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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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オバマ政権の安保外交閣僚 [2008年11月28日(Fri)]
11月28日付ワシントン・ポスト、ウォール・ストリート・ジャーナル、ロサンジェルス・タイムズ各紙は、オバマ政権の安保外交担当者の人事について社説を掲げて論じています。

その中で、ゲーツの留任については、その人格識見の観点からすでに各方面から期待が表明されており、また、国防政策の継続性、中立性の観点からも、民主党の左派を除いて誰も異存のないところから、ロサンジェルス・タイムズは専らクリントンについて論じています。

同社説は、かつてオバマの最高指揮官としての資格に疑問を呈したクリントンの指名に驚きを表明しながらも、予備選で敗北がほぼ確実となってもなお頑張って戦い続けたその忍耐力を以って外交政策を推進することを期待する、と皮肉交じりに論評しています。

また国務長官は大統領と一体でなければならないが、政治家が国務長官となると、それは容易ではないと指摘して、オバマとクリントンとの間に隙間が生じることに暗に憂慮を表明しつつも、彼女のような有名人が国務長官になることは、外交を活性化するだろうし、法律家としての経験は厳しい外交交渉の際に役立つだろう、とリップ・サーヴィス的評価で結んでいます。

各紙ともに、全体として、オバマのプラグマティズムを評価、特に、ゲーツ国防長官の選択については、政権が変わってもイラク、アフガン政策に大きな政策的ブレが生じないことが保障されたとして評価しています。他方、クリントンについては、果たしてこれが正しい選択だったかかどうか、まだ誰にも確たることは言えない状況と言えるでしょう。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 17:32 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
イスラエル=シリア和平優先論 [2008年11月26日(Wed)]
ワシントン・ポスト11月26日付で、米国務省情報調査局出身の中東専門家で、現在はウッドロー・ウィルソン国際センターに席を置くAaron Millerが、オバマ新政権は、外交の優先課題として、イスラエル=パレスチナ和平に取り組むよう迫られるかもしれないが、これは容易に解決できる問題ではないので、先ずイスラエル=シリア和平の達成を試みるべきだ、と論じています。

ミラーは、シリアに関しては、パレスチナ問題のように、エルサレムの帰属のような困難な問題は無く、ただ、ゴラン高原からの撤退と水利の問題、そしてシリア、イスラエル両国の安全保障の問題があるだけなので、交渉は可能だ。勿論、これも簡単に行くものではなく、最終的には米国による平和維持軍の派遣も必要になるかもしれない。また、シリアは、年来のイランとの関係は容易に切れないので、シリア=イスラエル関係も徐々に進展させるしかないだろう。それでも、もしイスラエル=シリア間に和平が成立すれば、そのことは、過激勢力のハマスやヒズボラ、そして彼らを支えるイランにとって困難な事態をもたらすだろう、と言っています。

イスラエル=シリア和平の話はしばしば浮上して来ます。今年8月にもトルコを仲介とする和平(ゴラン高原返還を含む)の話がありました。確かにアラブ・ナショナリズムによるイスラエル抹殺論は、エジプトが戦線を離脱してから過去の話となっており、水利や安全保障のことも含めて、ゴラン高原の問題を解決すれば、イスラエル=シリアの関係正常化が可能な状況はしばらく前から存在しています。従って、時として希望的観測も浮上して来るわけです。そうしたことを考えれば、確かにイスラエル=シリア和平は、オバマ新政権が真っ先に取り組む課題として適当であるかもしれません。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 11:19 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
オバマの経済政策 [2008年11月25日(Tue)]
11月24日の記者会見で、オバマが財務長官にTimothy Geithner、国家経済会議議長にLawrence Summersを任命する意向を発表したことを受けて、11月25日付ワシントン・ポスト、ロサンジェルス・タイムズ、ニューヨーク・タイムズ各紙が社説を掲げています。

WPは、この任命により、政府資金による厖大な救済措置が予想されるが、それは一兆ドルもの財政赤字を生むものであり、救済措置を急ぐと対象を誤る心配もあるので、新年までに計画を作成するようにオバマが指示しているのは正しい、と慎重論を述べています。

LATの社説も、大規模な政府介入を予想し、これはもはや自由市場資本主義ではないが、そうかといって社会主義でもない、ケインズ経済学と政府の大規模介入を結び合わせたものだ、と観察し、ただし、どういう場合に介入すべきか、介入すべきでないかの原則を決める必要がある、と述べています。

NYTの社説は、GeithnerもSummersも、金融危機がここに至ったことに一半の責任を有する人間であり、彼らが自らの過去の失敗を反省しない限り、健全な判断は期待できないと指摘し、議会および新大統領による監視の必要を説いています。

新政権の経済政策担当者の指名を受けての社説ですが、時節柄、自ずから、今後の経済政策について論じています。NYTとLATは、いまだに大統領選挙中の言説の延長線上にあります。つまり、選挙戦中、民主党系リベラルは、レーガンからブッシュに至る過去の共和党政権の責任を非難するのみで、どうすれば良いのかという代案は殆んど出しませんでしたが、今回の社説も、新たな任命予定者に対してもっぱら不信感を表明し、将来に向けての政策は論じていません。LATも、政府支援には原則が必要だと言いながら、どのような原則が必要かについて建設的意見は示していません。

WPも、別に代案を持っているわけではありませんが、新政権が出来るまで慎重に対応を練った方が良い、と現実的な提案をしています。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:36 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
宇宙基盤MD推進論 [2008年11月24日(Mon)]
ウォール・ストリート・ジャーナル11月24日付で、ミサイル防衛の専門家、Brian T. Kennedyが、イランによる電磁パルス(EMP)攻撃の脅威を論じています。なお、電磁パルス(EMP)攻撃については、米議会も特別に委員会を設け、逐次報告書を提出させています。

ケネディは、イランはEMP攻撃に必要な核弾頭はまだ持っていないが、ロシア、中国から入手することは可能であり、ミサイル発射の能力は既に開発中だ、と指摘し、

もしイランの貨物船が大西洋上から核ミサイルを発射して、シカゴの300マイル上空で核爆発を行えば、全米の電子機器が破壊され、電力、水道の供給も止まり、何百万人の生活基盤が破壊される、というシナリオを紹介して、ミサイル防衛の必要を強調しています。

確かに恐るべきシナリオであり、対イラン・ミサイル防衛や対イラン先制攻撃などを正当化する根拠になるでしょう。それに対する反論の一つは、イランによる核弾頭開発はまだ先のことなので、その間に交渉などによる解決を求めるべきだ、というものであり、もう一つはイランといえども、冷戦中の米ソと同様な抑止が働くだろう、というものです。もっともケネディは、ミサイルを発射した後、船を沈めてしまえば証拠は残らないと言っていますが、いずれにしてもミサイル防衛推進論にとって、このEMP攻撃の可能性は有力な論拠となるでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:46 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
オバマのインドネシア政策 [2008年11月22日(Sat)]
ウォール・ストリート・ジャーナル11月22日付社説が、インドネシアはテロ対策にとって重要な国であり、米国は同国との軍事協力関係を維持すべきだ、と主張しています。

社説は、米インドネシア間には1960年代以来、米国によるインドネシア軍人の教育訓練を中心とする軍事協力関係があり、これは東ティモールの虐殺事件で一時中断されたが、2005年に復活して現在に至っている。ところが、民主党上院予算小委員会議長Patrick Leahyは、今年4月にライス国務長官に書簡を送って、インドネシア軍の特殊部隊Kopassusの人権侵害はティモール事件以降も改善されていないと批判、職権を行使してインドネシア軍教育関係予算の削減を提案した、と指摘しています。

その上で社説は、しかしインドネシアはテロ対策にとって重要な国であり、また、Kopassus の責任者の処分も既に行われている、と述べて、オバマ新政権は軍事協力関係を維持すべきだと主張しています。

Leahy等の言動は、民主党が両院の安定多数を確保、その中でリベラル派の発言力が強くなってきている今の米議会の状況を反映した動きの一つであり、ウォール・ストリート・ジャーナルは保守現実主義の立場からこれを批判しているわけです。

米国のリベラル人権派の存在は、時として、ここに指摘されるように、現実主義外交の障害となりますが、米外交にとっては両刃の剣の役割を果たしています。例えば、中国については、中国の軍事的脅威に注意を払わず、宥和政策のみを推進しようとするハト派勢力に対し、中国の人権侵害を指摘して歯止めの役割を果たしていますし、台湾については、自由と民主主義擁護の観点から、パワーポリティックス的戦略論とは関係なしに台湾支持の立場をとることになります。

日本も、慰安婦問題ではこの派の説得に苦労したことがありますが、今の日本は人権問題で何の弱みもなく、また、彼らは、自由民主主義国間の協力に重きを置く政策にとっては強力な味方となりえます。従って、日本にとっては、米国のリベラル人権派は一つの大事な政治勢力だと考えるべきでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 14:14 | 東南アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
対イラン交渉 [2008年11月20日(Thu)]
独ツァイト11月20日付で、同紙元共同編集者で、著名な国際政治学者Christoph Bertramが対イラン交渉について論じています。

ベルトラムは、イランは一日も早く原爆を造り、イスラエルを抹殺して中近東の覇権国家となることを目指している、というのが西側の公式見解であり、確かにイランは核開発を努め、軍事計画を進めた時期もあった。しかし、実際は、イランは今もなお原爆製造にはほど遠く、IAEAが査察した施設の物質もそれを裏付けている。それに原爆を獲得したとしても、イランは、米国やイスラエルの圧倒的な核戦力による報復をおそれ、使用を断念するだろう、

現在核交渉が進んでいないのは、イラン側に責任があるが、ブッシュ政権も、2003年にイランが包括的対話を提案した時はそれを蹴り、その後、イランがIAEAの追加的査察を受け入れた時も評価しなかった。その結果、イランは譲歩を引っ込め、西側は先ずイランが濃縮活動を停止するよう求めて、交渉が暗礁に乗り上げたという経緯がある、と述べ、

西側は冷静になり、核交渉の進展は、イランとの全面的関係に関わることを認識し、イランを悪魔のように見る意識を改革する必要がある。成功する保証はないが、これまでの戦略が失敗だったのははっきりしている。オバマは、選挙戦中に「前提条件なしで、また対象を核開発に限定せずに交渉する用意がある」、と述べたが、来年6月のイラン大統領選挙の結果によっては、これを実行すべきではないか、と言っています。

ベルトラムは常識人であり、特に目を引くことを言ってはいませんが、よく考えれば、彼の言うような道しか妥協はあり得ないでしょう。イラン30%、米国70%でそれぞれが思い込みに捕われ、どちらも過去の経緯上そこから抜け出せなかったという事情が、交渉の進展を妨げてきたのであり、オバマの登場、そして、来年の選挙でアフマディネジャドが敗北すれば、事態打開の可能性が生まれることも考えられるでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:51 | イラン | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
オバマのアフガン政策 [2008年11月17日(Mon)]
ニューヨーク・タイムズ等の元編集者Russ Hoyleが、Center for a New American Securityのブログに、オバマが、ペトレイアスの言葉を信じて、アフガニスタンに深入りしてしまう危険を指摘しています。

ホイルは、ペトレイアスは、アフガニスタンに関する戦略評価チームを任命し、オバマの大統領就任に合わせてアフガン戦略を提案する予定であり、イラクで成功した戦略がアフガニスタンでも有効であると思っているし、また米軍関係者はアフガニスタンへの全面的なコミットメントを主張している、

しかし、アフガニスタンについてベストセラーを書いた元英軍士官Rory Stewartは、反乱鎮圧は達成困難であり、経済援助に限るべきだと論じているし、軍事専門家の間でも、まだアフガニスタンをどうすべきかについてコンセンサスはできていない。心配なのは、オバマが、ペトレイアスの「やれば出来る can-do」戦略に巻き込まれて、アフガニスタンでロシアと同じような失敗を繰り返すことだ、と論じています。

オバマのアフガン政策については確かに同じ懸念を抱きます。今のオバマのアフガン政策は、米国の世界戦略の必然からではなく、大統領選挙のキャンペーン・レトリックから来たものです。すなわち、これは、イラク戦争反対を主張する中で、9.11対策としてはアルカイダのいるアフガンが本命なのに、ブッシュは理由のないイラク攻撃をして余力を失い、アフガン情勢を放置、悪化させた、とブッシュ批判を展開して来た、その延長線上にある政策です。

しかし、世界第二の石油埋蔵量を有し、チグリス、ユーフラテスの合流する中東の中心に位置し、国民の民度も近代化の一歩手前にあるイラクと、辺境の地のアフガニスタンとでは、戦略的重要性は較べものになりません。また、有史以来、中央の支配下に入ったことのない山岳地帯の部族地域と近代国家になる直前のイラクとでは、戦場の条件も違います。

オバマが、ブッシュのイラク政策を批判するあまり、イラクとアフガニスタンの優先度を誤る危険性が心配されます。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:30 | 中央・南アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
米軍再建の課題 [2008年11月16日(Sun)]
ニューヨーク・タイムズ11月16日付社説が、米軍の再建計画を論じるとともに、オバマ次期政権に21世紀の脅威に対処するためのビジョンを示すよう求めています。

社説は、既に決定されている、総現役兵員を759,000人に増強する計画を支持した上で、近い将来、重要なのはやはりテロ対策だ、また在外基地が削減される傾向もあるので、輸送力を強化し、機動力のある部隊および占領地の住民対策のための要員を増強すべきだ、と提言、

そのための経費について、イラク撤退で浮く分を当てるのは当然として、F-22のような高度近代兵器、外洋の戦闘艦艇、アラスカやヨーロッパ配備予定のミサイル防衛システムなど、高額の軍備を控えて経費を抑えるべきだ、と論じています。

オバマの当選が米国の雰囲気を変えたことは、この社説にも如実に反映されており、もはやこれは現政権の政策批判ではなく、来るべき政権の側に立った前向きの論説です。ブッシュ批判も残ってはいますが、全体の論調は建設的であり、これならば、超党派の軍事政策も可能と思われます。ニューヨーク・タイムズは長くブッシュ政権やペンタゴンからの直接情報から遮断されている感がありましたが、言論界の中心に復帰する可能性が出て来ました。

論説で特に注目されるのは、テロ対策では、武力による制圧とともに、その後の経済援助や広報の予算人員が必要だ、と言っていることです。これはゲーツ国防長官の持論でもあり、ゲーツへの期待が窺われます。

もう一つは、依然としてテロ対策が国防政策の前面にあることです。アフガン問題が目下の大きな懸案であることから、これもやむを得ませんが、21世紀の防衛問題の最大の課題は、増大する中国の脅威にいかに対処するか、であるべきでしょう。本来、テロ対策は治安機関の問題であり、通常防衛が閑却されるべきではありません。

そして中国の脅威に対しては、日米同盟が持つ対中抑止能力の維持強化が必要です。中国の第四世代戦闘機の急速な増強を前に、F-22の増強の必要を否定できる極東の軍事専門家はいないでしょう。ニューヨーク・タイムズの提言の底に対中宥和思想がないかどうか、今後ともその姿勢に注意する必要があります。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:47 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
米国のアフガン政策 [2008年11月14日(Fri)]
オバマ次期政権の関心がアフガニスタンに集中してきた中で、ウォール・ストリート・ジャーナル11月14日付でブルッキングス研究所のMichael O'Hanlonが、アフガン政策を論じています。

オハンロンの結論は明快かつ直截的です。彼は、現地では治安を維持する人員が不足しており、人員増加以外に作戦を成功させる選択肢はない。米、NATO軍の増強も一案だが、アフガン軍に対する、訓練、装備供与などの抜本的な増強措置が必要であり、アフガン軍増強のために現行の30億ドルの支援額を倍増する必要がある、と指摘しています。

30億ドルの追加援助が必要だとする積算根拠も、人員増強以外に選択肢がないという議論の論拠も挙げられていませんが、過去の実績から言って、オハンロンは最も信頼すべき軍事専門家であり、民主党系でありながら、党派性さえも無視する、徹底的な現実主義者です。その彼が断言する以上、しかるべき論拠があってそう言ったのだと信頼できます。

問題は日本の態度でしょう。アフガン問題は選挙戦以来のオバマの看板の政策ですが、発端は、ブッシュのイラク政策批判でした。そして、9.11対策ならばアルカイダの巣窟であるアフガンを優先すべきだったのに、ブッシュはイラクで無用の戦争を起こし、手が回らなくなって、アフガニスタンの情勢はさらに悪化してしまった、というのがオバマ政策の中心論理になってしまったところへ、ブッシュのイラク政策に批判的なヨーロッパ諸国が同調したため、今や、アフガニスタンに焦点を置くことが米欧の共通政策となった感があります。

翻って、日本は、米国の北朝鮮政策や中国傾斜に対し、その都度、同盟国尊重を強調して米国による賛同の表明を勝ち取ってきており、これは今後とも日本の対米外交の中心的課題となるでしょう。しかし、それならば、同盟国として何をする用意があるか、という問いかけに早晩答えざるを得なくなるでしょう、何らかの具体的なアフガン協力を求められることを覚悟する必要があります。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:34 | 中央・南アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
オバマの対中貿易政策 [2008年11月10日(Mon)]
中国国営銀行の破綻が中国の現体制の崩壊につながるという『来るべき中国の崩壊』の著者で、中国問題評論家のGordon G. Changが、米中経済摩擦激化の可能性を11月10日のForbes.comで警告しています。

チャンは、選挙中にオバマが中国の通貨介入を批判したのは、選挙用レトリックだろうと言われてきたが、そう楽観はできないかもしれない。オバマは、野放しの通商に懐疑的なようであり、背後には労働組合もいる。また金融危機の中で世界的に自由貿易に対して逆風が吹いている。それに中国の2622億ドルの貿易黒字の中で、対米貿易と無関係なのはわずか59億ドルに過ぎない。こうしたことから、オバマの政権の下で米中関係に変化があるかもしれない、と観察しています。

これは現在可能な多くの将来見通しの中で、かなり可能性が大きく、警戒すべき事態について警告しているものと言えるでしょう。ただ、現状では事態が流動的なので、この問題も含めて、先の見通しを立てることは困難です。

まず直近の問題として、米政府がGMをどう処置するかが、保護主義傾向が強くなるかどうかの一つの分水嶺となるでしょう。また56兆円と言われる中国の景気対策がどこまで内需振興につながり、貿易黒字の増大を抑えることになるかを見極めねばなりません。

そして、その全てが、今後世界経済が一応落ち着くのか、更にもう一層パニック状況になるかの見通しの問題に関連してきます。また、かなり親中的と予想されるオバマ政権の東アジア政策担当者が、今後どの程度中国に理解ある態度をとるか、ということも米中経済関係全般に関連してくるでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:48 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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