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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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イスラエル新政権 [2009年03月31日(Tue)]
近くイスラエルでネタニヤフ政権が発足することを受け、ニューヨーク・タイムズ3月31日付が社説を掲載、右派のネタニヤフ政権に懸念を示しています。

社説は、ネタニヤフは「和平のパートナー」となると宣言したが、彼は二国家解決案さえまだ受け入れていず、これは言葉通りには受け取れない。彼の真意は政権発足後の行動で判断できるだろう。ネタニヤフは、入植地建設の凍結、東エルサレムからのパレスチナ人排除の中止、ガザ封鎖の緩和、そしてまた、ハマスのパレスチナ挙国政府入りを妨害しない、そしてイランに予防戦争をしかけないことが重要だ、と述べ、

イスラエルはガザ戦争後、国際的に孤立している。特にネタニヤフ政権が、反アラブ思想の超国家主義者を外相にしたことに関係国は懸念を深めている。パレスチナ和平を進めなければ、オバマ政権や欧州諸国と摩擦が生じ、物事は悪化するだろう、と言っています。

米紙はイスラエルで新政権が成立した時は、問題点を指摘しつつも歓迎と期待を表明する社説を掲載することが多いのですが、今回のニューヨーク・タイムズ(実はワシントン・ポストも)社説は、新政権に対して前例がないほど厳しいものになっています。

これは、ネタニヤフ政権が極右勢力を含む右派連合であり、労働党も加わったとは言え、その基本的性格は変わらないと判断しているからでしょう。その判断はおそらく正しいと思われ、ネタニヤフの「和平のパートナー」発言は内容を伴わないと見てよいでしょう。和平合意した場合、タカ派の右派政権の方が、イスラエル国内世論に合意を受け入れさせ易いという説もありますが、そもそもこうした政権には和平合意はできないでしょう。

反アラブの民族浄化主義者、リバーマンが外相になったイスラエルにどう対処していくのか、米国だけでなく、周辺アラブ諸国、欧州、日本にとっても大きな問題です。イスラエルは一旦孤立して、外交上の困難に遭遇した後、方向転換する、というプロセスを踏むしかないのかもしれません。また、外部からは、とりあえずは、二国家解決策を受け入れ、入植地など和平への障害を除去するよう、イスラエルに強く求めていくということでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:57 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
アフパク戦略の危険性 [2009年03月30日(Mon)]
3月30日のBBC ニュースで、Barbara Plett特派員がインド=パキスタン関係からアフパク戦略の危険性について論じています

プレットは、インドと敵対するパキスタンにとり、タリバンはアフガニスタンを確保する上で重要な財産であり、米国が、パキスタン軍の諜報組織ISIはタリバンと共謀関係にあると非難するのは、パキスタンに自殺しろと言っているのに等しい。またISI批判は、米NATO連合軍によるアフガン作戦がうまくいっていないことのスケープゴートにされている面があるかもしれない、と述べ、さらに、

オバマは選挙期間中は、アフガン問題の根がインド=パキスタン関係にあることを認めていたが、就任後はインドの圧力を受けてカシミール問題への関与をやめてしまった、と指摘、

この地域における米国の力は限られている。パキスタンに圧力をかけすぎると、今持っている限られた力ですら失うことになる、と警告しています。

パキスタンがインドとの対抗上、アフガニスタンへの影響力確保を必要としており、そのための道具としてタリバンがパキスタン当局、特にISIの肝いりで養成されたことは、既に諸方面から指摘されています。米国もこれまでその点を十分認識した上でゲームをしており、パキスタンに圧力をかけすぎて元も子も失うことは避けてきました。

ところが、オバマ政権がアフガニスタンに優先課題にするようになると、米軍部や官僚がパキスタンに圧力を転嫁し過ぎて、元々脆弱なパキスタン国家の安定を根本から損なってしまうかもしれない、とプレットは言っているわけです。このプレットの論評は、オバマ政権に対する牽制効果はあるでしょう。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:20 | 中央・南アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
アフパク新戦略 [2009年03月29日(Sun)]
オバマ大統領がアフガン問題とパキスタン問題をまとめて捉え、改めて両国におけるアルカイダ打倒を目指すアフパク戦略――アルカイダ打倒のために、国際的支援も募って両国の軍事的、行政的、経済的能力を高めるべく支援する――を発表しましたが、ワシントン・ポスト3月29日付で論説副主幹のJackson Diehlは、この新戦略は三つの危険を内包していると指摘しています。

ディールは、危険の第一として、今回の17,000名の増派で戦闘の激化が予想され、8月に予定されるアフガン総選挙を行えるまでに治安が回復するかどうか危ぶまれること、第二に、今まではブッシュの戦争だったのがこれでオバマの戦争となり、新戦略の成果が表れるまでに2、3年はかかると思われるのに、2010年夏(中間選挙の年)までに成果をあげないと、米国民の支持を失い、新戦略は効果を発揮する前に葬られてしまうかもしれないこと、第三に、アフガンの治安部隊が強化増強されつつあり、これ自体は頼もしいが、優秀な青年が皆軍に入る傾向が強まり、ラテン・アメリカのように軍事優越となる可能性があること、を指摘しています。

さらに、カルザイ政権は腐敗し、人気もないが、対抗する人物がいないため、カルザイ再選の可能性がある。政府の汚職腐敗問題にも立ち向かわないと、アフガン人は政府や政府を支援する外国軍への信頼を失うことになる、と述べ、

米国は軍事、経済援助は出来るが、最終的な問題は、いかにして信頼すべき政権を作るかということだ。そしてこの統治の問題がアフガン人にとって一番難しいことなのだ、と結んでいます。

オバマが選挙公約にしたがって、アフガンに増派するまでは良いとして、その先にはこれだけの問題がある、と指摘した論説であり、おそらくその指摘はそれぞれに正鵠を射ていると思われます。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:18 | 中央・南アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
NATO60周年 [2009年03月26日(Thu)]
独ツァイト3月26日付が設立60周年を迎えるNATOについて論じています。

記事は、ソ連崩壊の一因がNATOの結束にあったことは勿論、ギリシャ=トルコ戦争の防止、独統一後の東欧の安定、ユーゴやアフガン紛争における国連の実質的な「軍事下部機構」役まで、NATOは大きな役割を果たしてきた。同盟がこれだけ長く続いたこと自体驚くべきことであり、加盟国も当初の12カ国から26カ国に拡大した、

NATOがこれだけ長く命脈を保ったのは、長年かかって作り上げた「機構」と柔軟な「適応性」、そしてNATOが安全保障体制であると同時に欧州と米国間の最も緊密な靭帯だという事実だ、

しかし拡大でNATOは動きの鈍い組織となってしまった。対ロシアにしてもミサイル防衛にしてもコンセンサスはできていない。EUと加盟国はほぼ重なるのに、両者間の協力は極めて不十分だ。さらに、大西洋派と欧州独自の防衛力を築こうとうする欧州派の対立も底流にある、

しかも、大西洋の枠内で処理しうるグローバルな課題は減る一方のため、大西洋協力の有用性は短期的なものであり、ここにこそ、NATOの将来の課題がある。そもそもNATOは、環境、エネルギー、金融問題、最貧国救済などに適した機構ではなく、こうした課題の解決には、米国とEUを直接結ぶ機構が必要だ。NATOにこうした課題を負わせようとすれば、NATOの運命は「老兵は死なず、ただ消えてゆくだけ」になるだろう、と言っています。

これはNATOの本質をついた論説です。NATOは、米国の核戦力を背景に、当初はソ連との戦争、後には対ソ抑止のための機構でした。従って、冷戦の終了とともにNATOは解体されてしかるべきだったとも言えます。ところが、冷戦後に解放された中東欧に米国の政治的影響力を拡大するため、NATOは東方拡大へ向かい、ロシアはこれに抵抗する力が無かったというのが実情です。それに実は、イラク攻撃の際、独仏がロシアと共に参戦を拒否した時に、NATOは瀕死の重傷を負ったとも言えます。

遠慮してハッキリ書いてはいませんが、論説は、NATOが巧く自然死を遂げ(出来ればAFPAK問題処理後)、その上で、EUと米国が、多くの国際課題(紛争やテロも含むが、主要なのはエネルギー、環境等の人類規模の課題)に取り組むためにNATOとは性質の異なる独立の機構を作ることを夢想しています。G-8がG-20に相当程度とって代わられた今、日本は、米国とEUの協力機構が誕生する可能性を予想し、豪州やNZと組んでそれへの参加を図るべきでしょう。













Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:54 | その他 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
経済をめぐる米欧対立 [2009年03月26日(Thu)]
独ツァイト3月26日付論説は、4月2日の危機対策サミットを前に経済をめぐる米欧の対立を論じています。

論説は、色々やり取りはあったが、結局、米国は、欧州が十分な景気刺激策をとらないと非難を続け、欧州は、米国が世界的金融秩序の確立をサボる気だと疑っている。しかしこれは単なる喧嘩ではなく、旧世界と新世界の間の価値観、経験、そして経済構造自体の相違の現れなのだ、

例えば、米国には30年代の大恐慌の記憶があり、従って、将来のインフレ・リスクを計算に入れつつも、多くの資金を支出する。ドイツ人は「超インフレ」の記憶が強いので、ユーロについても「安定協定」に固執した。また米国は社会保障の網が弱く、失業者をせいぜい1-2年しか支えられないので、景気が下降すれば、政府は巨額の支出をせざるを得ない。しかしより社会主義的な欧州諸国は構造改革をもっとゆっくり行う、

加えて、中国からブラジルまで、新しい実力国も自らの思想を持ち始めており、結局、各国間の意見の相違は大き過ぎて、到底一つの共同声明にはまとめきれない。勿論、保護主義の抑制や東中欧諸国や開発途上国への支援は盛り込まれるだろうが、各国は全てを解決しようなどとせず、むしろ見解の相違をはっきり出すべきだ、

つまり、諸国間の完全な共同性はありえず、それを目指せばフラストを生むだけだ。大国にはそれぞれの立場がある。要は、意見の一致が安全をもたらすとは限らないということであり、各国はむしろそれぞれが最上と思う手法で競争すべきだ。今回のサミットを成功させるには、20カ国はエゴイズムは抑えるべきだが、同時に互いの相違点をも認識すべきであり、これが、世界にとっても良いことなのだ、と論じています。

この論説には、ドイツ人の考えがよく表われています。言わんとしているのは、世界経済は大国それぞれの特色ある歴史や利害に基づいており、一律のルールは必要だが、その有効性には限界がある、ということです。

日本は、この半年間、米国に気を使ってでしょうが、「日本の経済、とりわけ財政と金融市場の特色はこうであり、従ってこうした政策をとる」と明言しないままで来ました。そのため、国力に比して、日本の主張は表に出ず、他国には「対米追随の国」という印象を改めて与えています。欧州とは立場が異なりますが、米国に完全に同調することはありえないのですから、日本政府や日銀はもっと声を挙げるべきでしょう。



Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:06 | その他 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
中国軍拡と米軍事費削減の危険 [2009年03月25日(Wed)]
AEIのDan BlumenthalがThe American誌で、中国が海軍力を強化し、太平洋における米海軍力に挑戦して来ているにも関わらず、オバマ政権が軍事費を削減し、太平洋における海・空軍力を弱めているのは間違った政策だ、と批判しています。

ブルーメンソールは、先日、南シナ海で起きた、中国船5隻いよる米国の調査船への接近・妨害事件について、中国は自国の経済水域内での科学調査には中国の同意が必要であり、米調査船の行為は国連海洋法条約に違反すると主張、これに対し、米国は、公海上での軍事関連調査活動は自由だと反論、両国は事件後に再発防止を申し合わせたが、双方共立場は変えていないので、今後も同様な衝突は不可避だろう、と述べ、

アジアのこれまでの平和と繁栄は米国の軍事プレゼンスによってもたらされたものであり、地域諸国もより強い米国のプレゼンスを求めている。オバマ政権が太平洋における米軍事プレゼンスの縮小に向かうことは、この地域の軍事バランスに悪影響を及ぼす、と懸念を表明しています。
 
海洋法条約の解釈として、米中のどちらが正しいか、簡単には結論を出せません。米の主張を是とすれば、中国は日本の経済水域で軍事関連調査活動を自由に行えることになり、それが良いことかどうか、日本としてもよく考える必要があります。

ただ、中国が空母の保有を計画し、海南島をベースに海洋に進出し始めているのは明らかです。また、自分たちは他の国と異なり、「平和的に」台頭する、という中国の主張に期待するのは間違いだ、というブルーメンソールの意見も傾聴に値します。要は、中国の言葉より行動をよく見るべきだということです。
 
では日本は中国の台頭にどう対処すべきか。日米同盟に有利なように、中国との関係でバランス・オブ・パワーを保持するしかなく、それが中国に「責任ある利害関係者」としての行動を促すと思われます。つまり、第2次世界大戦後、日本も周辺国も、軍事的に弱い日本がアジアの平和に資するというテーゼを受け入れてきましたが、これを放棄し、日本は「平和愛好の国ではあるが、軍事的にも強い」という方向に舵を切る以外にないのではないかと思われます。特に、米国が軍事費削減の方向にあるのなら、集団的自衛権についての議論などを超えた議論が必要でしょう。



Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 14:44 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
中東の核競争 [2009年03月23日(Mon)]
ウォール・ストリート・ジャーナル3月23日付で、中東問題に詳しいジャーナリストのAmir Taheriが、イランの核開発に脅威を感じた中東アラブ諸国が、自らも原子力計画を推進しようとしている、と言っています。

タヘリは、イランの核開発計画が5年前に報じられてから、世界で25カ国が原子力発電所の新設計画を発表しているが、その内10カ国は中東の国だ。サウジアラビアは、2008年に米国と原子力協定締結の交渉を始めており、エジプトとはフランスと、アラブ首長国連邦はフランス、米国と原子力協力協定を結び、カタールも関心を示している、と述べ、

中東アラブ諸国のイランへの警戒感は強く、ムバラク大統領は「核武装し、覇権的野心を持つイランは今日のアラブ諸国にとって最大の脅威だ」と言い、サウジアラビアの国家評議会も最近「イランの脅威」に関する会議を行い、サウジは率先してアラブの「核の対応」を構築すべきだ主張した、と指摘しています。

中東アラブ諸国がイランの核開発を脅威と感じているのは事実でしょうが、これらの国が今進めている原子力発電計画が、イランの脅威に対抗する動きだという説明には無理があります。この脅威に対抗しようとすれば、イラン自身がやっているように、核兵器能力(ウラン濃縮と再処理)を獲得する必要がありますが、今中東アラブ諸国が推進している原子力発電所の建設自体は核兵器能力ではありません。

勿論、イランの核開発に対する反応からすれば、これらの国が核兵器能力の獲得に関心を持っている可能性はあります。しかし濃縮・再処理技術は移転しないというのが、今の核不拡散体制の根幹であり、その中で中東アラブ諸国が核兵器能力を得ようとすれば、自主開発か極秘裏の技術移転しかなく、いずれも至難の業です。

またタヘリは、パキスタンの核はアラブの金で可能となったのであり、A.Q.カーン一味は、その借りを返すべく、アラブ諸国の核開発を支援するかもしれないと言っていますが、核の闇市場に対する監視の目が厳しい上に、アラブ諸国が容易にそうしたリスクを冒すとは思えず、パキスタンによる支援の可能性は大きくはないでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:37 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
オバマの対ロ政策批判  [2009年03月22日(Sun)]
John R. Bolton元米国連大使がNational Review誌(4月6日発行予定)で、ロシア政策を中心にオバマ外交を厳しく批判しています。

ボルトンは、オバマのロシア政策はひどく間違っており、これはオバマ政権の外交全体に共通する欠陥を反映している。最大の誤りは、ロシアがイランに核兵器を断念させるなら、ポーランドとチェコへのミサイル防衛(MD)配備を取りやめると示唆したことだ、

この提案は、@米のMDを取引可能にしてしまった。レーガン大統領が戦略防衛構想(SDI)をソ連との交渉材料にしなかったのと正反対だ、AMDはイランだけでなく、パキスタンや北朝鮮に対しても必要であり、イランだけを問題とするのは間違っている、B結果的にロシアはイランに核兵器を断念させず、米が一方的にMD配備を止めることになりかねない、と批判しています。その上で、

こうしたオバマ外交の背景には、米ロ関係の困難はブッシュ政権以来の米国の姿勢や行動に起因するという考えがあるが、これは間違っているだけでなく、危険だ。米ロ関係が悪化したのは、ロシアがイランをかばい、グルジアに侵攻し、西欧への石油・ガスの供給停止を脅したからだ。

今後米ロ関係はロシアの攻撃性と自己主張で難しくなるが、米ロ関係が悪いのは米国の「対決姿勢」の故だという考えは、交渉に歪みをもたらす。早いうちに劇的に改善しないと、問題が生じるだろう、と言っています。

ボルトンの批判に同感します。米ロ関係の困難は双方に原因があるとはいえ、ロシア側により責任があります。ロシアはグルジア侵攻後、主権国家の領土の中に満州国のようなものを二つ作った上、旧ソ連諸国をロシアが「特権を持つ」勢力圏として尊重するよう求めています。ウクライナやチェコ、ポーランドがNATO加盟やMD配備を求めるのは、主権国家としての権利行使であるのに対し、ロシアの行動や要求は国際秩序に挑戦する行為です。

オバマ政権がこうしたことを十分に認識しているのか、心もとないところがあり、無原則な「リセット」はロシアの被害を受けて来た周辺諸国の反発を招きます。

また外交では継続性に重要な価値がありますが、米国はそれを無視することがあり、ブッシュ政権発足当時はクリントン外交が否定され、今またオバマ政権はブッシュ政策否定を外交の基調にしようとしていますが、これは無理があり、好ましくありません。

ただ、オバマ大統領も外交の最高責任者として現実に直面せざるを得ず、早晩、甘い情勢認識を改め、外交は「姿勢」の問題ではないことを理解するでしょう。米の国力にはそうした試行錯誤を許容できるだけの大きさがあります。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 14:44 | ロシア・東欧 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
オバマのアフガン政策批判 [2009年03月18日(Wed)]
オバマ大統領が新アフガン戦略を発表するのに先立って、ワシントン・ポスト3月18日付でJohn McCainとJoseph Lieberman上院議員が、アフガン戦争に「最小限主義」で臨むのは間違いだと警告しています。

マケインらは、米国の中には、米国民は戦争に疲れており、アフガンの国家再建への関与は政治的に難しいので、目標を引き下げ、短期的な対テロに重点をおくべきだという意見があるが、こうした「最小限主義」は危険で、根本的に間違ったアプローチだ、と批判し、

アフガニスタンにおける米国の死活的な国益は、この国が再びテロリストの根拠地にならないようにすることだが、そのためには単にテロリストへの軍事攻撃を続けるだけではだめで、米国が軍民一体の対テロ政策をとり、長期的な関与を続けて国家再建を支援する必要がある。「最小限主義」をとって、米国の長期的関与が疑われれば、アフガン国民から対テロ協力(情報提供など)を得ることは難しくなるし、パキスタン等、周辺諸国も米国への協力に二の足を踏むようになるだろう。成功への近道などないのだ、と言っています。

この議論は説得力があります。積極的な関与でもなく、あからさまな撤退でもない「中間の道」で今のアフガンの事態を収拾できると考えるのは、楽観的に過ぎ、両議員が言うように、多大なコストを払いつつ「ゆっくり負ける」処方箋になりかねません。

とはいえ、アフガニスタンの国家再建は大変な事業です。イラクと比べ、部族対立ははるかに多様複雑であり、一人当たりのGDPもイラクの10の1と貧しく、しかもそのGDPの過半はアヘン収入が占めています。金融経済危機で苦しむ米国にとってそういう国の再建がかなりの重荷であることは明らかです。従ってオバマ大統領としては「最小限主義」でうまくいくなら、そうしたい気持ちはやまやまかもしれません。

しかし、昨年の大統領選挙中、イラク戦争を泥沼と批判し、アフガン戦争を「我々が勝たねばならぬ戦争」と強く訴えていたオバマは、今さら消極的にはなれないでしょう。

何よりも、どのような戦略であれ、新政権の対アフガン戦略が成功するには、国民の団結した後押しと超党派の支持が必要です。米政治の一方の代表であるマケイン上院議員が「最小限主義」を強く批判した以上、最小限主義に基づく戦略をたてることは政治的にかなり難しくなったと言えるでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:29 | 中央・南アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
IMF改革に向けての政治意思の欠如 [2009年03月17日(Tue)]
ファイナンシャル・タイムズ3月17日付で、外交問題コラムニストのQuentin Peelが、経済危機で、歴史的遺物と見られ始めていたIMFの重要性が突如増し、G20サミットで増資と改革合意が期待されているが、本気で改革を進めようという政治的意思はまだ見られない、と論じています。

ピールは、IMFは、@伝統的な金融思考に凝り固まり、新興国はIMFを欧米の金融政策の道具だと不信の目で見ている、A市場は1.75兆ドル規模の資金調達をするのに、IMFには3000億ドルの資金しかない、B一つの型を全ての危機、全ての国に当てはめる誤った枠組みを作ってしまった、C人材は優秀だが、枠を破る発想ができない、D60年前の経済力に基づく割当分によって投票権が決定、その結果、欧州に票が過剰に集まり、中国やインド等の新興国の割当分は少なすぎる、等の問題を抱えていると指摘、

改革の最大の障害は、新興国の浮上で既得権を脅かされる欧州だが、一番簡単な解決策は、EUあるいはユーロ圏で票をまとめることだ、と言っています。その上で、

しかしIMFのこうした問題は昔からあるが、これだけ事態が深刻になっても、IMFに指導力を持たせる改革を進めようという政治的意思はまだ見られない、と悲観的見通しを示しています。

先週末のG20蔵相会議を前に、サマーズ米国家経済会議委員長が欧州にさらなる景気刺激策を求めたのに対し、ユーロ圏代表のルクセンブルクのユンカー蔵相が公然と激しく反発したことから、規制強化とさらなる景気刺激策のどちらを優先させるかをめぐる欧米の対立が表面化、そこで、皆が合意しやすい政策としてにわかに浮上したのがIMF改革です。

東欧諸国の経済情勢がますます悪化し、EUには救済力がないことから、西欧諸国はIMFに救済役を期待する一方、新興国は今の経済力を反映した割当分=投票権の増加を望んでいます。また新興国はIMF総裁が常に欧州人であることにも大きな不満を抱いています。

ピールが指摘するように、実力以上の割当分を持つEU各国が簡単に譲るとは思えませんが、IMFの融資財源を増やすには、どうしても中国を始めとする外貨準備を持つ新興国から出資してもらう必要があります。またG20蔵相会議のコミュニケにも、割当分の見直し時期を当初の2013年から2011年に早めること、国際金融機関のトップは実力主義で選択すべきことが盛り込まれました。今後、初の非欧米人のIMF総裁または世銀総裁の座を巡り、熾烈な戦いが展開されることになるでしょう。日本はすでに1000億ドルの資金支援に合意していますが、中国は資金力を背景に大幅な割当分増加を望んでくるでしょうし、IMFあるいは世銀総裁の座を狙ってもおかしくはありません。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 14:06 | その他 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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