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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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北朝鮮不安定化のシナリオ [2012年01月05日(Thu)]
米AEIのウェブサイト1月5日付で、同研究所のMichael Mazzaが、朝鮮半島の安定が重要とされているが、北朝鮮情勢、北東アジア情勢は急速に悪化する可能性があるとして、北朝鮮が不安定化する5つのシナリオを挙げています。

すなわち、今後北朝鮮で起きうる事態として、@継承の成功:これは、核開発を進め、戦争行為・拡散・麻薬取引を行ない、テロ組織とも関係を持つ北朝鮮が続くことを意味する。世界の指導者はこんな安定は望んでいないだろう、A親族内の対立:とりあえず張成沢が摂政の役割を果たすが、金正恩が間もなく自己主張を始めて張成沢と対立、それに金敬姫も巻き込まれ、軍や労働党も割れる、B軍によるクーデター:軍が金正恩の支配に抵抗する、C韓国への挑発と報復:金正恩が強者として軍の信頼を獲得するために韓国を挑発、韓国は北の思惑に反して北の基地を攻撃するなど報復に踏み切る。そうなったとき、金正恩には全面戦争を阻止する権威はない、D中国軍の侵入:北朝鮮からの難民流入を懸念する中国は、北が国境閉鎖と難民流出防止に失敗した場合、人道的危機を理由に北朝鮮に軍を派遣する、という5つのシナリオが考えられる、と言っています。


マッザの指摘するシナリオはいずれも可能性があるものです。こういうシナリオを分析し、各ケースについて対応を大ざっぱにでも考えておくことは、いざという時に適切に対応する可能性を高めてくれます。その意味でこういう論説は役に立ちます。

ただ、マッザも指摘するように、金正日死去後、朝鮮半島の「平和と安定」の維持が関係国の一つの標語のようになっていますが、中国と日米韓はこの標語をそれぞれ違う意味で使っているのではないかと思われます。

たとえば、中国は盛んに半島の「平和と安定」を強調していますが、これは要するに、金正恩への権力継承がうまくいくよう応援する立場、現状維持を願う立場からの「平和と安定」です。

他方、日米韓は、金正恩への権力継承が上手くいくように応援する必要はありません。日米韓は、北の暴発は困るが、北が良い方向で変化することを希望すべきであり、それが朝鮮半島の「平和と安定」につながるという立場をとるべきでしょう。

また、中国は難民への心配からだけではなく、事態がマッザの言う第2、第3、第4のシナリオのように展開した場合も、介入し、安定化を図る可能性が高いと思われます。北の政府あるいはその一部の要請を受けて、軍を北朝鮮に入れることはありえますし、中国には北にそうした要請をさせるぐらいの根回し能力はあるでしょう。歴史的にも、そうやってソ連がハンガリーやチェコに介入した例があります。

そうなった場合、このままでは日米韓は手をこまねいていることになるのではないかと思われます。朝鮮半島の「平和と安定」について、中国のイメージと日米韓のイメージには差異があることを認識して、対応することが肝要でしょう。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 17:00 | 東アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
金正日後の北朝鮮 [2011年12月19日(Mon)]
ファイナンシャル・タイムズ12月19日付で、Victor Cha元米国家安全保障会議アジア部長が、金正恩への権力継承が上手くいくかどうかわからない、米国としては情勢の進展を見守り、準備をしておくしかないが、北朝鮮政権が崩壊に至る可能性はある、と言っています。

すなわち、北の政権が崩壊する契機として金正日の急死が言われてきたが、それがまさに起こった。金正日は継承準備に14年かけたが、金正恩は後継者指名から3年しか経っておらず、支持固めも十分できていない。金正日の妹、金敬姫とその夫の張成沢が正恩の周りを固めるとされるが、金敬姫は病気と噂されており、軍は金正恩の大将昇格に不満だと伝えられている。1994年の権力継承も困難だったが、今回はもっと困難だろう、

そうした中でワシントンがすべきことは、基本的には情勢を見守りつつ、準備することだ。米韓は、北の不安定化に対処するための軍事計画を持ってはいるが、現段階で軍事行動は不適切だ。と言って、金正恩を含む北指導部に今アプローチするのも不適切だ。内部の実情がわからないし、かえって不安定化を煽る危険性もある、

ところで非常に懸念されるのは核兵器のことだが、北の内部事情を掴んでいるのは中国だけだ。その中国は、これまでは北をめぐる米韓の対話の呼び掛けに対して消極的だったが、今は対話に乗って来ざるを得ないかもしれない。米中韓は北の情勢について同じ情報をもって対応すべく調整すべきだ、と述べ、

金正日後の北朝鮮がどうなるかわからないが、北には経済困難、食料不足、権力移行に伴う不安定化、住民の不満等、分析家が挙げる崩壊の諸要因がいくつもあり、金正日の死はそうした中でも決定的なものになり得る、と言っています。


北朝鮮の不安定化と崩壊の可能性を指摘している論説です。金正日は息子への権力移譲の途上で急死したので、金正恩は後継者として十分確立してない、という指摘は、そうかもしれません。確かに、金正恩は若すぎることや実績がないことから、最高指導者としての権威を確立するまでには時間がかかり、当面は張成沢や金敬姫が後ろ盾となって集団指導体制で行くことになるでしょう。

ただ、チャは、今回の権力移譲は1994年の金正日へのそれよりも困難だと言っていますが、金正恩にとって有利なのは、1994年当時は世襲に反対だった中国が今回はそれを是認、支持していることです。

また、今、米韓が北に対して軍事行動を起こすのは不適切だというのは、その通りですが、中国と協力して北朝鮮の安定化を図るというのは非現実的と思われます。中国とは対話や情報交換はすべきですが、中国は北から米韓の影響力を排除し、北を中国の衛星国のようなものにしたいと考えており、そうした中国と米韓とでは、思惑に差がありすぎます。

いずれにしても、北朝鮮のエリートは現在の体制の維持に既得権益を持っているので、体制の崩壊が起こるとしても、それはまだ先のことと思われます。今は情勢を見守り、北の不安定化への準備をするということでしょう。



Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:58 | 東アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
北朝鮮が対米重視から対中重視に転換 [2011年12月08日(Thu)]
ロサンジェルス・タイムズ12月8日付で、米スタンフォード大学のRobert CarlinとJohn W. Lewisが、北朝鮮は、5月の金正日訪中を契機に対米関係改善の努力を放棄し、中国に依存することを決めたので、今後米朝間の対話が再開されたとしても成果は期待できない、と論じています。

すなわち、1年以内で3度目となる金正日の5月の訪中に際し、中朝の間で、2012年は両国にとって共に重要な国内政治日程(金日成生誕100周年記念と強盛大国の建設、中国共産党の第18回党大会)があるので、政治的安定が必要だとの認識で合意があったようだ。金正日は短期的には問題を起こさないことを公式、非公式に約束したようで、これは、軍事的挑発や、核実験、ミサイル発射などは行わないということだろう。ただし、合意はそこまでであり、金正日は要求通りの援助を中国から受け取ることはできなかったし、胡錦濤の方も北から非核化について意味ある譲歩は得られなかったようだ、

しかし、北朝鮮は、1990年代初めから続けてきた対米関係重視から対中関係重視に転換したと思われる。北朝鮮が問題を起こさないということであれば、それは結構なことのように思えるが、その間、核兵器や運搬手段の開発は進むことになる。北朝鮮は、時間がたてば、世界がインドやパキスタンの核保有を認めたように、いずれ北の核も認めるようになるはずだと考えているのだろう、と述べ、

北朝鮮が米国の要求する核開発抑制の為の事前措置に同意する可能性がないとは言えないが、そうした一方的措置は短期的な効果しかなく、双方の長期にわたる真剣な交渉が行われない限り、既に死に体となった六者協議と同様に大した意味は持たないだろう、と言っています。


論説の筆者達は、北朝鮮が対米関係重視の姿勢を放棄した以上、米国と北朝鮮との対話は意味が無いとしていますが、米国が食糧支援の用意を示していることに対し、北は、対話を望み、事前措置についても何らかの譲歩をほのめかしているかもしれないとも伝えられています。北朝鮮が当面悪さをしないということであれば、それはそれなりに良いことであり、あまり否定的にとらえるべきではないでしょう。交渉を続けている間に、北の状況変化によって核放棄の可能性が出てくることも全くあり得ないと断定する必要はなく、その間、一定の安定が得られるとすれば、意味はあるかもしれません。



Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 17:11 | 東アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
韓国の左傾化 [2011年11月14日(Mon)]
ウォールストリート・ジャーナル11月14日付で、米AEIのMichael Ausilinが、最近の韓国には左傾化の傾向が見られ、李明博大統領は、かつての小泉首相と同様に、最後の親米派指導者となるかもしれない、と懸念しています。

すなわち、李明博大統領は、オバマ好みの指導者と思われているが、任期終了を間近に控え、支持率は30%に下がっている。その背景には、インフレの進行、大統領の財閥との密接な関係、貧富の格差拡大への民衆の懸念等がある。そうした中、来年の大統領選では、左派の候補が当選する可能性があり、米韓関係と韓国経済の将来は波乱含みとなるだろう、

既に、先月、左派活動家の朴元淳がソウル市長に当選しているが、急進派の朴氏は韓米FTAに反対している。朴氏は野党第一党である民主党の候補でさえもなかったが、ソフトウェア起業家で国民的人気がある安哲秀氏の支持を得て当選した。これは、国民の政治への強い不満の表れと言える、

こうした政治の流れは、米国にとっては厄介であり、多く識者は韓国の親中姿勢が強まるものと予測している。米韓はこれまでの数十年間も、北朝鮮の奇矯な行動や核開発のために、同盟国として軍事的協調は維持してきたが、政治関係で緊張することは度々あった、

韓国の左傾化は政治を不安定化し、経済にとっても有害だ。左派勢力は多数の政党に分かれ、米韓FTAに反対するなど、ポピュリズムに堕して急進化している。他方、政権与党は、ビジネス界が支配する腐敗した組織と見做され、かつての独裁者の娘である朴槿恵の下で化石化した寡頭体制に向かっていると思われている。このような状況下の国政選挙では、有権者は両極に走りがちであり、政治的な中間派は少数となる、と言っています。


韓国の政治は常に左右に揺れがちであり、オースリンが懸念するように次期大統領選で左派が勝利する可能性は確かにあります。また、今朴元淳ソウル市長を応援した安哲秀氏が出馬すれば、当選できるという見方もあります。ただ、与党ハンナラ党の支持率は下がっていますが、朴槿恵女史個人への支持は、依然として高いままです。大統領選が行なわれるのは、1年先の来年12月であり、未だ予測できる状況ではありませんが、さしあたり、来年4月の総選挙の結果が注目されます。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:00 | 東アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
日中関係の今後 [2011年09月28日(Wed)]
ナショナル・インタレスト誌で、米AEIのMichael Auslinが、日中関係については、双方の利益が合致する経済関係を優先して話し合い、信頼を醸成した後で、安全保障などの難しい問題に取り組むのが適切なアプローチではないか、と論じています。

すなわち、アジアの安定と繁栄は、日中関係がどうなるかによるところが大きい。その日中は、経済的には相互依存関係にあるが、政治的には、関与とアジアにおける影響力・領土・軍事をめぐる競争との間で揺れ動いている、

日中は世界第3、第2の経済大国であり、中国は日本の最大の貿易相手だ。また、日本企業は中国本土でほぼ1千万人を雇用している。しかし両国は競争関係にあり、相手の意図に不信を持っている。特に昨年は尖閣事件があり、悪感情を残した。そうした対決は稀ではあるが、最近の政治関係は肯定的というより否定的だ、

日中が関係改善するのが望ましいが、双方ともに重要問題で妥協する意思はない。東京では、中国との差を埋められると思う者はほとんどいないが、中国が日本の長期的安全保障に脅威を与えると考える人間は大勢おり、中国の軍事力増大が懸念されている、

そうした状況では、日中はまず、双方を結びつける貿易その他の経済問題を討議する方がよいだろう。それによって信頼を醸成し、その後でより困難な安全保障問題などに取り組むべきだ。もっとも、何十年にわたる軍事分野などでの相互不信をなくすのはなかなか困難だろう。結局、尖閣事件のような危機がなければ、日中は意味のある関係改善なしにまあまあやっていく、ということになろう、と言っています。


日中関係の今後については、尖閣問題等で中国が示した高圧的態度と、それへの民主党政権の不適切な対応もあって、日本国民の対中反発は根強いものになっています。従って日中関係の将来は楽観できないという点では、オースリンの言う通りです。

ただ経済的相互依存がある上に、中国は、日米同盟は強固だと考えているので、大きな危機が起こるとは予想されません。しかし、力のバランスが中国有利に傾いてきていることは否定できず、日本としては、力のバランスを回復するために、装備面でも防衛体制を強化し、集団的自衛権の不行使などの政治的制約も打破するなど、積極的に措置を講じて行く必要があります。

中国が台頭してきた今、周囲に脅威を与えない、軍事的に弱い日本がアジアの平和に資する、という第2次大戦後の発想は日ごとに妥当性を失ってきており、脅威を与えるか否かではなく、脅威にどう対応していくかが日本にとっての課題になってきたと思われます。

オースリンは論説の中で、日中を、実力が伯仲するかのように扱っていますが、国際的影響力は今では中国の方がずっと上であることは認めざるを得ません。かつて日米中正三角形論というものがありましたが、今の中国は、米中EUの三角形を考えており、日本のことは、国家意思が明確でない、影響力も今後どんどん減退していく中程度の国と見ているのではないかと思われます。

李鵬が昔、「日本のような国はいずれ消えてなくなる」と言ったことがありますが、そうならないように日本は集団的自衛権や武器輸出などの諸問題にもっと真剣に取り組む必要があります。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:55 | 東アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
北朝鮮の核使用能力 [2011年09月22日(Thu)]
Nautilus InstituteのPeter HayesとScott Bruceが、Nautilus Institute Report に研究論文を掲載、北朝鮮が核を使うとしたら、米韓軍の侵攻を防ぐために北朝鮮内で核兵器を爆発させる、というのが唯一ありうるシナリオだ、と言っています

すなわち、自国への侵略・攻撃を抑止・撃退するために核を使う、という脅しを実行する能力が北朝鮮にあるとは思えない、

先ず、おそらく原爆5〜10個分のプルトニウムしかない北は、原爆1個を使っただけで核能力の10-20%が消費されてしてしまうため、使用はよほど効果を考えなければならない。また、衛星打ち上げ実験に失敗しているので、長距離ミサイルは当分当てにならず、中・短距離ミサイルも精度に欠けるので、ミサイル核攻撃が成功する確率は極めて低い、

爆撃機による原爆投下も、北の爆撃機は旧式のソ連製なので、撃墜される可能性が高く、あまり考えられない。小型船舶や小型潜水艦を使った海上からの核攻撃も、発見される危険が大きく、攻撃されて撃沈ないし捕獲されれば、原爆を失うことになるのでリスクが大きすぎる、

ただ、防衛的に核戦力を使うことはできる。それは、@米韓軍に攻撃されそうになったら、警告を発して攻撃を阻止するために、核爆発を行う、A米韓軍が北朝鮮に侵攻してきたら、米韓軍に対して使う、というものだ。しかし、@は放射能が韓国に広がる可能性が高く、米韓が激しく反応するだろうし、Aは北が核爆発に手間取ったり、通信管理を失ったりすると、米韓軍に核を奪われる可能性がある、

それに、核爆発が戦術的に成功したとしても、それは北の国家崩壊につながるだろう。北朝鮮軍は米韓軍の比ではなく、北が核を使えば、米韓は通常兵力で北朝鮮を解体し、核兵器を使用すればどうなるかを、潜在的核拡散国に対して示すだろう、

他方、米国が北を核攻撃するとしたら、潜水艦搭載ミサイルによる可能性が高いが、ミサイルの軌道によっては中国の反発と介入を招く危険がある、

このように、朝鮮半島の当事国はいずれも核兵器を使用する選択肢は狭く、結局、通常戦力が朝鮮半島の安定のカギであり、それは今後も変わらないだろう、と言っています。


論説は、核兵器は北にとって戦力的に役に立たず、米国も北を核攻撃できない、従って、米朝はもう一度交渉の席に戻り、朝鮮半島で核は有用でないことを認識すべきだ、と言っているわけです。

しかし、北のミサイル・システムは信頼性に欠ける、と言っていますが、短距離ミサイルが果たして全く信頼性に欠けると断定できるのか、十分吟味する必要があります。

また、唯一北朝鮮が核を使えるのは、米韓軍に攻撃されそうになったか、攻撃されたとき、米韓軍を威嚇もしくはこれに対抗するために、自国内で核爆発をさせることだ、と言っていますが、北がいくら手段を選ばずといっても、自国内で原爆を爆発させることはちょっと考えられません。

それに、仮に論説が言うように、北朝鮮の核能力はいざという時に敵の攻撃に使えないとしても、だから北にとって核は有用ではないということにはなりません。米国や世界が北朝鮮を重視するのは核があるからであり、核が究極の切り札であることは、誰よりも北朝鮮が一番よく知っているはずです。その切り札を北が手放すことは考えられません。

結局、そうした北朝鮮といかに関与すべきか、解は見出せていません。



Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:11 | 東アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
韓国への米戦術核再導入論 [2011年07月25日(Mon)]
米CSISのウェブサイト7月25日付けで、CSIS Pacific Forum所長のRalph A. Cossaが、韓国で起きている米国戦術核再導入論について、反対する立場から論じています。

すなわち、韓国では米韓同盟への支持が今ほど強くなったことはないが、そうした中で、多くの韓国人が韓国に米国の戦術核兵器を再導入すること、あるいは自前の核兵器を持つことを主張している、

これは米国の拡大抑止への信頼欠如を意味するのではない。ただ、韓国人の間には、米国の戦略核は戦術レベルには使えない、従って、天安沈没、延坪島砲撃など北の挑発を防止できないということへの不満、さらには中国の北支持に関する不満がある、

つまり、戦術核再導入論は、戦術核なら北と中国に対する十分な脅威になる、あるいは、再配備すると脅すことで、北との交渉材料や梃子になり、非核化につなげていけるという考えだ、

しかし、戦術核再配備や再配備の脅し、あるいは韓国の独自核は、むしろ逆効果になる可能性が高い。確かに中国に対しては、北への圧力を強める刺激にはなるだろうが、そもそも中国は北を本当に追い詰める気はない。それに、北はその公式発言を読む限り、米国の核は既に朝鮮半島にあり、それが実際に半島にあるか、あるいは他所にあって韓国防衛に使える状態にあるかの間で大した違いはないと考えている。その上、戦術核再配備は韓国世論の分裂につながり、北はそれにつけこむことができる。加えて、北の核武装についても口実を与えてしまう、と言っています。


このラルフ・コッサの報告は、韓国では米戦術核の再導入や独自核開発への支持が強いことを示しており、興味深いものです。コッサはそうした政策のデメリットについて考察していますが、韓国ではこうした議論が行われているのに対し、日本では全くと言ってよいほど行われていません。日本でもこうした議論はすべきでしょう。

核の問題についても、要するに、将来、日本に核兵器が撃ち込まれないようにすることが最重要です。米国の核を持ち込むかどうかも、そうした目的に沿うか否かで判断されるべきであって、非核3原則の堅持自体が重要という発想は、国際政治上の議論というよりは、被爆国としての感情論に依拠する論でしかありません。

また、米韓関係は日米関係よりも緊密で、重要度を増していますが、@米韓同盟が双務的な相互防衛条約に基づくのに対し、日米安保条約は防衛に関しては片務的で、米国は日本防衛の義務を負うのに、日本は米国を防衛する義務がない、A韓国でも反基地運動はあるが、普天間移転に際して見られるような騒動はなく、あっても韓国政府がきちんと収めている、B日本は集団的自衛権を持ってはいるが行使しないなど、米国から見るとイライラするような主張を今なお続けている、C韓国は武器輸出に積極的で、成長戦略の一つにしているが、日本は米国と共同開発した武器の第三国移転にも武器禁輸政策を基に種々文句を言っている、Dアフガニスタンに韓国は軍を出したが、日本は経済援助しかしていない、等を考えれば、それも当然でしょう。

どちらが頼りになる同盟国かは明らかです。日本はもっとまじめに核の問題を含めて外交・安保政策を考える必要があります。


Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 13:36 | 東アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
北朝鮮の飢饉という選択 [2011年02月24日(Thu)]
TODAYonline 2月24日付で、ブッシュ政権下で東アジア担当国務次官補を勤めたChristopher Hillが、韓国政府は、食糧援助を行うことによって北の体制の延命を助けることが良いのか、あるいは、北朝鮮の同胞の短期的な苦難に目をつぶって援助を与えずに北の崩壊を早めるべきなのか、難しい決断を迫られていると論じています。

すなわち、韓国では、後継問題と食糧不足により、北の体制は早晩崩壊するとの見方が強まっており、そうした中で、北への食糧援助を行うべきか否かが難しい課題となっている、

つまり、韓国政府は、援助を行うことにより、民衆に過酷な圧政をしいている北朝鮮政権の延命を助けることになっても良いのか、それとも、援助を拒否することで飢餓を招き、北の住民が犠牲となっても北の政権を追い込むべきなのか、選択を迫られている。これは、こうした選択が統一後の南北間の住民感情にどのような影響を及ぼすかという判断も含めた、難しい決断だ、と言っています。


このヒルのような、北に飢餓が発生するか否かが、韓国政府の決断いかんによるとするような論調は偏ったものと言えます。北朝鮮の住民に必要な食糧を保証することは、北朝鮮政府の責務であって、韓国政府の責務ではありません。北朝鮮は、核問題や、韓国に対して次々と行った挑発行為について、誠意ある対応を示すことで、韓国を含む国際社会から援助を受けることが可能となる情況を作り出すことが出来るはずです。また、食糧が足りないのであれば、軍の備蓄を放出することも出来るはずです。勿論、北の頑な対応を許している中国にも、責任があります。

また、ヒルは、韓国政府が援助を行なわなかったために飢餓が発生すれば、統一後の南北住民間に感情的しこりが残ると言っていますが、そうした可能性が大きいとは考えにくく、これも的外れな主張と言えるでしょう。




Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:39 | 東アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
朝鮮戦争再発に至る三つのシナリオ [2010年12月20日(Mon)]
CNNのウェブサイト12月20日付で米Center for a New American SecurityのPatrick M. Croninが、今後5年以内に朝鮮戦争再発の可能性があるとして、戦争に至る三つのシナリオを提示しています。

すなわち、第一は、北朝鮮の瀬戸際政策の結果、偶発戦争に至る「偶発的エスカレーションだ。北朝鮮は来年中にミサイル発射実験や三度目の核実験に踏み切る可能性が高いが、ミサイルが目標を外れたり、ミサイル撃墜が北の報復を招いて戦争に至る可能性がある、

第二は、核兵器を手に入れた北が、失うものが大きい韓国や米国はリスクを避ける筈だと過信して、暴力行動をエスカレートさせ、抑止が利かなくなるという「抑止の破綻」だ。中国の指導部は、狭い国益観念にとらわれて、却って、避けたいとする危機を招かないようにすべきだろう、

第三は、金政権が崩壊し、利害が異なる関係各国が対立することになる「体制崩壊」だ。例えば、核の管理等をめぐって米中が対決する可能性がある。また、韓国にとっては、段階的吸収というソフト・ランディングや北の政治的破綻というハード・ランディングによって再統一が達成されるどころか、北に対する中国の影響力が増大して、朝鮮半島が永久に分断される事態になりかねない、と言っています。


クローニンが指摘するような事態を避けるための名案は、今のところ見えて来ていませんが、今回、韓国が延坪島での射撃訓練を予定通り実施し、北の恫喝に屈しない姿勢を明確にしたことは新たな動きと言えます。北がこれに対し今後どのような対応に出てくるかは未だ予断を許しませんが、国際社会は、中国の協力も求めつつ、今後とも、北の暴走を防ぎ、ソフト・ランディングを図る方策を模索していくしかないでしょう。





Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:02 | 東アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
北朝鮮5つの神話の真相 [2010年12月10日(Fri)]
ワシントン・ポスト12月10日付で米CSISのVictor D. Chaが、北朝鮮についての誤った見方を五つの神話として取り上げ、正しい見方を提示しています。

すなわち、@「北朝鮮は狂っている」との見方がある。しかし、北朝鮮は好戦的ではあるが、これは、国際社会から食糧・燃料等の援助や政治的承認を獲得するための計算づくの行動であり、実際に成果もあげてきた、

A「金正恩は後継者として若くて未熟すぎる」との見方がある。しかし、北朝鮮は一種の王朝であり、後継者が若いことは問題にならない。権力移譲が失敗するとすれば、正恩が若いからではなく、必要な改革を実現できない場合だろう、

B「交渉によって危機を脱することが出来る」との見方がある。しかし、金正日には核を完全放棄する考えはないので、交渉で危機を抑制することぐらいは出来るだろうが、それは一時的なことでしかない、

C「北朝鮮の協力を得るには、中国が鍵になる」との見方がある。確かに中国は石油の供給停止等、圧力を掛けることは可能だろうが、中国としては、圧力をかけ過ぎて北が崩壊することは避けねばならず、手加減の仕方が解らないので、結局、冷静な対応を呼びかける等の無意味なジェスチャーに終始している、

D「朝鮮統一は地域の何れの国の利益にもならないので、北朝鮮は今後とも存続する」との見方がある。しかし、北の好戦的姿勢が強まり、金正日の健康が衰える中で、統一こそが真の解決策だと考える関係者は増えている。韓国の李大統領はそうした事態に備えるよう国民に説き、統一税さえ提案、ロシアや日本も、今の北の路線は統一よりもコストがかかり、危険だと見るようになってきており、その結果、今や統一を望まないのは中国一国だけだ、と言っています。


実に解りやすい啓蒙的論説です。ただし、中国が狭い視野からの自国の国益のために北朝鮮への支援を続け、北の無法な行動を放置するようなことは大国として無責任です。国際社会としては、中国にも手の打ち様がないのだ、などという口実は認めず、中国に対して北朝鮮への働きかけを真剣に行なうよう引き続き要求すべきでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:42 | 東アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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