CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る

世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


プロフィール

特定非営利活動法人 岡崎研究所さんの画像
Google

Web サイト内

カテゴリアーカイブ
最新記事
最新コメント
△小泉純一郎前首相の医師久松篤子
英米関係は共通の理念に支えられる (10/08) 元進歩派
実績をあげているオバマ外交 (09/21) wholesale handbags
タクシン派のタクシン離れ (07/04) womens wallets
豪の新たな対中認識 (07/04) red bottom shoes
バーレーン情勢 (07/02) neverfull lv
石油価格高騰 (07/02) wholesale handbags
金融危機後の世界 (07/02) handbags sale
米国の対アジア政策のリセット (07/02) neverfull lv
ゲーツのシャングリラ演説 (07/02) handbags sale
パキスタンの核の行方 (07/01)
最新トラックバック
リンク集
月別アーカイブ
https://blog.canpan.info/okazaki-inst/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/okazaki-inst/index2_0.xml
米露協力の好機 [2009年01月30日(Fri)]
インターナショナル・へラルと・トリビューン1月30日付で米戦略国際問題研究所のAndrew C. Kuchinsと Samuel Charapが、ロシアが経済危機に見舞われる中、米ロ関係を好転させる機会が出現している、と論じています。

クチンズとチャラップは、今回の経済危機はロシアを痛撃、株は5月の最高値から70%下落、外貨準備は3分の1の2000億ドルに目減り、失業者数は10月から20%増で、ロシアからの資本逃避も1299億ドルに達した。石油価格がこのまま40ドルにとどまれば、ロシアの国家予算は赤字となり、経済成長率はゼロからマイナスになる、と指摘し、

ロシア企業は2009年に1000億ドルの債務返済をしなければならず、ロシアには、西側の資金が必要だ。つまりロシアは、今明らかに西側との関係改善を必要としている。他方、オバマは選挙中、軍備管理や不拡散等の問題でロシアと関与すると言ってきた。ロシアの最近の攻撃的な動きは無視されるべきではないが、米ロ関係改善のために米国は現在の好機を利用すべきだ、と言っています。

ロシアはBRICSの中で経済危機のマイナス影響を最も強く受けており、ロシアが経済危機の克服のために西側との協力を必要としているという分析は、その通りでしょう。対日関係についてもその兆候はあります。

ただ西側自体も経済危機の中にあり、対ロ投資や融資をしたい企業・金融機関などないのではないかと思われます。他方、ロシアはIMF融資が必要なほどまでの危機には陥っておらず、政治的決定で出来ることは限られています。また、石油高を背景とするロシアの自己過信は是正されてきていますが、グルジアやウクライナへの政策を変えているわけではありません。

このように、西側がロシアの経済危機緩和のために出来ることは限られていることを考えると、今回の経済危機がもたらす米ロ、欧ロ、日露関係への影響を過大に評価することには問題もあります。ミサイル防衛など、それぞれの問題はその利害得失を考えながら、処理していくしかないでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:54 | ロシア・東欧 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(1)
イランとの対話批判 [2009年01月27日(Tue)]
ワシントン・タイムズ紙1月27日付でAEIのJohn R. Boltonがオバマ政権の対イラン交渉政策を批判しています。

ボルトンは、これはイランが核開発のための時間稼ぎをするのに好都合な上に、米国がガザ問題にかまけている間に、イラン核問題への取り組みの優先順位が下ることになりかねないと指摘し、さらに、イランはオバマ政権の交渉提案に乗ってくるだろうが、楽観論に基づく対イラン外交は案外早く壁に突き当たるだろうと予測しています。

ボルトンは、イスラエルが軍事力を用いてでもイランの核兵器開発を阻止することを期待していたと思われますが、その期待が崩れた上に、オバマの対イラン交渉政策は、結果としてイランに利することになると考えて不満を表明しています。

しかしイスラエルや米国による空爆は、イラン核施設についての情報の不足等から、元々あり得ない選択であり、従って、すべての選択肢が検討可能だとは言っても、現実の政策としては、アメとムチを併用した交渉以外の道はなく、ボルトンの期待には初めから無理があります。

今後のポイントは、交渉におけるアメとムチをブッシュ政権時代より大きくすることと、濃縮停止を交渉の前提条件とするやり方を変えることが出来るか否かでしょう。ただ、そうしたとしても、交渉が成果をあげられるかどうかはわかりません。

なお、イスラエルは、今回のガザ攻撃でハマスに壊滅的打撃を与えるのに失敗したと断じて良いでしょう。ガザは依然としてハマス支配下にあり、また西岸でのある世論調査では、80%近い人がハマス支持になっています。ハマスはガザ再建の問題に直面していますが、政治的には今回の紛争のために強力になったと考えられます。そうした中で、イランが今回、口先だけで実際は何もしなかったことは、イランとハマスの間の距離を示すものでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:49 | イラン | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
オバマ政権に対する非協力の芽 [2009年01月26日(Mon)]
ワシントン・ポスト1月26日付社説は、オバマの国際的人気は相変わらず高いが、オバマ政権下の米国の政策に対する反撥、非協力は既に始まっている、と論じています。

社説は、オバマに対しては、ヴェネズエラのチャベス大統領のような元々の反米派のみならず、オバマを歓迎すると言っている欧州の指導者などからも辛口の発言が出ていることを指摘し、

特に、主要な政策懸案である、@アフガン増派と対イラン制裁強化への欧州諸国の協力、Aハマスとヒズボラを抑えるためのアラブ諸国の協力、そしてBパレスチナに対するイスラエルの譲歩、を引き出すためには、もう、オバマの人気だけでなく、プラグマティズムと善意が必要となる、と述べています。

そして、とにかくオバマの支持率は各国でその国の指導者よりも高いのだから、言うことを聞かない指導者達を飛び越えて、それぞれの国の国民に直接説得を試みることもできるだろう、と言っています。

たしかに、上記の三つの問題は、米外交が直ちに直面する最大の問題であり、中でもパレスチナ問題は、過去十年よりも事態が悪化し、対処はより困難になっています。またアフガン増派は、ブッシュのイラク戦争は誤った政策であり、アフガンが対テロ戦争の本命であるべきだ、というオバマの選挙戦中のレトリックの延長上に出てきた政策なので、イラク、アフガン問題の両方に疲れているヨーロッパに対して必ずしも説得力はなく、協力を納得させるのは容易なことではないでしょう。

従って、このような政治懸案は、オバマの人気やカリスマを以ってしても、大きな変化は期待できず、それがオバマ人気の反動をもたらす可能性があります。その場合、唯一の突破口となるのは、環境問題かもしれません。



Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 14:48 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
サウジの忍耐の限界 [2009年01月23日(Fri)]
フィナンシャル・タイムズ1月23日付でサウジのトゥルキー皇子が、米国がアラブ=イスラエル紛争に対する姿勢を変えなければ、米サウジの特別な関係は脅かされ、またサウジは平和的解決への協力を続けられなくなる、と警告しています。

トゥルキーは、イスラエルによるガザの殺戮はブッシュ政権にも責任がある。オバマ新政権はハマスのロケット攻撃を非難するだけでなく、イスラエルの残虐さも非難すべきだ。米国がさらなるパレスチナ人の苦しみと殺戮を防がなければ、和平交渉も、米=サウジ関係も、中東地域の安定も、全て脅かされることになる、と強く警告を発し、

アブドゥラ国王が、7年前に提案した和平協定をアラブ諸国がいつまでも支持するわけではない。また、イランのアフマディネジャド大統領からアブドゥラ国王宛てに、サウジをアラブとイスラム世界の盟主と認め、対イスラエル・ジハードを導くよう求める書簡が来ている。サウジは今のところそうした求めには応じていないが、イスラエルに対する市民の反感を抑えるのは日増しに難しくなってきている、と言っています。

オバマはガザ戦争直後、イスラエルの安全を守ることを約し、イスラエルには自国を守る権利があると述べながらも、「パレスチナとイスラエルの人々の命が失われたことに、そしてガザにおける苦しみと人道支援の必要性に心を痛めている」、とこれまでの米大統領に比べ、パレスチナに同情的な発言をしています。また就任2日目に、北アイルランド紛争解決に大きく貢献したジョージ・ミッチェルを中東特使に任命、さらに、アブドゥラ国王の提唱した和平案復活を、米国が後押しする発言をしたことは、オバマ政権が和平交渉に力を注ぐことを示しています。トゥルキーの論説は、そうした米国側の努力に緊急性を与えるものでしょう。

特に、反イスラエル急進派の動きを憂慮して、早くサウジ提案の受け入れを迫る意図があったと思われます。トゥルキーはサウジの情報長官、駐英・駐米大使を歴任したサウジ王家きっての知性派であり、サウド外相の実弟でもあるので、彼の主張はサウジの意向を十分代弁していると考えてよいでしょう。
 

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:48 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
日米同盟への憂慮 [2009年01月22日(Thu)]
インターナショナル・ヘラルド・トリビューン1月22日は、日米同盟の現状を憂慮するMITのRichard J.Samuels教授と外交問題シンクタンク、IFPAのJames L. Schoff による論説を載せています。

サミュエルズらは、日米同盟は漂流している。日本が中国の台頭や北朝鮮の核への懸念を強める一方、米国は核拡散と米本土へのテロ攻撃に重点を置いている。また米国が北朝鮮をテロ支援国家のリストからはずす中で、日本はますます内向きとなり、イラクから自衛隊を引き上げ、ソマリア沖への自衛隊艦艇派遣の決定にも数ヶ月かけてしまっている。結局、日米同盟の改変は進まず、日本政府は、憲法解釈を変更する努力もやめてしまった。かりに日本の領域で米軍が攻撃され、日本が何もしなければ、同盟は確実に崩壊する、と述べ、

同盟を維持するには、負担をどう共有し、どう決定を行うかを調整していくことが必要だ。海洋の安全、破綻国家再建支援、国連平和維持活動等、日本がより大きな貢献が求められていることは多い。また米国はそうした貢献の見返りに、日本にも意思決権を認め、日本が米国の戦争に巻き込まれるのを拒む場合もあることを覚悟し、日本を安全保障の真のパートナーとして受け入れるべきだ。日米にとり今重要なのは、言葉ではなく、共同の行動だ、と論じています。

全く同感です。指摘されるように、海賊対策、テロ対策、マネー・ロンダリング等、「非伝統的安全保障」分野では、日本が憲法上の制約なしにやれることは少なくありません、破綻国家支援についてもODAの一環としてかなり色々なことができます。勿論、国連平和維持活動への参加にも憲法上の障碍はありません。

ところが、日本はそれでもやらないし、やるとして時間がかかっています。日本の政治が漂流しているからであり、この論説は、こうした状況への、おそらく多くの人々が共有するフラストレーションが基調になっています。今の状況が今後も続けば、これはさほど遠くない将来、あきらめへと変わり、それが懸念されます。

オバマ政権に親日的態度を求めるのならば、日本側は代わりに何を提供できるかが、問われる状況になっていると言えるでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:27 | 日本 | この記事のURL | コメント(4) | トラックバック(0)
トルコと欧州/イスラエルとの関係悪化 [2009年01月22日(Thu)]
ウォール・ストリート・ジャーナル1月22日付で、在米のトルコ専門家Soner Cagaptayが、「金権・イスラム・反西側」のエルドアン政権によって、トルコと西側の関係は悪化している、批判しています。

チャガプタイは、@エルドアン政権は、ダルフール事件で国際的に糾弾されたスーダン大統領やイランのアフマディネジャド大統領、そしてグルジア侵攻直後のラヴロフ露外相を招くなど、スーダン、イラン、ロシア等に接近しており、欧米の立場に反する行動をとっている、またA今回のイスラエル軍のガザ進攻では、極度にパレスチナよりの姿勢示して、長年友好関係を保ってきたトルコ=イスラエル関係を緊張させた。エルドアンがこうした政策を取るのは、金とイスラム教のためだ、と言っています。

この論説はトルコの基本的な情勢をかなり歪曲して書いており、期せずしてワシントンで常に繰り広げられているロビーイング活動の一端を露わにしたように思われます。

トルコの基本的状況は、@EU加盟を志向するが、すげなく扱われ、難しい外交を強いられている、Aエルドアンの「公正発展党」はイスラム政党と言われるが、実際は「イスラムを標榜するポピュリスト」政党だとも言われている、Bトルコ社会は基本的に世俗的であり、「イスラム」も「世俗主義」も政争で利用される一種のシンボルに過ぎない面がある、Cチャガプタイが「反イスラエル」と批判するエルドアン政権は、実際は、イスラエルと緊密な軍事協力をしてきており、イスラエルから巨額の兵器を購入しているらしい、Dエルドアンがイスラエルのガザ進攻を激しく批判したのは、野党側から「イスラエルへの生ぬるい対応」を批判されたためだ、またEトルコは中央アジアの石油・ガスをロシア領を経由せずに西欧に運搬する経路・ハブとして、注目を浴び始めている、というものです。

また今月18日にはエルドアン自身がブラッセルのEU委員会を5年ぶりで訪問しており、「本年を(トルコのEU加盟のための)飛躍の年にしたい」と言明しているように、エルドアンは実際には、中央アジア、イラン、中東、イスラエル、EUなど主要勢力に対して目配りを絶やさない外交を展開してきたと言えます。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:16 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
オバマ就任演説 [2009年01月20日(Tue)]
オバマ大統領就任演説は、内容が抽象的であり、具体的政策にふれるというよりも、全体として、諄々と理を説く教会の説教のような感じであり、聴く人を感奮興起させるようなものではありませんでした。

その中で、イラクについては、16ヶ月の期限つき撤退を表明するかもしれないとの事前の期待に反し、イラクは「イラク人の手に任せる」と簡潔に表現するにとどめると共に、米国が責任を放棄しない意思も示しています。また米国が混合国家であることに触れ、イスラム世界に対して相互利益と相互尊敬に基づく新しい関係を呼び掛けている点が新しいと言えます。

この就任演説について、米国のコメンテーターたちのほとんどが、長く印象に残るのは、演説の中身やフレーズではなく、そこに現出した空気と光景、つまり演説を聴きに集まった聴衆のあまりの規模の大きさ、そして彼らの湧き上がるような歓喜や米国の民主主義に対する誇りと自信だろうと分析しています。
 
フィナンシャル・タイムズの論説委員ラクマンは、オバマは雄弁とされているが、不思議なことにYes We Can以外に皆の印象に残るフレーズはない、それは結局、オバマ自身が変化、夢の達成、融和などのメッセージを体現しているからだろう、と述べていますが、米国の内外から集まった人々や専門家の分析もこれを裏付けています。

そして、少なくともこの演説に関する限り、オバマは、安心して見ていられる、穏健中正な人物だという印象を受けます。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 14:48 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
オバマの民主主義促進政策 [2009年01月19日(Mon)]
ワシントン・ポスト1月19日付でコラムニストのFred Hiattが、オバマ=クリントンは外交において「民主主義・選挙制の普及」という大義の旗を降ろさないよう、警告を発しています。

ハイアットは、ブッシュ政権による民主主義の「布教」が失敗したのを見たオバマ=クリントンは、意識的に「民主主義の普及」の大義を掲げず、経済開発・女権拡大・裁判の公正性等の個々の概念を羅列して外交方針にしようとしているが、これは、米国の安全保障と道義的立場を危うくする、と述べ、

確かに選挙制度の導入ですべてが解決されるわけではない(例えばソ連の選挙はまやかしだった)が、民主主義は経済を発展させ、格差や腐敗を小さくするし、政府に物申す権利を全国民に与えることで、人間の威信をも増す、と論じています。

ハイアットは途上国や旧社会主義国で「民主化運動」を促進すべしと言っていますが、90年代のロシアやその後のウズベキスタンにおける米国の「民主化」政策の経験から言えるのは、@大半の途上国、旧社会主義国の経済は利権構造でがんじがらめになっており、こうした国の「民主化」は利権を握る者の交替や専制的支配の維持のみに終わりがちだ、A従って、外部から促進する場合は細心の注意を要する、ということです。

ロシア国民は、「民主化」がもたらした果てしない利権争い=政争のために、「民主主義」に反発するようになり、また、中央アジアでは、このロシアの例が「民主主義は混乱を呼ぶ」、「アメリカは内政に干渉する」というプロパガンダとなって、既得権益層・支配層に利用される事態を生んでいます。

社会を民主化するには、経済発展が最良の手段ですが、民主化は、それぞれの国の国民自身の運動に委ねるべきであり、これに資金を提供する等の手段で介入すれば、かえってこれらの運動の信憑性を弱め、当局による弾圧を呼ぶ危険があります。

しかもオバマ大統領の誕生でアメリカ草の根民主主義の健全さが示される一方、世界的経済危機の中で途上国や旧社会主義国政府の経済無策ぶりがあらわになりつつあります。つまり、目下アメリカは「オバマ大統領」という強力なソフト・パワーを持っています。アメリカが自ら範は示しても、それを押し付けないことが、恐らく最も効果的にアメリカの安全保障と世界における道義的立場の向上に貢献することになるでしょう。



Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:45 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
オバマのアジア政策課題 [2009年01月19日(Mon)]
ウォール・ストリート・ジャーナル1月19日付で、 AEIの保守派の論客Nicholas Eberstadt、が、これまでオバマはあまりアジア情勢について語っていないが、アジアでは今後どういう変動があるか分からず、それに備える必要がある、と論じています。

エバースタットは、まず何よりも、中国の強大化が今後のアジア最大の課題となるだろうが、反面、中国の社会や経済には脆弱な面があり、中国が弱体化する可能性も考えておく必要がある。北朝鮮も周辺に不安定さをもたらす危険があるが、他方、朝鮮統一が実現し、ドイツの統一のような望ましい結果が生じる可能性もある。また日本については、オバマ周辺は、日本は今後も防衛を米国に依存すると思っているかもしれないが、日本がその国力に相応した普通の国になる可能性もある、と述べ、

オバマは今は中東問題などで忙しいかもしれないが、アジア情勢にも今から注意を払っておくことは、将来の問題に備えることになろう、と論じています。

21世紀の主要な課題はアジアだろうと言われながら、9.11以来、米国の関心が対テロ作戦や中東問題に釘づけになってきたのは事実であり、アジア情勢にもっと注目すべきだという議論は、大局論としては正しいでしょう。

日本については、日本は9.11後に日米同盟の新時代を築くチャンスがあったのですが、日本側の体制変革は不十分なうちに、中国が急成長して、今や中国の時代になったと言われている中で、エバースタットは、まだ日本が普通の国になる可能性があることに注目しています。これは、見通しの問題というよりも、今後日本がどうするか、という日本自身の政策課題とそれを実行する能力の問題でしょう。

情勢判断と見通しを行うに際しては、判断される対象の主体的意思が情勢を変える場合もあることを考慮するのは当然のことです。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:11 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
ウクライナ通過ガス問題 [2009年01月19日(Mon)]
独シュピーゲル1月19日付は、ガスを巡るロシアとの紛争は、ウクライナの内政の紛糾を一層表面化させた、とする解説記事を載せています。

記事は、今回の事件で、ロシアは共通の敵ユシチェンコ大統領の力を削ぐために、ティモシェンコ首相に接近、それに対し、ユシチェンコ側は、「首相周辺は、ガス問題を内政上の争いに利用している」と非難し、17日のモスクワでのガス問題の交渉には、ティモシェンコは出席して、ユシチェンコは参加を拒んだ。そしてユシチェンコ側は、ロシアはウクライナ東部の化学・金属工業を一時的に麻痺させて市場を奪い、同地域のロシア語を話す人々がウクライナ政府に反旗を翻すよう画策していると主張する一方、ティモシェンコ側は、ロシアによるパイプラインの閉鎖後、史上初めてガスを「東から西へ」ではなく、西から東へ送り、東部の産業地域を、寒さと大量失業による崩壊の危機から救ったと主張。さらに、この件については、ロシアが意図的にガスを引き渡し地かパイプラインでしか供給せず、ウクライナの他地域へのガスの移送を技術的に困難にしたことが疑われている、と述べています。

この記事がどこまで信憑性があるか、にわかには判断できませんが、ロシアがガス供給問題で、EUとの関係の一時的悪化を承知の上で、ウクライナと価格面で争ったのは、ウクライナの大統領と首相の対立、西部と東部の反目に機会あるごとに火をつけ、それによって将来のウクライナへの干渉とクリミア問題処理を有利にする、という一石二鳥を狙ったからと見てよいでしょう。

金融危機の深刻化により、ロシアもこうした火遊びは当面出来なくなりましたが、他方、オバマ政権の登場により、グルジアやウクライナへのNATO拡大やミサイル防衛問題も当面遠ざかりました。従ってロシアは今後、ゆっくりウクライナの首をしめるべく様々な施策をとってくることが予想されます。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:39 | ロシア・東欧 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
| 次へ