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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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アフガン戦争は選択による戦争 [2009年08月21日(Fri)]
ニューヨーク・タイムズ8月月21日付で、米外交問題評議会のRichard N. Haass議長が、今やアフガン戦争は必要による戦争ではなく、選択による戦争であり、現在の戦略が成果を挙げなければ、戦線を縮小するか、撤退すべきだ、と論じています。

すなわち、必要による戦争とは、武力行使以外に重要な国益を守る有効な手段がない場合に言うが、アフガン戦争は、地上軍の作戦を縮小し、無人機によるテロリスト攻撃・アフガン軍の訓練・開発援助・外交に重点を置く、あるいは、米軍を全面撤退させ、地域的、世界的テロ対策で対処する、という代替策があり、選択による戦争だ、

もっとも、アフガンに関わる米国の国益は重要であり、限定的成功の見通しは十分ある上に、代替策のリスクが高いので、米国は当面は慎重な戦略を進めるべきだ。ただ、それが成果を挙げているかどうか、政府や議会は定期的に厳しく評価し、成果を挙げていないなら、戦闘の縮小か撤退をすべきだ。特に、何をいつまでやるかを限定しないと、将来他の戦争をする必要が生じた場合に対応できなくなる、と言っています。

オバマ大統領は、イラクは選択した戦争、つまり戦わなくても良かった間違った戦争だが、アフガン戦争は必要な、正しい戦争だとする演説を17日に行なっており、この論説はそれを受けて書かれたと思われます。

オバマ演説の背景には、米国民のアフガン戦争支持の低下と、アフガンのベトナム化が囁かれだしたことがあります。最近の世論調査で、アフガン戦争は戦う価値なしとの回答が初めて5割を超え、41%が戦争に強く反対しています。オバマ政権にとって特に辛いのは、民主党支持者の7割が価値なしと答えていることです。

ベトナム戦争との比較も言われるようになり、戦略の失敗、敵の意図の読み違い、現地の味方の不甲斐なさ等、様々な類似点が指摘されていますが、オバマ政権にとって何より怖いのは、国民の戦争観とその結果としての戦争支持率低下でしょう。米国がベトナム撤退を余儀なくされたのは、米国民の支持が失われ、その結果、議会に予算を削られたことが最大の理由です。そのベトナムは未だに米国社会に大きな影を落としており、歴代政権はいかなる戦争のベトナム化も政権の命取りになると恐れてきました。

今後、アフガン大統領選で不正がはびこっていた、選挙の結果アフガン国内が混乱に陥る、新大統領が決まっても、アフガン軍や官僚は動かず、米軍ばかりが犠牲になる、ということになれば、戦争支持は一層低下するのは間違いなく、アフガンは必要な戦争、だから正しい戦争、だから戦い続ける、という論法が通用しなくなります。だからこそハースは、アフガン戦争は9.11 直後は必要な戦争だったが、今は選択した戦争であり、その選択の厳しさを認めた上で、対策を考えるべきだと言っているわけです。
Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 16:45 | 中央・南アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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