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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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オバマの核軍縮政策批判 [2010年02月24日(Wed)]
ワシントン・タイムズ2月24日付でタカ派のJohn R. Bolton元国務次官が、オバマ政権の核軍縮政策、特にロシアとのSTART後継条約交渉への姿勢を批判し、上院は新条約が米国の安全保障上の利益を高めているかどうかを判断基準とすべきだ、と論じています。

すなわち、米ロは核弾頭数については現在の2200から1500-1675に削減することで合意したが、米国がNATO諸国や太平洋の同盟国に核の傘を提供し、かつテロリストやイラン、北朝鮮などの「ならず者国家」とも対峙しているのに対し、ロシアには守るべき同盟国がない。従って、核弾頭数の制限は、ロシアよりも米国を弱体化させ、同盟国を不安にさせることになろう、

また米国は、通常兵器の運搬手段の数ではロシアをはるかに凌駕しており、その削減は、米国やその同盟国を犠牲にしてロシアに利益を与えることになる。しかも報道によれば、ロシアは米国のミサイル防衛にも制約を課そうとしているのに、オバマ政権はそれをはっきり拒否はしてはいない。ミサイル防衛で譲歩するのは重大な誤りであり、それだけでも上院が新条約を否決する理由になる、と述べ、

上院は、条約を支持するかどうかの基準を、米国の安全保障を高めるかどうかに置かなければならない、と言っています。

米ロは、戦略核弾頭数の1500-1675への削減には合意したものの、運搬手段の数や、そこに通常兵器搭載長距離ミサイルを含むのか、また、検証規定をどうするかでもめており、START後継条約の交渉はまだ決着がついていません。

実は、ロシアのICBM、SLBM、戦略爆撃機はみな老朽化し、多くは廃棄せざるを得なくなっている上に、新型SLBMの実験も失敗したため、ロシアとしては米国の運搬手段を出来るだけ削減したい状況にあります。従って、交渉の詳細はわからないものの、米国は経済的にも技術的にも優位にあって強気で交渉できる立場にあると思われます。ところが、オバマ政権がそうした優位性を十分活用しているかは疑問であり、むしろ、ロシアの方が、ミサイル防衛問題もこの交渉に加えることを主張するなど、強気の姿勢を示しています。

しかし、この交渉はたとえ失敗したとしても、ロシアはその経済事情から言って、核戦力増強で対抗してくることは出来ないと思われます。従って、核兵器削減で合意できるに越したことはありませんが、米国は、もっと幅広く同盟国の利益も考え、中国の核戦力増強も視野において、ロシアに対して譲歩し過ぎないようにすべきだと思われます。







Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 13:40 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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