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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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スコウクロフトの包括的中東調停案 [2006年07月30日(Sun)]
父ブッシュ政権で国家安全保障担当の大統領補佐官を務めたスコウクロフトが、今回のイスラエルのヒズボラ攻撃をめぐる危機こそ、包括的な中東和平を生み出すための千載一遇のチャンスだ、とワシントン・ポスト紙で言っています。

いわばショック療法によって、当事者たちだけでは身動きがとれなくなっている状況を、一挙に解決の方向に導くことができるかもかもしれない、と言うのです。

スコウクロフトは、今のレバノン危機の根本原因はヒズボラではない、それは遡って1948年に国連がイスラエルとパレスチナ国家をそれぞれ創ろうとして失敗したことにあると見ており、今の危機解決のカギは、何よりも、若干修正した1967年国境線に基づくパレスチナ国家の建設だとしています。

彼が提案する包括的調停案の骨子は:
・1967年国境線を若干修正した上でパレスチナ国家を建設する
・パレスチナ人は帰還権を放棄し、イスラエルは西岸入植地から撤収する
・双方の居住地を追われた人々には、国際社会が拠出する補償金を提供する。 
・サウジは、イスラエルが1967年の占領地から撤退すれば、アラブ世界はイスラエルと正式に国交を結ぶと2002年に言明した公約を、あらためて正式に発表する
・停戦の一環として、レバノン南部に強力な国際部隊を配備する
・停戦の一環として、ガザと西岸地域に国際部隊を配備する
・ エルサレムをイスラエルとパレスチナ共同の首都とする

確かにこれらは、誰もが必要だと感じつつ、誰もが実現が困難だと思ってきたことです。そしてスコウクロフト自身が言うように、この包括案の実現は当事者にまかせておいては達成できず、アメリカが決定的役割を果たす必要があります。スコウクロフトは、アメリカ、EU、国連、そしてロシアの4者が実現に向けて協力すべきだと言っています。
                              
これら4者が協力して国際部隊のレバノン派遣も含めた停戦合意に向かうことができるのか、その上で包括的な和平合意を迎えることができるのか、特にアメリカが期待される役割を果たすということになると、スコウクロフトにとって愛弟子ともいうべきライス国務長官に課せられた大仕事となります。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:23 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
トルコのクルド対策 [2006年07月30日(Sun)]
レバノンの危機に目を取られている間に、トルコが国境を越えて、イラクにいるトルコのクルド労働党を攻撃する危機が迫っていることを、米国務省で政策企画を担当していたHenri J. Barkeyがロサンジェルス・タイムズで指摘しています。

それによると、最近トルコ国内で、クルド反乱分子が15人のトルコ兵士を殺害、そのため穏健派のトルコ政府も、軍や強硬派に突き上げられて、イラク北部のクルド自治区にいるクルド労働党に対して何か措置をとらざるをえない立場に追い詰められている、ということです。

しかし、形ばかりの空爆ならともかく、トルコの地上軍がイラクに進攻するとなると、大混乱を引き起こす恐れがあり、米国は、イラク領内のクルド労働党の取り締まりについて、トルコと話し合って解決を図るべきだ、と言っています。

イラク戦争でのトルコの非協力や、その反米的言動に、米国が一種不快感を持っていることは容易に想像できます。逆に、最も親米的なイラクのクルドに対しては米国も好感を持っているでしょう。しかしトルコ軍がイラクに進入すれば、ただでさえ複雑な中東情勢は、更に混乱することになります。特に、イラクの中では比較的治安が良かったクルド自治区は、騒乱状態に陥るでしょう。

トルコは米国の半世紀来の同盟国であり、また、今派遣が提案されているレバノンの平和維持軍にはトルコの部隊も参加が望まれています。こうした現状では、米国がイラクのクルド自治政府に働きかけて、イラク内のクルド労働党を取り締まらせ、トルコに協力する事は必要でしょう。








Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:07 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
中国の対北朝鮮金融凍結 [2006年07月28日(Fri)]
ウォール・ストリート・ジャーナル紙の社説が、中国が中国銀行の北朝鮮の口座を凍結したことを歓迎しています。

それによると、アメリカが最初にマカオの銀行バンコ・デルタ・アジアが北朝鮮の資金洗浄先になっていると懸念を表明し、このマカオの銀行が事実上ドル取り引きを出来なくなった後、中国が昨年9月に中国銀行の北朝鮮の口座を凍結したそうです。

社説は、北朝鮮が金融「制裁」の解除がなければ6カ国協議には戻らないと言っている中で、中国がこうした措置に踏み切ったのは注目すべきだ、と言っています。またミサイル発射後、日本が北朝鮮への現金移転を止めようとしているのに、韓国は北朝鮮の最後の資金源になっているとして、ノムヒョン政権の対応を批判しています。
  
そして、中国は、金政権が崩壊して北朝鮮難民が中国に押し寄せてくることを恐れているので、この措置がいつまで続くかはわからないとしながらも、今回の金融措置を正しい方向への1歩であると評価しています。

中国が金融面で北朝鮮に圧力を加えているのは確かに歓迎すべきことです。ドル取引が実際上できないようにしたアメリカの金融措置が、金正日政権に大きな打撃を与えているのは明らかで、北朝鮮はその解除に躍起になっています。そうした中での中国の措置であるだけに、評価できる動きと言えます。

中国の本音は、北朝鮮を国家として存続させたいのではないかと思われますが、現在の北朝鮮の中国に対する姿勢に不満もあり、それがこうした動きに反映されているのかもしれません。

なお雑誌「正論」9月号の趙甲済の論文によると、金正日の秘密資金は中国銀行マカオ支店を通じて管理されている事が2003年に明らかにされたそうです。従ってこのままでは、中国銀行がマカオの銀行と同じ制裁を受ける事になり、それでは中国の外国為替業務がほぼ麻痺してしまうということです。こういう事情があるとすれば、中国としては、北朝鮮制裁の安保理決議や対米協力という問題以前に、自己防衛上、北朝鮮の口座を凍結せざるを得なかったということになります。
 

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 17:36 | 東アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
イスラエルのレバノン攻撃についての軍事的評価 [2006年07月27日(Thu)]
アメリカの著名な軍事専門家Anthony H. Cordesmanが、イスラエルのレバノン攻撃は、戦略目的が必ずしも明確ではなく、攻撃の成果もこれまでのところ限定的だと言っています。その要点は:

1.イスラエルの大規模空爆は、@ヒズボラに決定的な打撃を与えるか、 Aレバノン政府にレバノン南部の完全支配とヒズボラの武装解除を強要するか、どちらかの目的を達成しない限り意味がないが、今のところ空爆はどちらの目的も達成していない。

2.ヒズボラの弱体化については、ヒズボラはイスラエルの空爆に耐えてよく反撃しているという宣伝効果が、今のところヒズボラが実際に被った損失を補って余りある。

3.イスラエルがレバノン政府に強要することについても、レバノン政府はヒズボラ制圧に乗り出してはいなく、むしろイスラエルが多数のレバノン軍事施設を破壊しため、イスラエルへの反感を強めている。そもそもイスラエルはなぜレバノン政府を強要できると考えたのか、根拠が不明。

4.地上戦闘については、イスラエル軍が強力に北進するか、国際部隊とレバノン軍がレバノン南部を占領しない限り、戦闘は意味がない。

5.ヒズボラへのシリア、イランからの供給ルートを遮断するのは、ある程度効果があるだろうが、小火器などは、主要道路を使わなくてもレバノンに持ち込めるので、万能の対策ではない。

6.国際部隊を投入するという考えは、国際部隊とアメリカが梃入れするレバノン軍が協力してレバノン南部を確保し、ヒズボラを武装解除し、シリアからの武器密輸ルートを遮断できれば、イスラエルとレバノン、さらには地域の安定のために悪いことではない。ただし、国際部隊は恐らくヒズボラの新たな攻撃対象となり、激しい戦闘が起きよう。また国際部隊の中の非イスラム部隊は占領者あるいは十字軍と見なされ、イスラム部隊は裏切り者と見られるというように、問題も多い。
                         
Cordesmanは軍事問題についていつも鋭い批評をする人ですが、今回のイスラエルの軍事行動についてはこのように非常に厳しい評価を下しています。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 13:02 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
米国にとっての北朝鮮ミサイルの脅威 [2006年07月26日(Wed)]
米ヘリテージ財団の安全保障専門家James Carafanoが北朝鮮の核ミサイルがどういう形で米国に対する脅威となり得るかをワシントン・ポスト紙上で分析しています。

Carafanoは、今回発射されたテポドン2が飛び立ってすぐに落下していることから見て、北朝鮮が米国本土を攻撃できるミサイルを完成させたかどうかは疑わしい。またもし撃てたとしても、米国の迎撃ミサイルを突破できるかどうかわからないし、そうした事態になれば、米国の報復攻撃によって北朝鮮自身が壊滅的打撃を受ける。むしろ、想定できる最も危険なシナリオは、北朝鮮が通常の商船に核弾頭を搭載したスカッド・ミサイルを密かに装備させて米国の沿岸に近づけ、そこからミサイル発射することだろう、と言っています。後は船を沈めてしまえば証拠も残らない。また安価であるし、警察、情報機関、税関、沿岸警備隊等、様々な監視の目をくぐって核兵器を米国内に持ち込むという危険も回避できる、というわけです。

そしてCarafanoはこうした事態への対抗措置として、PSI拡散防止構想が有効だろうと言っています

PSIは2003年に米国が提唱したもので、その目的は、主として船舶による大量破壊兵器関係の物資機材の輸送や取引を阻止しようというものです。特に国際条約を結ぶことなく、日本を含む11カ国の自発的参加という形で発足しています。

今回の安保理決議は、北朝鮮のミサイル関係物資の移転を厳しく取り締まることを要求していますので、PSIにとっては国連決議の後ろ盾ができたことになります。その意味でも今回の日本の主導による安保理決議は効果を発揮しています。




Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:26 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
レバノン情勢へのシリア関与の是非 [2006年07月25日(Tue)]
今回のレバノン紛争の根幹にあるヒズボラ問題の解決のために、シリアを関与させるべきかどうかで対照的な意見が出ています。ロサンジェルス・タイムズ紙が社説で、シリアを関与させることに反対しているのに対し、米戦略国際問題研究所のEdward N. Luttwakは、シリアの重要性を認めて関与させれば、シリアはヒズボラ支援を止め、ヒズボラの背後にいるイランとも手を切る可能性がある、とウォール・ストリート・ジャーナル紙上で論じています。

ロサンジェルス・タイムズは、昨年ようやくシリアをレバノンから追い出したのであり、ここでシリアを交渉に加えれば、再びシリアによるレバノン介入を招くことになるとして、現在ブッシュ政権がシリアを無視しているのは正しいと主張しています。

他方Luttwakは、恐ろしいけれども極めて誘惑的な選択肢として、シリアに呼びかけてヒズボラを武装解除させることが考えられるとしています。これはレバノンに対するシリアの支配権を認めることにつながりますが、そうなって初めてシリアはイランと手を切るだろう、と言っています。またイランと手を切れば、シリアは、イランを最大の脅威と考えるサウジ、アラブ首長国連合連邦、そしてクウェートとの経済取引からの利益を期待できます。

ブッシュ政権は、実は密かにサウジとエジプトを介してシリアにヒズボラ支援を止めるよう説得する計画であるとも報じられています。

シリアがヒズボラ支援を止めるということは、Luttwakの言うように、シリアがイランとも手を切ることを意味します。これはシリアにとって重大な外交路線の変更というだけでなく、ヒズボラの軍事的無力化を越えて、中東全体の政治地図をも変えることを意味します。だからこそLuttwakは、今がシリアを取り込むチャンスだと言っているのでしょう。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 12:11 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
米露新核協力構想 [2006年07月24日(Mon)]
ニューヨーク・タイムズ紙の社説が、アメリカとロシアが核製造物質の安全管理について協力する有志連合を組織し始めたこと、さらに核の民生利用についても協力に向けて動きだしたことを取り上げています。そして、こうした協力について協定が成立すれば、ロシアは使用済み核燃料の貯蔵施設を建設できるようになり、そこからの莫大な収益によってイランに原子炉を売らなくてすむようになるのではないか、と言っています。

核製造物質の安全管理に向けて協力するというのは、具体的にはテロリストによる核の入手を防止するということであり、これは勿論、歓迎すべきことです。実はアメリカはすでに1991年に核兵器解体や核製造物質の安全管理を目的とする法律を成立させ、ロシア(当初はソ連)を支援してきています。今回の合意はその範囲をロシア以外の有志の国にも広げようというものです。しかし1991年以来15年経ちますが、その努力はさほど成果をあげていません。従って今回の有志連合もいかにそれを具体化していくかが問題です。

また使用済み核燃料の処置は、アメリカや日本を初め、多くの国が悩んでいる問題です。米ロの民生用核協力が進んで、ロシアが本格的に国際貯蔵施設を建設するようになれば、確かに大きな需要が見込まれます。しかしその実現はかなり先のことであり、そうした遠い将来の収益の見込みだけで、ロシアが今大きな収益を得られるイランへの原子炉の輸出を止めるかどうかは疑問です。



Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 11:37 | ロシア・東欧 | この記事のURL | コメント(1) | トラックバック(0)
日本外交の自己主張 [2006年07月22日(Sat)]
北朝鮮のミサイル発射に対して日本がめずらしく強気の姿勢を貫いたことについて、イギリスのエコノミスト誌が「日本外交は処女(virginity)を失った」と評しています。日本のこの動きはもう後戻りしないだろうと承知しながらも、「急に自己主張を始めた日本」に対して、やや戸惑っているような書きぶりです。

たしかに、今回の安保理における日本の働きぶりは、周囲の情勢を見極め、国内の調整に時間をかけ、いずれはアメリカに順応するにしても、最後に態度を明らかにするという、これまでの日本外交に慣れている外国の観察者を驚かせるものがあったと言えるでしょう。

そしてイギリスは、アメリカと中国を別にすれば、日本と本格的に戦って勝った唯一の国であり、戦勝者の権利を決して譲らないところ、また敗戦国日本が一人前の顔をして出てくるのは面白くないという気持ちがあり、今までのエコノミストの論説にもそれが表れていました。

しかし今回の解説は、日本の変貌を支持しているわけではありませんが、もう日本は元に戻らないことを現実として認める態度をとっています。もっとも日本の自己主張に周囲が驚ろいたり、強気の姿勢は国内向けアピールだと見られる内は、日本はまだまだとも言えます。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 17:09 | 日本 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
中東でのイランの影響力増大 [2006年07月21日(Fri)]
元ABCのキャスターでコラムニストのテッド・コぺルが、ニューヨーク・タイムズ紙に、民主化がイスラム主義勢力の台頭を招き、ひいてはイランの力を増大させた、とするヨルダンの情報関係の高官(匿名)の話を書いています。
 
それによると、このヨルダン高官は、民主主義促進の一環として行われた選挙に勝利して最も利益を得たのは、イランと手をつなぐ、あるいはイランに依存する勢力、つまりハマスやヒズボラだ。ハマスはシリア経由でイランから3億ドル以上の現金を受け取っており、ヒズボラはイランの開発した射程距離の長い、より強力なロケット弾やミサイルを入手している。またイラクでは、イランの敵だったフセインの没落後、イランと関係の深いシーア派が権力を掌握してしまった、と指摘したそうです。

またこの高官は、イランが、アメリカには友人を放棄する癖がある(70年代のベトナム、80年代のレバノン、90年代のソマリア)とアラブ諸国に指摘してまわっているとして、だからアメリカは特にイラクにおいてイランと対決すべきであり、イラク駐留を継続する意思をはっきりと発表すべきだ、と述べたそうです。

ヨルダンは元々イランの影響力の増大に敏感で、この高官の発言にもそうしたところが反映されているのでしょうが、彼の分析は大筋で正しいのではないかと思われます。つまり、アメリカは意図せずしてイランの影響力の増大に寄与しているところがあり、その政策を少し見直す必要があるということです。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:44 | 中東 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
ウクライナのNATO加盟反対論 [2006年07月20日(Thu)]
ロシアの外交=防衛学会会長のセルゲイ・カラガーノフがインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙に論説を寄せ、アメリカやヨーロッパはウクライナのNATO加盟がどんな深刻な事態を招くかを良く考えていない、と警告しています。

それによると、そもそもロシアとウクライナの間には、これといった正式な国境などほとんどないのが現状だが、NATOに加入すれば、ウクライナは鉄条網で固めた正式な国境を設けることになる。そうなれば現在、国境をまたいだ貿易や雇用にロシアとウクライナ双方で数百万の人々が関わっているが、こうした人々は職を失い、また多くの家族が分断され、ユーゴ分裂の際のような悲劇が起きる可能性が高い、と言っています。

そしてロシアとウクライナの前線に沿って新たに人為的「不安定の弧」が生じ、そのために、主要国が結束して過激イスラム・テロなどの新たな課題に取り組む、という考え方自体がご破算になり、代わって、古いブロック間の対立関係が復活するという茶番のような事態にもなりかねない、と指摘しています。

実は、ウクライナのNATO加盟には、ロシアの政府と世論が猛反対しているだけでなく、ウクライナでも、オレンジ革命を成し遂げた勢力が崩壊して、親ロ派が政治の主導権を取り戻そうとしており、NATO加盟についてのウクライナの政策も変わる可能性があります。

そしてロシア人とウクライナ人は、例えば、結婚相手として互いにほとんどその出自を問題にしない等、民族的親近感もあり、両国は切っても切れない関係にあります。西側としてこうした両国の関係を裂く方向での政策展開は、無理して進めないほうが賢明でしょう。その意味で、カラガーノフの主張には耳を傾ける必要があります。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 17:08 | ロシア・東欧 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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