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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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プーチン神話の否定 [2007年12月26日(Wed)]
スタンフォード大学のMichael McFaulとKathryn Stoner-Weissが、フォーリン・アフェア−ズ誌1-2月号で、「プーチンは民主主義を抑圧したが、ロシアに安定と繁栄をもたらした」との通説を否定しています。

両名は、今のロシアの経済成長はプーチンの専制主義によって実現されたわけではなく、石油価格の高騰と、共産主義崩壊から移行期を経て復興の時期にたまたま当たっているためだ。

しかも、ロシアでは確かに失業率は減り、給与や年金は支払われるようになり、人々の暮らしはよくなったが、反面、安全、保健、腐敗、財産権保障は10年前より悪化している。つまりテロや殺人事件が増え、人口減少が酷くなり、アルコール消費量が増え、平均寿命も男59歳、女72歳に低下している。また経済面でも、実はロシアの経済競争力、ビジネス環境、透明性、腐敗に関する国際的評価はすべて落ちている。要するに、諸データは、プーチンの専制主義が秩序ある有能な国家が作り出した、との説を裏付けていない。

今後、エネルギー価格高騰でロシアの経済成長は続くだろうが、専制的政治はこれに寄与するよりも、長期的には阻害するだろう。ロシアは中国路線を目指しているが、実際は、石油に依存したアンゴラのようになる可能性がある、と論じています。

この論説は、ロシア経済は今うまくいっているが、それは専制主義ゆえではなく、専制主義にも関わらずそうなっている、民主主義が生き残っていれば、もっと良くなっていた、としてプーチンの権威主義を正当化する議論を正面から批判したものです。

勿論、両名の主張は歴史のifであって、検証の機会は永遠に来ませんが、思考実験として考えると、その指摘は正しいのではないかと思われます。腐敗や財産権保障の弱体化は投資を促進しませんし、エネルギー部門などの国有化が効率化につながるとは思えません。開発独裁が有効である範囲、時期は限定的でしょう。

それにしても、人は自分の状況を時系列的には評価しても、他国との比較で評価することはあまりなく、ロシア人も90年代の自分と今の自分を比較して満足し、プーチンを支持しているのでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:12 | ロシア・東欧 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
タイ総選挙 [2007年12月25日(Tue)]
タイで総選挙が行なわれたことを受けて、ワシントン・ポスト12月25日付が社説を載せています。

社説は、軍がタクシン政権を転覆した後、総選挙によって、結局、タクシンの後継政党が多数を占めることになった。軍は再度介入したいかもしれないが、今回の経験から学んでもう引っ込むべきだ、と民主主義の原則論の上に立った主張をしています。

しかし社説は原則論だけでなく、なかなか鋭い状況分析もしており、バンコックのエリートたちがタクシンに反発したのは、彼が人権を無視したからではなく、ポピュリズムによってエリートの影響力を奪ったからだ。しかしタクシンが利用した社会的亀裂は、クーデター後にさらに拡大しているので、タイの将来は良くても不確かだろう、と予見しています。

アメリカ民主主義の原理を無条件で押し付けることは、特に、タイのような独自の政治的伝統のある国に対しては、しばしば情勢判断の誤りを招くことになります。

しかし、タクシン政治に関する上記の分析はおそらく正しいと思われます。国王、エリート集団の軍や警察、そして都市のブルジョア・インテリ階級間のバランスの上に立った穏健常識的な政治を伝統としてきたタイで、地方の貧農を中心とする新しい政治勢力が出現する、という未だかつて無い事態が現われたのですから、先のことは誰にもわからなくなりました。

例えて言えば、保守党と自由党のバランスの上に立っていた19世紀イギリス政治に新たに労働党が参加してきたような状況と言えるかもしれません。そうだとすると、内外の圧力や工作によって無産農民勢力が分裂、勢力を弱めてしまう以外は、タイは、最悪の場合はロシアのような労農革命、最善の場合はイギリスのような保守と労働の二大政党制となるかもしれません。タイ人の政治的叡智と軍の力には確固たるものがありますから、タイが後者の道を進むことを望みたいものです。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:17 | 東アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
中国の民主化の将来 [2007年12月25日(Tue)]
元ゴールドマン・サックス社長で、現ブルッキングス研究所理事長、そして青華大学の教授でもあるJohn L. Thorntonが、フォーリン・アフェアーズ誌1-2月号で中国の民主化の将来を論じています。

内容は、2006年に温家宝がブルッキングス訪中団に与えた中国民主化の定義である、選挙、司法の独立、そしてチェック・アンド・バランスによる監視の三つについての分析ですが、政策的意図も政治的偏見も感じさせない客観的なものです。
 
ソーントンは、それぞれについて、汚職、人間関係、党政府の介入がいかにその進展の障碍となってきたかを分析した上で、それにもかかわらず、過去20年間で中国社会がいかに変貌して来たか、即ち、大量の農民が都市に流入して都市の自由を得たこと、政治的言論が自由となったこと、全人代も老人の隠居所ではなく、活発な討議の場となったこと、国営企業でも経営能率の必要から透明性と法治性が増していることなど、法制面よりも社会全体が変貌してきていることを指摘し、もはや民主化は上からの命令でなく、社会の必然性となってきた、と観察しています。

しかしその進展の速度となると、決して楽観的でなく、「5年以内と言う者はいない。10年から15年、あるいは30年から35年と言う者はいるが、60年かかると言う者はいない」という中国要人の言葉を引用しています。

おそらく状況はソーントンの分析通りなのでしょう。これを政策論、国家戦略論の対象となる5年-10年の期間で考えると、中国は変わらない、ということになります。たとえ2012年には総書記が選挙で選出されたとしても、選ぶ側の中央委員会自体は普通選挙で選出されるわけではなく、結局は選出された総書記が一党独裁の権力を振るうことになるでしょう。

分析が公平客観的であるだけに、現時点において、中国の民主化を国際政治の一要素として国際戦略を論じることの非現実性と不毛さを改めて感じさせられます。
 

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:11 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
ブッシュ外交安保政策を採点 [2007年12月21日(Fri)]
ワシントン・ポスト12月21日付でコラムニストのCharles Krauthammerが、任期残り少ないブッシュの外交を採点し、ブッシュが悪の枢軸と呼んだイラク、イラン、北朝鮮の中で、イラクは成功、イランは失敗、北朝鮮は引き分けと評しています。

クラウトハマーは、イラン問題は、NIEによって水をさされてしまい、そのダメージを修復しつつ次政権に委ねることになり、北朝鮮は、施設の無能力化までは行ったが、核兵器全廃まで行く可能性は少ないのに対し イラクは、サダム・フセインの排除に成功し、優れた軍司令官(つまりペトレイアス)を見出すのに3年かかったものの、現在は勝つ可能性が見えてきた。イラクに米国が恒久的な基地を持てれば、それは中東への抑さえとなるだろう、と言っています。

イラク戦の当初から、米国の戦争遂行者の夢は、イラクを米軍の恒久基地を置く同盟国にして、それを中東政策の要とすることでした。それに対しては、当然、ロシアや西欧諸国からの嫉視があり、またアラブ主義の反発もありましたが、今となっては、イラクの安全のためには、米軍の完全撤退が非現実的であることは否定し難く、少なくとも空軍基地の維持の必要は認めざるを得ないでしょう。

またヨーロッパが最も警戒したのは、豊かな資源を持つイラクの開発をアメリカが独占してしまうことでしたが、4年間血を流した後では、アメリカと優先権を争う者はいなくなりました。また、今後も米軍の庇護なしではどんなビジネス活動もできないのが実情でしょう。その意味で、アメリカは当初の期待以上の成果を収めつつあると言えます。

もっとも中間選挙後のアメリカの世論の主流は、イラク戦争は初めから誤算であり、失敗だったことが民意で確認されたというものであり、成功と認めているのは、わずかにクラウトハマーのような保守派だけです。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:32 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
日豪安保協力宣言の今後 [2007年12月18日(Tue)]
豪州の日豪関係研究の専門家、Peter Drysdaleオーストラリア国立大学名誉教授らが、ANU Reporter 2007号で日豪安保協力宣言について論じています。
 
ドライスデールらは、日豪安保協力共同宣言の意義を高く評価し、これは豪州の北東アジア政策の転機となるものだ、と言っています。

そして豪州は今、地域的共同体の建設か中国包囲網の構築かの岐路に立っており、現(ハワード)内閣は両立すると言っているが、国際情勢の流れからそうは行かないだろう。勿論、日豪安保協力宣言は後者であり、前者に該当するのがAPECだ、と述べた後、

しかし、日本の政情、豪州の選挙結果、さらに中国の影響力拡大で、日豪安保協力宣言の効果は長続きしないかもしれない、つまり、豪州の労働党政権と米国の民主党政権は、多数国間安全保障や対中協調の方に関心を持つ可能性が高く、こうした情勢では、日豪安保協力宣言はまもなく「一場の夢」となってしまうかもしれない、と結んでいます。

書き出しで日豪の戦後60年の歴史を振り返り、日豪安保共同宣言の意義を強調しながら、結論では、それはやがて消え去るかもしれない、と言っている竜頭蛇尾の論説です。これは、安倍政権が昨年登場し、新しい日本の外交安保戦略に注目して書き始めたところが、情勢が激変してしまったために、竜頭蛇尾にならざるを得なかったということでしょう。

戦後60年を経て、ようやく始まったばかりの日豪安保協力が、早くも忘れ去られようとしているのは痛恨事です。しかし、まだ先のことはわかりません。中国の軍事的脅威は、北京オリンピックや万博後はますます拡大するでしょうから、この共同宣言がやがてまた重視される時代が来るのに備えて、枠組みを温存し、宣言の中にある定期的意見交換や軍事交流を淡々と進めていくことが肝要でしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 17:06 | 豪州 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
ゲーツ国防長官を高く評価 [2007年12月16日(Sun)]
ワシントン・ポスト12月16日付で、コラムニストJim Hoaglandがゲーツ国防長官を高く評価しています。

ホーグランドは、ゲーツはCIA長官だったパパ・ブッシュ時代はタカ派の代表だったが、今や「理性的で安定した政策意見の持ち主」としてブッシュ政権の中で浮上してきており、ワシントンの外交団からも米政権の中で唯一残された信頼できる人物として高く評価されている。またゲーツは自分の功績を喧伝しないが、プーチンなど諸外国からの非難もソフトにかわして前任のラムズフェルドと違うところを見せており、最近では、事前に漏れて大問題になる前にNIEの報告を発表した方が良い、と進言したのもゲーツだった、と述べ、ゲーツは色々な点でライス国務長官を上回った、と評価しています。

さらにホーグランドは、ライスは米ロ関係の安定化のためにロシアが守るべき「レッド・ライン」を度々口にするのに対し、ゲーツは、ロシアはもはや米国の目標や安全に脅かす大きな脅威ではないことを強調する、そして、世界はブロックがなくなって多極化している、というのがゲーツの意見だ、と言っています。

確かにゲーツは目立たない人であり、これは、彼がかつてはタカ派だったので、前言との矛盾を指摘されることを恐れて目立たないようにしているのかもしれません。しかし、ブッシュ政権の姿勢が最近ラムズフェルド時代と全く変わってきたことの背後には、このゲーツの姿勢の反映があると思われます。

(来年1月3日までお休み、4日から再開します。皆様、良いお年を。)
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:57 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
ロシア新政治指導部 [2007年12月15日(Sat)]
ロシアが来年5月からメドヴェージェフ大統領=プーチン首相体制で行くことが明らかなったことを受けて、12月15日付ワシントン・ポストはカーネギー国際平和財団のSam Greeneの論説を、ウォール・ストリート・ジャーナルは社説を載せています。

グリーンは、メドヴェージェフは「相対的に」リベラルであり、市場経済も良くわかっていて、西側の投資家を安心させる人物だ。プーチンが彼を後継者に選んだことに関係者はほっとしている。もう一人の有力候補だったイワノフが保安機関に基盤を持つのに対し、メドヴェージェフはプーチンの支持以外に権力基盤を持たず、従って、権力は今後もプーチンが保持し続けるだろう、と言っています。

WSJ社説は、メドヴェージェフにはカリスマはなく、今後もプーチンがボスだということを自ら明確にしている。つまりロシアでは本質的に政権移譲はなかったということだ。そしてプーチンの取巻きは現体制の継続を望んでいるし、プーチン自身も権力の座を去ることが危険なことを知っている。しかし民主主義の欠如はロシアにとっても世界にとっても危険だ。クレムリン内の権力闘争は続いており、プーチン主義は「安定を秩序」をもたらしたとの喧伝にも関わらず、実際は不安定の種をまき、ロシアの将来の不確実さを拡大した、と言っています。

グリーンの論説もWSJ社説も、プーチンが今後も権力を握り続けると常識的な判断を示しています。クレムリンでは、いわゆるシロビキ(KGB等保安機関出身者)間で熾烈な利権・権力闘争があり、プーチン以外にそれを押さえ込める者はいないということなのでしょう。権力の集中は不安定さを伴い、民主化されたロシアの方が長期的には安定する、というWSJの指摘はその通りでしょうが、見通してとしては、ロシアは民主主義から離れていくと思われます。

さらに、今回の選挙過程を観察すると、プーチンを国家指導者と呼んであがめる個人崇拝、排外主義やロシア至上主義の強調、愛国主義青少年団体の台頭、そしてプーチンの筋骨隆々たる肉体が報道される、肉体美賛美の風潮など、ロシアがファシズム化することを示唆するような兆候が見られ、懸念がもたれます。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:14 | ロシア・東欧 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
拉致問題が日米関係に影を落とす [2007年12月13日(Thu)]
英フィナンシャル・タイムズ12月13日付で同紙のDavid Pilling東京支局長が、拉致問題におけるアメリカの「裏切り」を、より大きな裏切りの前兆と恐れる日本人がいる、と述べています。

ピリングは、福田首相が拉致問題よりも核問題に重点を置くことを評価しながらも、拉致の歴史を紹介し、日本人がこの問題に拘るのは理不尽ではない、と理解を示し、日本人がこの問題で深く傷つくのは、これが自国の市民を守れなかった日本の国の無能さの象徴になっていること、さらに、アメリカが拉致問題を脇において、北朝鮮と不完全な核取引をして日本を「裏切った」からだ、と分析しています。

そして一部の日本人は、これまでのように、日本の利害をアメリカの利害に完全に同調させてアメリカの支援を受けるという状況は変わり、今回のアメリカの「裏切り」は今後のより大きな裏切りの前兆だと見ている、と言っています。

日本にこういう心配をする人がいる、という形で書かれていますが、ワシントンでも日米関係ウォッチャーの間で似たような分析があります。最近もある関係者が、小泉後のある時点から日本はアメリカにとってそれまでのような重要な国でなくなり、2月の六カ国協議合意で日本に新たな関係が突きつけられた、と述べています。関係者の間では、日本が安全保障政策でアメリカが望む方向に進む気配が薄れたこともあり、日本軽視が進むのではないか、と心配すると同時に、日本はなぜそうした状況を淡々と受け止めているのか、不思議がる声があります。北朝鮮の核兵器開発あるいは核拡散という、日本にかかわる問題ですら、日本はアメリカに影響を与えられないと見られるのは、今後の日米関係にとっても決してよいことではないでしょう。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:12 | 日本 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
メドベージェフの肯定的側面 [2007年12月11日(Tue)]
ワシントン・ポスト12月11日付で、ハーヴァード大学等を経て現在はキエフで教鞭を取るロシア専門家Andreas Umlandが、次期大統領候補としてプーチンのお墨付きをもらったメドベージェフについて論じています。

ウムランドは、メドベージェフはまだ大学院生だった80年代末期に、リベラル改革派として名を上げたソプチャクの選挙戦で主要な役割を果しているように、KGB出身のプーチンと異なって反スターリンのリベラルであり、ゴルバチョフのペレストロイカ路線にコミットしていた。だから彼が大統領になれば、ロシアが自由化、民主化されるチャンスが訪れるだろう。ただし西側が彼をあまり表立って歓迎すると、今のロシア世論は反西側、反米気運が強く、ひいきの引き倒しになりかねないので、そこは巧妙にやる必要がある、と言っています。

メドベージェフは、教育・モラル水準が低下した90年代のロシア大混乱期直前に成人しており、自由・民主主義などの西側的価値を素直に信じ、ロックなど西側文化を愛し、教養水準も高かった、ソ連時代最後のリベラル世代に属します。しかしその後の混乱とNATO拡大等の西側の圧力の下で、他ならぬ彼らが西側に対して悲憤を感じ、自由・民主主義・市場経済といった価値観を斜めに見るようになっています。

また世論調査を見ると、ロシア人の過半数は「民主主義・自由より秩序」を選び、格差とインフレ傾向が著しくなった現在、「計画経済と配分」の方が市場経済より好ましいと考えています。そうした大衆の求めるところに従えば、彼も価格統制(主要食料品について既に一部実施されている)など、経済面で統制強化に走らざるを得ないかもしれません。

また、プーチンがメドベージェフを選んだ背景は未だ不明ですが、一部のロシア報道が言うように、クレムリンの守旧派が一匹狼的で強力なイワノフ第一副首相を嫌ったために、ソフト過ぎて力と迫力に欠けると以前から言われてきたメドベージェフを選んだのであれば、なおさら彼に過大な期待をかけることはできないでしょう。

ただ、今のロシアの反西側、反米ムードは、選挙向けに意識的に煽ったものでしょうから、ウムランドが言うように、新大統領の下で西側との対話路線が前面に出てくる可能性はあります。洞爺湖サミットはそのための格好の場となるかもしれません。その場合、欧米は前向きのシグナルを表立っては送りにくい状況にありますが、ホスト国である日本は、メドベージェフ歓迎をマスコミに出し、ロシア国内の広い共感を獲得することが可能でしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:35 | ロシア・東欧 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
中国の対米強硬化の兆し [2007年12月10日(Mon)]
台北タイムズ12月10日付でKurt Campbell元米国防省副次官補とアジア情勢専門家のNirav Patelgaが、中国はより強気の対米外交姿勢を採り始めたかもしれない、と論じています。

2人は、最近中国が米艦艇の香港寄航を2度にわたって拒否したのは、一般には、米国のダライラマ歓待と台湾へのパトリオットミサイル提供に反発したためととられているが、実はこれは、中国の対米アプローチの変化を示すものかもしれない、中国の国連での対イラン制裁強化阻止、米ドル保有の削減の示唆、ペンタゴンのコンピューターのハッキングなども、一つ一つはマイナーな事かもしれないが、全体としてみると、中国が強気の外交へと微妙な転換しつつあることが背景にあるのかもしれない、どうやら中国は、これまでのように、何が何でも米国との摩擦や対決は避けようとは思わなくなってきているのではないか、と論じています。

ここに挙げられた例の全てが、中国の対米強硬化を示唆しているかどうかは疑問です。米空母キティホークに対しても、寄港を拒否した直後に許可が出て、中国外相も誤解だったと説明しており、原因は外交部と軍の間の意思疎通の欠如にあった可能性があります。また対イラン制裁強化に慎重なのは、中国とイランの緊密な関係を思えば当然であり、さらに、外貨準備のドル偏重の是正は、最近のドル安からいって、中国ならずとも考える政策です。

何よりも、中国が経済の飛躍的発展と国力の増大にともなって、次第により強気の外交を展開することは、いわば自然の流れでしょう。

ただ、中国で強硬派、特に軍の強硬派が台頭し、対米強硬策を提唱しつつあるのではないか、というのは適切な問題提起であり、米国も日本も常にその可能性を念頭において対中政策を考えるべきでしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:19 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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