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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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チベット弾圧とオリンピック [2008年03月30日(Sun)]
チベット弾圧を巡り、EUでは中国に対する厳しい態度が目立ってきました。欧州議会はボイコット検討を訴え、新聞等も盛んに批判記事を載せています。

そうした中で、イギリスのサンデー・タイムズ3月30日付で、保守党のポルティーロ元大臣(同紙論説員でもある)が中国政府を批判しています。

それによると、ポルティーロは、ナチス賛歌になるはずだった1936年ベルリンオリンピックで、アメリカの黒人選手が金メダルを4つ取ってヒットラーを怒らせたように、北京オリンピックでも主催者の意図と違うことが起き始めた。NGOや一般市民、ハリウッドなどが民主主義国の政治家を動かし、英首相がダライ・ラマを会うことを決めた。またスピルバーグも中国のダルフール政策に反対して芸術顧問を辞任するなど、オリンピックを巡る環境はすっかり変わってしまった。 

中国は、民主主義国の政治家たちは中国との契約が欲しいので、ダルフールやチベットのためにオリンピックに水をさすことはないと考えたのだろうが、彼らが、契約よりさらにセレブやメディアに弱いことに気付かなかったらしい、と言っています。

サンデー・タイムズ紙によれば、この論説に対して中国人民日報は、ポルティーロの「偏見や知性の低さ」、「他人への尊敬のなさ」を攻撃する記事を載せ、さらに英文では、「あいつらの人種差別を忘れるな」、「次に白人を見かけたらつばを吐き、消えうせろと言え」、中国が、保有する核兵器を増やして「準備ができたら、あの畜生たちに思い知らせてやる」等、相当激しい反白人、反米の文章を載せたそうです。

ポルティーロが指摘するように、西側の政治家は大変なプレッシャーを受けており、このまま反中の機運が高まれば、EUの中には開会式をボイコットする国も出てくるでしょう。

一方、ブッシュ大統領の支持基盤であるエバンジェリカルはダルフール問題等に深く関わっており、ブッシュ夫人もスーチー女史の解放に努めていますが、ダルフール活動グループの中でもボイコットに関しては意見が分かれることや、ブッシュ大統領は再選を心配する必要がないことから、よほどのことがない限り、アメリカが開会式をボイコットすることはないでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 14:38 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
台湾国家承認論 [2008年03月29日(Sat)]
ロサンジェルス・タイムズ3月29日付で、John R. Bolton元米国連大使が、米国は今こそ台湾の国家承認を行うべきだ、と主張しています。

それによると、ボルトンは、台湾の人々が中国との統一を欲していないのは明白であるし、米国が今のような曖昧な政策を続けて中国に誤った期待を持たせないためにも、はっきり外交的承認をした方が良い。外交的承認は、元々混乱している「一つの中国」原則に反するわけではないし、また、東西ドイツの例を見ても将来の統一を妨げるものではない。中国はそれを喜ばないだろうが、結局は受け容れるしかないだろう、と論じています。

今回の台湾総統選挙の結果を受けて、中国が統一への誤った期待を持たないようにすべきだ、という主張は李登輝も表明していますが、ボルトンは更に進めて、アメリカが外交的承認をしてしまえば、そうした誤った期待は払拭できる、と言っているわけです。

ボルトンが予測するように、馬英九が統一に前向きの姿勢を示さない場合、中国は困難な政策選択肢に直面することになります。

つまり、中国が、国民党の取り込みという、従来の政策を継続させようとすれば、和平協定交渉などを通じて、事実上「二つの中国」を認める事になりますし、逆に、「一つの中国」原則を厳しく適用し、馬英九の米国訪問などに反対したりすれば、せっかく抱き込んだ国民党と敵対することになってしまいます。

結局中国は当面、従来の国民党の原則である「将来の統一」を馬英九が維持するのを期待するほかないと思われます。その間、次、または次の次の総統選まで現状維持が続くのが、台湾海峡の安定にとって望ましい一つの形でしょう。中国が性急に統一の実現を焦らないことを望みたいものです。

しかし中国で強硬派の意見が通り、今がチャンスとばかり武力行使やその脅しによって統一を達成しようとした場合、米国の態度が最大の決め手となるのはこれまでと同じであり、その米国の態度を事前に明らかにしておく意味で、ボルトンの提案は有効です。

いずれにしても、ボルトンの提案は、民主台湾の現状維持を確保しようという意図から出た一つの案として評価すべきでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:38 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
豪州の対日政策批判 [2008年03月28日(Fri)]
The Australian3月28日付で、豪グリフィス大学のTom ConleyとMichael Heazleがラッド首相のジャパン・パッシングを批判しています。

それによると、両名は、ラッド首相は捕鯨問題で政策を転換し、これを豪日関係の争点とする一方、中国の人権問題は取り上げようとせず、チベットについても公然と中国を批判しようとしない。さらには、世界周訪で中国は訪問する一方、日本は訪問先からはずしてしまった。

中国は勿論重要であるが、日本の経済は中国とインドを合わせたより大きく、豪州にとって最大の輸出市場であり、日本からの投資は米英に次ぐ。日本は外交と経済の両方で、豪州の最も信頼できる地域パートナーであり、また日本は中国と違い、豪州がアジアの通商、安全保障で重要な役割を果たすことを常に支持してきた。

豪日関係が良好だからといって、それを当たり前と思ってはいけない。豪州がジャパン・パッシングをやって、はたして日本はオーストラリアの提唱するAPECフォーラム結成を支持してくれるだろうか。いま必要なのは豪米中の関係と並ぶ豪日中のバランスのとれた一貫性ある関係だろう。下手をすると、豪州は調子の良いときだけ近づいてくる国、と見られることになってしまう、と論じています。

豪州にとって日本がいかに重要かを丁寧に説明し、ラッド首相の機会主義的政策を批判しています。同感であり、豪州にこういう人たちがいるのは、非常にありがたいことです。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:42 | 豪州 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
アメリカの対ロ政策 [2008年03月24日(Mon)]
ウォール・ストリート・ジャーナル3月24日付で、Joseph R. Biden Jr.米民主党上院議員がアメリカの対ロ政策について論じています。

それによると、バイデンは、米ロ関係は冷戦後最悪の状態にある。プーチンは冷戦的なゼロ・サム・メンタリティから西側不信を煽り、隣国を脅している。他方、ブッシュ政権も、せっかくモスクワが軍備管理条約の延長を提案したのに、それを拒否するなど、真剣なロシア政策を持とうとしなかった。結局、米ロ双方がお互いに相手に何を期待しているのか判らず、それが不信につながっている。米は欧州と共に取り組むべき課題を明確にすべきだ。

その最優先事項は、イラン対策を含む核不拡散と軍備管理だろう。欧州通常兵力削減と戦略兵器削減条約が失効しようとしているが、これは米ロ双方にとって大失敗になる。また、ロシアはエストニアやグルジアの政府を崩壊させようとしているが、アメリカはこれらの国が主権を確保して民主主義国となれるよう、ロシアと話し合うべきだ。さらに、ロシア自身による効果的で説明責任のある統治も促すべきだ。ロシアがアメリカを破壊できる核戦力を持っている以上、これは内戦干渉ではなく、正統な懸念だ。要するに、アメリカは、対ロ政策を再定義すべきときに来ている、と言っています。

バイデンは、対ロ関係の再定義と言っていますが、その内容は、今のブッシュ政権の対ロ政策とさほど変わらないように思えます。ロシアは、冷戦後民主化した後、先祖返りして西側に敵対的になったものの、ソ連時代のように徹底した反西側ではないため、距離のとり方が難しくなっています。バイデンにはそれが何ともあいまいな関係に見えるということなのでしょう。

対ロ関係はまだ過渡的な状況にあるので、当面は、各案件のメリット・デメリットを考えて対応する是々非々主義をとり、ただし、ロシアの勢力圏的発想は否定するという、基本を踏まえた対応をしていくしかないのではないかと思われます。



Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:50 | ロシア・東欧 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
チベット問題対策 [2008年03月23日(Sun)]
インターナショナル・ヘラルド・トリビューン3月23日付で、Malcolm Rifkind元英外相がチベット問題の解決策について論じています。

それによると、リフキンドは、中国には、香港やマカオ等、独自の経済、政治、文化的制度を持ち、繁栄と多元性を確保している地域があるが、中国は、チベットについては、そうした扱いをする必要を認めず、ダライラマを否定し、チベットへの漢民族大量移住政策をとってきた。

しかし今や中国は、この政策が失敗したことを認めるべきだ。ダライラマはチベット人の指導者であるに留まらず、アジアのマンデラとして広く自由のシンボルになっている。また、携帯電話やインターネットの普及で、チベットを外部世界から遮断するのは困難になっている。

北京にとって選択肢は、弾圧の継続か、政治的文化的自由を認める改革かだが、弾圧はコストが高すぎ、かつ問題を解決しないので、改革ということになる。そして中国にとって自治チベットを受け入れるのはさほど困難ではないだろう。ダライラマも独立は要求していないし、大多数のチベット人は自治を与えられれば歓迎するだろう。

また今の中国は、植民地帝国的と見られており、だからこそ中国の超大国化に不安が持たれているが、チベットで改革路線をとれば、そうした恐れも沈静化するだろう、と言っています。

リフキンドは、チベットに独立を諦めさせる一方、香港やマカオと同じ文化的政治的自治を認めるべきだ、それが中国の利益になるし、これは中国にとっても受け入れ可能な解決策だろう、と言っていますが、これは疑問です。

なぜなら、香港、マカオの住民は中国人ですが、チベット人は別民族であり、さらに、近代化を目指す党として、中国共産党はチベットの旧体制を打破すべきものと見ているだろうからです。遅れた民族の善導という文化的優越心は帝国主義の心理的支柱ですが、これは中国とチベットの関係にも当てはまるように思われます。

そして人は文化破壊に対しては――特に宗教的背景がある場合は――強く抵抗するものです。その意味でチベット問題は簡単には解決せず、今後も中国の帝国主義的特性を明らかにしていく役割を果すものと思われます。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:39 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
パキスタン情勢 [2008年03月21日(Fri)]
ワシントン・ポスト3月21日付で、最近パキスタンを訪問した元米国連大使のRichard Holbrookeが、米国のとるべきパキスタン政策について論じています。

ホルブルックは、パキスタンでは先日の選挙でパキスタン人民党とパキスタン・イスラム教徒連盟が勝利したことで、10年にわたる軍事政権が終わり、民主的プロセスが回復して新たなムードが生まれている。他方、ムシャラフ大統領派は、20%以下の議席しか獲得できず、国軍もこの状況を見てとりあえず政治介入を止めることにしたため、全く力を失った。また、イスラム主義諸政党が4パーセントしか得票できず、惨敗したことも注目される。

ただ、アフガニスタンとの国境地帯ではタリバン等が勢力を強め、米軍とNATO部隊への脅威となっている。この地域の平定には、大規模な治安、開発計画が必要だが、現行の年1.5億ドルの援助ではまったく足りず、国境警備隊もわずか5万しかいない。援助の拡大と国境警備隊の充実が必要だ。

しかし、国境地域のタリバン勢力拡大を見て、パキスタン全体がいまにも破綻しそうだと考えるのは大きな誤りだ。これまで米国はパキスタンに対して混乱したシグナルを送ってきたが、今や「民主主義、和解、国軍の政治不関与、国境地域における新しい政策、そしてもっと民主主義を」というはっきりとした一貫性のあるメッセージを送るべきだ、と言っています。

国境地帯のタリバン等イスラム主義勢力平定のために国境警備隊の再編充実をはじめとして、大規模な治安、開発計画が必要だ、というのはその通りでしょう。しかし、こうした計画の策定と実施については、タリバンを含むイスラム主義勢力、軍閥、国軍情報部の動向、アフガニスタンからの難民やアヘンの生産と密売に絡むマフィアの問題等、きわめて錯綜した状況を正確に理解しておく必要があります。

またパキスタンの歴史を見れば、民主主義の将来をあまり楽観はできないでしょう。「もっと民主主義を」がはたしてパキスタン再建の適切な処方箋なのか、疑問があります。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:34 | 中央・南アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
トルコの民主主義の危機 [2008年03月21日(Fri)]
ニューヨーク・タイムズ3月21日付社説は、トルコで先週、検察庁が与党の公正発展党の活動停止を求めて憲法裁判所に提訴したことを取上げています。

社説は、提訴のきっかけは、同党が今年になって、イスラム教女性信者による大学構内でのヘッドスカーフ着用を認めるなど、「反世俗的」な姿勢を示したことにあるが、その根本には、トルコの中で国の現状と将来をめぐって大きく意見が対立しているという状況がある。

司法、検察、国軍等のエスタブリッシュメントは、自らをケマル・アタチュルクの世俗主義の継承者とみなし、イスラム主義政党である公正発展党を敵視している。この対立の中で、現状維持志向のエスタブリッシュメントは、「世俗主義」、「トルコ人らしさ」といったあいまいな概念で規定されたイデオロギー的な法律を使って、一部の政党や知識人たちを提訴してきた。憲法裁判所は、今回の提訴を認めるべきではないし、議会で多数を占める公正発展党は、こうした法律を撤廃すべきだ。また、他の議会政党はこうした動きを支持すべきだ、と言っています。

社説は、公正発展党を、「トルコの多数を占めるイスラムの信仰に根ざした近代的な西欧志向の民主的政党」と形容していますが、同党がどれほど西欧志向であるかについては疑問がないわけではありません。しかし、世界的なイスラム復興のうねりは止めようがないものであり、そうした中で、イスラム的近代のあり方、民主制と整合するイスラム主義政党のあり方を模索するトルコの実験には大きな意義があります。

公正発展党が活動停止となり、この実験が失敗すれば、トルコにおいて議会主義的イスラム主義の説得性は大きく失われてしまう危険があります。その意味でニューヨーク・タイムズの指摘は、的を射ていると言えます。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:17 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
中国チベット弾圧 [2008年03月18日(Tue)]
ワシントン・ポスト3月18日付で、コラムニストのAnne Applebaumがチベット騒乱について論じています。

アップルバウムは、中国はかつてのオーストリア・ハンガリー帝国のようなものだ。内にチベット、新疆を擁し、周辺部にはミャンマー、北朝鮮を従える。そのチベットでは、胡錦涛が1988年以来始めた同化政策――ダライ・ラマの言う文化的ジェノサイド――で漢民族が大量に植民された。今回の騒乱は、中国当局が言うような単なる破壊行為ではなく、ダライ・ラマ否定につながる法案に抗議した僧侶達のデモから自然発生的に反中デモに発展したものだ。フランス第4共和制がアルジェリア騒乱によって倒れた例もあり、中国指導部は事態を非常に懸念しているはずだ、と言っています。

歴史的に清帝国は、女真族がモンゴルや当時強国だったチベットと同盟することで建国が可能になったもので、中国史上最大の版図を確保しました。現在の中国は、その版図を漢民族が継承したものであり、それだけに、チベットは台湾と同様、中国にとって国の統一に関わる最重要問題です。

今回の騒乱が、胡錦涛訪日や北京オリンピックの前に起きていることから、早期に鎮静しなければ、非常に大きな意味を持ちえます。アップルバウムは、対中制裁やオリンピック・ボイコットには一切言及していませんが、今後米国のNGOや議会がいかなる動きに出るかはまだわかりません。制裁ともなれば、@中露関係の強化、A中印関係の停滞(インドはダライ・ラマを保護している)、B中国経済停滞、C米国経済への一層の波乱要因となる可能性もあります。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:49 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
米中関係 [2008年03月18日(Tue)]
Thomas J. Christensen国務省アジア太平洋局国務次官補代理が、3月18日に議会の中国経済安全保障調査委員会で米中関係について証言しています。

クリステンセンは、アメリカが中国とのオープンで建設的な戦略的関与を求めていくことと、米国がアジアで強固なプレゼンスを維持することは矛盾しないと述べ、アメリカが宥和と毅然たる姿勢を示すことは、中国政府内の「外向きの視野を持つ穏健派」が対外強硬派に勝利する助けになる、と言っています。

さらに、台湾についても、国民投票反対の規定路線ははっきり表明しつつも、台湾の民主主義を支持し、台湾関係法の下の義務を守ると言っています。そして、中国の中も一枚岩ではなく、対米関係の重要性をよく認識している人々も存在する、と指摘しています。

その上で、しかし、今の米主導の国際秩序から利益を得ているにも関わらず、中国が将来、その増大する軍事力と政治的、経済的影響力を使って既存の秩序を弱体化させ、米国の国益を著しく損ねる可能性は十分あり、米国はこうした事態に対しても備えなければならない、と言っています。

クリステンセンは国務省の公式見解を忠実に守っており、特に新しい論点はありませんが、全体に、中国に対する慎重な、あるいは強硬な姿勢が感じ取られる証言です。

米政府内部で、何か中国に対する警戒心が高まっていることを感じさせられます。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:47 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
米朝交渉の失敗? [2008年03月17日(Mon)]
ウォール・ストリート・ジャーナル3月17日付でJohn R. Bolton元米国国連大使が、ブッシュ政権も米朝交渉が失敗だったことを分かって来たようだが、もしそうであるなら、失敗した政策を次の政権に引き継ぐようなことをせず、けじめをつけるべきだ、と言っています。

ボルトンは、その方法として、まず、北朝鮮が約束を再々破ってきたことをはっきり非難し、六カ国協議を中断して、北朝鮮抜きの五カ国協議を開き、中国に圧力を加える、さらに、韓国によるPSI参加を求め、北朝鮮への経済制裁を強化する、そして、北朝鮮崩壊に備えて人道的援助の準備をすることだ、と主張しています。

米朝交渉が失敗したことはほとんど確実のように見えますが、ブッシュ政権がこれを認めるかどうかは、ボルトンも言うように定かではありません。

もし失敗を認めないとすれば、残る選択肢は、米朝協議にはまだ望みがあると言い続けて、懸案のまま次の政権に引き継ぐということでしょう。これで責任問題は避けられますが、これは、ボルトンも言うように、北朝鮮が引き続き中韓からの援助を得て核開発を進める時間を与える、ということになります。

ミサイル・核実験を行なった北朝鮮は、国際制裁を受けて追い詰められていたのに、制裁が十分効果を発揮するのを待たずに急いで果実を収穫しようとして失敗したのが国務省の政策だった、と言えますが、ボルトンは、その政策をやめて、その前の状態に戻すことを主張しています。

その失敗を認めるか、糊塗したまま次政権に引き継ぐかはブッシュ政権の政治的決定の問題であり、日本がとやかく言うべきことではありません。ただ日本としては、北朝鮮が核保有国となったという現実を認め、日米同盟強化とミサイル防衛強化の必要が増す、ということです。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:23 | 東アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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