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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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米中関係の実情 [2010年03月31日(Wed)]
どの国にも流行の論調というものがありますが、ニューヨーク・タイムズ3月31日付掲載の、ジョージタウン大学のCharles A. Kupchanの米中関係に関する論説は、今の米国論壇における気分をよく表わしています。

すなわち、@米中間の対決ムードは憂慮すべきものであり、双方の指導者は早急にこれを緩和する必要がある、しかし、A現在の摩擦は、米中双方の基本的国益の対立というより、双方国内の圧力を受けて売り言葉に買い言葉にならざるを得ないために生じたものだ、また、B中国は元を切り上げるべきであり、それは中国自身の利益となる,、ただ、中国は圧力を加えられれば、頑なになるだけであり、米国は圧力を加えるのは止めるべきだ、さらに、C米国は中国への技術輸出制限を緩和し、特に環境技術、省エネ面での共同研究・開発を進めるべきだし、これに対して、D中国は対イラン制裁強化、インターネットにおける自由の問題で米国に歩み寄るべきだ、と述べ、

米中両国は、まだ地政学上の戦略的対立には至っていない。しかし今のトレンドにブレーキをかけないと、意見の不一致はやがて危険な対抗関係に変わっていくだろう、と言っています。

カプチャンが言うように、米中関係は戦略的対立関係に至ったわけでは毛頭ありません。ダライ・ラマとの会見や台湾への兵器供与をめぐる中国の反応はいつものことであり、米中は必ず再びよりを戻すでしょう。今の中国は他国を占領したわけでもなく、また米国とは不即不離の経済関係にあるからです。

事実、この10年余、欧米の投資銀行を中心に、中国経済台頭を大袈裟に言い立てては中国の株価を吊り上げて利益を収める動きが続いてきましたし、一部の米国製造業にとっては、中国での生産、販売は死命を制するものとなりつつあります。世界金融危機後の金融機関たたきで、一時後退しているものの、1年もすれば金融機関等から対中関係推進の声が再び上がってくるでしょう。

ただ、2012年は米大統領選と中国共産党大会(胡錦涛が次世代指導者に交代すると言われる)の年であり、そのため、米中関係が双方の内政の争点に使われて、対立がエスカレートする可能性はあります。

こうした中で日本として留意すべきことは、米中両国が対決色を強めても、この間で「バランサー」となる、あるいは漁夫の利を占める動きを示すべきではないということでしょう。19世紀のポーランドの如く、2つの強国にはさまれた国は、その両大国がある日突然対立をやめて手を結べば分割支配されかねません。

また、米国が対中関係で日本に同調を求めてきた場合には、対中関係の悪化を恐れて逡巡する姿勢を示すべきではないでしょう。揺れれば中国からは軽視され、米国からは突き放されます。と言っても、米国の要請を100%満たす必要はなく、日本自身の安保に役立つものは何かを見極めつつ、それについて米国と前向きに協力する姿勢を維持していけばよいでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:04 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
中国の国防動員法 [2010年03月29日(Mon)]
米ヘリテージ財団ウェブサイト3月29日付で、同財団のDean Chengが、先ごろ中国全人代で、日本風に言えば「国家総動員法」に当たる、「国防動員法」が成立したことを取り上げ、これについて人々の注意を喚起しようとしています。

即ち、米国を始めとする民主主義諸国にはもはや総力戦思想はないが、中国も同様だと思うのは危険だ。長期の総力戦――散発ゲリラ戦の長期化ではない――を戦いぬく準備をしようとしているのが中国なのだと認識を新たにしないと、米国は必要な対応をとれないだろう、

成立した国防動員法は、非常時の物資の徴発や人員の動員について大枠を定めたものであり、これによって、戦争になった場合、@航空機、列車、港湾施設のような民間資産の徴発、A各種センサーや通信機器の保守管理等、戦争遂行に必要な科学技術を持つ民間人の動員のための法的根拠が用意された、と述べ、

この国防動員法には、民生・軍用の区別なく、およそすべての開発に相乗効果を狙う中国ならではの発想が表われている。また、この法律ができて、動員体制は人治から法治に変わったが、これは物資、人員、技術の徴発をより円滑にするための目的合理的行為であって、中国共産党の弱体化の証左ではない。つまり中国は“rule by law”の国ではあっても、“rule of law”の国ではない、と言っています。

もしここに中国の戦争観が表れているのなら、チェンの指摘の通り、中国の戦争遂行能力を評価する際、これからは民間資産も合算して判断することが必要になってきます。また、日本人は米国人以上にこのことに留意する必要があるでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:38 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
韓国の防衛政策 [2010年03月26日(Fri)]
Forbes.com 3月26日付で、レーガンの特別補佐官を務めた朝鮮問題専門家、Doug Bandowが、韓国軍がアフガニスタン、イラクなどで国際的に活躍しているのは結構なことだが。他面、米国の世界的な軍事負担が増えている中で、最近の黄海の事件で明らかなように、朝鮮半島はまだ不安的な地域なのだから、韓国は自国の防衛にもっと力を入れてほしいと注文をつけています。

すなわち、李大統領は、Global Koreaを呼号し、韓国の国防白書も世界に貢献する能力増強を謳っているが、韓国には今も27,000の米兵が駐留し、沖縄には第三海兵師団が後詰として控えている。しかし韓国は今や世界第13位の経済大国であり、それに対して、北朝鮮には中国やロシアの軍事的後ろ盾はない。韓国は、もはや米国からの援助から脱して自らを守るべきだ。イラクやアフガニスタンなど大きな負担を担っている米国は、大国からの脅威に備えるべきであり、地方的な問題はその地域の同盟国に委ねるべきだ。つまり、韓国は世界を救う前に、自らの国民を守るべきだ、と言っています。

2012年の戦時統帥権移転を前に、北朝鮮の軍事的脅威に対しては、もう韓国に主たる防衛責任を負わせたら良いではないか、という議論が本格的に出て来たということです。

ところが、韓国防衛の実態は、2012年の戦時統帥権移譲までに、自前の防衛態勢が出来るかどうか危ぶまれ、2012年の合意の延期論も出て来ている状況です。従って、バンドウの論は、軍事情勢の実態に即していないとも言えますが、他方、ここまで経済的に成長した韓国は、もはや中ロの軍事的後ろ盾を失った北朝鮮に対する防衛ぐらいは、自前でやるべきだというのは、俗耳に訴えるものがあります。

翻って、駐韓米軍の話はいやでも日米同盟との対比につながります。米側の論者に言わせれば、日本が防衛力を強化し、米軍の海兵隊を代替出来るようなら、米海兵隊を常駐させる必要はなくなります。現に、有事駐留で良いと主張する識者もいます。

今後、普天間基地問題が解決し、海兵隊が一部撤収するにつれて、少なくとも米側の一部に、防衛費増額による米軍事費の肩代わり、集団的自衛権の行使による米軍の軍事力の肩代わりへの期待が出て来るのは理論的必然でしょう。それに対して日本側が基地提供だけを反対給付として自己弁護しようとすれば、総合的な経費分担の考え方の中で、思いやり予算の現状維持では不十分だとする議論は益々強くなると予想しなければならないでしょう。

つまり、日本の防衛力増強も、集団的自衛権の行使も、更には、思いやり予算の問題も、米軍の一部グアム引き揚げに付随して出て来る可能性があることは、十分覚悟する必要があります。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:27 | 東アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
オバマ・ケアと軍事予算 [2010年03月25日(Thu)]
オバマ・ケア(医療費保険制度予算)に対する最大の批判は予算の負担増大であり、米外交問題評議会の軍事専門家Max Boot が、ウォール・ストリート・ジャーナル3月25日付で、早速、軍事費に及ぶ影響を憂慮しています。
 
すなわち、現在、米国の軍事予算は連邦予算の17%、GDP比で4%程度であるのに対し、社会保障費は35%を占めている。他方、欧州の軍事予算は2%であり、これは、欧州諸国が、大国となるのをやめ、米国から安全保障の補助を受けていることを意味する。米国がそれを真似たら、誰が自由世界を守り、シーレインを守り、テロ対策などを行うのだ、と述べ、

オバマの防衛計画は、当面の戦費を除いた中核的防衛力が、今のGDP比約4%から2019年には3%になることを予想している。経済成長が続けばそれでも何とかなるだろうが、経済が停滞したら、老朽化する海空軍力の更新もままならなくなる。米国にとって最大の脅威は、中国でも、イランでも、ロシアでもなく、社会保障費増額への飽くことなき要求だ、と論じています。

オバマ・ケアによる社会保障費増大に対する米国内保守派の反対は、基本的には「大きな政府」に反対するイデオロギー的なものですが、実施段階では、予算の膨張と他の経費への圧迫が具体的問題となってきます。特に、軍事予算は社会保障費と常に競合関係にあり、従って、この種の論説が表れるのは当然と言えます。
 
しかし、GDP比3%の防衛費というのは、ブートも言うように、どうにかなるレベルです。冷戦中、米国の防衛費がGDPの6%に達した頃、ポール・ケネディは「大国の興亡」を書いて、過大な軍事費が帝国の衰退を招くと警告しましたが、その後、防衛費の比率は減り続け、クリントン政権末期には2%と軍全体の士気にもかかわる状況となりました。そのため。ブッシュ政権になってから増勢に転じ、9.11の頃は、アフガンの追加軍事費を除いても3%程度になっていました。それに対し、ポール・ケネディは、「この程度で帝国を維持出来れば廉い」と言って、これを米帝国の軍事費として健全な線と認めています。

と言うことは、3%ならば、今後妥当な経済成長が続く限りは、さして心配しなくてよい水準と考えて良いということになります。

帝国であることの最大の尺度は軍事力にあり、英帝国は、世界のどの地域においても、その地域諸国の海軍力の合計よりも英国海軍の方が優勢である限り、大英帝国を維持出来ましたし、ロシア海軍の進出によって極東の軍事バランスが崩れた後は、日英同盟を結ぶことでその優位を維持しました。

翻って米帝国を考えると、現在世界のどの一隅でも、米国の軍事力に勝る総合的な軍事力を持つ国はありません。要は、米国の経済力がこの世界第一位の軍事力を財政的に維持しつ続けられるかどうかであり、GDP3%でそれを維持できるということなら、米国の世界覇権は、まだしばらくは安泰だと考えて良いのでしょう。




Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:50 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
タイの政情とタイ王室 [2010年03月25日(Thu)]
エコノミスト誌最新号の社説が、タイ政情とタイ王室について論じています。

それによると、今のタイは、@タクシンに人気があり、赤シャツ組が北東部の貧民層のみならず広く支持されている、A現政権は選挙で選ばれたものではなく、その正統性は少なからず国王の支持に支えられている、Bその国王は高齢で、王位継承の問題がある。Cアビシット政権が選挙で負けても、軍部やエリート層は敗北を受け入れない可能性があり、選挙は解決をもたらさない、という四つの深刻な問題を抱えている、

国王が亡くなれば、妥協しがたい政治的対立を抑えてきた影響力が失われてしまう。ところがタイでは不敬罪もあって王室のことは公に議論できない。こうした中で、タイが今の政治的泥沼から抜け出すのは不可能のように思えるが、解決の方法はある。それは早期に選挙を実施し、正当性ある政府を樹立し、さらに、権力をバンコクから地方に分散し、北東部などの市民が抱く中央の支配者からの疎外感を減らすことだ。真の「タイ式解決」は王室が政治に全く介入しないことだ、と論じています。

エコノミスト誌はタイ政情を論じるにあたり、タイ王室の役割を重視しながら相反する評価を下しています。つまり、国王は、「妥協しがたい政治的対立を抑えたてきた」が、「その国王が舞台から去りつつあるので、国民が争い始めた」として、国王が国民の和解に重要な役割を果たしてきたとする一方で、「現政権の正当性は少なからず国王の支持によっている」、「真のタイ式解決は王室が政治に全く介入しないことだ」と述べ、今の政治混乱の責任の一端は王室にあると示唆しています。

しかし、過去を見れば、国王がタイ社会の安定剤の役割を果たしてきたのは明白であり、今の混乱の責任の一端を国王に帰すのは酷でしょう。

そしてタイの今の政情の最大の問題は、タクシン派と反タクシン派の対立ですが、この社説ではタクシン論が欠落しています。

タクシンは、選挙で買収なども行ったにせよ、東北タイなどの貧困層を政治的に覚醒させたのは確かであり、都市部と農村部の貧富の格差を是正する社会改革がなされない限り、対立の根は除かれません。しかしタイは階級社会であり、社会改革を行うには、贈与税の導入など、有産階級が既得権益の一部を手放す必要がありますが、これは容易なことでは実現しないでしょう。従って、タイ社会の対立は当分続くと見なければなりません。

もっとも、タイの有識者の中には、タクシン人気を支えているのは結局は金であり、金がなくなればタクシン支持もかげる。しかも今アビシット政権は、農村部でタクシンと同様の経済政策を実施している、と指摘して、こうした見方に異論を唱える人もいます。彼らの観察が正しければ、アビシット政権の政策が効果を上げ、反政府デモが下火になる可能性もあることになります。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:30 | 東南アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
迷走する日本への苦言 [2010年03月24日(Wed)]
米ヘリテージ財団のウェブサイト3月24日付で、同財団のBruce Klingnerが、日本に苦言を呈しています。

すなわち、日本の国際的影響力は、経済の低迷、政府の優柔不断、そして制約の強い安全保障政策のために縮小しつつあり、事態の変化を望める理由もほとんどない。こうした憂慮すべき傾向は、実は民主党政権が誕生するかなり前からあり、このままでは日本は二流の中堅国家になってしまう恐れがある、

勿論、日本の経済的貢献は目覚ましいが、日本はその経済力を政治的影響力や指導的役割に転換できないでいる。また、日本の一部の識者は、日本の「ソフト・パワー」を無形の影響力として持ち上げるが、ソフト・パワーも現実の影響力に転換できなければ、安全保障の責任を回避する言い訳にしかならない、と厳しく断じています。

日本が国際政治・安全保障の場で役割を果たさず、果たそうともしないことへの日本学者の苛立ちが良く表われている論説です。

戦後の日本は、憲法9条とそれに基づく諸政策(安全保障への真剣な取り組みの欠如、安全保障面での国際貢献への消極的な姿勢、危険回避重視など)、そして日米安保条約に過度に依存する中で、安全保障問題に真剣に取り組んできませんでした。

経済的成功と国際情勢がそうしたあり方を可能にしたのですが、中国の台頭などで周辺の国際情勢は変わり、日本も少子高齢化で経済活力が衰えてきています。そうした中で、日本は安全保障問題や国際政治の問題に正面から取り組むべきときに来ています。

日本の好感度の高さやソフト・パワーを誇り、環境など「非伝統的安全保障」への貢献を軍事的貢献の代わりにしようとする姿勢は、戦後の諸問題に正面から向き合うのを避けようとする思考につながっています。

日本を取り巻く国際環境の変化を直視して大胆なパラダイム・チェンジも勇気を持って考えていくべきでしょう。今のままでは、日本は二流の中程度の国になるというクリングナーの警告は深刻です。また、米国にとっての同盟国としての価値も低下し、アジアにおける指導的地位は中国に奪われることになってしまうでしょう。年間の死刑執行数でイランと世界1位2位を争う、共産党独裁国家にアジアで主導権をとられて、日本国民が幸福であるとは思えません。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:49 | 日本 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
日本の停滞 [2010年03月24日(Wed)]
ウォール・ストリート・ジャーナル3月24日付で、米AEI日本研究部長のMichael Auslinが、改革の期待を担って出発した民主党政権が、半年経って何の希望も与えられない状況は、まだ近代化を完成していないアジアの諸国に対して未来の希望を失わせるものだ。鳩山政権は、日本は元気な社会と経済を維持出来ることを示して、第二次世界大戦後の成功はフロックでないことを示すべきだ、と論じています。

すなわち、鳩山政権成立後半年経ったが、希望とか変革とかのスローガンは言葉だけのものになってしまったようだ。財政赤字は最悪の状況にあり、外交問題でも、その基本である日米関係に無用の摩擦を引き起こしている。また、米国を除外した、鳩山の東アジア共同体構想は、日本国内だけでなく、日本の友人である民主主義諸国からも批判されている、

日本と競争している韓国や中国が躍進する中で、日本だけがいつまでも停滞しており、日本国民は前途に希望を失っている。また、日本の例は、自由民主主義的な市場経済制度を完成しようとしているこの地域の将来見通しをも暗くするものだ、

鳩山政権はこれを何とかしないと、無為、あるいは、最悪の場合は破滅をもたらすことになる、と論じています。

オースリンは、3月17日に米議会公聴会で証言していますが、そこでは、米国は、今後数カ月にわたって、日本の民主党の中でまだまだ外交内政について論争が行われることを覚悟しなければならないし、場合によっては、指導者の交代や日本の政治が更に不安定化することにも備えねばならないが、民主党の政策はまだ混迷しており、どうなるかは今後数カ月経って見なければわからない、という態度を取っています。

つまり、1週間前は、もう少し様子を見て見なければ分からないということでしたが、この論説では、現状には全く失望し、期待するとすれば今後しかない、という態度に変わってきています。



Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:20 | 日本 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
核密約問題と米国の核の傘 [2010年03月24日(Wed)]
米ヘリテージ財団のウェブサイト3月24日付で、同財団の東アジア専門家、Bruce Klingnerが、核密約問題に関する日本政府の態度を分析し、どうも日本の民主党政権は米国と違う考え方をしているらしく、政権の素人くさいやり方と合わせて、今後の日米同盟の先行きを不安なものしている、と論じています。

すなわち、日本の民主党政権は、核密約問題は日米関係に影響を与えるものではないと言っているが、この問題は沖縄を含めて、日本国民の反米感情を煽ることになるだろうし、4月の核サミットで日本に米国の抑止力を弱めるような提案をさせることになる可能性もある。また、それによって、日本や韓国に対する米国の拡大抑止も問題となるかもしれない、

鳩山総理は非核三原則と米国の核戦略は共存し得ると言っているが、それが自民党時代の政策とどう違うのかは明らかにしていない。他方、岡田外相は、日本の領土、領海への米国の核兵器持ち込みに反対しつつも、「確認も否定もしない」政策の変更を米国に要求はしない、しかし「核の第一使用」に反対すると言っている、

米国として取るべき態度は、まず核の第一使用反対と北東アジア非核地帯提案を拒否することであり、オバマ大統領の広島訪問にも反対すべきだ。その上で、民主党はこれまで政権外にあって情報に接していないのだから、安保協議に十分な情報を提供し、日米関係の総合戦略を作らせるよう努めるべきだ、と提言しています。

その上で、ただし、日本の民主党はどうも米国と違う安保観念を持っているらしい。そのことと鳩山氏の素人的な政策策定スタイルを見ると、日米同盟は今後も順調には行きそうもない、と結んでいます。

具体的に何が悪いのか、何が心配なのか、書いている方もよく分からない漠然とした不安感、不信感を表明した論説です。つまり、ここにあるのは、核密約の問題を取り上げたからと言って、それで日本政府の核政策が違って来るのかどうかも分からないが、それによって沖縄の反米闘争が勇気づけられるのが心配だというような漠然とした不安です。

AEIのマイケル・オースリンも3月17日の米下院公聴会における証言で、結論を避け、米国はもう少し情勢を見極めるしかない、という態度を取っています。オースリンに次いで、クリングナーと、二人の東アジア専門家が、日本の情勢には不安を感じるが、しばらく情勢を見るしかないと言う態度を取っている、と言えます。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 14:56 | 日本 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
米中経済摩擦の要因 [2010年03月22日(Mon)]
ファイナンシャル・タイムズ3月22日付で、George Magnusが米中為替摩擦の問題を取り上げ、これが一層激化するのは必至であり、米国が、中国製品に対して一律関税をかけることすらあり得る、と悲観的予測を述べています。マグナスは、今回の金融危機の到来を正確に予見、その時期までほぼ特定したことで、今や一種の賢人扱いされているエコノミストであり、長年、英国マーチャントバンクSGウォーバーグで経済分析に携わっていた関係で、中国経済についても造詣が深いと思われます。

すなわち、@金融危機以降、米国と欧州の過剰消費国は貯蓄の増大に転じており、そのため、巨大貯蓄超過国である中国が逆方向の貯蓄縮小・消費拡大に転じなければ、世界の需要不足は深刻になる。Aしかし、為替レートを元高に修正することさえ拒む中国にとって、その背後の経済構造に手をつけるなど、なお一層難事だ。過小評価された為替レートは、中国の輸出・資本投資主導型成長モデルの中核であり、こうした成長モデルを支えている過剰貯蓄は、農村・都市戸籍制度や国営企業における無配構造など、改革が極めて困難な政治経済制度によって構造的に固着している。為替レート体制の改革も含めた、広範な政治改革抜きには減少に転じることはないだろう。さらに、B対ドル相場を維持するために、大量のドル買い元売り介入を必要とする現行ペッグ制を続けている限り、中国の国内は常に過剰流動性のもとに置かれ、実質金利は下手をするとマイナスにさえなりかねない。資本コストが安くなると、1980年代に日本で起きたと同様の、過剰な借り入れによる投機が促され、結果として、中国の金融システムには大いなる不安が醸成される、と指摘して、

これらの改革ができなければ、中国は偉大な国になれるかどうかわからない、また、なれたとしても、それは一体いつのことになるか、と皮肉を利かせて結んでいます。

いずれも北京が取り組むには絶望的に難しい課題ばかりであり、マグナスに指摘されると、余計説得力を感じざるを得ません。この先、注目すべきは、マグナスも言うように、4月15日に米財務省がおそらく中国を為替不当操作国として名指しするだろう時でしょう。



Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 12:34 | その他 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
北朝鮮の有事に備える [2010年03月18日(Thu)]
Policy Forum Online 3月18日付で、朝鮮半島の専門家でウィーン大学教授のRudiger Frankが、北朝鮮では差し迫った変化の兆候が量的にも質的にも増大しており、韓国政府は、事実上の南北統一といった事態に突然直面することも視野に入れて、今から戦略を立てておくべきだ、と主張しています。

すなわち、ドイツ統合の経験から言えるのは、情勢が比較的に安定している間に十分準備をしておけば、多くの損害を防げるということだ。北朝鮮で一旦連鎖反応が始まってしまえば、時間的余裕はなくなり、重要な決定も数日内に下さざるを得なくなり、数週間の間に大きな変化が起こり、その影響は何十年にも及ぶことになる、

勿論、学者たちは北朝鮮の崩壊について論じてきたが、北朝鮮が現実に崩壊していないこともあって、正当な評価を受けていない上に、政治家たちが評価する分析は、安全保障や軍事に関わるものであり、経済についても、統一のコストの問題として論じられるだけで、急速な統一がもたらす深刻な社会問題については殆ど関心が払われてきていない、

しかし、リスクの高い通貨改革に踏み切ったり、生煮えの権力継承モデルを推進し始めたりしているところをみると、北朝鮮では劇的な変化がさし迫っていると思われる、

少なくとも、北の一枚岩的体制の安定性が着実に損なわれつつある可能性は考えておくべき十分な理由がある。継承問題がうまく決着せず、これが導火線となって北朝鮮社会が破裂する可能性もあるし、中国が救済に来なければ、韓国は事実上の統一に突然直面する可能性もある、

韓国政府は未だ将来に向けての戦略を立てていないが、北朝鮮における財産所有権の取り扱い、優遇税制その他の投資奨励策、エリート層の処遇、弱者に対する福利厚生策に関する法制ぐらいは既に準備されていて然るべきだ。まだ議論の時間はあるものの、時は迫っており、一旦、事態が急速に展開しはじめれば、政治家やチェスの競技者は、前もって準備された戦略に基づいて行動するか、単にその時々の事態に反応して動くしかなくなる。そして、少なくともチェスのゲームでは後者のやり方は敗北につながることが多い、と言っています。

北朝鮮の突然の体制崩壊、そして南北統一は、現時点では中韓両国政府が共に望まない事態であり、北朝鮮指導部内のよほど深刻な内部対立でも生じない限り、蓋然性は低いと考えられていました。しかし、先般の時代錯誤の通貨改革実施という愚策の結果、北朝鮮の指導者継承が円滑に行えるか否かの見通しも益々不透明になってきています。フランク教授の指摘のとおり、北朝鮮の不安定化に備えた戦略を十分に練っておく必要性は高まっていると言えるでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:21 | 東アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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