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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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対パキスタン資金援助 [2009年05月30日(Sat)]
ワシントン・ポスト5月30日付で、米ランド研究所のC. Christine Fairが対パキスタン援助について論じています。フェアはカブールの国連援助事務所に勤務した経験がある南アジア問題の専門家です。

フェアは、パキスタンには大量の援助資金が流れ込んでいるが、外国からの援助は、汚職腐敗を生むだけでなく、国民から税金を徴収し、それを国民のために配分する、また大砲とバターの配分を決める、という民主国家の当然の任務を政府から免除してしまう効果がある。実際、パキスタンにいた頃、米国の援助は、パキスタン政府を腐敗させ、対米依存を強める意図でなされている、との批判を聞いた、と述べ、

より良いのは、援助を世界銀行に信託する方法だ。そうすれば、パキスタンは米国依存国のイメージから脱せるし、援助国に約束を実行させる上で効果がある。また、援助国の意向ではない、パキスタンが真に必要とする計画を遂行できるし、さらに、パキスタン政府に税制等の改革を求めることもできるようになる、と論じています。

パキスタンを援助してその崩壊を防ぎ、米国の対テロ政策の安定したパートナーとすることが、オバマのアフパク政策の基本です。日本は以前からこれに協力、日本主導でパキスタン援助会議を開催し、予想を上回る50億ドル以上の援助約束をとりつけました。これはオバマ政策の成功であると同時に、日本外交の成功でもあり、米国の要人は機会ある毎に日本への感謝の念を表明しています。

他方、こうした政策が成功すると、ここで言われるような批判が出てくることになります。しかし、パキスタンの統治能力の欠陥は、元々存在していたものであり、だからこそ援助が必要なのであって、援助の結果生じたものではありません。

実際は、日本の援助は、世銀の監督なしでも、厳しすぎるぐらい汚職腐敗の入る余地を小さくしており、この面の問題は少ないと思われます。問題は米国の援助ですが、これはパキスタン軍部による過激派懐柔政策の秘密資金にも使われてきたものなので、世銀への供託は無理でしょう。フェアの議論は、援助はかくあるべしという理想論から言えばもっともですが、実態から離れた面があることは否めません。

むしろシニカルに言えば、パキスタンの対米依存が増大することは、パキスタンを何とか対テロ戦争の協力者としてつなぎとめたい米国にとっては、少なくとも短期的には好条件とも言えます。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:16 | 中央・南アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
中国の米国債購入 [2009年05月29日(Fri)]
ウォール・ストリート・ジャーナル5月29日付で、評論家のZachary Karabellが、中国が大量の米国債を保有していることについて論じています。カラベルは企業エコノミストの出身で、歴史家、金融専門家、経済学者としても多くの著述があります。
 
カラベルは、世上、中国が大量の米国債を蓄積していることで、中国の発言力が増し、米国は金融だけでなく、外交面でも中国の言うことを聞かざるを得なくなるのではないかと心配する声が大きい。しかし、「銀行から百万ドル借りれば、借り手の立場は弱いが、千万ドル借りれば、銀行の方の立場が弱くなる」と俗に言われるように、中国としては米国との相互依存以外に繁栄を続ける方法は無いだろう。21世紀は20世紀と違い、米経済と中国経済が一体となっていくだろう、と言っています。

たしかにカラベルも言うように、中国が貯めこんだ一兆ドルの米国債を売りに出しても、今はそれを買って、米経済とこれ以上深く関わろうとする国はないでしょう。また、現在の米中経済関係は、単に米国が中国の安い製品を買うという状況から進んで、様々な投資貿易の局面でも複雑に絡み合ってきているようであり、簡単に関係が切れるような状況ではなくなっているようです。

おそらくは、日本にとっても、多かれ少なかれ状況は同じ(あるいは日本の方が先輩)でしょう。中国や日本が多額の米国債を抱えているのも、他に選択の余地が少ない環境の中でなるべくしてなった結果であり、このことを経済的影響力として、まして政治的影響力として使うのは、簡単に見えても実際は難しいのでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:04 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
金融危機へのEUの対応 [2009年05月28日(Thu)]
独ツァイト5月28日付が、金融危機へのEUの対応ぶりを批判しています。

記事は、欧州では今回の金融危機で、一部エリートのアメリカ型資本主義賛美が抑えられ、国家による市場介入がタブーではないことが明らかになり、さらに共通通貨ユーロの意義もより明らかになった。また欧州が世界の他地域よりも市民を護ったことも確かであり、それによってメルケルやサルコジの国際的発言力が高まった、

しかし欧州が誇れるのはここまでであり、欧州経済は他の地域同様に危機に対して弱かったし、金融システムも、米国に比べて強靭でも良く監督もされていなかったことが露呈された。そうした中で、EUはグローバルな問題に対して、対応があまりに個別の国家ベースであり過ぎた。それにブラッセルのEU委員会は沈黙し、欧州理事会、欧州議会、チェコの理事会議長のいずれもほぼ何の役割も果たさなかった。そのため一部の経済学者は、米国の方が銀行制度の徹底的改革を行っているし、危機においても市場の力の動きを放任するので、破壊後に蘇る公算は大きいと見ている、と指摘し、

残念ながら、欧州では金融市場ほど、政治的には望ましい全欧州的権限が欠如している分野はない。独、仏首脳がG20の場で何を言おうと、欧州全域レベルでの法律を作る動きは一向に進んでいない。一部首脳がそうした動きを望まないし、また危機から学ぶべき共通の教訓について討議することに前向きではない人間がいるからだ、と批判しています。

確かに、昨年秋以降、EU委員会はメディアでも霞んだ存在であり、まして欧州議会は何もせず、無駄な機構であることを露呈してしまいました。大国の首相や蔵相は、G20の場ではもっともな発言や要求を行ったものの、自国に帰るや、専ら自国のマクロ政策(特に雇用)やミクロ政策(銀行や企業救済等)に夢中になり、ユーロ未導入の中・東欧諸国には全く関心を払わず、自国中心の取り組みを進めています。

100年に一度と言われる今回の危機にEUの出幕はなかったのかもしれませんが、いずれ発効される基本条約が予定しているように、EU委員長の任期が2年半〜5年であり、かつ経済に明るい大国の首相経験者が就任していれば、選挙への思惑などに捉われて主要国がバラバラな対応をせずに、EU全体の見地から整合性と合理性をもった長短期の景気振興策をとれたのではないかと思われます。

いずれにしても、ローマ条約もマーストリヒト条約も想定していなかった事態が起こったことで、おそらく現在の情勢が静まってからでしょうが、EUの在り方について抜本的な再検討がなされずには済まないでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 17:37 | 欧州 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
中国台頭のとらえ方 [2009年05月26日(Tue)]
米AEI主催の「天安門後の中国」セミナーの一環として、カーネギー平和財団のAshley J. Tellisが中国の大戦略について論じています。

テリスは、1978年以来中国の全ての行動は、大戦略に基づいて綿密に計算されてきたと考えられる。その目的は、耐えてきた侮辱を一掃し、偉大な国家としての地位を回復させ、いずれ米国のライバルになることだ、と指摘、

この大戦略を実行するにあたり、中国は、@経済相互依存に配慮するポスト・モダン国家ではなく、先ずは経済発展やエネルギー源の獲得を図り、次に軍事力の拡大を図る、伝統的大国になることを目指すだろう、また、A大戦略は何年、何十年の時間をかけて我慢強く施行されていき、その間、中国は既存の均衡をむやみに壊して米国や隣国から反発を食うことは避けようとする、つまり戦闘は避け、政治空間を拡大しようとするだろう、

そうした中国にとり、米国が要求する国際社会の責任あるステークホールダーとなることは、米国に有利な制度の持続に加担することを意味し、従って中国が責任あるステークホールダーとして行動することはないと考えなければならない。また中国は徐々に力の行使に積極的になり、東アジアで中国を中心とする経済圏を発展させ、その経済力を国際政治力に転換させていくだろう。ただ、アジアには日本やインド、そしてロシアもいるので、米国は一国で中国に立ち向かうのではなく、同盟国という資産の活用を考えられる。ただ、米国が地域の同盟強化を図ろうとすれば、中国はそれを妨げようとすることを覚えておくべきだ、と言っています。

テリスは、あまりにも明白でありながら、米政府が対中政策を検討する上で見落とされがちな点を的確に指摘しています。聴衆の中にいた元国務省職員の女性は、国務省内部ではこうした「あまりに明白」な観察はされず、例えば米国が人権問題を問わなければ、中国は米国に融和的な政策を取る、といった考え方が横行していると述べていました。日本としては、テリスが最後に指摘したように、中国が日米関係の強化を妨げようとするのは、中国の大国戦略の一環であることを理解し、日中だけの狭い枠に捉われずに冷静に対応することが重要でしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:54 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
米国の北朝鮮政策 [2009年05月26日(Tue)]
ワシントン・ポスト5月26日付でAEIのDan Blumenthalとカーネギー国際平和財団のRobert Kaganが連名で、今回の核実験は六カ国協議の不毛さと戦略問題のパートナーとしての中国の価値が神話であることを暴露した、オバマは政策を変更すべきだ、と論じています。

両人は、中ロが参加するなら、北の孤立化と制裁強化は意味があるが、両国はこれまでも協力していないし、今後も協力しないだろう。魅力的な選択肢がない中、米国は北に圧力をかけ得る中国を頼りにして来たが、北の崩壊による難民の流入と米と同盟した統一朝鮮の出現を恐れる中国は、むしろ傀儡政権を欲している。また、北に対する軍事行動も、米国が同盟国を北の報復から守る準備をしてきていないし、オバマ政権がそれをする可能性は小さいので、支持できない、と述べ、

こうした現実を踏まえると、金正日が去り、別の指導者が登場するのを待つしかない。それまでは、@日韓を保護するべくミサイル防衛と抑止力の強化、A北の拡散を阻止するべく核関連資産の凍結、B六カ国協議に代わる、日韓との協議をふまえた米朝の直接協議、を進めつつ、北の生活水準向上と西側との接触拡大を目指すべきだ。なぜなら、米国にとって最終目標は、朝鮮半島の統一と、その統一朝鮮を中国の影響下に置かないようにすることにあるからだ、と言っています。

両人の論旨は大筋で頷けます。中国の影響力をあてにした六カ国協議は不毛であり、米朝直接交渉の方が有益でしょう。中国は北に圧力を加えるよりも保護して自国の立場を強めようとしてきたと思われ、今回の核実験後も、外交による平和的解決、六者協議への参加、冷静な対応などを主張しています。中国の真意は、安保理での追加制裁にどう対応するかで見極めることができるでしょう。制裁については、国際金融システムからの締め出しは、基軸通貨国である米国がなし得ることであり、穴だらけの貿易関連制裁よりも効果があると思われます。
 
また日本が核カードを示唆することは、現状の打破には最も有効でしょう。逆に言えば、北の挑戦はそれ位大きな問題です。ただ、ミサイル防衛強化についての二人の主張は、ミサイル防衛が対処策たり得るかのような幻想を持たせますが、ミサイル防衛の実力はそれほど大きくはないことを冷静に評価すべきでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:38 | 東アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
北朝鮮核実験 [2009年05月26日(Tue)]
北朝鮮核実験の報を受けて、ウォール・ストリート・ジャーナル5月26日付が社説とGordon Chang の論説を載せています。

社説は、核実験の前のミサイル発射に対し、オバマは厳しく批判したが、米政権内部の態度は生ぬるく、クリントン国務長官は米人ジャーナリストの拘束に対して対話を提案、ボスワース特別代表も北との対話を主張した。これはブッシュ政権末期にライス国務長官やヒル特使などが主張していたことと同じだ、

しかし、2007年にブッシュによって中断されるまで、北朝鮮に対する金融制裁は相当な効果を挙げていたのであり、オバマ政権はこの金融制裁を再開すべきだ。韓国の李政権はすでに北への援助を切っている。さらに中国がエネルギー制裁を課してくれれば、国連決議が達成できなかった効果を挙げられるだろう、と言っています。
 
他方、チャンは、核実験をした北朝鮮の目的は、@国際社会に核保有国として認められること、A韓国の李政権を揺さぶること、B金正日を偉大なる指導者とすること、にあると分析した上で、北の核の真の危険は第三国への移転であるが、ブッシュ政権はシリアへの核技術供与などの問題に真剣に取り組まなかったと批判、さらに、ミサイルの長射程化や弾頭の小型化はできなくても、北が船上からミサイルを発射する危険はある、と警告しています。


北朝鮮問題への米政府の対応についての批判は、今ひとつ歯切れがよくありませんが、それは、ブッシュ政権末期に国務省によってそれまでの政策が民主党寄りに転換され、それがそのままオバマ政権に継続されたため、民主党系はブッシュ政策批判が出来ず、共和党系も、それを批判するとブッシュ批判にならざるを得ないためです。

そうした中にあって、ブッシュ政権末期に中断された金融制裁の再強化を主張したWSJの社説は、党争を離れて、事態の本質を捉えているものでしょう。マカオの預金の送金を許してしまったことは今更取り返しがつきませんが、金融制裁をその前の時点に戻して強化することは、日本による種々の貿易交流制限措置と相まって、北朝鮮に対して相当な効果を発揮する可能性があると思われます。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:41 | 東アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
オバマの核政策批判 [2009年05月25日(Mon)]
ニューヨーク・タイムズ5月25日付で米AEIのJohn R. Boltonがオバマ政権の軍縮・軍備管理政策を厳しく批判しています。

ボルトンは、オバマ政権について、@ロシアとの戦略兵器削減交渉(START)を年末までに完了するというのは急ぎすぎであり、現行の検証に関する取り決めを延長すれば現状は維持できる。ロシアは難色を示すだろうが、弾頭の数は減らし過ぎるべきではない、Aミサイル防衛を「戦域」防衛中心にして「国家防衛」をないがしろにしている上に、核弾頭更新計画への予算を削り、米国の攻撃・防衛能力を弱めている。また核の抑止力の利益に無関心で、同盟国、特に日本を心配させている、B包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准し、米が優位にある宇宙「軍備競争」を制限する条約や兵器用ウラン/プルトニウムの生産禁止条約を復活させようとしている、Cイスラエルに非核兵器国として核不拡散条約に参加するよう要請しているが、問題なのはイスラエルよりもイランや北朝鮮だ、と述べ、

米国にとってオバマ政権の軍縮・軍備管理政策は心配だ。今や同政権の政策の障害になり得るのは、3分の2の多数で条約を承認する権限を持つ上院だけだ、と論じています。

ボルトンの主張は、対ロシアSTART交渉については頷けます。確かに米は交渉の期限を設定するなど焦り気味で、対ロ交渉の進め方として疑問がありますし、東欧のミサイル防衛でも早々と譲りすぎている感があります。また、イスラエルにNPT参加を求めても、イスラエルがそれに従うことは全く考えられないので、この点ではオバマ政権は現実主義を逸脱しています。ただ、核の傘の提供にオバマは無関心だというのは言いすぎで、オバマは北の核との関連で拡大抑止を日本に確認して来ています。
 
他方、CTBTや宇宙条約、兵器用物資カット・オフ条約については、得失を比較考量すべきであり、反対の理由を十分説明せずに、それを進めるのはいけないと言うのは、単なる立場の表明にすぎません。

ブッシュ政権末期に政権批判に転じたボルトンは、今やオバマ政権批判者になっています。ゲーツ国防長官がアフガンやイラクなど現実の紛争重視、反乱鎮圧重視に傾き、大国間の角遂や国家からの脅威の問題を軽視気味の今、ボルトンのような伝統的なタカ派の論客の存在は必要だと言えるでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:08 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
オバマ=ネタニヤフ会談 [2009年05月20日(Wed)]
独ツァイト5月20日付がオバマ=ネタニヤフ会談について解説しています。

記事は、オバマは会談で米国の新たな姿勢、つまり、米国はもはやイスラエルに白紙委任状は与えない、米国とイスラエルの利害は重なる点も多いが、全く同一ではない、イランの影響を抑えたいのは共通するが、米国はそのためにパレスチナ問題の進展を必要としている、この問題の停滞や後退は、ヒズボラやハマスにとって格好の宣伝材料となるし、穏健アラブ諸国が望む進展がなければ、イランがパレスチナ問題でも地歩を確保してしまう、イスラエルがイランを脅威と感じるのはわかるが、それを西岸の入植と占拠の口実にすることは認められない、イランについては武力行使の選択肢は保留するが、前提条件なしの交渉を始める、との立場を打ち出した、と述べ、

それを裏打ちするように、オバマ政権はシリアやエジプトにも使節を派遣、強力だったイスラエル軍・情報機関との協力レベルも一方的に引き下げ、ハマスが加わったパレスチナ政府への資金供与に踏み切ることも明らかにした。さらには、国務次官補に国連における演説の中で、「インド、パキスタン、北朝鮮、イスラエルはNPT条約に参加すべきだ」と言わせた、と指摘しています。

そして、これは、米国がイスラエルを特別扱いしないことを示すものであり、ネタニヤフは、イスラエルの完全な孤立か、事実上パレスチナ国家を容認するかの選択に立たされた、と言っています。

米=イスラエル首脳会談の内容は概ねこの通りだったろうと思われます。オバマが登場しなければ、ここまで早く進まなかったにしても、米国の国益と低下するその国力を考えれば、米国の政策転換はいずれ避けられなかったでしょう。

米国がイスラエルのパレスチナ人放逐と入植地造営を抑えなかったのは、本来許されることではなく、イランの核問題がなくても、せめて「二国家共存」を図らない限り、米国の中東での立場が弱まるのは必至です。つまりオバマの新政策は、彼の哲学や信条よりも、米国の力が軍事、経済両面で下降しつつあるとの認識に基づくものであり、そうである以上、オバマと非常に異なる政策はもはや出てこないと考えるべきでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 22:37 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
米イスラエル首脳会談 [2009年05月20日(Wed)]
ワシントン・ポスト5月20日付でコラムニストのDavid Ignatiusが、米イスラエル首脳会談について、ネタニヤフは巧みなポーカー・プレーヤーと言われているが、オバマにはポーカー・ゲームは通じなかった、と言っています。

イグネイシャスは、従来の米大統領は、議会の親イスラエル派をおもんばかって発言を加減したが、オバマは思ったことをストレートに言った。ネタニヤフはパレスチナ問題をイラン問題にからめようとしたが、オバマは初めからイランとの対話の意図を明らかにしていた。結局ネタニヤフが得たものは、対イラン対話を試みるのは年末までと期限を付けてもらったことだけだが、これはイスラエルにとっては、(その間にイランの核開発が進展してしまう可能性がある)危険な期限設定だ、と指摘し、

オバマは国民の強い政治的支持を背景に、従来の米=イスラエル関係のルールを無視出来る大統領だ、と観察しています。

オバマ=ネタニヤフ会談は2時間と異例の長さに及んだことから、オバマはネタニヤフの抑え込むことができず、オバマにとって最初の挫折だったという観察もありましたが、イグネイシャスは、従来のイスラエル・ロビーにとらわれない新スタイルとして評価しています。

もちろん結果の評価には両面があり、オバマがイランとの交渉に年末までの期限をつけさせられたのはネタニヤフの得点とも言えますが、他方、イグネイシャスが言うように、イランの急速な核開発の可能性を前にして、そのタイミングでは悠長すぎるので、イスラエル側の失敗だったという評価もできます。ただ、オバマは、従来のイスラエル・ロビーの圧力から自由だというイグネイシャスの評価は正しいのかもしれず、そうであるなら、このことは今後の米国の中東政策に大きな影響を及ぼすことになるでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:33 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
インドネシア大統領選挙 [2009年05月20日(Wed)]
ニューヨーク・タイムズ5月20日付でアジア通とされるコラムニストのPhilip Bowringがインドネシア政治について展望しています。

バウリングは、7月の大統領選で現職ユドヨノの勝利が確実視されているため、関心は、少数与党のユドヨノの民主党がどこと連立を組むのか、そして、2期目もユドヨノはコンセンサス重視となるのか、それとも断固たる姿勢を示すのかに移っている。また、1期目のユドヨノは、経済運営は比較的うまくやったが、政治改革は腐敗撲滅以外、あまり進展がなかった、と指摘、

さらに、今回の大統領、副大統領候補はスハルト時代からの生き残りばかりで、ユドヨノの次の世代は出ていない。スハルト時代以来、インドネシアのエリート層の中身はほとんど変化がなく、次の有力候補となるのは、スハルトの娘婿のプラボウォ元将軍かもしれない。これはインドネシアの安定と民主主義にとってはよくても、進歩にとってよい状況とは言えない、と言っています。

バウリングは言っていませんが、4つのイスラム政党がすでにユドヨノ支持を決めており、さらに、選挙後にゴルカル党も与党連合に参加する可能性が大きいので、ユドヨノが国会で安定多数を確保するのはまず確実です。

またユドヨノは優柔不断だとよく言われますが、これはスハルトに比べてのことで、この10年、憲法改正によって大統領権限が大きく制限されたことを考えれば、この評価は誤りです。実際、ユドヨノは、2008年春の燃料費値上げに見るように、やるべきことは周到な準備の上に実行しています。

今後の展望についても、バウリングは改革が進展してないと言っていますが、アチェ和平の成立により、インドネシア史上初めて国内のどこにも反乱の動きがない平和な時代になっていますし、腐敗撲滅もあって投資環境整備も進んでいます。さらに、今回の大統領選にユドヨノの次世代が登場しなかったのは事実ですが、インドネシアのエリート層がスハルト時代以来、変わっていないというのは、誤りです。民主化と地方分権の進展によってスハルト時代には政治から排除されていた多くの勢力が地方でも中央でも政治に参加するようになっており、ユドヨノのコンセンサス構築は、そうした勢力の説得のためにも重要になったと言えます。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:21 | 東南アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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