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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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指導力を欠くアジア [2009年09月22日(Tue)]
ウォール・ストリート・ジャーナル9月22日付で、韓国のJongryn Mo延世大学教授が、インドも含めてアジア諸国はその経済力にもかかわらず、G20等でまとまった勢力として発言していない、世界の舞台でもっとリーダーシップを発揮すべきだ、と論じています。

それによると、アジア諸国はG20等でまとまった行動をとらず、構想も示さず、リーダーシップも取らない。これは、アジアでは従来から一体感が乏しく、また歴史的経緯から今も相互に猜疑心を抱いているためだ。また東アジアの指導者たちはグローバルなリーダーシップを取ることに慣れていない。サルコジ仏大統領は欧州諸国の意思を代弁してG20で発言しているが、それを見習うべきだ。アジアは世界にとって魅力的な新しいアイデア(具体的には、例えば、輸出依存の是正)を提示すべきであるし、さらに、グローバル・ガバナンス強化に資するために、地域的調整の仕組みも強化すべきだ、と言っています。

東アジア諸国はこの10年ほど、政治的紛争を棚上げして経済的利益の獲得に専心してきたと言えます。ちょうど、17世紀の欧州で30年戦争のかたわら、イタリアの諸都市国家が繁栄を続けた現象とも似て、没イデオロギーなのです。しかしそうした中でも、チェンマイ・イニシャティブ、APEC、東アジア首脳会議などは既に実施されてきています。それらへの言及がないのは遺憾ですが、これは、特に反対するところもない論評と言えるでしょう。特に、地域的調整の仕組みも強化すべきだ、という提案は、東アジア共同体の結成にとっては前向きの要因です。

また最近、国力の増大に応じて韓国の専門家がグローバルな発言をすることが増えているのは歓迎すべきことであり、日本も彼らと協力できる部分は多いでしょう。ただし、「グローバルなリーダーシップ」を取るためには、イデオロギー的大義、金融力、軍事力、情報伝播力を持たなければ駄目であり、いたずらに発言をあせっても、十分な効果はあげられないでしょう。しかも東アジアの繁栄は対米輸出に依存している部分が大きく、そうした中で、「自分達は豊かになったのだ。他の国も豊かになれ」という程度のメッセージしか出せないのでは意味がありません。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:19 | その他 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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