• もっと見る

世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


プロフィール

特定非営利活動法人 岡崎研究所さんの画像
Google

Web サイト内

カテゴリアーカイブ
最新記事
最新コメント
△小泉純一郎前首相の医師久松篤子
英米関係は共通の理念に支えられる (10/08) 元進歩派
実績をあげているオバマ外交 (09/21) wholesale handbags
タクシン派のタクシン離れ (07/04) womens wallets
豪の新たな対中認識 (07/04) red bottom shoes
バーレーン情勢 (07/02) neverfull lv
石油価格高騰 (07/02) wholesale handbags
金融危機後の世界 (07/02) handbags sale
米国の対アジア政策のリセット (07/02) neverfull lv
ゲーツのシャングリラ演説 (07/02) handbags sale
パキスタンの核の行方 (07/01)
最新トラックバック
リンク集
月別アーカイブ
https://blog.canpan.info/okazaki-inst/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/okazaki-inst/index2_0.xml
イラン核武装のプラス面 [2010年02月09日(Tue)]
イランが本格的に濃縮ウラン製造に踏み切り、米国側の種々の対策が効果を挙げていない中で、ニューヨーク・タイムズ2月9日付で、米空軍研究所の防衛専門家、Adam B. Lowtherが、イランの核武装は米国の外交戦略にとってプラスの面もあるかもしれない、と論じています。

すなわち、イランが核武装した場合、@米国は、イランの核に対抗して、近隣スンニー諸国に核の傘を提供し、その代償に、過激派対策への協力を求めることができるようになり、さらには、AOPECのカルテルを破れるようになるかもしれない。そうなれば、石油価格は下落することになるだろう、Bイスラエルがイランから核攻撃されれば、イスラエル人もパレスチナ人も共に壊滅となるので、イランの核に対する危機感は、イスラエル人だけでなく、パレスチナ人も抱いている。こうした危機感の共有は、両者の和解を促す契機となるかもしれない、C米国が湾岸諸国に武器供与することによって、両者の関係が強化されるかもしれない、DOPECの弱体化による石油価格の下落・抑制や米国からの武器輸出の増大、さらに湾岸諸国等の防衛負担の増加は、米国の国際収支の改善に貢献する可能性がある、と言っています。

空軍関係者らしく、ロウサーの発想は大胆、簡明、荒削りです。しかし、イランの核武装については、オバマの説得路線は最初から問題にならず、制裁の強化も中国などの非協力で上手く行かず、現状では、イラン国内の体制変化に期待するか、あるいは、体制の変化に対しては逆効果であることを承知の上で、イスラエルによる攻撃を待つかしかない状況です。

このような閉塞状況の中では、この論説のように、イランの核武装は不可避だとの前提の下に、そこで生まれる新たな中東の国際環境を見極めて、米国の長期的戦略を作るという発想は、今までにない新しい試みであり、参考にすべき意見と思われます。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 13:33 | イラン | この記事のURL | コメント(1) | トラックバック(0)
トラックバック
※トラックバックの受付は終了しました
コメント
 現在の状況を冷静に評価するのであれば、イランには核武装に向かっている兆候はあるが、ミッシングリングが存在するために、「その核武装に掛ける意志」には最大限の警戒と処置が必要であるが、それ以上でもない、というのが私個人の見立てです。
 もちろん、私個人の核不拡散・平和利用の厳守の絶対原則からして、そのようなイランの態度は全く相容れないところ。

 ただ、よく言われるように
「最悪を想定して、楽観的に行動する」
ことがここでも重要でしょうし、核武装の最も効果があるブラフとしての効果を根底から覆し、それを政治的に無力化する(逆に利用する)狡猾さはあってしかるべきでしょう。
<それにしてはご紹介の議論はあまりにも楽観的に過ぎて、核拡散リスクを過小評価したものと個人的には評価しますが。

 以上より、平和裏のうちに採ることが出来る全ての方法を動員して、イランの核武装恫喝を無力化することが重要であり、それがある意味、極限まで高まっている危機から脱する道だと考えます。
Posted by:へぼ担当  at 2010年02月26日(Fri) 00:36