CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る

世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


プロフィール

特定非営利活動法人 岡崎研究所さんの画像
Google

Web サイト内

カテゴリアーカイブ
最新記事
最新コメント
△小泉純一郎前首相の医師久松篤子
英米関係は共通の理念に支えられる (10/08) 元進歩派
実績をあげているオバマ外交 (09/21) wholesale handbags
タクシン派のタクシン離れ (07/04) womens wallets
豪の新たな対中認識 (07/04) red bottom shoes
バーレーン情勢 (07/02) neverfull lv
石油価格高騰 (07/02) wholesale handbags
金融危機後の世界 (07/02) handbags sale
米国の対アジア政策のリセット (07/02) neverfull lv
ゲーツのシャングリラ演説 (07/02) handbags sale
パキスタンの核の行方 (07/01)
最新トラックバック
リンク集
月別アーカイブ
https://blog.canpan.info/okazaki-inst/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/okazaki-inst/index2_0.xml
米軍基盤の浸食 [2009年07月20日(Mon)]
Foreign Affairs7−8月号で、国防変革の理論的基盤を考案した一人として知られるAndrew F. Krepinevich米戦略予算評価センター理事が、米国の圧倒的な軍事的優位性が損なわれつつあることに警鐘を鳴らしています。

クレピネヴィッチは、中国など新たなパワーの台頭や、イスラム過激派等への先端軍事技術の拡散を背景に、米国が維持してきた圧倒的な軍事的優位が浸食されつつある。これは、冷戦初期にソ連によって核の独占が覆されたのと同様の重大な変化であり、米国は、対ソ「封じ込め」と「抑止」政策の採用に至るまでになされたような深い戦略的熟考を必要としている、

また、非軍事面でも、米経済が相対的に凋落しつつある中で、欧州や日本は、将来の脅威について認識を共有していない、経済的困難に直面している、ただ乗りの利益を追求しがちだ、社会が高齢化しつつある等の理由で、安全保障上の責任を積極的に分担はしないだろう、その事実を直視すべきだ、と指摘、

そうした認識の下に、@イラクやアフガンのようなケースでは、米軍が直接手を下さず、現地の友好勢力を訓練して治安回復・維持の任を負わせる、間接的アプローチをとる、Aパワープロジェクション能力確保のために、前方基地の防護とミサイル防衛を強化する一方、長距離偵察・攻撃能力の開発と通常型ミサイル搭載大型潜水艦の増強によって、前方基地への過度の依存を避ける、Bより小型の衛星を多数配備してネットワークの脆弱性を減じるとともに、サイバー攻撃能力を開発してサイバー空間での攻撃を抑止する、Cズムワルト級大型駆逐艦、陸軍の将来戦闘システム、海空軍の短距離攻撃機、海兵隊の遠征戦闘車両等は脆弱かつ高価格なので、開発配備を停止し、ラムズフェルド以来の国防変革を進める等を提言しています。

クレピネヴィッチは、かつて圧倒的優位にあった米国の軍事能力が資産価値を失いつつある現実を直視し、この前提に立って新たな戦略を立案しなければならないと言っているわけです。論説は回答を示していませんが、冷戦初期に米国が核兵器独占の地位を失ってからの歴史を顧みれば、希望がない訳ではありません。冷戦時の米国の軍事戦略は、アイゼンハワー時代の大量報復に始まり、柔軟反応、相互確証破壊、相殺と、情勢の変化に伴って逐次修正され、最終的にはレーガン政権の戦略防衛構想とあいまってソ連との対決に勝利したのであり、米国が再び圧倒的優位を失いつつある現在、冷戦期と同様の深い戦略思考がなされれば、冷戦終焉と同様の結末を期待することもできるでしょう。一方、クレピネヴィッチの言う、地味ではあるが喫緊の個別施策を進めることも重要であり、着実に変革を進めることが当面の課題となるでしょう。

それにしても、かつて軍事革命を提唱した際は、極めて斬新に響いたクレピネヴィッチの情勢認識や提言が今は常識的なものとして映るのは、15年の歳月を経て、彼らの主張がコンセンサスになってきたからでしょう。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:31 | 米国 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
トラックバック
※トラックバックの受付は終了しました
コメント