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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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中台接近警戒論 [2008年11月10日(Mon)]
台北タイムズ11月10日付で、長年、米国で台湾独立の論陣を張ってきた李天福が、今回の両岸対話について典型的かつ明快な反対論を展開し、警鐘を鳴らしています。

李は、台湾は馬英九の任期が切れる2012年までに中国の支配下に入っているかもしれない。実際、白色テロは既に始まっており、今回の中台対話に反対した新聞人は解雇された。司法も独立性を放棄して国民党の手先になっている。また国民党が政府の政策を指示しており、2012年の選挙も国民党が投票結果を捜査できなければ、実施されないかもしれない、

さらに馬政権は、防衛力削減、経済関係強化、台湾を「台湾地域」と呼ぶことで、ひそかに統一を進めている。あるいは、台湾を中国の一部とするには、平和協定の締結が必要であるが、そのための秘密交渉は既に始まっているかもしれない、と述べ、

台湾人が、国民党による台湾売渡しを阻止するには、大規模な反対デモや統一派のメディア、ビジネスのボイコットなど、非暴力的な手段をとるべきであり、また、米国内の台湾人コミュニティは、事態を絶えず注視し、米国が台湾の自由を守るよう米政府に働きかけるべきだ、と言っています。

確かに馬政権は、当面、中台関係について政治的に議論する予定はない、と言っており、両岸対話反対派の不安を鎮めようとしています。しかし、台湾人の間に馬政権への消し難い不信感があることは、この論説を見ても明らかです。その根底には、総統就任前に馬が平和協定締結交渉に入るという趣旨の発言をしたことへの不信感があり、この発言が公式に撤回されない限り、不信感は続くと思われます。                 

国民党は、総統選で勝ち、議会の四分の三を制し、したいことは何でも出来る態勢にあり、これを阻止しようとすれば、デモ等の大衆運動に訴えざるを得ませんが、それは社会不安、あるいは、場合によっては台湾海峡の危機を招く可能性があります。理想論を言えば、馬政権が民意を汲んで、台湾のアンデンティティ擁護の姿勢を明らかにし、台湾人の信頼を徐々に勝ちとって行くのが望ましいのですが、それが出来るかどうかは、今後の馬政権の姿勢、政策いかんにかかっています。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:36 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
不況が米外交政策に及ぼす影響 [2008年11月08日(Sat)]
ウォール・ストリート・ジャーナル11月8日付で、米外交問題評議会のRichard N. Haass会長が、米国の不況がオバマの外交政策に及ぼす影響を論じています。

ハースは、米経済は今後、大幅な収縮のあとに景気の低迷が続く可能性が極めて高く、国防費や対外援助予算は削減され、米国が海外で力と影響力を行使する能力も制約されるようになろう。また世界的な景気後退の発信源は米国の抵当市場だとされて、反米主義が高まっており、グローバル化はさらに後退、各国が自国に有利な取り決めを求めて、国家の介入、保護主義、重商主義が高まる可能性がある、

他方、石油価格暴落は「悪の産油国」のイラン、ヴェネズエラ、ロシアに打撃を与え、これは明るい材料だ。中でもイランは、経済制裁に耐える余力がなくなるので、核問題について外交交渉を再開、経済支援と引き換えにウラン濃縮活動を制限ないし中止する可能性がある。ハマス、ヒズボラ、イラクのシーア派民兵への支援も見直すかもしれない、

また、米経済が低迷すると言っても、常に新しい政策を打ち出すのが米国の強みであり、新大統領と新議会には、不況が戦略面に与える影響を利用する機会もあるだろう、と論じています。

百年に一度といわれる深刻な不況であり、国民の最大の関心もそこにあるので、オバマ政権も、当面は外交より経済を優先せざるを得ないでしょう。そして金融支援や不況対策で大規模な財政支出が予想される中で、国防費削減の圧力が高まることは十分予想されます。

他方、石油価格の暴落がイランやロシア経済に大きな打撃を与えていることも、ハースの指摘の通りでしょう。ただ、イランにとって、経済事情が悪化すれば、西側の提示する経済インセンティブは極めて魅力的なものになり、交渉について柔軟になるかもしれませんが、濃縮活動の放棄に同意するとは考えられず、従っておとしどころはまだ見えません。

なお、ハースは触れていませんが、今回の経済混乱が及ぼす影響で懸念されるのはパキスタンです。元々多くの不安定要因を抱えているパキスタンが経済危機に陥ることは、米国として放置できず、その場合はパキスタン支援を最優先せざるを得なくなるでしょう。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 17:26 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
オバマ選出がアジア諸国に与える影響 [2008年11月06日(Thu)]
インターナショナル・ヘラルド・トリビューン11月6日付でコラムニストのPhilip Bowringがオバマ政権に対するアジア諸国の懸念について論じています。

バウリングは、アジア諸国は、一般に、米民主党政権の保護主義的傾向に対して懸念を持っているだけでなく、各国がそれぞれ独自の懸念を持っている。中国やインドはCO2規制の強化、専制国家は人権問題、日本や台湾には米財政困難による極東軍事力の削減、南アジアや東南アジア諸国は対中バランスの維持について懸念がある、と指摘しています。

しかし興味深いのは、バウリングが、黒人であるオバマが大統領に選出され、米国が人種差別を乗り越えたとして、そのことがアジア諸国に与える影響に着目している点です。

即ちバウリングは、米国は人種の坩堝などと言いながら、ひっきょうは「白人支配の国」というイメージがあったが、オバマ選出でそれが崩れ、中国のチベット、ウイグルなどの少数民族支配、日本、韓国、マレーシアなどの異民族排除政策に問題を投げかけることになるだろう、

また、ブッシュ、クリントンの世襲政治を打破したこともアジアに新風を吹き込むことになり、さらに、米国が中東に足を取られている間に拡張した中国に対しても逆風が吹くだろう、と言っています。

これは鋭い指摘と思われます。政策面、人脈面ではマケインが選出された方が日本にとって良かったと思われる半面、オバマ選出という結果には一種安堵感を禁じ得ないものがあります。事前の世論調査で劣勢とされたにもかかわらず、もしマケインが勝利していれば、どうしても人種差別がらみの後味の悪さが残ったでしょう。
 
オバマの選出で、米国は米国社会のダイナミズムを改めて証明しました。今後米国が世界の指導者として、人種平等を掲げ、少数民族の弾圧や差別反対を唱える場合、強力な道徳的権威を持つことになったと言えるのでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:16 | その他 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
中台三通合意 [2008年11月05日(Wed)]
ウォール・ストリート・ジャーナル11月4日付社説は、中台がいわゆる「三通」(通信、通商、通航の直接開放)について合意し、さらに、今後も話し合いを続けることで合意したことを歓迎する社説を載せています。

社説は、この合意を、祝福するに値する「緊張緩和」と評価し、政治的休戦を意味する、とした上で、@馬英九の中台関係改善策が功を奏した、A大規模な中国代表団が台湾を訪問したことは、平等の立場での話し合いを示唆している、B今後は金融面での規則緩和などが見込まれる、と言っています。

この社説は中国の対台湾政策が良い方向に変化したと評価していますが、これには必ずしも賛成できません。中国は、相変わらず台湾を標的とするミサイル配備を増強し続けており、反国家分裂法もあり、WHOに台湾がオブザーバーとして参加することにも依然として反対しています。要するに、中国は、政治・安全保障面での対台湾圧力は弱めずに、経済を通じて台湾への浸透を図る方針をとっているのであり、台湾を平等な存在として認めているとか、政治休戦だというような評価は、甘すぎるように思えます。

そして中台間の経済関係の深化は、これまでも起こっていることであり、今回の合意もその延長線上にあるので、これを過大に評価する必要はないでしょう。ただ、相互依存関係が深まると、より大きな経済力を持ち、かつ国家が企業を国家目的のために使うことが可能な体制を持つ中国が、台湾に対して強い立場に立つようになる恐れはあります。

台湾としては、中国の影響力強化の持つ危険を自覚し、米・日その他との関係を深めること、また、安全保障面で中国に対してもしっかりと要求を出し、自らも備えることが必要でしょう。それが台湾の大多数の人々が希望する「現状の維持」を可能にする道でもあるでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:40 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
米パ協力関係の進展 [2008年11月04日(Tue)]
ワシントン・ポスト11月4日付でコラムニストのDavid Ignatiusが、アフガン問題にからむパキスタンと米国の関係進展について興味深い事実を明らかにしています。

イグネイシャスは、@アルカイダのNo.4とされる人物が先月アフガニスタンで米軍無人機に殺されたが、これは米・パキスタン諜報機関同士の協力が進んできたおかげだ。パキスタンの諜報機関ISIの新長官も先週ワシントンを訪れて、米軍・諜報機関上層部と会っている、A米軍無人機等によるアフガニスタンからパキスタンへの越境軍事行動に対し、パキスタンは表向き抗議するが、これは芝居だ。ザルダリ大統領らは、パキスタンにとって主たる脅威はインドではなく、イスラム・テロだとの認識を持っており、米パ間で無人機による攻撃等について調整することで合意ができている、B攻撃目標には、アルカイダだけでなく、一部のアフガン軍閥やタリバン指導者のオマールも含まれている、と報告した上で、

ムシャラフ時代にも米パキスタン間に秘密の協力関係はあったが、ザルカリ政権はイスラム武装勢力と戦う意思を隠さない点が違う。また諜報機関ISIも人事を一新して、軍閥との間にあった関係を断ち切った。ただパキスタンも、米国に全面協力することはプライドが許さず、またそうすれば国内の支持を失ってしまう。それに、米軍の越境攻撃に口先では抗議しながら裏では協力する方式がいつまで続けられるかわからない、と論じています。

イグネイシャスが報告している「事実」は米政府のリークによるものでしょうが、パキスタン国内の対立をあおりかねない内容です。そしてここにあるような「事実」を考えると、日本では、アフガニスタンへの自衛隊派遣の可能性が報道されていますが、今は大統領選挙後のワシントンの空気を慎重に見定めていく必要があるでしょう。

他方、イグネイシャスも言っているタリバン・パシュトゥンとの話し合い、アフガニスタンとパキスタンをめぐる国際会議の開催、パキスタンへの経済援助については、日本も存在感を大いに発揮できるかもしれません。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:54 | 中央・南アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
中進国の経済危機 [2008年11月03日(Mon)]
独シュピーゲル11月3日付は、金融危機で特に打撃を受けるのは、資金の流れが一挙に半減したウクライナ、ベネズエラ、ロシア、ブラジル、ウルグアイ、パキスタン、ハンガリー等の中進国であり、多くの国がIMFに緊急融資を懇願せざるを得なくなっている、と論じています。

解説は、IMFの世話になるなど誰も思っていなかったハンガリーは、それこそ突然破産の危機に直面し、EU加盟国で初めてIMFの融資を受けた。これは同国がチェコなどのような構造改革努力を怠り、国民もローンで大型車や住宅を購入するなど背伸びしてきたつけがまわってきたのだ、

また、パキスタンは、10月末に破産寸前となり、IMFの支援を要請した。破綻の主因は、石油・食糧価格が高騰した上に、国家としてリスク大(核兵器を保有、自殺テロが頻発、汚職や醜聞が蔓延、急進イスラム勢力が拡大)と見られて外資が入らなかったからだ。パキスタンは崩壊する危険があるが、核弾頭やミサイルの一部でも地方軍閥などの手に入ったら一大事であり、この国の一体性は是非護らねばならない。そして今のところ当てに出来そうなのはIMFの援助のみだ、と具体例を述べた上で、

しかし中進国の資金不足が全世界に広がれば、IMFの資金もやがて枯渇してしまう。打開策は、富裕国による資金追加か、IMF自身の新規債券発行による資金調達だが、それに応じそうな投資家はいない。結局、幾つかの国は嵐に耐えられなくなろう。と言って、先進国が中進国を放置すれば、野火は誰にも消せないほど広がってしまう、と論じています。

金融危機で先進国以上に打撃を受けるのは、9月半ばの米国「投資銀行」破綻以前に、既に経済運営に失敗していた中進国です。失敗の原因や状況は国ごとに異なり、自業自得の面は否定できませんが、放置すれば、現在のIMFや世銀等の公的援助機関の資金不足の事態が一層深刻化してしまいます。米国、日本、EUの大国、産油大国、中国が知恵をしぼり、かつ、国ごとに優先順位をつけて助けるほかないでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:23 | その他 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)