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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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欧州金融危機におけるドイツの責務  [2009年02月26日(Thu)]
独ツァイト2月26日付が、欧州金融危機におけるドイツの責務について論じています。

記事は、金融危機は大戦後営々と築いてきた欧州の政治、経済の安定を脅かしており、一部の欧州国は国家自体の破産に直面しかねない状況だ。競争力強化を怠ってきたスペインやポルトガルは弱体化、外国資本が引き揚げてしまったハンガリーやバルト三国は窮地に立ち、英国とアイルランドも銀行への各種救済策を取れるかどうか疑問だ、

各国には増税や支出の削減等、資金入手の手段はあるが、こうした措置は需要を抑えるので不適切であるし、多くの国にとっては政治的にも実施困難だ。既にギリシャやバルト三国では暴動が起きている。投資家の間にパニックが広がれば、金利が上昇、経済は一層の重圧に苦しみ、危機が危機を呼ぶ状況となってしまう、

今重要なことは、支払能力を有する諸国が連合体制を作ることであり、その場合、ドイツが中心的役割を引き受けざるを得ない。他国に比べてドイツ経済は外国と関係が最も深く、従って、他国の金融パニックを防ぐのは自国のためでもある。また、通貨同盟の加盟国間では直接の財政支援は禁止されているが、このルールを厳密に適用して通貨同盟自体が崩壊してしまえば、本も子もない。どの国もこうした事態を望まない以上、支援以外に選択肢はない。経済の実情と法律が乖離を起こせば、経済を救うのは当然だ。

勿論、問題は経済だけではない。経済破綻国の安全保障上の危険は言うまでもない。また欧州には賃金、課税、社会システム等でより多くの規則が必要であり、EUの「経済政府」も必要だ。しかし長期的には、通貨同盟は政治同盟としてのみ永続し得るのであり、危機に苦しむ国々への支援はその第一歩となりうる、と言っています。

経済の実力者ドイツは、今こそ進んで他のEU国、とくにユーロ加盟国を助けよという論旨であり、ドイツに加えてあと半ダース位の比較的余裕のある国が支援に踏み切るか否かは、EUの遠い将来へ向けての展望を左右することになるでしょう。他方、日本について言えば、日本は今の経済危機をもっと外交の手段とすべきでしょう。昨秋、日本はIMFに特別資金を出したものの、その後はIMFの専務理事以下が適宜これを使うだけで、支援の対象となった国はIMFには感謝しても、日本を評価するわけではありません。財源の問題はありますが、途上国については二国間ODAとして支援が可能であり、非途上国の欧州国についても、欧州復興開発銀行に特別の日本基金を造らせることで資金援助が可能になり、これは高く評価もされるでしょう。欧州に対する外交政策としてヒットになると思われます。




Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:11 | 欧州 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
イラク撤退とその課題 [2009年02月25日(Wed)]
オバマがイラク政策(撤退期限の3ヶ月延長を含む)を発表したのを機に、ニューヨーク・タイムズ2月25日付で、民主党系の評論家の中で最も軍事的造詣が深く、現実的思考をする、ブルッキングス研究所のMichael E. O’Hanlonが、Kenneth M. Pollackと共にイラク戦略を論じています。
 
オハンロンらは、イラクはまだ難問山積であり、撤退期限前に全てが解決すれば良いが、成功しなかった場合は、オバマ政権は撤退期限の再調整も含めて現実的に対処すべきだ。また、撤退と言っても、対テロの特殊部隊や訓練教育のための部隊が残ることに希望がある、と述べ、

今後大きな問題として浮上して来るのは、これまではシーア派対スンニー派の争いの影に隠れていた、クルド地域の問題だ、と指摘しています。

その上でオハンロンは、イラクの戦略的重要性を考えれば、イラク戦争はもはや「選択できる戦争」ではなく、米国にとってイラクの安定を目指す以外に選択肢はない、メソポタミアが安定して、初めて周辺のアラブ諸国も中東和平について米国と対話するようになろう、と言っています。

この論旨には全面的に賛成であり、また、オハンロンとしてもこれ以外に書きようがなかったでしょう。オハンロンも、本来は、期限付き撤退のような軍事的合理性を欠く政策は到底支持できないと思っていますが、既に路線として決まった以上は、撤退期限に柔軟性を持たせること、そして、種々の口実で残留米軍の規模と行動範囲をなるべく大きくすることに希望を託しているわけです。

またオハンロンは、イラクの戦略的重要性について確固たる判断を表明しています。確かに、チグリス、ユーフラテス河の合流点にある肥沃な土地であり、ほとんど無尽蔵な石油資源と高度に教育された国民を持つメソポタミアに、米国と友好関係を持つ安定した国を築くという努力は、米国にとってそれこそ選択の対象となる政策ではなく、必ず達成しなければならない政策でしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:03 | イラク | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
米国の対ロシア政策 [2009年02月22日(Sun)]
ワシントン・ポスト2月22日付でコラムニストのJim Hoaglandがオバマ政権の対ロシア政策について警告を発しています。

ホーグランドは、相手国に手を差し伸べようというオバマの外交政策は、権威主義的政権、特にロシアからは、弱さの表れと受け取られる可能性がある。従って、オバマの開かれた新しい精神をもって手を差し伸べる姿勢は正しいにしても、その政策が失敗した場合に対処する準備もする必要があるし、さらに、成功した場合は、ロシアについては欧州諸国が、イランについてはアラブ諸国が懸念を抱くので、それについても対処を準備すべきだ、と言っています。
 
ホーグランドのこの論旨はうなずけます。ロシアを含め権威主義的政権は、敵・味方の峻別、他国への不信感、力関係重視に基づいて外交を行う傾向があります。こちら側からオリーブの枝を差し出しても、それを利用しようとし、更に緊張を高めた上で、その緩和を取引材料にして利益を得ようとする傾向が大です。北朝鮮はその極端な例ですが、ロシアにもそうした傾向があります。

権威主義的政権とは、具体的な合意をもとに関係を構築していくべきであり、漠然たる姿勢や雰囲気に依拠するのは危険です。特に、ホーグランドも指摘するように、ロシアやイランについては、これらの国に警戒心をもつ国々、ロシアの場合には、ロシアのやり方を体感しているロシア周辺諸国、イランの場合には、アラブ諸国などの友邦国の意見をよく聞き、かつ、それらの国との関係を重視して対処すべきだと思われます。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:06 | ロシア・東欧 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
英国経済の窮状 [2009年02月21日(Sat)]
シュピーゲル2月21日付が英国経済の窮状について解説しています。

記事は、英国では消費も工業生産も激減、IMFによれば英経済は今年、七大経済国中最大の2.8%縮小をとげる。失業増加の速さも欧州の平均の二倍であり、失業者は今年末には300万人となろう。かつての社会福祉国も今や失業手当は週約60ポンドしかない。支払が出来ないために、ローンで買った家やアパートを売りに出すケースも急増している、

20年前、サッチャー首相は造船、鉱業、自動車などの伝統的産業を壊し、米国同様、規制を撤廃、英国の将来を金融業に賭けた。ゴールドマン・サックス、メリル・リンチ、モルガン・スタンレーなど米系巨大投資銀行や、ドイチェ・バンクやクレディ・スイスなど欧州系大銀行がロンドンに腰をすえ、ロンドンは世界の株式とヘッジファンドの取引の中心となった。この路線はブレア政権にも引き継がれ、諸種の規制は更に撤廃、資本収益への課税も一層軽減された。最善の時期には金融業は国家税収の25%を生み、16年の間に650万人の雇用を生み出した。銀行家たちのボーナスは10年で17億ポンドから85億ポンドに上昇、金融業の余沢は、弁護士、コンサルタントから、商店、レストランまでおよび、住宅価格も三倍になった。そうした中で英国は貯蓄する国から金貸し業の国へと変貌していった、

こうして英国は工業社会から金融中心のサービス社会への脱皮に成功したかに見えたが、その実体は、際限無く膨張する金融セクターへの依存に過ぎなかった。今や、人々の銀行家に対する憤りは激しい、

来年、英国はGDPの9%の新規借り入れを行わざるを得ず、英財政が今回の危機以前の状態に戻るのは2030年と見られている。70年代、英国は「欧州の病人」と言われたが、今や世界の病人となったのだ。「規制を全く受けない資本主義」などあってはならないとの認識がようやく浸透し始めたが、悟るのが遅すぎた、と言っています。

この記事の言っていることは妥当と思われます。百年前、七つの海を支配する大帝国だった英国は、二度の大戦を経て実質二流国となり、以後、米国に頼る代わりに、他に先んじて米国に協力する政策で、世界における地位を保ってきました。しかし本来のルーツたる欧州では、独仏の再興の意味を読み違え、長くECの域外にいて無駄な抵抗を続けました。ただ、英国の国や国民の特性や文化は、大陸の大国も一目置いてきた全く独自のものであり、人類の財産でもありますから、それらが残る限り、たとえ経済はさらに衰退しようとその存在意義は今後も必ず続いて行くでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:00 | 欧州 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
米国の対ミャンマー政策 [2009年02月20日(Fri)]
インターナショナル・ヘラルド・トリビューン2月20日付で、ミャンマーを訪問したBusiness Executives for National Security(米経済人が作る安保推進組織、政治的に中立)のStanley A. Weiss会長が、米国のミャンマー政策について思いをめぐらしています。

スタンリーは、現地で感じたのは、このまま軍事政権に圧力をかけ続けても、なんの効果もないばかりか、ミャンマーを中国側に押しやるだけだ。その意味で、対話を初めから除外はしないというヒラリー国務長官の態度は歓迎できる。あとは国連やNGOを通じて人道援助を強化し、それによってミャンマーの人々との人的つながりを強化することが望ましい、と言っています。

経済人らしい現実的なアプローチであり、また、ミャンマー問題を、中国の影響力増大のみでなく、より大きな戦略的視野から捉えている点は共感を呼びます。

ミャンマー政策については、日米の間に、表には出ていませんが、従来から一貫して違和感が存在しています。その根源は、第二次世界大戦以来のミャンマーと日本の間の親近感に由来するものですが、米国の原理主義的人権論者のダブルスタンダード(中国の一党独裁、人権無視、少数民族弾圧には甘く、ミャンマーには厳しい)や、中国のミャンマーへの影響力が年々拡大して来ていることへの米国の無神経さも、多くの日本人にとって釈然としない要素です。

本来は日本が集団的自衛権の行使を認めて、米国と対等のパートナーとなった上で、ミャンマーについては、歴史的経緯もあることから日本に任せるよう米国に認めさせるのが、あるべき戦略と思われます。

これまでも日本は、集団的自衛権の行使でも、対ミャンマー独立外交の試みでも、何度となくチャンスを逸してきましたが、オバマ新政権の登場を機に、もう一度日本独自のミャンマー外交を認めるよう米国に働きかける価値はあるように思われます。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:42 | 東南アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
オバマ政権のアフガン作戦 [2009年02月18日(Wed)]
インターナショナル・ヘラルド・トリビューン2月18日付で高名な米外交評論家William Pfaffが、オバマ政権のアフガン作戦について論じています。

ファフは、今の米国は、アフガン人の信仰をリベラル化したいのか、それとも正面きって宗教戦争をしたいのか、NATOの恒久基地を設けてアフガニスタンやパキスタンを恒常支配したいのか、あるいはビン・ラーディンたちを捉えて9.11テロの責任を問いたいのかわからない、というよりも、すべてを同時に追っているように見える、

しかし現在4万の米軍を倍増したところで、ビン・ラーディンを捕捉できる保証はなく、増派はむしろ駐留の恒久化につながる。また、米軍は誤爆によって多くのアフガン人を殺戮しており、そのために有力部族パシュトゥン人を敵に回してしまった。オバマ政権は、アフガン作戦の目的をビン・ラーディンの捕捉に置くのか、アフガニスタンの民主化に置くのか明確にすべきだ、と論じています。

オバマ大統領がアフガン増派を発表したばかりですが、ファフは、作戦が自己目的化し、当初の方向感を見失っていることを批判したのでしょう。ただアフガニスタンには無数の勢力が存在し、またパキスタンにもそれぞれ異なる思惑で動く政府、諜報機関、地方有力者等が存在して、ある時は米軍を利用、ある時は敵対して動くのですから、米国が方向感を失うのもやむを得ない面があります。

またこの問題には、ビン・ラーディンを捕捉するには、地元部族指導者を懐柔せざるを得ず、懐柔すればイスラム過激派の跳梁を許し、そこに外国資金も流入してくれば、ビン・ラーディンの捕捉は難しくなる、という基本的矛盾があるように思われます。

アフガニスタンは地域毎の共同体から成っており、「部族指導者」はその頂点に立っています。近代的国民国家にそぐわないとして彼らを性急に排除し、社会全体を不安定化させるより、彼らを公共工事への参加等の利権で手なづけつつ地方自治体的な役割を担わせるのが、時間はかかりますが、現実的なやり方と思われます。少なくとも表面的な「アフガン安定化」は演出できますし、ビン・ラーディンの「炙り出し」もより容易になるでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:45 | 中央・南アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
ヒラリーのアジア歴訪 [2009年02月17日(Tue)]
AEI Short Publications 2月17日付でAEI研究員Dan Blumenthalが、ヒラリーのアジア歴訪を論じ、アジアは中国だけではないのだから、広くアジア全体の民主主義、人権、自由貿易などの観点からアジアに接するべきであり、また、中国についても、政府だけでなく、中国人民にも呼びかけるべきだと言っています。

また、ブルーメンソールは、インドネシアはイスラム教徒の民主主義国家として知られざる成功物語であり、米国は豪州との同盟を強化してインドネシアの成長と安定を援けるべきだ。また、太平洋地域の自由貿易には台湾も含めるべきだ、とはっきり述べています。

ここには全体として、ブッシュ政権後期におけるゼーリック国務副長官やポールソン財務長官の中国重視姿勢に対して批判的な態度が窺われます。アジアの将来のヴィジョンは、過去のような帝国主義国による収奪でもなく、アジアの覇権国支配でもなく、繁栄、平和、自由であるべきだ、と述べているのは、歴史的には後者は当然日本を意味しますが、中国をも含み得る表現となっています。

ブルーメンソールの論文は、この時期の他の論文と同じく、まだ未確定のオバマ政権の政策に影響を与えることを目指して書かれたものであり、実際にどこまで影響力を持ち得るかは全くわかりません。またヒラリーの中国訪問が終わっていないので、オバマ政権の対中国姿勢もまだわかりませんが、しかし、最初の訪問国が日本に続いてインドネシアだということは、アメリカのアジア外交にとってかなり重大な意味のあることと思われます。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:32 | その他 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
苦境にたつEU経済 [2009年02月16日(Mon)]
シュピーゲル2月16日付がEU経済の現状について論じています。

記事は、金融危機は既に欧州の実体経済に波及しており、鉄鋼、化学、繊維、電気等、全産業で売り上げは落ち、破産の波が欧州周辺国から始まって、今やドイツにも及び始めている、と述べ、

「欧州は各国経済が相互に絡み合っており、欧州レベルでの協力が不可欠」であり、EU共通の危機対策が今ほど必要とされている時はない。ところがEU委員会は危機の規模と速度を読み間違えた上に、十分な権限も資金もない。他方、「政治はこの相互依存性に盲目」であり、各国は自国の利益を守ろうと、保護主義的政策に走り出している。しかし、各国毎の景気刺激策も効果を生んでいない。その上、委員会自体も内部で対立しており、委員同志の「仲間の精神」などない、と言っています。

EUは今回の経済危機で、マーストリヒト条約締結以降、最大の試練を迎えています。それまでのECは、関税同盟プラス共通農業政策を柱とする協力機構でしたが、冷戦終了、ドイツ統一、ソ連崩壊という大変化を契機に、EUが誕生、中立三カ国も加盟し、統一通貨ユーロが創設されました。しかしそれ以外は、実際には(二三の分野をのぞき)、加盟国の便宜的協力の場以上のものにはなりませんでした。ところが、加盟国の結束力と加盟によって得られる利益が過大評価され、その結果、何度も基本条約を作り直しては、デンマークやアイルランドの国民投票で否決される醜態を演じました。また、通貨に関する「安定協定」の必要性を強く主張したドイツ自身が、統一のコスト評価を誤ったこともあって、財政赤字を抑えられず、協定違反を平然と何年も続けるという大国の横暴ぶりを発揮しました。ただ、ドルの地位を利用した米国の経済運営が、欧州以上に規律がなかったために、相対的にEUはましに見え、またユーロも実力以上に評価されましたが、9月のリーマン・ブラザーズ破綻を機に一挙にボロを出した、ということでしょう。

まずまずまともで、良識もある27カ国が1グループを形成していることは、政治的には、米国や日本と協議、協力する上で結構な組織だと言えますが、これまで時々取り沙汰されたEU独自の安保政策は、今後も実質なき看板に留まるでしょう。経済を主目的としているはずのEU委員会は無用に近い巨大官僚機構に堕し、民主主義のために作られた欧州議会も、今回の危機で全く無力・無用の組織であることを暴露してしまいました。EU無用論は極端ですが、昨年9月以後の各国のエゴをみると、思い切った整備・合理化による役に立つ組織への改組が必要でしょう。具体的には、危機を脱した後、悪平等でなく、各国の総合的実力をより反映するEUに脱皮することが、その存在意義を取り戻す道と思われます。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 17:17 | 欧州 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
イスラエルのアラブ住民 [2009年02月16日(Mon)]
2月16日のPostGlobal でNewsweek 国際版の編集長でコラムニストのFareed Zakariaが、イスラエルにとり、ヒズボラやアフマディネジャド大統領よりも取り扱いが難しく、イスラエルの存在そのものを脅かす重大問題は、イスラエルに住むアラブ人だ、と言っています。

ザカリアは、先日のイスラエルの選挙で躍進したイスラエル・ベイテヌ党の指導者リーバーマンが、イスラエルのアラブ住民はハマスより深刻な脅威だとして、何十万ものアラブ住民の追放――これは、北イスラエルの一部を一方的に西岸に編入させることで実行する――や市民権剥奪を提案している、と述べ、

リーバーマンの主張は極論のようだが、実は多くのイスラエル人の支持を得ている。ネタニヤフも、イスラエルのアラブ住民は人口学上の時限爆弾だと警告している。リーバーマンが政治の中央に出てきたことで表面化したこの問題がどうか解決されるかで、ユダヤ国家として、また民主主義国としのイスラエルの将来がきまるだろう、と言っています。

リーバーマンがイスラエルのアラブ住民をイスラエルの生存に関わる問題と考えるのは、一つには、彼らの人口増加率が高いためで、2025年にはイスラエルの人口の4人に1人はアラブ人になると予想されているそうです。

リーバーマンの主張は極端ですが、先般の選挙で彼の率いるイスラエル・ベイテヌ党が3位に躍進したことは、Zakariaも指摘するように、彼の主張に共鳴する有権者が多かったことを示しています。それにしても、イスラエルのアラブ人はれっきとしたイスラエル市民であり、それを追放したり、市民権を剥奪するというのは、自由民主主義国家では考えられないことです。いかにイスラエルびいきの米国も、これは容認しないでしょう。

それにもかかわらず、こうした主張への支持が広がりつつあるのは、まさにイスラエルの国家の将来像に関するイスラエルのジレンマを象徴しています。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 17:01 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
イラク戦長期化 [2009年02月15日(Sun)]
ワシントン・ポスト2月15日付で、同紙のベテラン軍事記者でピューリツァ賞も受賞したThomas Ricksが、現地の軍人達の意見を基に、イラク戦は2015年までかかり、その間、米国は三万人程度の兵力の駐留を余議なくされるだろう、と論じています。

リックスは、例えば、これは1年や2年で勝てる戦争ではなく、何年も何年もかかるとペトレイアス将軍の副官が言ったこと、米軍の抑えが利かなくなれば、イラク各派間の対立が即噴出すると米国防情報局関係者が言ったこと、エリートはグリーン・ゾーンの中で安逸をむさぼり、軍は外にいるという状況は、クーデターの典型的条件だとテロ専門家が言ったこと、等を挙げています。

また、今のイラク政権の人間はイランの恩恵を受けた者ばかりだと英軍事専門家が言ったこと、さらに、イラク司令官と親しくなれば、彼らが民主制とか代表制などは全くの愚の骨頂と思っていることがわかるとイラク軍の顧問を務めた米軍関係者が言ったことを紹介し、

結論として、米軍の駐留は2015年まで続くだろう。イラク戦争は現時点で全行程の半分まで来たと考えるべきであり、従って今後も様々なことが起きると想定すべきだ、と言っています。

おそらくこれがイラクの実情でしょう。オバマ政権は、期限付き撤退という選挙公約に拘束され、また撤退期限を要求したイラク議会側の建前と相まって、撤退を実施せざるを得ない状況にありますが、イラクの実態がそれほど甘いものではないことは、軍事専門家が元々指摘していたところです。

今後ともこの種の実情分析や政策意見が主張され、その結果、米軍は、イラク側の要請に応えてという形となるのか、あるいは、撤退の対象である「戦闘部隊」以外の部隊の定義の拡大によるのかは分かりませんが、今後数年間はここで言っている三万人程度の部隊を駐留させることになるのではないかと予想されます。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:27 | イラク | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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