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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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英米関係は共通の理念に支えられる [2007年07月30日(Mon)]
イギリスのブラウン新首相が、7月30日付のワシントン・ポストに英米関係について論じた論説を寄稿しています。

ブラウン首相は、両国の関係は単に共通の利害や歴史で結ばれているだけでなく、共通の理念、特に2世紀に渡って両国の運命を結び付けてきた「自由と人権」の原理への信念によって支えられおり、だからこそ永続してきた、と述べ、

21世紀の闘いは軍事力の争いであると同時に、思想と主義の闘いでもある、冷戦時、大量の兵器による抑止と並んで、民主主義の武器を動員して史上空前の文化攻勢に出たことを今改めて想起すべきだ、英米両国は共通の価値という基盤の上に立って手を携えて世界の課題、とりわけ、両国が共有する全ての価値を敵視する国際テロという、差し迫った最大の挑戦に立ち向かっていく、と宣言しています。

ブレア前首相がブッシュのイラク政策を支持して、「ブッシュの愛玩犬」と揶揄されたことから、ブラウン首相の対米姿勢がとりわけ注目される中で、この論説は、英米の「特別な関係」を再確認しています。今後ブラウン政権は、対外政策において必ずしもブッシュ政権と共同歩調をとるとは限りませんが、まずは英米関係の重要性と磐石さを強調したと言えます。

英米間ほど緊密な関係をことさら改めて強調する必要があるのか、とも思われますが、これまでもイギリスはアメリカで非常に熱心に広報活動を行なってきており、その実態を知って感銘を受けたことがあります。国と国との関係はどれほど緊密なものであっても、「当然視」すべきではないということでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:45 | 欧州 | この記事のURL | コメント(1) | トラックバック(0)
イラク軍事情勢の改善 [2007年07月30日(Mon)]
ブルッキングス研究所のMichael E. O’HanlonとKenneth M. Pollackが7月30日付のニューヨーク・タイムズで、イラク軍事情勢の改善を報告しています。

オハンロンとポーラックは、イラク戦争はやっとどうにか目処がつきそうなところにきた、ペトレイアスという優れた司令官を得て現地の部隊の士気は高く、またイラク各地を視察して、少なくとも軍事面の状況が改善したことを如実に見てきた、

もっとも、政治面では最大の課題である宗派間の和解が進んでおらず、これは何とかしなければならない、さもないと、米軍が撤退するが早いか、各派が陣取り合戦を始めることになろう、しかしともあれ、米軍がいつまでイラクに留まるべきかという問題は常に存在するが、議会は、戦場の事態が好転している事実を考慮すべきだ、と論じています。

常に冷静客観的かつ現実的であり、また、民主党系であるオハンロン等がここまで書くということは、イラク軍事情勢が実際に好転しているということではないかと思われます。このことは9月のペトレイアスの報告にも反映されることになるでしょう。

まだ、それまでに1ヵ月半あり、反乱勢力側がどのような反撃に出てくるか、また各派間の和解が進展するかどうか予断を許しませんが、前途に希望を持たせてくれる報告です。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:44 | イラク | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
対イラン金融制裁の効果 [2007年07月26日(Thu)]
安全保障問題に取り組む米財界人団体Business Executives for National Securityの会長Stanley A. Weissが、7月26日付けのインターナショナル・ヘラルド・トリビューンで、国連の制裁に加えて、アメリカが始めた対イラン金融制裁がイランを追い詰めている可能性がある、と論じています。

ワイスは、これまでのアメリカの制裁は、皮肉なことに、聖職者の権力基盤である保守派のバザール商人や革命防衛隊のビジネス独占を強化し、聖職者の力をかえって強めてしまう効果があったが、今やアメリカはイラン政権の最も痛いところ、つまり彼らの財布を直撃する方法を見出したかもしれない、

つまりアメリカはイランの二つの国有銀行をブラックリストに乗せ、外国政府や金融機関にこれらと取引しないよう警告、その結果、仏、独、伊、日本が対イラン輸出信用や貸付を減らし、巨大な年金基金運用機関にも、イランと取引のある多国籍企業への投資を止める動きが出ている、これに対してイラン政府は、欧州の諸銀行から慌てて何百万ドルも引き上げたと伝えられる、と言っています。

金融制裁の効果は、マカオの銀行BDAの口座が凍結された際の北朝鮮の反応を見ても明らかであり、イランに対しても金融制裁は真綿で首を絞めるように徐々に効果をあげるのではないかと思われます。ただしワイスも「もしかすると」有効だと留保をつけているように、金融制裁だけでイランが白旗を揚げるとは考え難いところがあります。イランの核問題解決のためには、やはり金融制裁と並んでインセンティブを与えることが不可欠ではないかと思われます。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:00 | イラン | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
日本の参院選 [2007年07月26日(Thu)]
ウォール・ストリート・ジャーナルは、選挙前の7月26日に、社説と経済学者Richard Katzによる論説の両方で日本の参院選を取り上げ、いずれも、選挙の結果に関わらず、自民党支配は変わらないだろうとした上で、安倍内閣不評の原因をその経済政策に見出そうとしています。

社説は、安倍内閣が外交面では見事な成功を収めながら、経済改革では総花的で重点が無いことが不評の原因ではないかと指摘し、安倍内閣が存続した場合は、税制改革などの経済改革を推進することを期待しています。

他方、カッツは、日本の経済は良いが、一般国民はその恩恵を共有しているとは思っていない、また、安倍自身は改革を進めていると思っているが、農業を含むもっと抜本的な自由化を進める必要がある、と言っています。そして小泉内閣の時代を例外として、日本は再び1989年以来の不安定な政治に戻ってしまうかもしれないと懸念を表明しつつ、反面、それは政界再編につながるかもしれないと言って、期待も表明しています。

カッツが、選挙後政情が流動化した場合、政界再編の可能性があると指摘しているのは、さすが日本通と思います。

ただ、当面の選挙分析として、この分析にはどこか日本の実態から遊離しているような違和感を覚えます。欧米では政策本位の分析は当然のことなのでしょうが、外国が求めている農業自由化のような問題は、日本の選挙の動向とは直接関係がないように思われます。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:42 | 日本 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
トルコ政治におけるイスラム派対世俗派 [2007年07月25日(Wed)]
7月25日付のウォール・ストリート・ジャーナルで、トルコの英字新聞Turkish Daily Newsの有力コラムニスト、Mustafa Akyolが、今回の選挙でエルドアン率いるAKPが圧勝したことを受けて、トルコの政治を解説しています。

アキョルは、トルコ政治は、偏屈で外国嫌いのイスラム派と、寛容で親欧米的な世俗派との権力争いと捉えられがちだが、事実は正反対だ、

世俗派は、AKPをイスラム政党と呼んでいるが、実際は、AKPが市場の自由化や市民的自由、そしてEU加盟を推進しているのに対し、野党世俗派はこれらに反対し、AKPが進める自由主義的改革は、トルコの主権を弱めようとする西側帝国主義者の陰謀だと捉えている、

また、世俗派は、AKP政権の下でイスラムと政治が結びつくと専制政治になると主張しているが、実際は、世俗派がクルドのトルコ化を目指しているのに対し、AKPはクルドや他の非イスラム少数民族に対しても寛容だ、

従ってトルコの権力争いは、むしろ自由主義的なイスラム派と、反自由主義的な世俗派との闘争だと理解するのが正しい、そして今回のAKPの勝利は、開明的で民主的な政治を望むトルコ国民にとって朗報であるのみならず、世俗的独裁政治やイスラム主義的専制政治に抑圧されてきた他のイスラム諸国の人々をも勇気付けるものだ、と言っています。

この論説は、AKPの勝利を政策という実質面から評価したものであり、AKP寄りの論調ではありますが、トルコの政治力学を理解する上で参考になるでしょう。

西側には、穏健とはいえイスラム系のAKPに対して警戒心がありますが、エルドアン政権は、イラク開戦の際にアメリカへの協力(基地の提供や米軍機の領空通過)を拒否した後は、対米協調を重視しているようであり、外交面では現実的な政策を展開していくものと思われます。他方、論説が主張するように内政面で本当に民主的な穏健路線を行くかどうかは、今後の展開を待たねばならないでしょう。



Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:57 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
トルコ総選挙で親イスラム与党勝利 [2007年07月24日(Tue)]
7月24日付のニューヨーク・タイムズとウォール・ストリート・ジャーナル両紙社説は、トルコ総選挙でエルドアン首相率いる親イスラム与党の公正発展党(AKP)が勝ったことを、トルコにおける民主主義の勝利として支持しています。

NYT社説は、今回の選挙結果は、民主主義とイスラムが両立可能だということを示し、さらに軍部による介入も抑えたとして、民主主義至上主義の原則に立って評価しています。

他方、WSJ社説は、AKPは圧勝はしたが、憲法改正に必要な3分の2は獲得できず、クルド系を含む少数政党も選出された、従って次の大統領選では、イスラム色の強い当初の候補に代わってより広い支持を得られる候補を立てなければならなくなった、とトルコ政治の現状を分析した上で、穏健なイスラム政権が出来ることを歓迎しています。

現エルドアン政権は、これまで反米的で、かつ建国の父アタチュルク以来のトルコの世俗の伝統に反してイスラム色が強く、米国はその扱いにかなり手こずってきました。しかし米国には、軍事政権には原理的に反対し、また、選挙による多数は支持すべきだという大原則があります。(例外はパレスチナのハマスで、アメリカはその親イスラエル姿勢のために、選挙に勝ったハマスの正統性を認めませんでした。)そのため、両社説とも、民主主義の大原則の上に立って今回の選挙結果を支持しており、トルコの将来についても楽観的な筆致で書いています。

しかし新大統領候補が選ばれるのはこれからであり、誰が候補になるか、また、新政権がどのような親イスラム政策をとるかによって、軍の動向にもまだ予断を許さないものがあります。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:41 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
中国の宇宙兵器開発 [2007年07月23日(Mon)]
7月23日付のウォール・ストリート・ジャーナルで、米カーネギー国際平和財団のAshley J. Tellisが中国の宇宙兵器開発について論じています。

テリスは、昨年の中国による衛星破壊テストは、アメリカの圧倒的に優勢な軍事技術力に対抗し、宇宙におけるアメリカの優越を脅かそうという中国の戦略の一環として行われたものだった、と指摘し、

その前提には、世界の中で中国の超大国としての台頭を阻止できる唯一の国はアメリカだ、中国はまだ今は弱体だが、いずれアジアの支配をめぐって米国と覇権を争うようになる、という中国側の認識がある、と述べています。

テリスは、従って現状では、中国を劣勢のままに置こうとする宇宙軍備管理交渉を中国が受け容れる可能性は低い、アメリカとしては、宇宙空間の安全保障について中国と協議すべきではあるが、合意に達することは望み薄であり、軍備管理交渉よりも宇宙防衛に更に投資して、今の優位を保つべきだろう、と言っています。

テリスは、ボンベイ大学とシカゴ大学出身のインド、中国の専門家です。インドの側から見た中国関係の論文は、インドの伝統的な非同盟および社会主義の背景もあって、特に反中というわけではありませんが、アメリカに見られるような中国に対するナイーヴな幻想を持たない、客観的で冷静なものが多いのが特徴です。

今後、日本にとって、中国の文化攻勢や学者工作、さらにアメリカの中国学者の偏向に対処していくのに、インド系の学者や専門家とのインテレクチュアルな協力が有益かもしれません。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:31 | 中国・台湾 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
アフガンへの増派反対 [2007年07月23日(Mon)]
イラクでの行政経験もある英作家Rory Stewartが、7月23日付けのニューヨーク・タイムズで、アメリカはアフガンへの兵力増強をすべきではないと論じています。

スチュアートは、ヒラリー・クリントンやオバマ、さらに共和党の一部までもが、アメリカは撤兵し、アフガン南部に兵力と資源を投入すべきだと言っているが、イラクと違ってアフガンが比較的上手くいっているのは、アメリカと同盟国が目標を低く設定し、プレゼンスを小さくして、アフガン人に自らのことを任せてきたからだ、タリバンの復活が言われているが、アフガンの経済は成長しており、中央部は安全だ、

事態が深刻なのは南部と東部であり、NATOは兵力増強で対応しようとしているが、外国軍の存在はかえってタリバンの抵抗を激化させるし、反乱勢力鎮圧のための条件――地元の協力や米欧の有権者の長期的支持――も整っていない、

従って南部はこれからも不安定なままだろうが、それを封じ込めることは可能であり、そのために大兵力は必要ではない、またテロリストについては、情報活動を強化して見つけ出し、特殊部隊を活用して排除させるというやり方が効果的だろう、

その間、西側は、条件のよい中央部、北部、西部で開発を進め、それを通してアフガン全体をよくしていくべきだ、と論じています。

確かにテロに対して、軍事的に対応するのは限界があるだけでなく、逆効果になることもあり、結局、それぞれの状況に応じたケース・バイ・ケースのアプローチしかありえません。アフガンについては、このカブールからの論説は参考にすべきものがあると思われます。特に、世論の支持の問題も含め、維持できないような政策は安易に採用すべきではないでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:03 | 中央・南アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
ミャンマーと中印関係 [2007年07月22日(Sun)]
7月22日付けのAsian Tribune(オンライン新聞) は、中国とインドの対ミャンマー政策を論じたR. Hariharanの論説を掲げています。Hariharanはインド軍情報部出身の南アジア情勢専門家です。

Hariharanは ミャンマーの山脈や川は南北に走っているので、インドよりも中国からの方がアクセスがよく、またインド国境地域よりも雲南の方が開発が進んでいるので、地理的に中国が優位にある、それに、天安門事件以降、中国はビルマ共産党への援助はやめる一方、経済軍事全ての面でビルマ援助を強化してきている、その中国の戦略目的は、マラッカ海峡を通らずにベンガル湾とアンダマン海に達することだと思われる、

他方、インドも、ミャンマーの戦略的重要性を認識し、ミャンマーの民主主義の問題には干渉しないと明言して、経済軍事援助をしているが、いかに努力しても中国の影響力には到底かなわない、それにミャンマーは中印両国との利害関係を計算しており、インドがミャンマーの民主勢力との関係を絶っても、インドの影響力を増すことにはならないだろう、と述べています。

その上でHariharanは、今後ミャンマーがいかなる政体となろうと、ミャンマーの政治を主導するのは軍部であり、従ってミャンマーに民主主義を回復させようと思うなら、軍部との協力、少なくともその同意が必要だ、と分析しています。

今のミャンマー情勢の際立った特徴は、現政権が他の軍事政権に較べても頑迷固陋であること、他方、民主化勢力も、国際的支援をバックに強い原則的態度を曲げないことです。

そうした中でミャンマーとの外交、さらにそれ以前にミャンマーの政治体制そのものを握る鍵は軍だ、というのは現実的な分析だと思います。つまり軍自体が民主主義の受け容れに柔軟になるか、軍以外の勢力が軍との妥協を図る以外に、ミャンマーがある程度でも民主化する可能性は少ないだろう、ということです。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:55 | 東アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
ロシアの政治暴力   [2007年07月20日(Fri)]
イギリス政府はリトヴィネンコ殺害犯として元ロシア諜報員ルゴボイの引渡しをロシアに要請、拒絶されたためにロシア外交官4人を国外追放、それに対してロシアも同数のイギリス外交官を国外追放、その直後に今度は在英の反プーチンのロシア億万長者ベレゾフスキーの暗殺計画が明らかにされる、というように、ロシアと西側、特にイギリスとの関係が悪化しています。

7月20日付のフィナンシャル・タイムズ社説は、こうなったのは、西側にも落ち度はあるが、基本的にはロシア側に責任があるとして、ロシアにその対外姿勢を変えるよう求めています。

社説は、冷戦終結後、ロシアと西側の関係は今が最悪だ、西側にも、事前にロシアと協議せずに東欧へのミサイル防衛システム配備を発表してしまうなど、問題はあるが、主たる責任は明らかにロシアの方にある、ロシアは法や人権、特に生命への権利を尊重する姿勢を示さなくてはならない、ロシアと西側がエネルギー等で協力すれば、双方にとって利益になる可能性はあるものの、ロシアがその姿勢を変えない限り、両者間の根本的な関係改善はありえない、と論じています。

ロシアでは、来年の大統領選挙を前に、強硬派と穏健派が大変な権力闘争を展開、プーチン留任を望む強硬派は、リトヴィネンコやベレゾフスキーのようなロシアを「裏切った」人々を標的にして西側と摩擦を起こし、プーチンに留任の決意を促そうとする一方、ラヴロフ外相のような穏健派は、英国のロシア外交官追放に対しても、問題をこれ以上大きくする対抗処置はとらないようプーチンを説得した、と言われています。

リトヴィネンコ殺害に使われたポロニウム210は、極めて高価かつ民間人には入手が難しいこと、さらに、ロシア議会は昨夏、「ロシア国家の敵」の暗殺を命じる権限をプーチンに与えたことから、この事件に国家が絡んでいたことを疑う人はあまりいません。

プーチンが今回は穏健派の意見を聞き入れたため、英ロ間の外交闘争は一段落しましたが、大統領選挙が近づく中で、強硬派がロシア政府を批判するジャーナリストやリトヴィネンコのような亡命者を狙ってさらなる暴力的行為に出ることが懸念されます。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 17:08 | ロシア・東欧 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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