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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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当事国の治安能力拡大 [2010年01月28日(Thu)]
ワシントン・ポスト1月28日付でコラムニストのDavid Ignatiusが、最近米国防省は、イスラム過激派の脅威にさらされている国の訓練に力を入れているが、これはテロとの戦いで米国が常に第一線に立たなくてすむ世界を実現する最善の道かもしれない、と論じています。

すなわち、世界中どこでも出かけてテロと戦うやり方に対して、米軍部では反省が生まれており、それを背景に、当事国を訓練してその治安能力を高める方式が採用され始めている。最近成果を挙げたイエメンでは、ペンタゴンは1年以上も特殊部隊や諜報機関を訓練しており、同様のことは中央アジアや東南アジア諸国でも行なっている、

問題はパキスタンで、米軍が隣国アフガニスタンでタリバンと戦っている今が、パキスタンにとって国境の部族地域を確保する絶好の機会なのに、パキスタン政府はタリバンへの攻勢を6ヶ月遅らせると言っている。パキスタンがこの機会を逃せば歴史的な誤りとなるが、結局はパキスタン内のタリバンとの戦いはパキスタンの戦いであって、米国の戦いではない、と言っています。

テロとの戦いのために米軍を海外に派遣することは、米国の軍事能力上も、政治的にもますます難しくなっており、当事国に訓練を施してイスラム過激派の脅威に対抗できるようになれば、それに越したことはないのは明らかです。

勿論このやり方は、破綻国家や反米独裁国家、また、米国と脅威を共有しない国には適用できませんが、それにも関わらず、これが推進されるに至ったのは、米軍が他国に介入してイスラム過激派の脅威を排除するのは困難であるだけでなく、そうした介入はすべきではないという考え方が強まっているためと思われます。イグネイシャスも、米軍司令官たちは、パキスタン内のタリバンとの戦いは米国の戦いではないと理解するようになった、と言っていますが、こうした突き放した見方は、オバマ政権のアフガン介入が当初、「アフパク戦争」と形容され、パキスタンの重要性が強調されていたことを考えると、大きな変化と言えるでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 17:14 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
中国に愛を捧げる日本 [2010年01月28日(Thu)]
英エコノミスト誌ウェブサイトのアジア専門コラム、Banyan1月28日付が、欧米の中国に対する楽観主義が消える中で、日本は中国に接近を図っているが、中国にはそれに乗る気はなく、逆に日本と米国の間に溝を作ろうとしている、と論じています。
 
すなわち、欧米では、環境やイラン問題への不協力、サイバー戦争、為替操作等のために、対中「楽観バブル」がつぶれたのに、日本では、小沢氏率いる大使節団の訪中や鳩山首相の南京訪問、そして胡主席の広島訪問が検討されるなど、ますますバブルが膨んでいる。

また、鳩山政権は東アジア共同体を提案したが、中国はアジアに君臨してきた中国本来の立場を回復するつもりであり、日本の提案などに乗る気はない。一方、GDPの200%近くの負債を抱える日本には、アジアの中心になるような大胆な構想を実現する力も、米国の保護下から脱却して独自の安全保障政策を遂行する力もない。そうした日本に対し、中国がその笑顔の裏に、日本とその長年の保護者であった米国との間に溝を作ろうという意図を隠していても不思議ではない。日米同盟は西太平洋の安全保障の鍵であり、その行方が懸念される、と言っています。
 
コペンハーゲン環境会議を混乱させ、政府機関や民間企業にサイバー攻撃をしかけ、為替を操作して貿易黒字を積み上げ、経済成長を果たし、対イラン制裁には協力せず、と欧米では中国への苛立ちが募る一方、西洋の没落とアジア(=中国)の台頭は避けられないという悲壮感も広まっています。それだけに、日本が中国への接近をはかり、他方で地域の安全保障の要である日米同盟に緊張をもたらしていることは、余計驚きをもって観られることになります。

また、東アジア共同体構想は「支離滅裂な夢物語」であり、基地問題を持ち出した際の鳩山氏は「夢遊病状態だった」といった言葉が示唆するように、鳩山政権はきちんとした方針がないままに流されており、それを中国に上手く利用されていると欧米は心配しています。

日本は欧米が築いた国際秩序の一員として認められ、恩恵も受けてきましたが、その欧米には、日本が今どこに進もうとしているのか見えないということです。日本はどのような政策をもってアジアや世界と関わるのか、他国が理解できる言葉で説明することも指導者の重要な役割でしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:52 | 日本 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
対中核軍縮の重要性 [2010年01月27日(Wed)]
ウォール・ストリート・ジャーナル1月27日付で"The Coming Collapse of China"の著者、Gordon G. Changが、中国の核軍縮問題を取り上げています。

それによると、ゲーツ国防長官は、先週、米中間で戦略兵器交渉を行いたい意向を表明しており、また、それに先立って、米中の政府間で戦略協議についての接触があったが、中国側は従来通りこれを断固拒否した、

他方、ロシアは、昨年12月に期限切れとなったSTART-I(戦略兵器削減条約)の延長について、近く米国との間に合意が達成されると言っている。しかし、第三の核大国である中国が核軍縮協議に加わっていないのはおかしい。START交渉を中断してでも中国の参加を求めるべきだ、と言っています。

中国の核戦略ドクトリンの第一は、その秘匿性であり、この論説も種々の推測はしていますが、中国の核戦力の実態は不透明です。しかし、中国の核軍拡が着々と進み、これと並行して、米ロの核兵器が逐次削減されて行く中で、当然、中国の核問題は浮上して来ざるを得ません。むしろ、今までこの種の論説があまり出てこなかったことが不思議なぐらいです。

米ソ核交渉の初期の時代、米国側がソ連の核兵器配備状況を図示したところ、ソ連側の軍の代表が、これは高度な機密だからシビリアンのソ連側同僚には見せないで欲しいと言った、というエピソードがあります。そうしたことから考えても、中国との核交渉は、米国側が情報能力を駆使し、場合によっては、その情報能力が中国側に知られる危険を冒して行われる厳しい交渉となることが予想されますが、これは早晩避けて通れない課題でしょう。むしろ、今となっては、オバマが11月に訪中した際、4月のプラハでの核廃絶演説を徹底してフォローしなかったことが悔やまれます。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:05 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
対中認識の転換点 [2010年01月24日(Sun)]
米ワシントン・エグザミナー紙1月24日付で、AEIのMichael Auslinが米国の対中認識が転換したと論じています。

すなわち、中国の評判は数ヶ月前までは良かったが、先日、グーグルが中国による検閲やハッカー攻撃を批判し、中国からの撤退も辞さないと発表したことが、中国との関係や中国観に大きなショックを与えた。その他、北京が人権活動家の劉暁波を11年の禁錮刑に処し、精神的におかしい英国人を処刑したことや、コペンハーゲンでの気候変動合意を駄目にしたこと、イランの核問題で協力しないこと、軍拡を続けていること、人民元レートを管理し続けていることに対して、軍や議会の指導者の間でも対中批判が強まっている、と指摘し、

対中関与政策の支持者は、中国が「責任ある利害関係者」となることを望んできたが、中国はそうした期待に応えず、また、米中間には信頼関係が築かれなかった。米政府や米メディアが反中姿勢を見せれば、中国指導部を怒り、より強硬になる可能性があり、そうなれば、リベラルが望んできた開かれた中国の希望は砕かれてしまう。しかし、中国が国際世論の批判を受け入れ、より協力的になるとは考え難い。グーグルはインターネットに革命を起こしたが、中国と世界との関係にも革命をもたらしたかもしれない、と言っています。

オースリンは、今後、中国と米国などの民主主義国との関係は緊張してくるのではないか、国際世論の対中批判は強まるのではないかとの見通しを述べていますが、これは恐らく間違っていないでしょう。

中国は民主主義や人権擁護からは程遠い国であり、かつ自国の目先の利益最優先の国であるので、中国の力が大きくなればなるほど、各国との摩擦は増えてきます。それに、中国は軍拡も進めていますし、自分の都合で、自らを発展途上国と位置付けて責任逃れや特殊な扱いを要求するところがあります。

中国は大国になったのですから、本来、大国としての責任を自覚し、そのように振舞うべきですが、1970、1980年代の日本がそうだったように、金融危機を世界でただ独り無傷で乗り切ったという自信が中国を尊大にしているようです。当面、中国と世界の摩擦は増えざるを得ないと覚悟すべきでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:04 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
オバマの金融規制案 [2010年01月23日(Sat)]
ロサンジェルス・タイムズ1月23日付社説が、オバマ大統領が突然発表した金融規制計画について論じていますが、この社説を含め、多くの論者が二重三重の意味でabout-face(回れ右)となる今回のオバマの提案に一様に強い政治的動機を嗅ぎ取っています。

回れ右とは、@ポールソン前財務長官、ガイトナー現財務長官、サマーズ国家経済委員会委員長が敷いた無条件救済路線に対し、新提案は、銀行の規模とハイリスク取引を大きく制限しようとしている、A「吼えるだけで噛まない」と言われ始めていたオバマ大統領が、ウォール街を相手に突然強硬姿勢に転じた、B米金融行政はついこの間まで、銀行規制の緩和ないし撤廃を目指してきたのに、商業銀行に強い縛りをかけようとしていることです。

このうち容易に説明がつくのは、Bについてでしょう。「1階で取引所という公共財を提供しつつ、2階ではカジノを営んでいた」上に、公的資金を受けながら、高額の役員賞与を出し続けた銀行には、当然新たな規制の枠組みが必要であり、それを用意するために選ばれたのが、ポール・ボルカー元連邦準備制度理事会議長でした。

元々ボルカーは、いわゆるBIS規制(商業銀行自己資本規制)の素案をつくった立役者であり、彼が選ばれたことで、今回のような規制案が出てくるのはある程度予測がつくことでした。

もっとも数日前にマサチューセッツ州上院補欠選挙で民主党まさかの大敗北を喫していなければ、ボルカー提案にオバマが即座に乗ったかどうかは疑問です。オバマ政権の命運を決する中間選挙まで残り9カ月となり、補欠選挙でも負けたこの際、銀行を悪役に仕立て、ウォール街をぶっ潰せと叫べば、正義の味方となって票を稼げる、という打算がホワイトハウスにはあったのではないか、と多くの関係者が読んだと思われます。

さらに、補欠選挙敗北の結果、上院では共和党のfilibuster(長広舌を振って法案を時間切れ廃案に追い込む)戦術が有効になり、ボルカー案の中で立法化が必要な部分は成立自体が危ぶまれています。となると逆に、ボルカー案に対するオバマ政権の本気度にも疑問がつきます。

まさに百年に一度という、大規模な規制強化が実現すれば、金融産業の様相は一変しかねず、そのことにも驚くが、もしかするとオバマ政権はこれについても実は本気でなく、正義の味方を装って票稼ぎを目指しているだけかもしれないという疑念も否定し難い、というわけです。オバマ政権に対して広がり始めた、とことんポピュリストという評価は、これで一層強まりかねないでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:53 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
トルコ=イスラエル関係 [2010年01月23日(Sat)]
ニューヨーク・タイムズ1月23日付で、トルコ議会の外交委副委員長、Suat Kinikliogluがトルコの地域的役割とイスラエルとの関係を論じています。

すなわち、今やトルコは地域の大国であり、もはや冷戦時代の衛星国ではない。米国はトルコに対する見方を改めており、オバマの早々のトルコ訪問はそれを象徴している。ところが、依然見方を変えていないのが欧州とイスラエルだ、と述べ、

トルコはG-20や国連安保理のメンバー国であり、その役割は拡大しつつあり、中東ではより包括的な秩序を作ろうとしている。イスラエルとの関係も、ガザの非人道的状況が改善され、イスラエルがシリアとの和平へと姿勢を変えない限り、改善は難しい。これは、トルコで公正発展党が与党となっているからではなく、トルコの国民がそう望んでいるからだ。イスラエルや欧州がトルコに対する考え方を変えることが望まれる、と言っています。

このキンクリオグルの論説は、トルコの最近の外交の方向性を示しています。トルコはイスラエルにとって、中東では数少ない友邦であり、イスラエル空軍が訓練のためにトルコ空域を使わせてもらうなど、トルコとの友好関係は、トルコよりもイスラエルにとって大きなアセットでした。

ところが、最近、トルコがガザ問題でイスラエルを批判し、また、トルコによるシリアとの和平仲介がイスラエルの(トルコ側の意見では)頑なな態度によって頓挫するなど、イスラエル=トルコ関係はあまり良好ではありません。エルドアン政権がアタチュルク以来の世俗主義を離れ、ややイスラム主義に傾いていることも背景にあるでしょう。

トルコは人口も多く、経済成長もしており、軍事的にもシリア、レバノン、イラクなど問題にならない大国であり、その影響力は中央アジアや中東地域で拡大しつつあります。良好なイスラエル=トルコ関係は、地域の安定のために必要であり、特にイスラエルは、アラブ諸国の分断と共にトルコとの友好を戦略的に必要としています。従ってイスラエルはその維持のためにそれなりの努力をすべきでしょう。

なお、中東地域を見る際には、トルコ、アラブ、ペルシャ、ユダヤの4民族の興廃、抗争の視点が必要だと思われますが、自信をつけてきたトルコが今後より大きな役割を果たすことは確実と思われます。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:50 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(2)
韓国の防衛力 [2010年01月21日(Thu)]
Korean Herald 1月21日付で、ランド研究所のアジア安保問題専門家、Bruce W. Bennettが、韓国の防衛計画を達成するには、現行の韓国の予算では不十分であり、ここまで経済大国となった現在、韓国はもっと自前の防衛努力をすべきだ、と論じています。

すなわち、2005年に策定された韓国の防衛改革計画は、防衛費の年9.9%増加を想定していたが、2010年までの実際の増加率は平均7.2%であり、その結果、先端兵器の調達が遅れて、韓国の防衛体制に支障を来たしている。また、米国の国防費の対GDP比率が4.5%であるのに対し、韓国のそれは2.8%にしかなっていない、

人員不足も深刻だ。人口増加率の低減で、徴兵適齢者は1977年の400,000人から2009年の325,000人に減っており、さらに兵役期間も、ノムヒョン時代に26カ月から18カ月に減らされている、

韓国の軍備の目的にもよるが、北朝鮮の崩壊に備えるのならば、人員の不足を近代兵器でカヴァーすることはできない。現状の防衛力では、北朝鮮の攻撃に対して勝つことはできても、恐るべき人的被害は避けられないだろう。韓国はもっと防衛力を増強すべきだ、と言っています。

日本にとって一番参考とすべきは、米国が韓国に防衛費の負担増強を強く要求していることでしょう。しかも韓国は、防衛費がGDPの1%以下(ここ数年はさらに漸減している)の日本に較べ、はるかに大きな防衛努力をしています。

日本の防衛努力の増強は、前任のシーファー米国大使が繰り返し要求したところですが、日本側は、長期的経済低迷と財政赤字、特に最近は金融危機のために、まともに対応せず、メディアも全くこの問題を無視してきました。

実は、日本の防衛体制の貧窮化は危機的な状況にあり、自民党政権が続いていれば、おそらく昨年の防衛計画大綱で長期的な見直しが行われていたと思われますが、政権交代によって防衛計画大綱の策定そのものが1年延期されることになってしまいました。

今後、日米安保協力体制を論じる際に、日本の防衛負担の問題は大きなイッシューとなることを予想しなければならないでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:22 | 東アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
グーグル撤退と対中政策 [2010年01月21日(Thu)]
ウォール・ストリート・ジャーナル1月21日付で、ネオコンの論客、John Boltonが、グーグルの決断を支持し、中国に対して闘争を続けるよう鼓舞しています。

すなわち、「中国を刺激するな、失うものはあまりにも大きい」式の米国の官民を覆う通念は大きな誤りだ。この理屈によって自己抑制を続けていると、ズルズルと中国の理屈を飲まされ、無理を通させられることになる、グーグルの反抗はむしろ遅きに失したくらいだ、と述べて、グーグルに非妥協的闘争を続けるよう促しています。

グーグルが中国に反旗を翻したのは、@中国人人権活動家が使っていたgmailが、中国当局によるハッキングにあったと信じるに足る状況があること、Aグーグル自身が中国からと目される高度のサイバーアタックを受け続けてきたこと、が理由ですが、北京では一般市民も含め、ネット検索のシェアで中国国産の「百度」が一人勝ちしていることに、グーグルの動機を深読みする声が多いと言われています。

いずれにしても、歴史は、この種の勝負では、民主主義国家が勝利することは、少なくとも短期的には極めて難しいことを教えています。選挙のサイクルなどにとらわれずにすむ独裁体制が、得てして時間を味方につけることは、近年の北朝鮮対米国の勝負でも度々実証されています。

ただ、中長期で見れば、政治的抑圧のコストは高くつく――はずですが、相手が中国の場合、この中長期とはどのくらいと考えるべきか、難しいものがあります。今年は上海万博があり、広州ではアジア大会が開催されます。また、上海証券取引所に初の外国企業としてHSBCが上場されることになっており、来年以降はトヨタやパナソニックなど、日本企業も続くと見られています。

かつてと違い、中国国内で稼いだ利益は、法人税さえ納めれば自由に本国に送金できるようになっており、現に日本企業の中に、中国であがる利益が全体の半分を超えそうな例が出始めています。米国でも、日本でも、民間企業はいよいよもって中国の捕囚となりそうな趨勢です。こうした中で、一企業はおろか、一国では、たとえ米国と言えども、中国に言うことをきかせることは至難のわざでしょう。そのため、本来は日米豪などでしっかり話し合うべきですが、今やそうしたことができる同盟の絆はぐずぐずになっており、ボルトンのように歯切れのよい解答は出せない状況です。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:03 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
中国の宇宙優位 [2010年01月20日(Wed)]
ウォール・ストリート・ジャーナル1月20日付けでInternational Assessment and Strategy CenterのRichard D. Fisher, Jr.が、中国の野心によって米国はアジアにおける宇宙優位を失う危険性がある、と論じています。

すなわち、中国は、大気圏外でのミサイル撃墜実験、人民解放軍による宇宙での戦闘行動の正当化、衛星攻撃能力の構築、戦略核戦力の増強、第5世代戦闘機の開発の加速化などを進めて、空・宇宙での米の優位を脅かそうとしている。ところが、これに対して、オバマ政権は適切に対応しておらず、このままでは米国はアジアでの宇宙優位を失うことになるだろう、

つまり、オバマ政権は米の軍事力を制限することで、「冷戦を超えて」進もうとしているが、中国は軍備競争を始めるつもりであることを明らかにしている。米がきちんと対応しないと、アジア諸国は中国に順応するか、自らの抑止力を持つかしかなくなり、これは地域の政治的安定と経済成長を脅かすことになる、と言っています。

フィシャーが言うように、中国の軍拡はかなりのスピードで進んでいます。中国は、国際会議などの場では、戦略的安定のためにミサイル防衛は開発すべきでないと声高に主張しながら、その実、自分たちは開発を進めてきたことが、大気圏外でのミサイル撃墜実験で明らかになりました。これでは中国の言葉を信頼することはできません。

同様に、平和的台頭というスローガンも信頼しない方がよいでしょう。現に中国は軍備拡張をどんどん進めています。それに、ケ小平は軍を抑えることができましたが、江沢民や胡錦涛は、軍の意向を尊重せざるを得ない状況にあると思われ、さらに、経済成長に伴い、資金面での制約もなくなってきています。また、核兵器も増強しており、フィシャーも指摘するように、日本などが米国の拡大抑止への信頼を失う可能性があります。

冷戦は1989年に終わり、その後、中国の台頭が起こり、今は「冷戦後の時代」から、「冷戦後の更に新しい時代」になっています。そうなった極めて大きな要素が、中国の軍拡とそれが東アジア情勢に与える影響です。もはや冷戦的思考からの脱却を言う時ではなく、新しい発想で取り組むべき時代と言えます。このフィシャー論説は、そのことを的確に指摘しているものと言えるでしょう。



Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:15 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
台湾のフィンランド化 [2010年01月20日(Wed)]
Foreign Affairs 1-2月号でBruce Gilleyポートランド州立大学准教授が、台湾のフィンランド化によって中台のデタントが実現する、とこれ以上はあり得ないようなリベラルな議論を展開しています。

すなわち、馬政権となって、中台関係は軍事的対立から対話の関係となったが、これはフィンランド化――長期的戦略を考えて、隣接する超大国に対して戦略的譲歩をすること――のプロセスと似ており、これによって台湾は米国の戦略的同盟国というよりも、中立的な国となるだろう、

従来、中国の対台湾政策はナショナリスティックな失地回復運動と思われてきたが、実は、台湾が中国の海洋への出口を抑え、また中国攻撃の基地となりうることを見据えた、戦略的発想からきている。従って、台湾が中立化すれば、中国は台湾を攻撃する必要はなくなるだろう、

中台が台湾は法的独立宣言をしないという条件で平和協定を結び、中国がミサイル等を削減すれば、それは1948年のソ連=フィンランド条約のようになるだろうし、日本も中台交流によって中国が変貌することは歓迎するだろう、

また、米国が台湾を勢力範囲にとどめようとしたから、北京は包囲されたと感じて、海軍力を増強せざるを得なくなったのだから、米国は、中台関係をゼロサム・ゲームと考えずに、台湾が中国の勢力圏に入ることを認めるべきだし、台湾への武器売却も大幅に削減すべきだ。そうやって中国の領土的一体性を認めれば、中国の検証可能な軍事力削減を達成できるかもしれないし、中台デタントが成功すれば、それは、国際関係へのリベラルなアプローチの手本となるだろう、と言っています。

一々反論する気にもならない、極端なリベラル的主張ですが、問題は、こうした議論がForeign Affairsで主要論文の一つとして取り上げられる知的雰囲気が欧米にあることです。なお、論文の中で米国の台北代表としてWilliam Stantonという人物の発言が紹介されていますが、彼は極端な親中派らしく、北京在勤中に中国に不利になる電報を差し止めた前歴がある、とTaipei Timesに報じられたことがあり、任命は未定のようです。彼が台北代表に任命されるかどうかが、オバマ政権の対台湾政策を占う一つのヒントになるかもしれません。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:15 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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