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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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中国の宇宙軍拡 [2008年10月31日(Fri)]
ウォール・ストリート・ジャーナル10月31日付で、International Assessment and Strategy Centerの保守系中国専門家、Richard D. Fisher, Jr.が中国の宇宙軍拡について論じています。

フィッシャーは、9月27日に中国は有人宇宙船「神舟7号」の打ち上げに成功したが、その軌道の一部は米露の宇宙ステーションに極めて近かった上に、神舟7号から発射されたマイクロ衛星は軌道から外れたらしい、これは、1000億ドルもかかった宇宙ステーションにとって非常に危険な事態だ、と指摘し、

今回の打ち上げは、先般行われた地上からの衛星破壊実験に続いて、宇宙軌道からの衛星攻撃の実験とも考えられる。善意に考えれば、米露の宇宙ステーション計画に協力できることを示したものとも言えるが、マイクロ衛星の乱暴な発射ぶりをみると、そうとは思えない、米政府は、宇宙計画の透明性が重要なことについて、中国の注意を促すべきだ、と言っています。

論説も冒頭で指摘するように、地上発射衛星破壊の時と違い、今回の打ち上げは、これまでのところ各国政府やメディアの注目を惹いていませんが、おそらく軍事技術的には同じくらい深刻な可能性があることなのでしょう。

なお、中国の意図が、善意と悪意のいずれであるかを論ずること自体、無意味です。なぜなら、今回の打ち上げは、将来その両方のいずれにも行ける能力を中国に与えるものだからです。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 14:53 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
中台関係 [2008年10月30日(Thu)]
ウォール・ストリート・ジャーナル10月30日付で、米ケイトー研究所の外交安保担当副会長、Ted Galen Carpenterが、馬英九の前向きの両岸対策に対して中国がそれに呼応する譲歩をしないので、台湾国民の間で馬への支持が急速に落ちている、と警告を発しています。

カーペンターは、中国は、台湾対岸に配備した1,200基ものミサイルを削減せず、台湾のWHO加盟も支持しようとしない。最近、訪台した中国の両岸関係協会の代表に対して暴行事件が起きたことにも見られるように、台湾における対中感情は悪化している。中国が早急に有意な譲歩をしなければ、両岸関係の危機を先延ばしする効果があった国民党政権は長続きしないだろう、と警告を発しています。

これはそれなりに正確な現状分析でしょう。ただ、中国は今、馬英九政権への対応をどうしたらよいのか決めかねて、むしろ困惑しているのではないかと思われます。

なぜなら馬英九政権に譲歩を与えても、台湾は民主主義国家なので、いつまでも国民党政権が続くとは限りません。とりあえずは、2010年の万博までは現状維持ということで、新政策の決定を先延ばしする可能性が大ですが、その後は国民党政権という、再度あるかどうかわからないチャンスをどう活かすか、という問題に直面することになるでしょう。

台湾問題の長期的見通しということでは、陳政権時代は、陳が独立志向で突っ走ったために、民意が見えにくいところがありましたが、馬政権が成立し、その大陸政策への民衆の懐疑、抵抗が生じたことから、かえって李、陳政権下の16年間に台湾人意識が確立されたことがはっきりしてきました。このことは国民党政権もこ到底無視できないでしょう。

こうした状況下で、中国が万博後の2年間に抜本的な変化を実現しようとすれば、使える最大の梃子はその軍事力しかないでしょう。そしてそれが使えるかどうかは、その時の軍事バランスと米政権の姿勢いかんによりますが、中国がその2年間も何もできないまま過ごす可能性も、十分出て来たように思われます。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:57 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
金正日後 [2008年10月29日(Wed)]
インターナショナル・ヘラルド・トリビューン10月29日付で、米ブルッキングス研究所の朝鮮問題専門家Kongdan Ohが、金正日の死後について論じています。

オーは、北朝鮮の非核化を望むにはもう遅すぎる、と断じ、それよりも金正日の死後に備えるべきだ、として、金の死後、北朝鮮国内では、@3人いる金の息子の一人が、軍や党の長老の庇護の下に名目上の指導者になる、A外国からの援助や政治的承認と引き換えに核を放棄すべきか否かについて、国際主義者と排外主義ナショナリストとの間で意見の対立が表面化する、B餓えと虐待に苦しんできた民衆の間に、革命や大規模な抗議ではなく、生活の糧を求めての不穏な動きが広まる、と予測しています。

他方、オーは、朝鮮の人々は真剣に再統一のことを考え始める、と予測し、そうなった場合、米国は、朝鮮半島の分断を望んでいるというような疑念を払拭し、統一支持の姿勢を鮮明にする必要がある、と論じています。

これは、北朝鮮の非核化について一切幻想も持っていない論説です。また、朝鮮半島統一支持の姿勢に疑念を持たせるべきでないというのは、日本についても言えることです。30年も前から韓国人が決まってする質問は、「日本は内心は朝鮮半島の分断が続くことを望んでいるのでないか」というものであり、それに対して少しでもあやふやな答えをすると、「心底見えたり」という反応が返って来ました。もっとも、「統一を希望している」などと言えば、「統一で韓国が疲弊して、対日競争力が弱まるのを期待しているのだろう」という受け止められ方をされることさえありました。

こうしたことは、日本に対する場合に限られた特殊事情かと思いきや、オーは、米国に関してもそうした危険があることを指摘しているわけです。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:50 | 東アジア | この記事のURL | コメント(1) | トラックバック(0)
石油価格下落によるイランの弱体化 [2008年10月29日(Wed)]
ニューヨーク・タイムズ10月29日付でコラムニストのThomas Friedmanが、イランが弱体化する可能性について論じています。

フリードマンは、石油価格の下落で打撃を受けた上に、オバマというブッシュとはイメージが異なる人物が米大統領になると、高揚していたイランの態度もしぼんで来る可能性があり、オバマが提唱してきた対イラン交渉は、これまでは非現実的なように思われていたが、今や現実に実施可能となったかもしれない、と言っています。

言っていることはそれだけの論説であり、また大統領選を直前に控えてニューヨーク・タイムズの党派的選好も反映しているでしょうが、石油の値下がりによるイランの影響力低下は、評論家や専門家の等しく認めるところです。

米イラン関係の緊張は、過去数年間、米国がイラク戦争に手を縛られる一方、イランは、石油価格高騰のおかげで多少の経済制裁措置など問題にせずに凌いで来られた時期に悪化してきました。しかし、今やこれら二つの状況は共に大きく変わりつつあります。そうなって来ると、米国の力とイランの力を比較すれば、米国の力は圧倒的に強大です。オバマには確かに時局打開のチャンスが訪れているのかもしれません。



Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 14:54 | イラン | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
アフガン問題と印パ関係 [2008年10月28日(Tue)]
インターナショナル・ヘラルド・トリビューン10月28日付でMaharaja Krishna Rasgotra元インド外相と、安全保障問題に関する米財界のシンク・タンクBusiness Executives for National Securityの創立者、Stanley A. Weissが、インドはアフガン問題の解決に寄与できる、と論じています。 

2人は、パキスタンは西部国境地帯に送る十分な兵力がないと言うが、東部のインド国境には大規模な兵力を配備しており、またインドのアフガン問題関与を、インドによる包囲網の形成と解して危惧している、

しかしパキスタンの対インド脅威感は、米国がパキスタンに安全保障の約束を与えることで緩和させられるだろう。そうなれば、インドは、アフガニスタン、米国、そして国連の共同の要請があれば、要員を派遣してアフガン軍・警察の強化に重要な貢献をすることが出来る。これは夢のような話に思われるだろうが、パキスタンに民主政権が誕生したことから、期待が持てる、と言っています。

イラク戦争の初期、インドは米国からのイラク派兵の要請を断っています。これは当時、インドにまだ非同盟中立の思想が根強く残っているためだと解されました。ところが今回は、政府の提案ではないものの、インド側からこうした提案がなされたわけです。咽喉から手が出るほど兵力の増強が欲しい、現在のアフガン情勢においては、結構なアイディアと思われます。

ただ、カシミールで対峙している印パ両軍を本当に削減できるのか、パキスタンがインドを信頼して、アフガン軍の養成にインドが参加するのを歓迎するのか、さらには、インドは本当に非同盟中立の伝統を離れて、米NATOと協力関係に入るつもりなのかどうかは、現時点では何とも判断がつきません。

また、ここに言うアフガン派兵が、戦闘部隊でなく訓練要員であることは、NATO軍の戦力補強にとって大きな助けにはならず、アフガン軍におけるインドの影響力増大を図っているにすぎない、という疑惑を招くものであり、ここに、インドの利益増進の下心が見えなくもありません。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 22:43 | 中央・南アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
仏独経済政策の相違 [2008年10月27日(Mon)]
独シュピーゲル10月27日付が仏独の経済政策の相違について解説記事を載せています。

記事は、機を見るに敏なサルコジは、10月18日の欧州議会でいち早く企業国有化構想を打ち出したが、ドイツは当初沈黙した後、「この提案は、ドイツの経済政策の全原則に反する」との外相談話を発表した。ドイツはサルコジを信用ならないと考えている。サルコジが「欧州の経済政府」と言えば、ドイツは「フランス指導下の経済政府」と解するし、サルコジが「国家による景気政策」を提唱すれば、ドイツはマーストリヒト条約違反だと反論する、

元々ドイツは、政府が企業経営に関わらない考え方であるのに対し、フランスは国家介入主義を信奉、電力を始め経済の大きな部分が国家の手中にある。しかしこのフランス方式は必ずしも上手く機能せず、ドイツの方が財政赤字、失業率とも小さく、独企業は世界市場で一定のシェアを押さえている、

ところがサルコジは、「私は欧州で最も有能な政治家だ」、「ブッシュは終わり、ブレアは去り、メルケルも駄目だ」と広言する。他方、メルケルもタイミングを掴む名手と言われる。彼女の強みは、急いで突進せず、忍耐強く最適の時が訪れるのを待てる点にある、

金融危機の今、最も必要なのは銀行の監督強化だが、欧州諸国の制度はバラバラだ。こうした状況では全ての改革に「欧州的精神」が必要であり、これは相手側の善意を信頼して始めて成立するのに、独仏間にはそうした信頼がない、と言っています。

改めて感じるのは、EU加盟各国の経済体制や考え方は、現在も互いにかなり異なり、特に、独仏協調がEUの牽引車と言われるのに、独仏の差が大きいことです。

また、サルコジは、今年後半にEU議長だったこともあって、グルジア問題でも、金融危機でも派手に動きましたが、出たがり過ぎの印象を受けます。解説にもあるように、実際はフランスの経済力はドイツに著しく劣っており、ドイツが自己主張を強めるにつれて、国力の限界を悟ることになるでしょう。また中東問題においても、イラン、トルコ、イスラエルは特にフランスを信頼しているわけではなく、さらに、日本軽視であることも、サルコジの限界を示しているように思われます。サルコジは半分ハンガリー系ユダヤ人の出自という引け目からか、逆にフランス第一主義を強く出してきますが、そうした派手さにはやや危惧すら覚えます。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 22:42 | 欧州 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
米国の東アジア政策 [2008年10月26日(Sun)]
Washington Quarterly秋季号で、中国・復旦大学教授の呉心伯が、米国のアジア政策について、米国を中心に多数の二国間同盟を束ねる、いわゆる hub and spoke policyは冷戦思考による時代遅れのものだと論じています。

呉は、米国は北朝鮮と台湾政策に非冷戦的思考を適用すべきだ、北朝鮮の核武装は米朝対立の結果であって原因ではない、と述べ、台湾についても、両岸関係は一義的には中国と台湾間の問題であるが、米国の態度も多大な影響を与える、米国は台湾を自らの勢力圏、あるいは対中戦略のテコと考えるのをやめ、台湾問題が米中関係にとっていかに重大かを認識すべきだ、と言っています。

そして、最善のアプローチは多数国間協議だと説き、六カ国協議を北東アジアの安保協議の場としようというブッシュ政権の政策が次政権に引き継がれることを希望、冷戦終了後、クリントン政権が日米同盟を強化して中国の強大化に備える政策をとり、ブッシュ政権がその方式をインドにまで拡大しようとしたが、こうしたやり方は国家間の対立を招くものであり、理想とする世界では捨て去られるべきものだ、と論じています。

その上で、重ねて、米国は同盟国中心の戦略を止め、地域の安全保障にとっての中国の重要性を認識すべきだ、と強調しています。

言葉にはしていませんが、中国の戦略の中心が日米同盟関係疎隔であることを明からさまに示す論文であり、大統領選を前に、次政権に期待するところ大であることが節々に窺われます。

気になるのは、米国の親中派やリベラルの間には、中国にとって目の上の瘤である日米同盟をダウングレイドして米中対話の重視に持っていこうとする中国の意向に沿う姿勢が見られることです。

民主党政権が誕生した場合、あるいは共和党政権であっても、ワシントンにおける中国の影響力とそれに迎合する米国の知識人と、日本の政策との間に相克、論争が生ずることに、今から心の準備をしてかかる必要があるでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 13:54 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
石油価格下落の影響 [2008年10月26日(Sun)]
ワシントン・ポスト10月26日付の社説が、米国の敵対国は、経済危機で米国が凋落する、と最初は快哉を叫んでいたが、石油価格が下落してきたために、急に態度を軟化させ始めた、と指摘しています。

社説は、ヴェネズエラとイランは、石油価格がバレル$95以上でないと現在の政策を維持できない状況にあり、また、ロシアはそれほど切羽詰まってはいないものの、外国資本の引き揚げで打撃を受けており、その結果、これらの国の対外政策に不思議な現象が生じ始めた、

即ち、ロシアは、先週になって突然、「米軍のイラク駐留国連決議延長に反対しない」と述べ、ヴェネズエラは、オバマとマケインが、米国のヴェネズエラ石油への依存をやめたいと提案したことに対し、「話し合いで解決したい」と言ってきた、と指摘しています。

社説はこうした事実を指摘しているだけですが、鋭い観察と思われます。そういえば、1970年代の石油価格高騰でうるおったソ連が大軍備拡張に乗り出し、冷戦最後のソ連の脅威という状況が現出したあと、1986年の石油逆ショックでたちまち財政窮乏に陥り、その年からペレストロイカを開始、それから先は急坂を転がり落ちるように、ベルリンの壁崩壊、ソ連邦の解体へと到った歴史が思い出されます。

当時と類比すると、1979年の第二次オイル・ショックで$40近くまで上がった石油価格が$10前後、つまり約三分の一まで下がったのが逆オイル・ショックです。今回も$50まで値が下がれば、最高時の三分の一となるわけであり、現在はそれに近い状況が起こっていることになります。

現在のロシアは1970年代のソ連ほど背伸びしていないので、石油価格下落の影響は局限できるでしょうが、イランやヴェネズエラなど背伸びしている国が苦しいことは想像にあまりあります。

特に対イラン政策については、米国側に、価格下落がイランにどういう影響を与えるか、見極める余裕が出て来たかもしれません。さらに、もしかすると、同じことが対ロシア政策についても言えるかもしれません。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 10:57 | その他 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
米国の衰退と1930年代 [2008年10月21日(Tue)]
ウォール・ストリート・ジャーナル10月21日付で、チェイニーの補佐官だったAaron Friedbergプリンストン大学教授と、ユダヤ系評論誌CommentaryのGabriel Schoenfeld編集長が、現在の経済危機の下での米国の世界的指導力の衰退を1930年代との類比で論じています。

2人は、今回の経済危機で米国の財政は悪化、予算の削減は不可避となり、保護主義も強まるだろう。米国の財政赤字を補って来たドルの権威が続くかどうかもわからない。加えてテロ問題、イラン・北朝鮮の問題、アフガニスタン・パキスタン情勢の悪化、ロシアの挑発的姿勢、中国の勃興などの心配もある。もちろん経済危機はロシアや中国にも悪影響を与えるが、こうした国では国内的困難が対外冒険主義を招く恐れもある。また民主主義の同盟国はそれぞれ問題を抱えており、インドもまだ勃興途次なので頼りにならない、
 
しかしここで米国が引っ込んでしまったら、独裁国が跳梁した1930年代の再現となる可能性がある。米国はその指導的立場を維持すべきであり、大統領には、危機的な時期に指導力を発揮できる知力、勇気、経験を持つ、試練を経た人物を選ぶべきだ、と言っています。

勿論、この時期の論説ですから、ここには、こんな危機的な時期にオバマのようなリベラルな人物を選んでは危険だ、という党派的な警告が含まれています。ただそうした党派性は極力抑えてあり、現状の分析として見れば、1930年代との比喩は興味深いものです。たしかに、1929年の大恐慌後、米国は孤立主義に陥り、世界が独裁国家の跳梁に委ねられたのが1930年代でした。

現時点では、大恐慌の歴史的教訓を学んだ米国は、政府介入で経済的破局を回避する措置をとっており、また、オバマもアフガン戦争を支持しているように、政治的・軍事的孤立主義に陥る兆候はありません。しかし経済危機がどこで収まるか、政治的にどう影響を及ぼすか、誰もまだ確たることは言えない状況であり、そうした中で、将来の危険に警告を発するのは意味の無いことではないでしょう。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:02 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
世界経済金融危機の意義 [2008年10月19日(Sun)]
ワシントン・ポスト10月19日付で、英エコノミスト誌編集長、Bill Emmottが、今回の金融危機で世界の経済秩序は変容してしまう、というコンセンサスがたちまち出来てしまったようだが、よく考えてみると、これが適切かどうか怪しいし、先のことはそう簡単にはわからないものだ、と論じています。
 
エモットは、こうしたコンセンサスは、@自由市場か政府介入かという選択で、後者が決定的に優勢となった、Aドル支配が終わりつつある、B経済の中心はアジア(特に中国)に移る、C専制国家が強くなり、こうした国の経済体制が他国のモデルになる、とする見方に基づいて形成された、と指摘した上で、それぞれについて反論しています。

すなわち、@1990年代の日本では、政府の介入後に自由化はむしろ進んだ。これは、政府介入により政府の負担が増えると、むしろ政府の経費を削減し、経済の自由化を促進することになるからだ、A世界の為替準備の中で、ドルの占有率は、1990年の50%から現在は63%に増大しており、多少減っても大勢に影響はない。またドルに代わる通貨はまだ出現していない、従って、B経済の中心がアジアに移るという論もうなづけない、C1997-8年の危機でスハルト体制が崩壊したように、経済危機はむしろ遅れた国の政治に影響を与えるものであり、また、石油価格が下がれば、ロシアやヴェネズエラもどうなるかわからない、と述べ、

そう簡単に、世界は変わったとか、米国の覇権は終わったとか言えるものではない、と言っています。

エモットらしい、また英国人らしい冷静沈着な論説であり、うなづける内容です。世界の覇権構造などはそう簡単に変わるものではありません。その時々の評論としては、「ドルの衰退」、「米国の覇権の終わり」などとセンセーショナルな見出しをつけたいのもわかりますが、こうしたことは、早くても2-30年単位で動く問題であり、今すぐどうと言える問題ではないでしょう。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:23 | その他 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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