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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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ロシア=グルジア紛争の危機 [2008年07月15日(Tue)]
ワシントン・ポスト7月15日付で、クリントン政権で国務次官補を務めたRonald D. Asmusが、ロシアによるグルジアのアプハジアと南オセチアの併合を防がなければならない、と主張しています。

アスムスは、アプハジアと南オセチアは、04年に親米のサーカシヴィリ政権が誕生すると、ロシアの庇護もあって何度も緊張状態を作ってきたが、他方、米国の援助に大きく依存し、ロシアとの対決路線を演出して政権を維持しているサーカシヴィリ政権も、NATO加盟を求めてロシアの強い反発を招いてきた、

そうした中で、最近、ロシア軍機が南オセチア上空を侵犯、アプハジアと南オセチアでは爆破事件等が発生し、さらに、ロシア軍がグルジア北方で大規模演習を行ない、米、グルジア、ウクライナ等もグルジアで合同軍事演習を行うなど、騒然としてきた、

ところが、「独立派」は元々、利権確保を求めて独立を主張し始めた気配があり、経済的自立能力や統治能力に疑問がある上に、一枚岩ではない。それに、ロシアに併合されれば、西側の支援を全く受けられなくなるばかりか、利権もロシア側に押さえられることになる、

他方、2014年にアプハジアに近いソチで冬季オリンピックを開催するロシアは、それまでにこの地域の不安定化要因を取り除きたいだろうが、そのために武力行使に出るかどうかはわからない、と論じています。

これは、グルジアをめぐって緊張が高まっている中で、タイムリーな論説と言えますが、ただ、アスムスは、この問題をグルジアやウクライナのNATO加盟をめぐる米ロ間のパワー・ゲームの一環と見るあまり、アプハジア、南オセチア自身の利益やその内部事情は見ていません。

見通しとしては、イラン問題が緊張してきた今、米国がロシアと直接衝突する挙に出るとは思われず、当面はドイツの仲介努力に期待したいところです。取りあえずは、武力紛争の発生を防止した上で、長期安定の仕組みを考えていくべきでしょう。もっとも、グルジアやロシアにとって、これは都合の良い時に政治的に利用できる問題であり、もしかすると特に安定させようとは思っていないかもしれません。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:46 | ロシア・東欧 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
ロシアとブレジネフ時代のソ連 [2008年07月14日(Mon)]
ワシントン・ポスト7月14日付でAEIのLeon Aronが、今のロシアとブレジネフ時代のソ連との類似性を指摘すると共に、安定していたブレジネフ時代にソ連崩壊の芽があった、と警告しています。

アーロンは、最近のロシアは、石油高騰で潤った1970年代のブレジネフ時代に似てきたとして、@アルコール消費量が増えた(70年代は1人当たり8リットル、現在は10リットル、10人に1人がアル中で、男性の平均寿命は60.6歳以下)、A民営化でいったん伸びた農業生産が、地方政府の介入などで減少したが、プーチンは農地の所有権問題を解決せず、ブレジネフ同様、対策を補助金に頼っている、B野党が排除され、ソ連共産党と同じく、「統一ロシア党」による一党支配となっている、Cメディアから批判されず、政治的競争から隔離され、刑事責任を問われない、新しいノーメンクラトゥーラが出現している、等々を指摘しています。

そして、70年代は、政府の無謬性への信頼、世論の軽視、腐敗の拡がりなどが何を生み出すかを示している。権威主義的安定は、短期的には利益をもたらすが、徐々にその害が出てきて、最後には破壊的なものになりうる、と警告しています。

アーロンは、プーチン体制とブレジネフ体制を比較し、その類似性を分析していますが、指摘の多くは的を射ています。彼は主として社会・政治面に着目していますが、軍拡に熱をあげていることも両者に共通します。

現在のロシアは、ブレジネフ時代同様、「資源の呪い」(資源国は資源収入に依存して、正常な経済の建設に失敗する)にはまっているようであり、プーチンはそれを意識して、国際競争力のある工業の再興を願っていますが、上手く行っていません。

石油価格は、需要増から高止まりする可能性があり、1970年代の2度の石油ショック後のような急落はないかもしれませんが、投機資金で押し上げられている今の価格がそのまま続くとも思えません。従って、ロシアの将来に不安があることは、アーロンが指摘する通りでしょう。

なお、ロシアは、アル中が多く、寿命が短いので、高齢化はありませんが、少子化は進んでおり、人口も減って来ています。こうした趨勢も、長期的に国の勢いに影響を与えることになるでしょう。



Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:58 | ロシア・東欧 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
オバマのイラク政策 [2008年07月14日(Mon)]
ニューヨーク・タイムズ7月14日付で民主党米大統領候補のBarack Obamaが自らのイラク政策を発表しています。

オバマは近くイラクに行く予定であり、前線の司令官との話し合いによっては若干の戦術的修正はするかもしれませんが、大筋としては、これが、今後大統領選を通じての彼のイラク政策となるでしょう。

それによると、オバマは、2010年夏までの撤兵という原則は維持、ただ、残留部隊がアルカイーダ掃蕩、米政府関係者の保護、イラク治安部隊の訓練を続けるので、全てを放棄しての撤退にはならない、しかしマケインと違い、イラクに韓国におけるような恒久基地は求めない、と述べています。その上で、

イラクよりも緊急を要するのはアフガン及びパキスタン対策であり、アフガニスタンには少なくとも二個旅団を増派するつもりだ、言っています。

さらに、態度変更という批判を恐れて有意義な討論を行わないことが、米外交政策の最大の戦略的過ちだ、と主張しています。

オバマは、最近のアフガン、パキスタン情勢の悪化を背景に、アルカイーダ対策として、イラクは本来不必要な戦争だった、と党派的攻撃もしていますが、イラクに関しては、具体策かつ現実的な提案を行なっています。

2010年夏までの撤退というのは、対象が戦闘部隊に限定されており、さらに、前線の司令官との話し合いや今後の戦闘状況によっては戦術的変更もあり得るということから、事態がここまで改善した今では、それほど非現実的な提案ではないでしょう。そして残留部隊のためには地位協定が必要となりますが、それを韓国駐留米軍のような永久的駐留と呼ぶかどうかは、名称の問題に過ぎません。

感心するのは、オバマが態度変更を恐れないと言っていることです。最近の米大統領選挙では、事ごとに競争相手の態度変更を咎めるところがあり(日本の国会討議を彷彿させます)、これが超党派外交や安保政策の妨げになっています。オバマが今後、前線の司令官との対話の後でも、勇気をもって、適切な態度変更をすることを期待したいものです。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:21 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
マケインの対露政策批判 [2008年07月09日(Wed)]
ロサンジェルス・タイムズ7月9日付でクリントン政権時代の国務長官Madeleine K. Albrightと国防長官William J. Perryが、G8からのロシア排除を提案しているマケインを批判しています。

オルブライトらは、米にはG8に関する拒否権はなく、さらに、G8よりもはるかに重要な安保理常任理事国からロシアを追い出すことはできないのだから、この提案は非現実的かつ無意味だ、

それに、ロシアとは、テロ、イラン、中央アジアの安定、東アジアの新たな安保取決め、中東、エネルギー、環境等、協力すべき問題が多く、G8のような象徴的問題で、関係を悪くすべきではない。また、今のロシアは、民主主義は後退したかもしれないが、共産主義のソ連のような破壊的な存在ではない。マケインが、ロシア指導部に懸念をもつのは正しいが、G8から排除するのは間違いであり、多くのロシア人はこれをロシアへの侮辱ととるだろう、と言っています。

実はロシアは、本来、経済力や政治体制からいって、富裕な民主主義国の集まりであるG7に入る資格はなかったのに、政治的な考慮から、クリントン政権が強く主張して加盟しています。しかし、G7にロシアを入れて、民主主義の方に引っ張ろうとしたクリントンのやり方は、結果として失敗したと言えます。ところが、オルブライトらはこの決定に関与していたはずなのに、それについての反省は全くなしに、今追い出すのは問題だと言っているわけです。

もっともロシアを追い出すのは困難だ、というのはオルブライトらの言うとおりでしょう。しかしロシアとは協議・協力すべき問題が多いとか、敵対国とも話し合うべきだということと、G8のメンバーシップとは別の問題です。

またマケインは、「民主主義諸国の連合」を提唱していますが、G8からロシアを追い出すよりも、始めからロシアを排除した新しい枠組みを作る方が、デメリットは少ないかもしれません。
 
なお、G8は、安保理常任理事国ではない日本が主要メンバーである集まりです。従って、G8の拡大は、G8内の日本の地位、さらにはG8自体の地位の低下につながるので、G8拡大論には反対するのが、日本の国益に適います。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:07 | ロシア・東欧 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
イラク情勢と米軍駐留問題 [2008年07月09日(Wed)]
ウォール・ストリート・ジャーナル7月9日付社説が、イラク情勢の好転を背景に、米軍駐留問題について論じています。

社説は、イラクの情勢が好転し、アラブ諸国が大使派遣を再開、石油収入も今年は700億ドルに上り、原油生産量も数年内に倍増できるかもしれないところまできた。とは言え、本年の地方選挙や来年の総選挙でイランが撹乱作戦をしかけてくる可能性があるし、サドル派がイランの手先でありながらナショナリズムに訴えるため、マリキ政権はことさら対米自立姿勢を強調しなければならないだろう。ただイラク・ナショナリズムの高まりは、イランからの自立にもつながるかもしれない、と述べ、

米国は撤退の速度と規模、さらに長期駐留をするのであれば、その条件を論ずべき時にきている。米軍が駐留していれば、イラクの各政党も互いに妥協しやすくなるし、また中東の真ん中に米国のプレゼンスがあることで、様々な紛争も起りにくくなるなどのメリットがある。実際、サドル派以外の主要政治勢力は、米軍がイラクに一定のプレゼンスを残すことを望んでいると思われる。従って、次期米大統領は、イラク情勢が好転していないかのように、一方的に撤退を押し付けるべきではない、と論じています。

これは、暗に、オバマの早期撤退論を戒めているものですが、それ以上にこの社説は、イラク情勢が好転していること、今年秋の地方選挙でサドル派と対抗するために、マリキ首相はことさら対米自立姿勢を強調して見せなければならない状況にあること、ワシントンではオバマの無条件早期撤退論に修正を求める声が強くなってきていること、一部に、中東全体をにらんでイラクに米軍を残そうという意見も出てきているなど、イラクの現状とそれをめぐる動きをよく伝えています。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:46 | イラク | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
米印原子力協定 [2008年07月07日(Mon)]
ワシントン・ポスト7月7日付で、元エコノミスト誌編集長Bill Emmottが、米印原子力協定について論じています。

エモットは、協定は、核兵器国としてのインドの地位を、NPT体制の枠外に認めるものだが、米印がこうして40年にわたる両国の対立関係に終止符を打とうとするのは、アジアにおける中国の台頭に対してバランスを取りたいという願望があるからだ、と指摘した上で、

インドによる承認の見通しがついたことから、協定は、IAEAとSGA原子力供給国グループの承認を経て、米議会で審議されることになるが、その際、米議会は、@批准の条件として、米国のイラン政策を支持するようインドに要求すべきではない、また、Aインドのような新核兵器国を取り込むために、現行のNPT体制は修正されなければならない、と宣言すべきだ、と論じています。

エモットが指摘するように、米印が協定を進める根底には、中国を念頭に置いた戦略的考慮があることは間違いないでしょう。米国もインドも、中国との関係進展による恩恵は受けていますが、その一方で、両国が戦略的提携を深めることで、台頭する中国に対してカウンターバランスをとろうとするのは当然です。

またエモットが、自主外交を進めるインドは、日本のような米国の同盟国にはならないのだから、米国のイラン政策支持を協定批准の条件とするのは間違いだ、と言っているのは、その通りであり、米国は、そうした要請は通常の外交の一環として行うべきでしょう。

一方、議会は現行のNPT体制の修正の必要性を明言すべきだ、というのは、NPT体制外の核兵器国をどう扱うかという、現行NPT体制の根幹にかかわる問題を突きつけるものであり、2010年のNPT再検討会議でこの問題が議論されるかどうかが注目されます。

なお、米印原子力協定は、インドが承認しても、IAEAとSGAの承認にそれぞれ一定の時間がかかることから、必ずしもブッシュの在任中に成立しないかもしれません。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 14:54 | 中央・南アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
アフガン情勢 [2008年07月06日(Sun)]
ワシントン・ポスト7月6日付社説が、アフガン情勢の収拾がつかなくなっていることを指摘しています。

社説は、アフガニスタンでは、米軍とNATO軍が増強されて戦果を挙げている一方、タリバンの攻勢も益々激しくなる傾向がある。結局、国境を越えたパキスタンに過激勢力の聖地がある限り、米軍やNATO軍を増派しても、損害は拡大し、さらに増派の必要が生じて、こうしたサイクルが繰り返されることになる。このまま行けば、1−2年内に、米軍の規模も死傷者数も、アフガニスタンのそれがイラクを上回ることになろう、と言っています。

これはおそらく、アフガニスタンの現状についての極めて正確な指摘なのでしょう。将来の見通しとしては、パキスタンに聖域がある限り事態は解決されない、ということが国際常識となり、パキスタンもこれを認めざるを得なくなって、やがて、パキスタンのタリバン拠点に対して大規模な掃蕩作戦が行われることが、先ず考えられます。
 
ただ、パキスタン西部地帯は、峻険な山地と孤立した谷間が点在する、制圧困難な地であり、有史以来中央の統制に服したことがないため、果たして力による制圧が可能かどうか、全く未知数です。

とすれば、もう一つの解決策としては、カブールを中心とする地域の治安の安定と民生の向上に主力を注ぎ、タリバンについては、再び9.11のようなテロを遂行できないよう、反乱地域内に封じ込め、空爆などで力を殺いでいく作戦をとることが考えられます。

勿論、当面は、第1の解決を求めて増派と掃蕩作戦が続くでしょう。しかし、将来、NATOの内部事情によって増派を続けられなくなったとき、あるいは、現地の地形上、制圧は困難だと判明したときは、第2の解決策が浮上してくるかもしれません。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 14:52 | 中央・南アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
イラクの石油開発 [2008年07月05日(Sat)]
ウォール・ストリート・ジャーナル7月5日付社説が、イラク政府が始めた石油開発の動きについて論じています。

社説は、イラク政府が原油生産の60%拡大を決め、世界の石油会社35社に競争入札への参加を呼びかけた。しかし、チャック・シューマーら民主党上院議員たちは、石油法が成立する前にこうした契約は結ばれるべきではないとしてこれを批判し、イラク政府が契約に署名しないよう、米国が介入することをライス国務長官に要求した、と解説しています。

その上で、しかし、競争入札によってイラクの石油開発に外国の先端技術と資本が導入され、イラクの原油生産が拡大すれば、石油収入が増えて国家再建が可能になるし、世界的な原油供給も増えるのだから、シューマーらの反対は理解できない、と反論しています。

イラク政府による石油開発入札公募の報道を聞いて、イラク情勢はついにここまで改善されたのか、との感慨を禁じえません。イラクが石油を増産できる――それはつまり、増産を可能にさせる政治治安状況の改善があったということです――ようになれば、イラク問題は大きく前進することになります。また、このことは、イラク情勢に留まらず、石油価格など世界経済にも少なからず影響を与えるでしょう。

これは、5月のバスラ制圧によって石油輸出ルートの安全確保の目途がつき、さらに、昨年秋から米兵やイラクの民間人の死傷者が激減して、企業活動が可能になったおかげです。

このように、成功が目覚しいだけに、それを認めまいとして民主党側も抵抗するのでしょう。そして成功していない証拠として挙げたのが、増派作戦の際に成功のベンチマークの一つとされた石油法の未成立です。

背景情報が全くないため、イラク石油法がなぜ今も未成立なのかはわかりませんが、いずれにしても、米政府はともかく、イラク政府が未成立を棚上げして石油開発を進めると決めた以上、これを止めようという米民主党の主張は、内政干渉につながるものであり、イラク政府も聞く耳を持たないでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:02 | イラク | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
イスラエルによるイラン攻撃 [2008年07月03日(Thu)]
イスラエルによるイラン爆撃がしきりに噂される中で、ロサンジェルス・タイムズ7月3日付社説は、対イラン攻撃の非を説いています。

社説は、イスラエルがイランを爆撃するには、アメリカが制空権を握るイラク上空を通過しなければならず、しかも爆撃は一回では済まない。従って、イスラエルは「アメリカに黙って攻撃した」と弁明するわけにはいかないし、第一、イランは既に、アメリカによる攻撃もイスラエルによる攻撃も同じことだと宣言している。さらに、イランがヒズボラなどを使ってどこまで反撃してくるか予想がつかないのだから、アメリカはイスラエルの攻撃に暗黙の支持などを与えるべきではない。それよりも、成功するかどうかはわからないが、北朝鮮との対話は受諾したのだから、イランとも対話したらどうか、と言っています。

この社説は、米大統領選挙との関連から言えば、オバマの対イラン対話の支持ということになりますが、それとは別に、外交、軍事戦略論としても、イスラエルによるイラン攻撃の黙認に反対すべき論点をよく尽くしています。

ただ、イスラエルに言わせれば、そんな問題点はわかっているが、自分たちにとってはイスラエルという国家の生存が懸かっているのだ、ということになるでしょう。現に、イランが核武装すれば、イスラエル人の多くがアメリカに移住するだろうという説も聞こえてきます。

またアメリカとしては、現在、米イラク駐軍協定の交渉が行なわれていることから、最終的な方針はともかく、とりあえず、駐軍協定が成立する前に事態が紛糾することは何としても避けたいところでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:16 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
米露関係 [2008年07月01日(Tue)]
インターナショナル・ヘラルド・トリビューン7月1日付でニューヨーク大学のStephen F. Cohen教授が、米ロ関係の悪化は、ロシアの利益や感情等を軽視したアメリカの対ロ政策に主たる原因があるとして、その変更を求めています。

コーエンは、米ロ関係は、この20年間で最悪の状態にある。対決の前線がベルリンからロシア国境に移動したことやロシアの核兵器管理のずさんさを考えると、状況は冷戦時よりも危なくなっているかもしれない、

アメリカでは、こうなった原因はプーチンの反民主的な「ネオ帝国主義」にあるとされているが、これは、「冷戦の勝者」となったアメリカがロシアとの約束を破ってNATOを拡大し、バルト、ウクライナ、グルジア、中央アジア等ロシアの伝統的勢力圏に足を踏み入れたことへの反応だ。「包囲された」と感じたロシアは、アメリカへの譲歩は宥和ないし敗北と考えるようになった、と指摘し、

アメリカはロシアを主権と独自の国益をもつ強国として扱い、ウクライナに到達する前にNATO拡大を止めるべきだ。また欧州のMDも止めるか、ロシアと合意を達成すべきだ、と論じています。

コーエンのこの論説は、正しい指摘もありますが、米ロ関係の困難を主としてアメリカの対ロ政策の誤りに帰している点で、バランスを欠いています。

今のロシアを作ったのは、グルジアやウクライナの政変への対応に見られるような、プーチンの被害妄想的性質やKGB的体質であり、青年団体ナーシなどの活動はファシズムをさえ想起させます。

核大国ロシアの地政学的重要性は疑うべくもなく、ロシアとの関係は重視すべきですが、ロシアの対コソボ、グルジア、ウクライナ政策については、個々のメリット、デメリットを見て、対応を決めていくべきであり、従来の勢力圏を尊重せよと言うロシアの要求を受け入れる必要はありません。

またコーエンは、ウクライナへのNATO拡大に反対していますが、これはブカレストのNATO首脳会談で既に手続きを進めることで合意している事項であり、ロシアにはこの種の問題への拒否権はないと諦めさせるべきでしょう。

いずれにしても、ロシアが言わば先祖返りし、「力」を信奉する国となった主原因をアメリカの対ロ政策に求め、自己反省を促すことで、状況を変えられると考えるのは、少しピント外れです。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:30 | ロシア・東欧 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)