んでいるという指摘は、その通りでしょう。オースリンは日本について、「中国は今回の対応で日本を怒らせてしまった、菅首相は中国の圧力に屈したとして国内で厳しく非難されている、今度同様の事件が起きたら、日本は簡単には引き下がらないかもしれない」、と述べて、まさに日本にバックラッシュが起きていることを指摘しています。

その日本にとって、今回の事件は「福に転じる災い」ではなかったかと思われます。中国が威圧的態度に出る国であることを身にしみて感じた日本国民は、中国に対する正当な警戒心を持つに至り、それと同時に、米国の重要性も再認識したと思われます。また、中国への経済的依存の危険も知らされました。今後、日本政府は中国に対し、毅然とした態度を取らざるをえなくなるでしょう。

ただ、オースリンは高圧的態度に出ることは中国のためにならないとして、中国の自重を促していますが、中国が変わりうるかどうかについては疑問があります。一つには、オースリンも指摘している軍の影響力の高まりであり、軍は国際的反応などはあまり考慮しないと思われます。いま一つは国粋主義的ともいえるネット世論であり、中国政府はネット世論の手前、国際的な譲歩はしにくい状況に置かれていると思われます。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 17:04 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
日本の後退と中国の勃興 [2010年09月29日(Wed)]
ファイナンシャル・タイムズ9月29日付で、コラムニストのDavid Pillingが、 尖閣問題で日本が中国に譲歩したことについて、今なお経済大国である日本までが中国に抵抗できないとなると、アジアでは中国が米国にとって代わる覇権国となるという心配が生じて来る、と警告を発しています。

すなわち、日本のような経済大国で先進的軍備を擁する国が中国の圧力に抵抗出来ないとなると、他の小国は一体どうなるのか。中国の行動はますますアグレッシヴになり、米国の覇権を脅かしている。米国は、20世紀に大国となり、好きなように振舞ってきた。中国も地域で影響力を発揮しようとするのは当然だろう。ただ、米国は民主主義という利点を持っている。中国が覇権国となったとき、どう行動するかは誰もわからない。だからこそ、アジアの国々は今回の日中間の摩擦を深い関心をもって見ているのだ、と論じています。


これは、裏から言えば、ここで日本にもうひと踏ん張りして中国に抵抗して欲しかったと言っているわけです。今回の日本の譲歩は、確かにこうした懸念に値するでしょう。

ただ、今回の譲歩に対する日本の世論や各種評論の傾向から見て、日本はこのまま中国に対してズルズルと無抵抗に引き下がるのでなく、むしろ、今回の事件を契機として、中国の圧力に抵抗しようという国民的世論が形成される可能性もあるように思われます。今回の事件は、日中間の領土係争の第一ラウンドに過ぎないでしょう。

また、日本が譲歩する一方、米国が強い姿勢を示したことは、アジア諸国にとっては、日本の弱気をカヴァーしてあまりある、頼もしいシグナルであっただろうと思われます。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:43 | 東アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
中国に与えた誤った教訓 [2010年09月27日(Mon)]
米ヘリテージ財団のウェブサイト9月27日付で、従来より中国問題、安全保障問題について保守的立場から論じてきた同財団のDean Chengが、尖閣諸島問題での日本の譲歩は、極めて危険な先例となるものであり、米国は同盟国に対して、この種の宥和政策は中国内のタカ派を勇気づけるだけだと警告すべきだ、また、米国自身も、米国のアジア回帰の姿勢を明らかにすべきだ、と論じています。

すなわち、今回のような小さな事件をエスカレートさせたのは中国側であり、しかも、その結果、中国内のタカ派が勝利を収めている。従って、今後も米国の友好国と中国との領土紛争がエスカレートする危険がある。米国は、友好国に対して、今回のような宥和政策は中国を更にアグレッシヴにさせるばかりで、誤った策だということを警告しなければならない。また、米国自身も中国との対決に備えなければならない。そして、米国は、アジア回帰と言う以上、軍事、外交、通商全ての面でこの地域と関係を深めなければならない、と論じています。


宥和政策が中国内のタカ派を勇気づけるという論はおそらく正しいと思われます。今年に入ってからの米中軍事交流の停止、ゲーツ国防長官の訪中拒否などの中国の強硬姿勢もそれで説明がつきます。すなわち、オバマ政権は昨年11月の初訪中に備えて、米中間の摩擦となる対台湾武器売却やダライ・ラマとの会見等を全て先延ばしにしましたが、これらはいずれ実施せざるを得ない懸案であり、当然、訪中後には実施されました。こうなることは初めからわかっていたのに、これに対する中国の反発は不必要と思われるぐらい強いものでした。これについての説得力ある説明は、米国が一年間宥和姿勢を続けているうちに、米国は強く押せばひっこむということで、中国内のタカ派の発言力が強くなったというものです。

なお、今回の事件については、中国の軍部は過早に日米同盟と対立することに消極的であり、ネット世論に迎合した党・政府が独走したという説もあります。そうであるなら、日本の譲歩によって、党・政府内のタカ派は面子を救われたことになるでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:13 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(1) | トラックバック(0)
貿易をめぐる米中衝突 [2010年09月27日(Mon)]
ワシントン・ポスト9月27日付で同紙経済コラムニストのRobert Samuelsonが中国からの輸入品に限定して高関税を課す新たな法律を制定すべきだと論じています。

すなわち、中国の問題は、都合の良い時だけルールを守り、都合が悪くなると拒否するというように、国際経済の基本ルールを本当には受け入れていないことだ。こうした例は過去にもあったが、どの国も中国ほど巨大ではなかったので、貿易システム全体が阻害されることはなかった、

その中国が既存のシステムを悪用した最悪の例が、人民元レートの操作と輸出主導の経済成長モデルだ。中国は輸出に支障がない範囲内でしか切り上げを認めてこなかった、

中国が今後も大幅な切り上げを認めなければ、代替策は、貿易戦争を誘発しかねない報復措置ということになるが、現在米議会で検討されている「通貨操作を輸出補助金とみなす」案は、WTO協定違反の可能性がある。そこで、より現実的な代替策は、対象を中国に限定した「スムート・ホーリー法(1930年に米国が2万品目以上の輸入品に高関税を課した法律、大恐慌を深刻化させたと言われる)」のような法律を制定することだ。スムート・ホーリー法は全世界に対する措置だったが、これは中国の保護主義のみを抑制しようとするものだ、と述べ、

米国の選択肢は二つ、中国の野望を食い止め貿易戦争のリスクをとるか、何もせず中国が新たな貿易システムを作ることになるかだ。前者は危険だが、後者は破滅的な結果をもたらす可能性がある、と結んでいます。


最近の米国経済界に広がる嫌中感を反映してか、対中強硬論が時々紙面を賑わしますが、この論説も例外ではありません。サミュエルソンは、対中制裁関税法案はスムート・ホーリー法とは違うと主張していますが、こうした制裁関税は直ちに中国側の対抗措置を招きかねず、米中貿易チキンゲームが始まることを意味します。

また、サミュエルソンは、中国が貿易システムを作り変えることは破滅的であり、貿易戦争の方がまだましだと言っていますが、そもそも中国には新たなシステムを作る気も能力もなく、既存のシステムにただ乗りすることしか考えていません。新たな関税法案はそうした中国に対する抑止とはならないでしょう。

中国は「日本株式会社」時代の日米貿易摩擦を研究し尽くしているはずであり、米側の戦術はほぼお見通しなのではないかと思われます。対するに、米国の戦術は相変わらず強硬な制裁法といった話ばかりで、1970年代からさほど進歩していないように思われます。これでは米国が「中国株式会社」に勝つのは覚束ないでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:44 | その他 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
中国のシー・パワーの台頭 [2010年09月26日(Sun)]
ワシントン・ポスト9月2日付で、米CNASのRobert D. Kaplanが、過去10年に起きた最大の地政学的出来事は中国のシー・パワーの台頭だと論じています。

すなわち、米国に次ぐ世界第2の海軍を擁する中国は、潜水艦と対艦ミサイルに力を入れており、将来、中国海軍は東アジアで米海軍の活動を制約できるようになる可能性がある。2020年までに潜水艦の数では米国と肩を並べるだろう。

米中のシー・パワー競争の焦点は南シナ海――世界の商業海運の3分の1、日韓への石油の半分が通り、インド洋へのアクセスも提供する――だ。米国はこの海域を国際的航行路と考えているが、中国は「核心的利益」としている。米国がカリブ海を支配して西半球の覇権国になろうとしたように、中国は東半球の覇権国になるために南シナ海の支配を狙っている、

また、米国は南シナ海の北にある台湾と中国の間で起きていることを過小評価しているが、中国は台湾を静かに取り込みつつあり、米国は台湾防衛が出来ないということが明らかになれば、中国は第1列島線を越えて、第2列島線に進出して来るだろうと指摘、

米国が中東問題やアフガニスタン問題にかまけて、東アジアにおける中国海軍の挑戦に適切に対応できずにいるのは、中国にとっては好都合だ。米国は中国を敵と見るべきではないが、同時に、中国が台頭する中で、他のことに気を逸らされているのは米国の利益にならない。中東から東アジアに注意を振り向けることが大国としての米国の将来にとって重要だ、と言っています。


このカプランの論説には大筋で賛成できます。中国は価値観やイデオロギーではなく、世界の地政学的情勢判断の上に立って国益の増進を図っている国なので、カプランのような地政学的判断が的確になります。

米国はイラクやアフガンで消耗し、今後の世界情勢に最大の影響を与える東アジア情勢、特に中国の台頭に十分な注意を向けてこなかった嫌いがあります。オバマ政権はそれに気付き、太平洋国家としての米国を強調し、東アジアへの関与を強めてはいますが、まだ十分ではありません。

カプランが言うように、東アジアにもっと注意を向け、東アジアでの平穏を求めるあまり中国との間に問題が生じるのを嫌う姿勢を続けることの是非を真剣に考えてほしいものです。

なお中国は南シナ海のみならず、東シナ海のことも、あまり目立たない形ではありますが、「核心的利益」と称しています。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:53 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
アジアのパワー・ポリティックス [2010年09月24日(Fri)]
米Foreign Policyのウェブサイト9月24日付で、米AEIのDaniel Blumenthalが、アジアの不安定要因は、中国の勃興に対して日本が衰退したことにあり、米国は日本の立ち直りを援けるべきだ、と論じています。

すなわち、尖閣列島をめぐって起きた今回の日中衝突は、過去10年間の日中間の領土、海上活動などに関する摩擦の一部であるが、アジアの不安定さの源泉は、米国の弱体化に対して中国が興隆したということよりも、むしろ、日本が衰退したのに対して中国の力が増大したことにある。大国間の摩擦の原因は、かつて強かった国が競争者に負けそうになった時に起こるものだ、

米国は、アジアでは大国同士が争うパワー・ポリティックスの時代はまだまだ終わっていないことを認識し、環境問題や通貨問題などではなく、「戦争と平和」という高次元の政策に力を注ぐべきだ。つまり、米国は、日本が経済停滞を脱却して、より一貫した戦略的な役割を果たすよう助力すべきだ、と論じています。


中国の勃興、そしその脅威の増大に対してどうしたら良いのか、というのが今後の米国の課題です。その場合、真っ先に思い浮かぶのは、日本という大国、しかも同盟国を利用しないでほっておく手はない、ということでしょう。それは当然、防衛力などについて日本の貢献への期待となりますが、この論説の特色は、日本を長期的経済停滞から救い出すことを考えるべきだと言っていることです。

冷戦終了直後は、日本は米国の最大の競争相手であり、仮想敵とさえ言われ、米国の政策は日本の力を削ぐことに向けられました。それが成功(?)したためか、日本は20年来停滞に苦しんできましたが、中国が脅威となってきたため、日本を停滞から救い出せという議論まで現れることになったわけです。

これまでも指摘があったように、この日本のピンチはチャンスでもあります。中国の勃興に対して、当然、日本に対する期待が高まりますが、そうした中で、日本が、漠然たる対中友好関係でごまかさずに、米国との確固たる協力態勢で乗り切る姿勢を示せば、今や経済についてさえ米国の理解と援助を期待できます。折から米議会が中国の為替政策を批判していたにも関わらず、米政府が日本の為替介入を黙認したのもその一つの兆候と言えるでしょう。

やはり、日本の将来は日米同盟に賭けるしかない、という平凡な真実に立ち戻るべきだと思われます。



Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:26 | 東アジア | この記事のURL | コメント(1) | トラックバック(0)
尖閣諸島をめぐる日中衝突 [2010年09月24日(Fri)]
ニューヨーク・タイムズ9月24日付社説が尖閣諸島をめぐる日中の衝突を取り上げています。

すなわち、中国と日本は賢明にも東シナ海での対決から身を引いたが、この事件は、領土問題は直ちにエスカレートすること、紛争を解決するためにもっと努力すべきことを示した。事件の責任が誰にあるのかはわからないが、日本は船員と船は返したものの、船長を公務執行妨害で起訴すると脅し、それに対して中国が4人の日本人の拘束やレアアースの輸出差し止め等の措置をとったため、結局、船長を釈放した、

尖閣諸島の所有権は何十年も争われてきたが、中国は最近ますます領土的主張を強めており、ベトナムと両朝鮮が主張している南シナ海を「核心的国家利益」と呼び始めている。外交の世界では、これは戦いの言葉だ、

こうした横暴な行動は北京の意図に対する周辺諸国の懸念を高めるだけであり、中国は何も得をしていない。他方、日本の動機についても疑問がある。これまでは通常、海上保安庁の職員は中国漁船に乗りこみ、退去させてきた、

オバマ政権は航行の自由を確保し、それぞれの主張を平和的に解決するための話し合いを手助けすると申し出ている。領土紛争の解決にはならないが、対決は減るだろう。今が行動の時期だ、と言っています。


これはいささかお粗末な社説です。少しでも物事を知っている人なら、南シナ海をベトナムと両朝鮮が主張し合っているなどとは書かないでしょう。また、日中は賢明にも東シナ海での対決から身を引いたと言っていますが、日本が大局的判断で身を引いた――その是非はともかく――のであって、中国は一切引いてなどいません。

他方、中国の横暴な行動は周辺国の警戒を呼び起こすので、中国の得にならないという指摘は的を射ているかもしれません。日本としては、今後、それを利用していくべきでしょう。ただ国際政治では、力の誇示は、警戒のみならず、畏怖の念をも呼び起こすことを忘れるべきではないでしょう。フィンランドは好んでフィンランド化を選択したわけではありません。

いずれにしても、この社説を見ると、現時点ではNYTが尖閣問題に関する日本の立場について、全くわかっていないことが明らかです。1970年まで、中国は尖閣を公式の地図などで日本領と認めており、石油などの資源があると言われてから、領有権を主張し始め、1992年には中国の法律で自国領としたというだけです。

日本は東シナ海に領土問題は存在しないとの立場から、尖閣問題での日本の立場を説明せずにきましたが、事態がここまできた以上、日本の立場をもっと積極的に説明すべきでしょう。なお、米国が、尖閣に安保条約は適用される、と明言したことは評価すべきですが、尖閣を守る責任は、言うまでもなくまず第一に日本にあります。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:06 | 東アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
米国のアジア回帰 [2010年09月23日(Thu)]
ニューヨーク・タイムズ9月23日付で同紙コラムニストのPhilip Bowringが、9月21日に行われた米=アセアン首脳会談を、米国のアジア復帰として論じています。

すなわち、新聞の大見出しにも、選挙の票にもならないが、オバマ政権は東アジアとの関係で成果を挙げつつある。これは、長い間イラクとアフガニスタンにかまけてきた米国が、中国の南側の諸国に対する関心を復活させたことを示すものだ、

中国は、これをアジア地域への外部からの介入、そして、中国封じ込め政策ととるだろうが、地域諸国は米国の存在は東アジア・太平洋の安定のために必要だと思っており、そうした思いは10月にハノイで開かれる東アジア・サミットでは表面化するだろう。そして、参加した中国はいささか居心地の悪さを感じることになろう、

また、米国は日本が民主党政権になれば、対米関係が弱まると懸念したが、これは杞憂だった。そして、米国が沖縄基地維持の確固たる姿勢を示した矢先に、中国の海洋進出によって日中間に領海争いが起き、日本は、今や南方水域に防衛の関心を集中させている。そして、韓国も、天安号事件以降、米国との協力を強化している、

長期的には、米国や同盟国は、この地域で圧倒的な海空軍優勢を維持するコストを負担出来るかという問題に直面することになるだろうが、今世紀は太平洋の世紀になることが予想されている。米国はこれまで中東に関心を集中させていたが、今後開かれるアジア諸国との首脳会談は、米国がこの地域の重要性に目覚めたことを示すことになろう、と言っています。


21世紀の最大の課題は、中国の勃興をめぐる東アジア情勢であり、米国はいずれアフガニスタンやイラクから関心をアジアに振り向けざるを得なくなり、誰も中国封じ込めとは公然とは言いませんが、中国を取り囲む自由諸国、特に東南アジア諸国と米国が協力するようになるのは必然の勢いでしょう。また、1年間雌伏していたクリントン外交が、本年初頭に始動して以来、そうなることは予期されていたとも言えます。

事態はバウリングが指摘している通りに動いていると思われ、日本としては、たまたま、アジア共同体から米国は除外すべきだと発言した外相が交代したところでもあり、クリントンのイニシアティブに積極的に協力すべきでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:04 | 東南アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
中国軍部の発言力拡大 [2010年09月21日(Tue)]
The Diplomatのウェブサイト9月21日付で、 中国問題の評論家Gordon G. Changが、最近、中国の中で軍部の発言力が増大していると指摘しています。

すなわち、2004年半ば頃から、胡錦涛は江沢民との権力闘争に勝つために軍の支持を得ようと、軍事予算の増額や軍内の強硬分子の抜擢等を行ない、それは概ね成功した、

軍が発言力を増している証拠に、@タカ派的議論が国家の政策になっている、A軍は党の下にあるという建前が陳腐化している、B2012年の党大会に向けて軍が前回の党大会で獲得した地位を維持強化しようとしている、C胡錦涛は軍事費の増額は経済成長に見合うべきだと言っているが、近年、軍事費はそれ以上の伸びを示している、と指摘、

これらが最近の中国の強硬な対外発言につながっている、中国の野心は際限が無い、と結んでいます。


中国の言動がとみにタカ派的になってきたことは、最近の尖閣問題に対する中国の態度を見ても、また、南シナ海を中国の「核心的利益」と呼び、盛んに海洋進出を行っていることを見ても疑問の余地はありませんが、それが目だって来たのは、今年になってからです。その短期的理由としては、オバマ政権が、昨年11月の訪中前は抑えていた台湾武器売却やダライラマとの会見を実行したことへの中国側の反発を挙げられるでしょう。また、それまでの米国の宥和政策が中国内のタカ派を勇気づけ、タカ派とハト派の長期的バランスに影響を与えてしまったという分析も可能でしょう。

しかし、より長期的には、論説も言うように、第18党大会を控えての権力闘争が要因になっていると思われます。論説は、軍の発言力の増大の原因を江沢民と胡錦涛の権力争いに帰していますが、江沢民もまた、解放軍歴の無い初めての総書記として、軍事費の増額や将官の数の増大など軍の要求を全て呑んで来ました。

こうしたことが軍をつけあがらせ、論説も言うように、30年代の日本の青年将校の跋扈のような状況が出現しているのかもしれません。現役の将官達が党・政府の統制に捉われず自由に発言しているところを見ると、「若手将校たちが戦略をコントロールし始めている」というのも、あるいは真実かもしれません。
 


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 17:18 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
米国防省の防衛予算合理化努力 [2010年09月21日(Tue)]
ウォール・ストリート・ジャーナル9月21日付でAshton B. Carter米国防次官が、防衛費の無駄をなくすために、国防省がどのように調達の合理化に努力しているかを紹介しています。

すなわち、米国は装備とサービスの両分野で5年間に少なくとも1000億ドル節約する目標を立てており、昨年は不必要な計画を中止したが、今年はさらに踏み込んで、必要な計画の中で節約できる部分を見つけるつもりだ、

具体的には、
@新兵器開発については、性能要件だけでなく、資金的要件も重視する
Aコストを抑える業者を優先する
B兵器システムよりも一層非効率的だった、情報技術・兵器システム保守・輸送等のサービスの購入(契約関連に支払われる金の50%以上にあたる)にいて合理化に努める
C毎年のように作成される膨大な報告書類を選別、無価値なものは廃止する。特に、業者に作成が義務付けられている報告書は、結局、納税者が費用を負担するのであり、厳しく吟味する等を考えている、と言っています。


この論説はペンタゴンがいかにコスト削減に努力しているかを説明したものであり、日本としても参考にできることがあると思われます。

米の防衛費は、9・11テロ後、一貫して増えており、2011年度は約64兆円とされています。戦争をしているのですから、増えるのは当然とも言えますが、他方、米国の財政赤字は2011年度に約140兆円にもなります。

そうした財政状況の中で、米国と言えども、これだけ巨額の防衛費を長く計上し続けられないのはほぼ確実でしょう。だからこそ、ここで説明されているような調達の合理化などの努力を行っているわけですが、他方、同盟国に対してもそれなりの負担増を求めてくることが予想されます。そうなると、中国の軍拡の中で、防衛費を削減してきた日本は特に目立ってくると思われます。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:17 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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