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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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米中共同経済戦略 [2008年06月30日(Mon)]
Foreign Affairs 7-8月号で米ピーターソン国際経済研究所のFred Bergstenが、中国は日本のように世界自由経済の中に統合されては行かず、国際的自由主義経済の良い所取りをしながら、自らは国家統制経済で経済利益を追求して行くだろう、それへの対策として、アメリカは中国と一対一で話し合い、言わばG2方式で世界経済を運営して行くべきだ、と提言しています。

バーグステンは、中国は通商、金融、エネルギー調達、さらには経済援助でも、国際的規範を無視してふるまっている。それに対し、アメリカはこれまでは中国に国際的基準の遵守を要求し、守らない場合はペナルティを課すやり方をとってきたが、中国の影響力と関与の範囲があまりにも大きくなった今はこのやり方は効果がない。それよりも世界経済のBig Twoとして米中が対話して世界経済を運営していくべきだ。中国が安全保障上、米中二国だけの接近を躊躇するなら、EUを加えたG3か、日本とサウジを含むG5でも良い、と論じています。

中国が世界自由経済の恩恵をフルに受けながら、自らは国家統制の下の重商主義で稼ぎまくっていることは、現在の世界経済の最大の問題です。と言って、世界中の経済が、中国の経済成長の恩恵を受けている現状では、これにブレーキをかけるわけにはいきません。バーグステンは、むしろ、こうしたジレンマを与件として受け容れて、中国は米国の言うことだけはまあまあ聞くのだから、米中対話によって世界経済を取り仕切ったらどうだ、と提案しているわけです。

この経済面における一種の米中共同覇権の考えは、政治、安全保障面と峻別されている限りは、特に反対すべきものではなく、むしろ、米中の交渉に際して、自由経済側の主張が通るよう、自由経済世界が結束して米国の背後に付くことになれば、有意義かもしれません。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:15 | その他 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
北朝鮮の核開発申告 [2008年06月27日(Fri)]
英フィナンシャル・タイムズ6月27日付社説は、北朝鮮は例のごとく最小限の秘密しか明かさず、アメリカが折れるのを待っている、申告を大きな外交成果と思い込まされてはならない、と警告しています。

社説は、申告には、アメリカが最も欲しい、ウラン濃縮活動や既に製造した核弾頭に関する情報はなく、既知のプルトニウムに関する情報等しか含まれていない。この程度のものに、ブッシュ政権が多大な政治的評価を与えるのは、末期を迎えたブッシュ政権が何でもいいから外交で成果を挙げたいからだ。北朝鮮と協議するのは良いが、これが大変な外交成果であるとか、北朝鮮は真剣に核兵器放棄を考えているなどと騙されてはならない、と論じています。

このように、フィナンシャル・タイムズは、ブッシュ大統領は確かに粘り強く交渉したが、それは政治的遺産を残したいがためであり、実際の申告の中身は薄い、と批判しています。

ブッシュ政権が北朝鮮政策を交渉・宥和路線に切り替えたのは、イラク情勢が今のように改善される前に、ライス国務長官が政治的遺産を求める大統領を説得したからだ、というのが定説になっています。しかし狙いはそれだけではなかったかもしれません。米国にとっては、北朝鮮よりイランの核開発の方が重大な問題であるのは間違いなく、そのイランの核開発状況を把握、阻止するには、北朝鮮がイランにどれだけの情報や物質を渡したかを知る必要があり、このことが北朝鮮との交渉のインセンティブとなった可能性はあります。

イスラエルによるイラン攻撃を懸念する声が大きくなってきた今、ブッシュ政権にとってイラン関連情報を得ることはますます緊急の課題となっていますが、それだけに、そのことを見透かした北朝鮮によって、アメリカが一層の譲歩を迫られることが懸念されます。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:13 | 東アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
日本の安全保障政策 [2008年06月26日(Thu)]
インターナショナル・ヘラルド・トリビューン6月26日付で、MIT国際研究センター所長のRichard J. Samuelsが、四川大地震の後、日本が被災地への自衛隊派遣を実行しなかったことを嘆いています。

サミュエルズは、極東の情勢は変化しているのに、日本は旧態依然であり、防衛問題で一向に積極的な姿勢を取ろうとしない。今回も、自衛隊の災害派遣という、過去の日中関係を一掃する絶好の機会を逃がしてしまった。日本が普通の国となり、米国依存を脱却しようとしているこのときに、日本の指導者たちはもう少し想像力と決断力をもって行動して欲しい、と論じています。

自衛隊空輸部隊の派遣が中止された詳しい背景は明らかにされていませんが、日本側に、それこそ想像力 (当面のゴタゴタへの配慮でなく、派遣が将来に及ぼす影響への洞察力)と決断力があれば、これは実現できる状況だったようです。そして、実施してみれば、一部からは批判があっても、結果としては大きな問題とならずに、長期的に良い影響をもたらしただろうと思われます。

サミュエルズは、特に保守派というわけではない、常識的な日本専門家ですが、これは、日本問題に何十年も携わってきたベテランとして、今更言っても始まらないものの、歯がゆくて堪らないというその心情を吐露した論説と言えます。

おそらくほとんどの日本専門家は、今更言っても始まらないと匙を投げており、中には、日本をあきらめて他の分野、特に中国に関心を移す人も少なくないと思われます。

そうした中で、あえて常識的な発言をしてくれるサミュエルズのような人は貴重です。そして、日本に好意的な学者をこのように挫折させ続けることは、決して日本の国益に資するものではないでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:08 | 日本 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
シリア=イスラエル接近 [2008年06月25日(Wed)]
ワシントン・ポスト6月25日付で、コラムニストのDavid Ignatiusが、最近噂されているシリアとイスラエルの接近について、その何が真実なのか、どのような経緯で始まったかについて、各方面に当たって収集した情報をまとめています。

それによると、2006年の夏以来、イランの手先であるヒズボラが強大化し、そのことをイスラエルとシリア双方が心配しだした。そこで、先ずシリアがトルコの仲介を示唆し、当初懐疑的だった米国も敢えてそれに反対せず、結局、イスラエルの軍の強い意向により、イスラエルもこのシリアの提案に従った、

その背景には、シリアが米、仏、サウジによる孤立化政策からの脱出を望んでいたこと、他方、イスラエルは元々シリアとイランをから引き離すことを切望していた、ということがある。シリアをイランから離反させるのは、簡単ではないが、シリアは世俗国家であり、イランの神権政府を信頼しているわけではない、

また昨年、イスラエルがシリアの核施設を爆撃する事件があったが、これはイスラエルには自信を与える一方、シリアも、事件についてアメリカとイスラエルが沈黙を守ってくれたことに感謝している。それに、このシリア政権が事件後も維持されたことで、イスラエルはシリアを交渉相手として信頼できると思うようになった、と解説しています。

これは、実態も見通しもはっきりしない、シリア=イスラエル交渉について、イグネイシャスが各方面を走り回って集めた情報に基づく分析です。彼も指摘するように、最終的には、ゴラン高原の帰趨が問題の中心となるでしょうが、そこに至る段階において、イランの支援の下のヒズボラの跳梁に対して、イスラエルだけでなく、シリアも快く思っていないこと、シリアはイランと心中する気はなく米欧世界との関係正常化を望んでいること、などシリアの微妙な政治的姿勢がよくわかる解説です。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:04 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
ロシアの対モンゴル政策 [2008年06月24日(Tue)]
アジア版ウォール・ストリート・ジャーナル6月24日付でAEIのMichael Auslinが、ロシアはユーラシア、特にモンゴルで影響力の強化を図っていると警鐘をならしています。

それによると、モンゴルに石油の90%以上を供給しているロシア国有石油会社が、この3ヶ月で2回20%ずつ値上げをした挙句、モンゴル国内の「石油生産」の権利をロシアにくれれば、「値下げ」をするとモンゴル政府に伝えた。またロシアはモンゴル国営鉄道と銅・金鉱山会社の株の49%を握っており、モンゴル経済を牛耳ろうとしている、

この傾向を放置しておくと、モンゴルは経済的にロシアの衛星国となり、さらに、ロシアが投資保護を名目にモンゴルに軍事的にも進出するようになるかもしれない。また、これが悪しき前例となって、中国がロシアのやり方を真似るようになるかもしれない、と指摘、

アメリカは経済的、戦略的脅威からモンゴルの民主主義、自由を守らなければならない、そのためには、@米=モンゴル通商関係を拡大し、両国の安保協力を強化する、Aロシアの強硬なやり方に反対する国際世論の喚起する、Bアジアの民主主義国とのパートナーシップを推進し、民主主義的な価値を広めるべきだ、と論じています。

ロシアは、エネルギー資源を使って、モンゴルだけでなく、ヨーロッパや中央アジアでも経済的、政治的影響力の強化を図っています。これは一種の重商主義政策ですが、中央アジアやモンゴルは、EUのような主体がないため、ロシアの圧力に対してより脆弱です。

モンゴルの安全保障上の外資規制がどうなっているのかはわかりませんが、石油や鉄道を外資に牛耳られるのは危険であり、それが国家資本主義のロシアや中国の外資である場合はなおさらです。

日本としては、外資導入は原則としてはよいが、安全保障を考慮した規制は必要であるとして、そのやり方をモンゴルに教示することも考えられるかもしれません。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:06 | ロシア・東欧 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
イスラエル軍事演習 [2008年06月23日(Mon)]
ウォール・ストリート・ジャーナル6月23日付社説は、イランの核開発に対して欧米が「宥和」政策を続けてきたため、イスラエルはイランの核施設を自ら攻撃するしかない局面に追い込まれつつある、と論じています。

社説は、最近、イスラエル軍が地中海沖900マイルで戦闘機等100機による大演習を行ったことが、米政府高官によって「リーク」されたが、同じ半径内にはイランの核施設があり、演習は明らかにイランを念頭に置いたものだった、と指摘した上で、

イランの核開発に対しては、イギリスが弱い制裁措置を取っただけで、ロシアはイランの原発建設への協力を、そして中国企業はイランへの投資を続けており、IAEAのエルバラダイ事務局長も数度にわたってイランの核脅威をダウンプレーした。加えてアメリカも、昨年12月の「国家情報報告」でイランは核兵器開発を停止していたと発表して、世論をミスリードした、

このような宥和政策がとられてきたため、イスラエルにはイランの核施設を自ら攻撃するしか選択肢がなくなってしまった、

しかしイスラエルがイランを攻撃すれば、昨年のシリア攻撃とは異なり、激しい戦闘が数日は続き、イランもヒズボラやハマスを使って反撃してくることになろう。その結果、1973年の第4次中東戦争時のように、中東の広い範囲が戦争状態になるかもしれない、と論じています。

実は、こうした「イスラエルによるイラン攻撃が差し迫る」式のニュースは、数年にわたって出てきており、事態が今特に差し迫っていると判断すべき材料はまだありません。

国際石油価格が上昇を続けていることも、サウジで行われた石油産出・消費国会議が低調に終わったことへの反応と思われます。また複数の米高官も、「イスラエルも軍事介入は不可避とまだ判断しておらず、軍事作戦が迫っているとは考えていない」との見方を示しています。それに、「米政府高官によるリーク」自体、イスラエルを牽制する目的があったのかもしれません。

ただ、汚職問題で追い込まれているオルメルト首相が、イラン攻撃に行動に活路を求める可能性はあります。そうなった場合、日本にとっては、イランが報復措置としてホルムズ海峡通航を妨害する挙に出るのかどうか、また洞爺湖サミットへの影響が深刻な問題となります。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 10:01 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
プーチンのロシア [2008年06月22日(Sun)]
ワシントン・ポスト6月22日付でJulia Latynina(インサイダー情報に明るいロシアの女性ジャーナリスト、母親は高名な作家)が、ロシアの公安・司法体制を批判しています。

ラティニナは、イスラム民族共和国のイングーシで、6歳の子供がテロリストとして当局に射殺されたことや、副首相の息子が交通事故で女性を殺しても罪に問われず、逆に彼女の息子が加害者を脅したとして告訴されたこと、また、麻薬で酩酊状態になって運転し、同乗の経済省次官を事故死させたと目される高級売春婦が告訴されなかったこと、さらにモスクワで少女が相次いで殺されても、警察がなかなか捜査の腰を上げようとしなかったこと等、実例を列挙し、

こうした無法状態や捜査当局の怠慢とシニシズムは、ソ連時代やエリツィン時代にはなかったもので、プーチン時代の特徴だ、西側では「プーチンがロシアの秩序を回復した」と思われているが、ロシアに秩序は戻っていない。また指導者たちは、自分たちがカネを持っていることで力があると錯覚している、と論じています。

実は、ロシアに関するこうした記事は米メディアでは珍しくなく、従って、アメリカ人のロシア観がこの記事によって大きく変わることはないでしょう。ただ、これまで国内で当局を批判してきたラティニナが、アメリカの有力紙に論説を出したのは、ロシア国内への反響を期待してのことと思われます。

論説は、ロシア当局の怠慢と腐敗を厳しく批判するだけでなく、その責任をプーチン大統領に帰しているところに大きな意味があります。ロシアでは、これは、上層部に庇護者を持つか、あるいは自らが諜報機関の手先でなければできないことです。

あるいはラティニナは、メドベジェフ大統領側に庇護されているかもしれず、今回の論説は、メドベジェフからプーチンに対して牽制効果を持つものかもしれません。内容的にも、法の支配と汚職撲滅を政策重点とするメドベジェフの意向に完全に一致しています。

注目のメドベジェフ大統領とプーチン首相の仲ですが、摩擦が表面化した例はまだありません。ただ、プーチンは、自らの地位が下がりつつあると感知して、焦り始めたように思われます。またオイル・マネーはロシアに繁栄と安定をもたらした一方(ラティニナの主張に反し、モスクワの治安は格段に改善されました)、インフレを昂進させ、ロシア社会には不満が高まっています。ロシア政府にとってはこれが第一の課題でしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:14 | ロシア・東欧 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
イラクの石油 [2008年06月22日(Sun)]
ニューヨーク・タイムズ6月22日社説は、西側の大手石油会社が軒並みイラクの石油産業に参入しようとしていることを取上げ、これを無批判に認めるのは問題だ、と論じています。

社説は、イラク石油省が、競争入札によらずに、エクソン・モビル、シェル、トタール、BP、シェブロン等の外国石油会社に契約を与えようとしているが、イラク政府には腐敗の問題があり、それに何よりも、石油法が採択されていない中で、契約が結ばれるのは問題だ。こうしたやり方は、アメリカにとってイラク戦争の真の目的は石油にあったとのアラブの疑念を強めかねず、またイラク国内の諸勢力間の不信感にもつながる、と指摘しています。

その上で、アメリカと関係石油会社は、石油法を採択し、それに基づいて石油資源の管理規則を出来るだけ透明にするよう、イラクに働きかけるべきだ。さもないと、石油は、宗派・民族対立に加えて、イラクを引き裂くもう一つの要因になりかねない、と論じています。

社説は、石油利権に関し公正な競争を行なうべきだと論じていますが、率直に言って、これは理想論にすぎないと思われます。むしろ、石油利権に政治的な考慮が入るのは普通のことでしょう。イラクの復興やグローバルな石油価格高騰のことを考えれば、イラクの石油増産は大いに歓迎できることであり、細かいことを取り上げてこうした動きにブレーキをかけるのはよくありません。

なお、石油収入の分配と石油の増産は、別の問題です。増産そのものは、必ずしも諸勢力間の対立を呼び起こすものではなく、対立は、分配の不公平や不公平感から起こるものです。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:13 | イラク | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
日中ガス田合意歓迎 [2008年06月20日(Fri)]
アジア版ウォール・ストリート・ジャーナル6月20日付社説は、東シナ海ガス田に関する日中合意を歓迎しています。

社説は、問題のガス田の生産量は微々たるものであるし、今回の合意で領有問題が解決されたわけではない。しかし、中国は最近、近隣諸国との関係改善に努めだしており、その一環として、この問題でも、境界問題を棚上げにして、日中両国関係を改善した。これは、中国のイメージ改善にも役立つだろう、と賞賛し、今後の地域の雰囲気改善に期待しています。

どこにも留保の無い、歓迎一色の社説ですが、確かに今回の交渉は成功だったと言えるでしょう。これは、安倍内閣による国交正常化以来の一貫した方針が実ったものです。

日中の間では、安倍総理が訪中したことで、次は胡錦濤の訪日を待つだけとなりましたが、その間、日本は一貫して、日中間の最も危険な問題は東シナ海問題であり、これを解決する意志がなければ、中国側には日中関係改善の意志は無いと考えざるを得ず、胡錦濤の訪日がその試金石になる、という立場を維持してきました。つまり、何らかの解決が必要条件だとして中国側を外交的に追い詰めていたのです。

今回の決着が、中国にとってかなり苦渋の決断であったことは、首脳会談の成果としてすぐに発表されなかったことや、決着後、中国国内のネットに激しい批判が現われたのを見てもわかります。

勿論、決着の実質的内容は、社説も指摘するように、微々たるものであり、尖閣付近や韓国に近い領域にも触れていません。しかし、ほんの一部であっても、「領土問題の棚上げ」に合意したことの意味は、非常に大きいものです。

なぜなら領土問題というのは、当事国双方が一歩も引けない、正面からぶつかればいかなる妥協も成立しないものだからであり、それを避ける前例を作ったのは、大きな成果です。
         
また、今回の中国側の譲歩は、オリンピック前という特殊事情はあったかもしれませんが、胡錦濤政権にある程度柔軟性があることの証左とも解せます。もしそうであるなら、今後の日中関係、あるいは中国の対外政策全般にある程度期待が持てることになります。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 14:32 | 東アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
イラク出口戦略 [2008年06月19日(Thu)]
ワシントン・ポスト6月19日付でコラムニストのDavid Ignatiusがイラク戦略の将来について、David Kilcullen の意見を聴取して記事にしています。

キルカレンは、博士号を持つ豪州軍の反ゲリラ対策専門家であり、ペトレイアスの高級顧問として増派作戦の立案や現地における実施に参画し、ペトレイアスの信任が篤かったと言われる人物です。

キルカレンの主張は、増派作戦で生まれた余裕をどう活用すべきかにあり、彼の意見は、今のような大部隊を維持することは、アメリカにとって経済的負担が大き過ぎる上に、イラクの主権を侵害するものとして、イラク人の反発も買うので、米軍はゲリラ対策と現地軍の教育訓練に目的を絞り、表向きは兵力削減を行いつつ、実質はゲリラに対する破壊工作中心で行くべきだ、ということです。

これは、米軍駐留協定交渉と将来の兵力削減を視野に入れて、米国の長期戦略を論じたものであり、駐留米軍は、表向きはイラク軍の教育訓練を主体とし、それに加えてゲリラ対策の特殊部隊を配備すべきだ、と言っています。つまり、特殊部隊はそもそも秘密部隊であり、外部に詳しく公表すべき存在ではないので、人目に立たず、イラク人のナショナリズムを刺激することもない、というわけです。増派作戦を成功させたキルカレンの実績もあり、米軍内では傾聴すべき意見として扱われているのではないかと思われます。

なお、いつものことですが、地位の上下を問わず、真に影響力があり、洞察力のある人物に着眼して、その意見を正確に理解して報道するイグネイシャスのスタイルには感服させられます。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:22 | イラク | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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