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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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パキスタンの核の安全 [2009年08月21日(Fri)]
米CIAやエネルギー省で長年核関連情報に関わってきたRolf Mowatt-Larssen が、Arms Control Today 7−8月号で、パキスタンの核の安全が憂慮すべき状態にある、と論じています。

すなわち、パキスタンでは核兵器計画自体が急速に拡大しているので、その分リスクが増している上に、国内の不安定化と過激派勢力の拡大に伴い、@核施設の内部の者が外部の者と協力して核兵器や核物質を提供する恐れと、A外部の者が核施設を占拠する、最悪の場合、クーデターが起きてタリバンが核を支配する恐れが増している、

このうち、特に懸念されるのは、内部者と外部者が呼応するケースだ。A.Q.カーンの悪行はよく知られているが、実は、驚くべきことに、パキスタンの核兵器計画のもう一人の創設者だったBashiruddin Mahmoodも、カーンとは別に、利益のために国家の最重要機密を過激派やテロリストに売る組織を創ろうとしていた。この件は米・パキスタンの協力で未遂に終わったが、これを見ても、今後同様なことが起こりうる、

これに対し、パキスタン軍部は、核施設を地理的に分散させると共に、核兵器の貯蔵場所やその運搬を秘密にする、つまり物理的な安全策強化よりも、秘密重視で対処しようとしているが、これは、核関連の動きの予測を困難にするため、テロリスト対策としてはよいが、インドが誤って解釈する恐れがある、と指摘して

現在はまだ核の安全態勢が崩壊する可能性は低いが、時の経過につれて、その可能性は着実に高まっていく。米国はそうした可能性に対処できるようあらゆる準備をすべきであり、パキスタンによる核の安全策強化を全面的に支援すべきだ、と言っています。

これは、パキスタンの核の安全は万全ではなく、核テロの危険は現実のものだという警告です。モワット=ラーセンは、特に、内部の者の協力で核物質や情報、ノウハウなどが少しづつ流出する危険性が高いことを指摘し、内部者の外部者への協力をいかに防止するかが重要な課題だと言っています。しかし、パキスタン軍部もここに来て真剣に核の安全確保に取り組んでいるようですが、有効な対策を打ち出すのは容易ではないでしょう。



Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:54 | 中央・南アジア | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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