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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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米国の核弾頭近代化 [2008年12月25日(Thu)]
国防政策の専門家で日米関係にも明るい米ブルッキングス研究所のMichael O'Hanlonが、オバマ次期大統領とゲーツ国防長官の間に、核弾頭の近代化政策を巡って本質的な相違があり、着地点を見出す必要がある、と指摘しています。

オハンロンは、オバマ政権が核廃絶へのコミットメントを示すには、早急にCTBTを批准して核拡散防止の弾みをつけ、一定数の核弾頭を削減することが必要だが、こうした施策を進める前提として、米国が核抑止力の信頼性を維持することが必要であり、それには、すでに老朽化した核弾頭の近代化が喫緊の課題だ、と論じ、

しかし、核弾頭の近代化は、@核実験によって出力や精密度を確認した上で現有弾頭の延命策を講じるか、A最新のシミュレーション技術を駆使し、核実験を行わずに信頼性の高い弾頭を新たに開発するしかないが、前者(つまり米国による新たな核実験)はCTBT発効に向けてのモメンタムを米国自らが覆すことを意味し、後者は新たな核兵器は作らないとするオバマの基本姿勢に反する、と指摘しています。

その上でオハンロンは、オバマが心おきなく軍備管理を主唱して、弾みをつけるまでの間、核弾頭近代化計画を塩漬けにしておく一方、Aを「現有弾頭の再製造」と捉えなおして、「新しい兵器を作らない」基本姿勢を損なわない方策を提唱しています。

本来、核廃絶を究極の目標とすることと、老朽化した核兵器を近代化して有効な抑止力を維持することの間に矛盾はないのですが、オハンロンは、現実の政策の中でいかに両者を共存させるかを論じているわけです。

日本は究極的な核廃絶を目指し、非核三原則を維持しながら、米国の核抑止力に依存する政策を貫いてきましたが、オバマ政権も同様に曲芸まがいの説明を求められているわけです。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:50 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
中東ドミノ論 [2008年12月21日(Sun)]
トルコのエルドアン首相の外交顧問ダヴトグルなどが、来年、中東で行われる一連の選挙の結果が中東情勢にドミノ的影響を与える、と分析していることを、ワシントン・ポスト12月21日付でコラムニストのDavid Ignatiusが紹介、オバマ政権は中東政策を立案するにあたってこうしたトルコ側の分析に注意を払うべきだ、と論じています。

イグネイシャスは、これらの選挙について、@パレスチナのアッバスの任期が1月9日に終わり、アッバスがハマスと和解して任期を延長する可能性もあるが、大統領選と議会選の実施となる可能性もある、Aイスラエルの総選挙が2月10日にあり、現在優勢な強硬派のネタニヤフが勝利すれば、米国のイスラエル政策は困難になろう、Bイラクで1月31日に地方選挙があり、これはイラク安定化につながるかもしれないが、他方、宗派間の対立激化につながる恐れもある、C4月にはレバノンで選挙があり、サウジとイランは既に支持する候補への資金的支援を始めている、D6月にはイラン大統領選があり、アハマディネジャドが権力の座にとどまるか否かが決まる、と指摘し、

トルコ側はこれらの一連の選挙がうまくいけば中東情勢は好転するが、そうでないと情勢はさらに悪化すると分析している、と述べています。
(なおダブトグルは、トルコの外交政策をヨーロッパ重視から地域諸国重視に転換した人であり、シリア=イスラエル和解を仲介しました。)

来年、中東では一連の重要な選挙があり、トルコがこれらの選挙を一体的に捉えて、その中東情勢への影響を分析しているのはよい視点です。

今のところ、イスラエルではネタニヤフ勝利が予想され、パレスチナについては、ハマスとファタハの和解が失敗して選挙となれば、西岸・ガザの分裂の先鋭化が予想されます。イラク、イランの選挙はどうなるかはまだよく判りませんが、石油価格の下落で経済が苦境に陥り、アハマドネジャドの『ばら撒き』政策が限界に来ているイランの選挙は特に注目に値します。他方、レバノンについては、選挙で現状が大きく変化することはないと思われます。

旧宗主国であるトルコは中東問題では往々的確な情勢判断をします。オバマ新政権がトルコの分析も尊重し、特にトルコが仲介しているシリア=イスラエル和平で役割を果たせば、地域情勢に良い方向でのドミノを起こしうるかもしれません

ただそのためには、ヒラリー・クリントン新国務長官がニューヨーク州選出の上院議員としてイスラエル寄りの主張をしてきた姿勢から脱皮し、アラブの信頼を獲得する必要があります。


(次回更新は1月5日)
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:34 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
中国の法の支配 [2008年12月18日(Thu)]
ワシントン・ポスト12月18日付で、中国の法制を研究しているジョージタウン大学のJames Feinerman教授が、中国における法の支配の将来について懸念を表明しています。

フェイナーマンは、改革解放の30年間で中国における法の支配は進展してきたが、ここ数年は逆行する傾向が見られる。土地の不法収用や公害等への不満が鬱積しているが、下級審の裁量が制限されているため、暴力しか不満を訴える手段がない状況だ。ところが、今年になってから、最高裁長官が改革派の人間から元警察官僚に代えられ、責任ある政府を求める「憲章 08」を発表した学生も逮捕された、と指摘し、

中国はもはや毛沢東時代の独裁体制ではないが、法支配の国になるにはまだ道遠く、今や岐路に来ている。後進国の中には、経済発展を遂げた中国をモデルとしている国もあるので、なおさら中国は逆行すべきでない、と論じています。

これは中国の法支配の実態を正確に描写した論説と思われ、また、こうした状況に、オリンピック後の中国を占う一つの材料があるかもしれません。

中国では、北京オリンピックに至る数年間は、オリンピックを平穏裡に達成するために、法的締め付けはむしろ強化されました。ところが、オリンピックという国民的目標は去り、その上、2005年に反日暴動が起きてから、政府が愛国主義運動を鼓吹することの危険性が認識されて、反日は抑えられています。また、台湾に国民党政権が出現して、台湾の挑発的言動が少なくなり、台湾解放を掲げて国民の意思統一をはかることも難しくなっています。つまり、江沢民政権以来の自由民主化抑圧、愛国主義高揚路線は曲がり角に来ているように思われます。

となると、民主化、自由化、法の支配の要求が強まって来るのは一つの避け難い方向かもしれません。加えて、米国でも、民主党のオバマ政権とそれを支えるペロシ議長以下の民主党多数の議会が、中国の人権問題を主要議題として取り上げて来る可能性は小さくないと思われます。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 12:04 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
ライス北朝鮮政策失敗 [2008年12月16日(Tue)]
ウォール・ストリート・ジャーナル12月16日社説は、ライス国務長官の北朝鮮政策は失敗だったと論じています。

社説は、ブッシュ政権は10月、北朝鮮から非核化査察について口頭の約束を得たことを理由に、北朝鮮をテロ支援国家リストから外した。ところが北朝鮮は最低限の査察措置を文書化することにさえ同意せず、テロ支援国家リストから除外するという米側の譲歩をただ取りしてしまった、

これは北朝鮮の常套手段であり、約束したふりをして相手から譲歩を引き出すと、約束を実行せずに威嚇して、相手から更なる譲歩を引き出す。しかもこうしている間も、北朝鮮の人々は食糧不足に苦しみ、中国に逃亡する者も増えている、と述べ、

ライスは、「北朝鮮への関与はだめだというなら、代替策はレジーム・チェンジしかない」と言うが、それはまやかしであり、彼女の失敗の原因は、真の軍縮より表面上の外交的成果を追い求めたことにある、と批判しています。

これは、6ヶ国協議に関する主要紙による最近の論評として初めてのものと思われますが、協議が不調に終わることは予想済みであり、この社説もブッシュ政権の対北朝鮮政策への墓碑銘の感があります。

米国も、マカオの銀行口座を閉鎖して北朝鮮に譲歩を迫ったあたりまでは良かったのですが、それ以降は時間との戦いによる焦りが目立ちました。一方、今回honest brokerの役をうまく勤め上げた中国は、今後も「アジアにおける米国の代理人」として遇されることが何回もあると思われます。

その中国は、韓国との間の「緩衝国」としての北朝鮮の存続を望んでおり、脳卒中で倒れたとされる金正日の後継者決定を早め、北朝鮮の安定化を促進しようとするかもしれませんし、中国自身も、できれば北朝鮮の非核化を実現したいと思っているでしょう。

他方、軍や諜報機関を抑え切れないパキスタン新政権や、極東における中国の潜在的脅威を抑止する必要性を意識し始めたロシアが、北朝鮮への核技術供与を考え始めるかもしれません。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:41 | 日本 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
米ロシア関与政策論 [2008年12月13日(Sat)]
ワシントン・ポスト12月13日付でクリントン政権時の国務次官補、Ronald D. Asmusが米国の対ロシア関与の必要を辛口の立場から説いています。

アスムスは、米国にとってロシアは競争相手だが、イラン問題や反テロでは協力相手でもある。そのロシアはナショナリズムを強め、西側の価値観の浸透やNATO拡大に抵抗して、旧来の「勢力範囲の尊重」を求めている、

しかしNATOの拡大がロシアの今の強硬姿勢を誘発したとの見方があるが、NATO拡大がなければロシア西部国境は今のように安定しなかっただろう。またロシアは、1990年代に西側から屈辱的な扱いを受けたと言うが、実際には西側は第2次世界大戦以来最大の支援をロシアに与えた、と述べた上で、

いずれにしてもロシアには関与すべきだ。最近のメドヴェジェフ大統領の欧州安保に関する提案は殆ど関心を払われていないが、我々はこれを拒否するよりむしろ乗って、民主主義、平和、「勢力範囲」思考の放棄、OSCEの強化、予防外交、核軍縮等の内容を付加するべきだ。つまり、積極的に討って出るべきであり、またオバマ政権の下で米国は、再び多国間のリーダーシップを取りやすくなるはずだ、と言っています。

戦後、NATOが強化の節目を迎えるたびにソ連は「全欧安保会議」開催を提案してNATO強化の勢いを殺ごうとしてきましたが、NATO設立60周年の妨げにならず、関係諸国に余裕があるのであれば、アスムスが言うように「メドベジェフ提案に乗ってこちら側に都合のいい要素を盛った」会議を開くことも十分可能でしょう。欧州方面では殆ど孤立しているロシアに主導権をとられる心配はないからです。(ただその場合は、南オセチアとアプハジア問題が障害になるでしょう)

また西側では「ロシアの脅威の復活」が通念となっていますが、世界的金融危機で経済に大打撃を受けたロシアの地位は、再び下降トレンドに入っており、軍備増強の動き(元々具体化さえしていない)にブレーキがかかる可能性があります。

なお、アスムスは、「NATOの拡大は公正な安全保障圏の拡大」だと安易に言っていますが、ロシアにしてみれば、それこそが米国の一極支配の拡大、ロシアの服属化なのであり、それについて米国が無神経なことがロシアとの摩擦を生むのです。

しかし、ソ連崩壊で生じた力の真空はいずれかの勢力が安全を保証しないと不安定化します。ただ、その力とモラルを欠いたロシアは、旧ソ連圏諸国の独占を策すべきではなく、その代わりに、世界は、ロシアの国境不可侵につき保証を与えるべきでしょう。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:27 | ロシア・東欧 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
オバマの思想的指向 [2008年12月12日(Fri)]
12月12日付でコラムニストのCharles Krauthammerがオバマについて、これまでの新政権人事を見ると、オバマは中道派のようだが、その思想にはリベラル的傾向があると指摘、それがどう政策に反映されるかを考察しています。

クラウトハマーは、元々オバマには対外政策で何か成し遂げようという気持ちはなく、関心は国内問題にある。経済金融についてもFDルーズベルト的な国内変革の達成に必要な程度に運営されていれば良いと思っているだろう、と指摘し、

オバマはいみじくも、「危機は変革の機会を与える」と言ったが、実際、経済危機はニューディール以来の政府介入の機会を生み出し、今やオバマは、経済危機を背景に議会の多数の支持を得て、史上空前の巨大な資金を使えるようになっている、

つまりオバマには、環境、保健など社会政策の遂行について白紙委任を与えられている。ゲーツの国防長官留任に騙されてはいけない。オバマは米国を変革するつもりであり、そのための権力も金も持っている、と言っています。

外交安保関係のオバマ人事は、確かに、オバマの政策が中道であることを明らかにし、保守派の危惧を払拭するのに役に立ちましたが、オバマのリベラルな思想のバックグラウンドが将来、どこにどういう形で浮上するのかは、まだわかりません。中東専門家のAjami Fouadなどは、選挙前から、オバマの演説に歴代米統領候補に見られた愛国主義が欠如していることを指摘、史上最もリベラルな大統領が生まれることを予測していました。確かにオバマは国際問題で環境など地球規模の問題には触れても、国益に触れることはあまりありません。

それがどういう形で政策に現れるかを、クラウトハマーは、FDルーズベルト的な壮大な国内改革に表れると予想しているわけです。

つまり、国際問題については、オバマの関心はパワーポリティックスよりも環境など地球規模の問題、中国については、その脅威よりも、中国の人権問題や民主化、そして台湾の民主主義体制擁護の方がオバマの共感を呼ぶ可能性があるということです。このことは、将来首脳会談などでの接触の際の参考になるでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:20 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
元国務長官からヒラリーへの助言 [2008年12月07日(Sun)]
ロサンジェルス・タイムズは、ライス国務長官の直近の前任者たち、シュルツ、ベイカー、クリストファー、オルブライト、パウエルにヒラリー・クリントンへの助言を求め、12月7日付社説に彼らの回答を載せています。

元国務長官たちは、内容は断片的ですが、それぞれまともに答えています。その彼らの回答について特に注目されるのは、中東和平問題に優先して取り組むべきだという意見が多いことでしょう。

例えば、シュルツは、外交とは庭いじりのようなもので、放置しておけば収拾がつかなくなる。常に種々の国と対話し、問題を議論していれば、問題が起きた時も解決のための基礎が存在しているだろう、と述べた上で、先ず、イスラエル=パレスチナ問題に取り組むべきだ、と言っています。

またベイカーも、今イスラエルでは、中東和平を求める声が前より強くなっている。米国内政治上、中東和平は難しい問題であり、後回しにしたくなるかもしれないが、早くとりかかるべきだ、と言っています。

中東和平はクリントン時代の末期に、エルサレム分割について詳細な点まで合意達成に至りましたが、イスラエル国内の反対で挫折。その後ブッシュが、イラク戦開戦時の勝利の勢いに乗って、イスラエルとパレスチナ双方に有無を言わせず解決を押し付けようとしたが、イラク戦の泥沼化に伴って勢いを失ってしまった、という経緯があります。

イラク戦が一段落した今は確かに状況が違ってきており、米国にも若干の余裕が出てきたように思えます。また、シーア派とスンニー派の対立がイラクから全中東に波及し、イランの潜在的脅威が地域の最大の問題となったことから、かつてのシオニズム対アラブ・ナショナリズムの対決の構図は後ろに下がっています。そしてイスラエルも、内政はまだ先行き不透明ですが、クリントンの和平提案に断固反対したような、強力な国内勢力が出てくる状況でもないようです。

イラク、アフガン、イランよりも、まず中東和平で足固めをする、というのは、それが可能ならば、まさに正攻法でしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:11 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
田母神論文 [2008年12月05日(Fri)]
ウォール・ストリート・ジャーナル12月5日付で、 ジャーナリストで著述家のWarren Kozakが田母神事件を論じています。コザックは、日本に戦略爆撃を行ったルメイ将軍の伝記を来年出版する予定です。
 
当然ながら、コザックは第二次世界大戦における米国の立場擁護の姿勢を守ってはいますが、全体としては客観的な筆致で書いており、専守防衛だけを認める憲法の制約の下で苛立っている日本の軍人は田母神だけではないことや、歴史を書き直しているのは日本だけではないと述べて、旧ソ連邦や、台北の蒋介石記念館の例、そしてナチスのホロコースト否定論を挙げています。他方、クリント・イーストウッドの映画、『硫黄島からの手紙』については、日本兵と米海兵隊を人間として同じに見ている、と批判的に書いています。

その上で、コザックは、麻生首相がアジア諸国に残る戦争の記憶に理解を示し、直ちに田母神を罷免したのは事態の沈静化に役立ったと賞賛し、第二次世界大戦がもたらした惨禍は、戦争を始めた枢軸国の敗北によって終わったのであり、歴史の判断はそこから出発すべきだ、と結んでいます。

昨年の米議会における慰安婦問題当時のことを思い出すと、田母神論文の波紋がこの程度で済んだかと、ホッとさせられる評論です。それでも、硫黄島の映画で、侵略者の日本兵と解放者の米海兵隊を人間として平等に扱っていることを、歴史修正主義の例に挙げている点を見ても、米国が主役を演じた第二次世界大戦について、米国に客観的な判断を求めるのは、まだまだ難しいとの感は禁じ得ません。



Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:56 | 日本 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
海賊対策 [2008年12月05日(Fri)]
インターナショナル・ヘラルド・トリビューン12月5日付で、海賊問題で著書のあるDouglas Burgessがソマリア沖海賊問題について論じています。

バーガスは、ソマリアの海賊はその法的性質が明確でなく、それが取締り上の問題となっている。この春、日本のタンカーが攻撃された時も、ドイツのフリゲート艦は海賊をテロリストと認定できないために行動できなかった、と指摘し、

海賊の裁判や処刑など面倒なことは誰もしたくない。しかし、実は、法はこの点について明確であり、海賊は人類に対する敵だということが、ローマ法でも英米の判例や条約でも明らかだ。従って、米国も国際社会も海賊とテロリストを結びつける法的定義を採択すべきだろう。そのための先例はいくつもあり、海賊を海上テロリズムと定義しようという提案もある、と述べています。

その上で、バーガスは、海賊は個々の国が裁くのではなく、国際裁判で裁けば良い、と言っています。

海賊問題についての国際社会の関心や対策もだんだん焦点が定まって来た感があります。そしてオバマ政権となり、アフガニスタン等への日本の貢献が要請されるような状況においては、海賊対策を含めてインド洋の海上警備行動は日本にとって本命の行動と思われます。

本来、海賊対策は、自衛権の行使でなく、警察行動ですから、他国の船を守っても、集団的自衛権の問題は生じないはずです。まして、麻生首相は、就任以来、集団的自衛権の行使は認めるべきだと述べているのですから、誰が見ても当然だと思われるような事例(例えば、国家やそれ準じた組織ではない海賊対策等)については、個別の指令により、その取り締まりは適法だという政府解釈を確立させて行くことは十分可能と思われます。
 
インド洋の海上哨戒活動や対海賊対策は米第七艦隊にとって大きな負担になっており、日本の協力がそうした負担の軽減に役立つのであれば、アフガニスタンへのシンボリックな支援よりもはるかに日米同盟強化に役立つでしょう。



Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:55 | その他 | この記事のURL | コメント(1) | トラックバック(0)
オバマのイラン政策 [2008年12月04日(Thu)]
インターナショナル・ヘラルド・トリビューン12月4日付でドイツ国際・安全保障問題研究所のVolker Perthes 所長が、オバマが行うべき対イラン交渉について論じています。

ペルテスは、イランはまだ原爆製造まで行くと決めてはいないだろう。そしてオバマ選出はイランの政策論議に影響を与えよう。そのオバマのイラン政策は基本的に健全だが、当面は「凍結対凍結」政策、つまりイランは遠心分離機を増設せず、西側6カ国は新たな安保理の行動をとらないで、その間対話を続けるのが妥当だろう、と述べ、

米イランは来年半ばのイラン大統領選後、真剣な二国間協議を行う可能性があるが、アフマディネジャドの再選いかんに拘わらず、イランは濃縮を止めないと見るべきだ。従って、交渉は、遠心分離機の解体ではなく、イラン核計画を最大限の保障措置と管理の下におくことを目指すべきだ、

具体的には、IAEAの管理の下に国際コンソーシアムを作り、イラン国内で濃縮を行なうことを提案することだ。これさえも拒めば、他のより強制的な選択肢の正当性が著しく高まることをイランも知っているので、多分イランもこうした取引には応じるだろう、と言っています。

イランの核計画、米国の対イラン交渉の要諦をよくまとめた論説であり、イランは、野心と恐れから核計画を推進しているが、まだ原爆製造の決定はしていないのではないか、という指摘もうなずけます。

ペルテスはイランが濃縮を止める可能性は無く、従って最大限の保障措置と管理の下での濃縮活動は認めるべきだとの立場から、具体的解決策として、国際コンソーシアム案を挙げていますが、実はイランはすでにこの案の原則受け入れを表明しています。問題はむしろ米国や西側であり、IAEAの厳重な管理下の国際施設とはいえ、イラン国内での濃縮を認めるこうした大きな譲歩を受け入れるかどうかでしょう。

しかしペルテスも言うように、イランが濃縮を放棄する可能性は無く、交渉で解決するとすれば、今のところコンソーシアムぐらいしか考えられません。オバマはイランの核武装は受け入れられないと明言していましたが、結局、「核武装可能な」イランを受け入れられるかどうかが問われることになります。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:03 | イラン | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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